土地を生前贈与したときの税金と贈与税を非課税とする場合の注意点を解説

土地を生前贈与したときの税金と贈与税を非課税とする場合の注意点を解説

個人から土地や現金といった財産の贈与を受けると贈与税が生じます。土地はまとまった金額の財産であるため、資金援助や相続税対策でそのまま生前贈与すると大きな贈与税が生じます。

金額の大きな財産を生前贈与するには、相続時精算課税制度を活用することが効果的です。ただし、相続時精算課税制度は兄弟間では使えないことや、利用すると損をするときがあること等の注意点もあります。

土地を生前贈与するためには、相続時精算課税制度についてもしっかりと理解することが必要です。そこでこの記事では「土地の生前贈与」について解説致します。ぜひ最後までご覧ください。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 相続税対策に生前贈与を利用したい
  • 住宅用地として子供へ土地を贈与を検討している
  • 相続時精算課税制度について知りたい
株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.生前贈与とは?贈与税と非課税枠について

贈与とは、当事者の一方が土地や現金等の自己の財産を無償で相手に与える意思表示をし、相手が受諾することで成立する契約のこと。

生前に行う贈与のことを「生前贈与」と呼びます。

贈与では、財産を渡す人を贈与者、財産をもらう人を受贈者と呼びます。贈与税とは、個人から贈与により財産を取得した「受贈者に課される税金」です。

贈与税は、贈与によって相続税が課税されない部分が生じることを防止するために存在する税金です。仮に贈与税が無税の場合、やたらと贈与が行われてしまうと、贈与者の財産が減り相続税の負担が軽くなってしまいます。

贈与をする人としない人との間で、相続税に著しく不公平が生じてしまうことから、生前贈与を防止するべく重い税金が課せられているのです。

贈与税の計算にあたっては、110万円の基礎控除額があり、年間110万円までの贈与については非課税で贈与ができることになります。

贈与税の税率は10%~55%の累進課税制度となっており、その税率は以下の通りです。

平成27年以降の贈与税の税率(特例贈与財産用)

参考までに、贈与税の税率や計算方法を説明しますので、興味がない方は次の章へ読み飛ばしてください。

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

-

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

※20歳以上の者が直系尊属(祖父母や父母など)から贈与を受けた場合

例えば、500万円の贈与を受けた場合の贈与税は以下のように計算されます。

基礎控除後の課税価格 = 贈与を受けた財産の価額 - 基礎控除額(110万円)

           = 500万円 - 110万円

           = 390万円

よって、税率は上表の15%(400万円以下)を用います。

贈与税 = 基礎控除後の課税価格 × 税率 - 控除額

    = 390万円 × 15% - 10万円

    = 58.5万円 - 10万円

    = 48.5万円

ここで、土地を贈与する場合には、贈与を受けた財産の価額は「贈与時の相続税評価額」となります。土地の相続税評価額は、相続税路線価より計算するのが基本です。

相続税路線価は、国税庁HPの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にて調べることができます。

路線価図では、自分の土地の前の前面道路に平米あたりの千円単価が記載されています。「180」と記載されていたら、180,000円/㎡ということです。

とりあえず概算価格だけであれば、自分の土地の面積に路線価を乗じることで贈与する土地の財産価額を算出することができます。

路線価地域の土地の概算価格の求め方

また、路線価図に路線価か記載されていない地域は、倍率地域と呼ばれます。倍率地域の土地は、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じて求めます。

土地の固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書に記載されている「価格」のことです。課税標準額ではなく、価格の方(数字が大きい方)を用います。

固定資産税評価額とは、固定資産税や不動産取得税、登録免許税等の税金を算出するための根拠となる土地や建物の価格

固定資産税評価額とは?目安やチェックの仕方・不服申立てを解説
固定資産税評価額とは?目安やチェックの仕方・不服申立てを解説

固定資産税評価額とは、固定資産税や不動産取得税、登録免許税等の税金を算出するための根拠となる土地や建物の価格 市町村長が ...

続きを見る

倍率については、国税庁HP「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」の中に倍率表というものがありますので、そこから自分の土地の倍率を調べます。

倍率地域における土地の概算価格の求め方は以下の通りです。

倍率地域の地の概算価格の求め方

上記の求め方は、あくまでも概算値です。土地の相続税評価額を正確に求めるには、専門知識を要します。実際には、奥行価格補正や側方路線影響加算等の修正を行って評価額を算出します。

最終的に贈与税額を知りたい場合には、税理士に相談して土地の相続税評価額を求めてもらうようにしてください。

税理士ドットコムには日本全国から5,300名以上の税理士が登録しています。ご希望の地域や条件からあなたに最適な税理士を紹介してくれるので、相続税に強い税理士を探してみてください。

相続での税理士選びなら税理士ドットコム

2.名義変更で生じる税金

贈与に伴う名義変更で生じる税金もあります。

登録免許税

不動産登記は、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、一般公開しています。

登録免許税とは、不動産登記をするときに発生する税金です。帳簿(登記簿)に記載されている所有者の住所・氏名といった名義変更をする際にかかります。

土地の名義変更の登録免許税は、土地の固定資産税評価額に税率を乗じて求めます。

税率は登記の原因により定められています。贈与または遺贈を原因とする登記の税率は「2%」です。

登録免許税の算出式は以下のようになります。

登録免許税の算出式

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得したときに、その不動産の所在する都道府県が課税する税金です。贈与で土地を取得した場合でも受贈者には不動産取得税がかかります。

令和3年3月31日までに土地の贈与を受けた場合の不動産取得税の算出式は以下の通りです。

土地生前贈与171令和3年3月31日までに土地の贈与を受けた場合の不動産取得税の算出式-100

尚、土地のうち、宅地等(宅地及び宅地評価された土地のこと)を取得した場合には、取得した不動産の価格×1/2が課税標準額となります。

宅地を取得した場合の不動産取得税-100

3.非課税枠が大きい相続時精算課税制度とは

土地を生前贈与するなら非課税枠が大きい相続時精算課税制度を利用するのが効果的です。相続時精算課税制度には、2,500万円の特別控除額があります。

つまり、土地の相続税評価額が2,500万円以下であれば贈与税が非課税のまま生前贈与することが可能です。また、2,500万円を超えた場合は贈与税が生じますが、その税率は累進課税ではなく、一律に20%です。

通常の贈与なら税率は3,000万円以下だと45%ですので、贈与税の税負担も小さくなります。

相続時精算課税制度を利用したときの贈与税の税額は以下の通りです。

相続時精算課税における贈与税額-100

相続時精算課税制度は、その名の通り「相続時に精算を行う税制」です。相続が発生したときは、かつて相続時精算課税を使って贈与した財産は、相続財産の中に組み戻されて財産を計算されます。

ただし、既に支払った贈与税額は相続税額から控除します。既に支払った贈与税額が大き過ぎて相続税から控除しきれないときは、逆に還付を受ける制度です。

そのため、贈与をしたからといって相続税が少なくなるわけではなく、贈与した財産は再度被相続人の財産として加算され、相続税が計算されることになります。贈与時に贈与税を払わなかったとしても相続税で加算されることになりすし、贈与時に贈与税を払い過ぎていたとしても還付されるという「精算」を行います。

メリットとしては不動産のようなまとまった金額の財産を、贈与税の負担を減らして一気に贈与させることができるという点になります。

ただし、相続時精算課税制度を利用してしまうと、その選択をした年分以降全て相続時精算課税制度が適用され、暦年贈与に変更することができません。

暦年贈与とは110万円の非課税枠を使った贈与のこと。

暦年贈与は非課税枠こそ少ないですが、要件が緩いため使い勝手が良いというメリットがあります。一旦、相続時精算課税制度を使うと、暦年贈与が使えなくなるため、慎重に判断して選択することが必要です。

4.相続時精算課税制度の注意点

この章では相続時精算課税制度の注意点について解説します。

兄弟間では使えない

相続時精算課税制度は、兄弟間では使えないという点が注意点です。相続時精算課税制度には、贈与者と受贈者に要件があります。

贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母です。それに対して、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上(令和4年4月1日以後は18歳以上)の推定相続人または孫になります。

よって、兄弟間では相続時精算課税制度は使えないことになります。元々、相続時精算課税制度は、相続の発生時点において精算する仕組みの特例です。

兄弟姉妹の相続順位は第3順位であるため、一般的な相続では、通常、兄弟間で相続が発生することはありません。レアケースの相続を前提とした精算は想定しにくいので、兄弟間で相続時精算課税制度は利用できないというルールとなっています。

類似の例として、例えば配偶者の父母や祖父母からの贈与も相続時精算課税制度は利用できません。「配偶者」と「配偶者の父母や祖父母」は相続関係になく、精算ができないためです。

相続時精算課税制度は、相続時の精算が前提となっていることから、贈与者と受贈者の関係に厳格な要件があるのです。

相続税が損をするときがある

相続時精算課税を使って土地を贈与すると、相続税が損をするときがあります。

相続時精算課税制度では、相続時に贈与した資産を加算して相続税を計算するのがルールでした。この加算する額は贈与時の価額であることがポイントです。

仮に、土地の相続税評価額が贈与時から相続時にかけて下落した場合、相続時には贈与時の高かった財産額が加算されます。

相続時なら5,000万円の土地でも、贈与時は8,000万円であった場合、相続税は8,000万円の土地価格をベースに再計算されてしまうのです。

このように、贈与時から相続時にかけて資産価値が落ちる場合には、相続時精算課税は相続税で損をする制度になります。

逆に、バブル期のように贈与時から相続時にかけて資産価値が上がるようなケースでは得をする制度です。

相続時精算課税で損をしないためには、土地価格が低い時期に贈与をすることがコツになります。

5.まとめ

以上、土地の生前贈与について解説してきました。土地を生前贈与すると、受贈者に贈与税や登録免許税、不動産取得税等の税金が生じます。

相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円の特別控除額があります。相続時精算課税制度は兄弟間では使えません。

また、贈与時から相続時に土地価格が下落していると、相続時に損をしてしまいます。土地を生前贈与する場合には、相続時精算課税制度の注意点も理解した上で実行するようにしてください。

生前贈与や相続税について税理士に相談したい方は税理士ドットコムの利用を検討してみてください。税理士ドットコムには日本全国から5,300名以上の税理士が登録していますので慎重に検討した上で依頼することができます。

相続での税理士選びなら税理士ドットコム

おすすめ記事一覧

61,527view
不動産一括査定

不動産一括査定サイトのオススメを先に見たい人はコチラ マンションや一戸建て、土地などの「不動産を売りたい」と考え始めたと ...

68,488view
マンション売却で3人に1人が失敗している?2つの落とし穴と間違いない成功のコツ

一生涯でマンションを売却する機会は、ほとんどありません。 何から始めたらいいのか分からず、インターネットでいろいろ調べて ...

15,145view
一戸建て売却は苦戦しやすい?トラブルなく高額査定してもらう4つのコツ

一戸建てをスムーズに売却するコツを先に見たい人はコチラ 一戸建て(一軒家)を売却するには、正しい手順があります。 でも、 ...

19,067view
専門家が39社から選んだ!不動産査定サイトのオススメ6選【2019年版】

不動産を売却する際、いくらくらいで売れそうなのか、査定を行うことから始めます。 不動産査定は、不動産売却の第一歩です。 ...

-相続

Copyright© 不動産売却の教科書 , 2020 All Rights Reserved.