家を買う際、気になるのは住宅ローンの審査です。
住宅ローンの審査では「人物」と「物件」の両方が審査されます。
「物件」の審査は、いわゆる担保評価と言われているものです。
- 物件の審査ってどういうことをされるのだろう?
- 担保評価って何なのだろう?
- 担保評価を下回るローンは借りられないのだろうか?
結論からすると、借手の「人物」評価次第では、担保価値以上の融資を受けることができる場合があります。
そこで今回の記事では、住宅ローンにおける「担保評価」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたは住宅ローン審査における担保評価を理解し、住宅ローン審査を通すにはどのような点がポイントとなるのか理解できるようになります。
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住宅ローンにおける担保評価の考え方
住宅ローンが世間一般に浸透する以前から、銀行は土地や建物を担保にとって融資を行ってきました。
古くは土地担保融資と呼ばれ、かつては土地などの不動産を持っていないと銀行からはお金が借りられない時代が長く続いていました。
担保とは、法律的な用語で言うと、抵当権のことです。
そのため、担保価値とは、基本的には競売で売却したときに回収できる金額になります。
住宅ローン以外では、例えば企業がお金を銀行から借りる場合など、企業が保有している不動産を担保評価することが通常です。
銀行が、土地建物に抵当権を付けて企業にお金を貸す場合、原則的に担保評価額までのお金を貸すことになります。
担保評価額の目安
担保評価は、競売で落札される価格が一つの目安になります。
企業に対して担保評価を行って融資をする場合は、まず企業の保有している工場などの土地建物の時価の評価を行います。
時価とは今すぐ売却できる価格です。
担保評価では、求められた時価に対し、だいたい70%の掛け目をかけて、その金額を担保評価額とするとことが多いです。
理由としては、競売で落札される価格が、だいたい時価の70%程度であろうと仮定しているためです。
時価とは今現在の価格ですが、今すぐ競売にかけられるわけではないため、もう少し保守的に見て時価の50%や60%を担保評価額とみなすところもあります。
ただし、これは原則です。
企業によっては財務内容が良く、収益性の高い企業もあれば、財務内容が悪く、収益性の低い企業も存在します。
そのため、実際には担保評価額までしかお金を貸さないというわけではなく、企業の業績も見ながら融資額が決定されます。
そのため担保評価額イコール融資可能額ではないということになります。
担保評価は、あくまでも銀行の一つの目安にしかすぎません。
以上、ここまで担保評価について見てきました。
それでは次に気になる住宅ローンにおける担保評価について見ていきましょう。
住宅ローンの担保評価で重要なのは「人物」
最初に、築年数ごとの住宅の値動きについて見ていきます。
下表は公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している2016年における首都圏不動産流通市場の動向から筆者が抽出した築年数ごとの戸建とマンションの価格の変動推移を表したものになります。
ここで特徴的なことは、戸建もマンションも新築時が一番高く、その後値段が下がり続けているということです。
ある一定以上の築年数が経つと、価格の下がらない土地代だけが残り、ほとんど価格が下がらないことが分かります。
「住宅価格は下がり続ける」という性質を考慮すると、住宅ローンの審査の際、銀行が担保評価を熱心にやってもあまり意味がないということが分かります。
住宅ローンの審査においても、一応、担保評価は行います。
しかしながら、融資の時点で、どんなに精緻に評価したところで、結局のところ価格が下がるため、銀行にとっても融資時点の担保評価額はあてにならないことになります。
そのため、住宅ローンの審査においては、物件の担保評価は行われるものの、それはあまり重視されていないというのが事実です。
つまり、価格が下がり続ける住宅には、担保価値、言い換えると返済能力がないと言えます。
意味があるのは人物評価
物件の売却では、貸した金は返ってこないという話になると、返済能力は「物件」ではなく「人物」にあるとされます。
そのため住宅ローンの審査においては、「物件」の審査よりも「人物」審査の方に重点が置かれます。
銀行にとって見ると、将来下がり続ける物件の担保価値は、あまり信用ができません。
むしろ、大企業や公務員のように将来も安定的な給与をもらっている人物の方が価値は高く、人物評価に価値を置いています。
そのため「人物」評価の高い人であれば、担保評価額以上の物件を借りることも可能です。
一方で、「人物」評価の低い人であれば、担保価値が重視されてしまい、担保価値以上の融資を受けられない場合がります。
担保評価はあくまでも人物評価の補佐的な役割であり、人物評価が高ければ軽視され、人物評価が低ければ重視される傾向にあります。
以上、ここまで住宅ローンにおける担保評価について見てきました。
それでは次に戸建の担保評価について見ていきましょう。
戸建の担保評価
戸建については土地と建物が別々で評価されます。
土地の評価方法
土地については、銀行によって異なりますが、単純に路線価の70%の価格を土地の評価額とする金融機関もあります。
路線価とは、国税庁のホームページで誰でも見ることができる土地の評価額です。
路線価では、下図のように自分の土地の目の前の前面道路に価格を見ることができます。
前面道路の前の数値は千円単位の㎡単価を表しています。
例えば、前面道路に500と書かれていたら、その土地の路線価評価額の単価は500千円/㎡となります。
150㎡の土地であれば、75,000千円(=500千円/㎡×150㎡)になります。
土地担保評価額が路線価の70%としている銀行は、さらに52,500千円(=75,000千円×70%)となります。
路線価評価額は、時価の80%程度とされているため、時価×56%(=80%×70%)程度が土地の担保評価額になります。
担保評価に路線価を用いる理由としては、便利だからです。
路線価はホームページで公開されているため、銀行の担当者が簡単に土地価格を入手することができます。
また保守的な数字でもあるため、安全を取りたい銀行としても受け入れやすい価格でもあります。
土地価格を、相続税路線価そのものを用いるか、他の指標を用いるかは、銀行によっても異なります。
また掛け目を70%にするかどうかも銀行によって異なります。
ただ、土地価格を時価の約50%として担保評価する銀行もあるということは知っておきましょう。
建物の評価
次に建物の担保評価です。
戸建の場合、新築が一番高く、築20年で価格をゼロと評価する金融機関が多いです。
場合によっては築10年で担保評価額をゼロとしてしまう銀行もあります。
戸建を評価する建築費も銀行によって異なりますが、金額は通常の建築費よりもかなり安く、保守的に見ています。
また内装のグレード等は意識されることなく、単純に銀行のルールで決めた建築単価に面積を乗じて価格が決まります。
住宅ローンの担保評価は極めて単純で、登記簿謄本に記載された情報のみで評価行われます。
建物の登記簿謄本は、以下のようになっています。
表題部(主である建物の表示) | |||
---|---|---|---|
所在 | ○○市○○一丁目 ○○番地〇 | ||
家屋番号 | ○○番〇 | ||
①種類 | ②構造 | ③床面積 ㎡ | 原因及びその日付 |
居宅 | 木造瓦葺2階建 | 150.12 | 平成〇年〇月〇日新築 |
登記簿謄本には構造が書かれています。
銀行によって木造ならいくら、鉄筋造ならいくらというように単価を決めています。
また築年数も分かりますので、築20年の中で、直線的に価格を下げるような評価をします。
建物評価は機械的に行われるため、デザイン性や内装、修繕状況等は、基本的に考慮されません。
そのため、戸建の担保評価額は、実際の市場価格よりかなり乖離していることが多いです。
銀行自身も時価と評価額の乖離の状況は十分理解しており、自分たちで評価している価格よりも2倍以上の金額もローンで貸し出すこともあります。
結局のところ、銀行も住宅ローンの貸し出しにあたっては、自ら評価している担保評価額をあまり重視していないということになります。
以上、ここまで戸建の担保評価について見てきました。
それでは次にマンションの担保評価について見ていきましょう。
マンションの担保評価
マンションの評価はもっといい加減です。
マンションは販売床単価で相場が決まっており、土地建物価格で分けて評価してもあまり意味がありません。
路線価を使ってもマンションの価格を出すことはできません。
マンションは銀行にとって見ると、適当な価格の指標がないため、戸建よりも評価のしにくい物件です。
そのため新築マンションであれば、新築マンションの販売額を100%そのまま担保評価額にしています。
そのため同じ新築でも、戸建よりもマンションの方が担保評価額は高くなります。
「人物」評価で信用力の低い人は、マンションの方が多くの融資額を受けやすい傾向にあります。
中古マンションの場合には、近隣類似のマンションの販売価格をもとに価格を評価します。
近隣類似のマンション価格が250千円/㎡程度であれば、80㎡のマンションの場合、一度時価を20,000千円と評価し、掛け目を70%としたら、14,000千円が担保評価額になります。
以上、ここまでマンションの評価について見てきました。
それでは次に担保評価の傾向について見ていきます。
担保評価の傾向
住宅ローンの担保評価は、かなり機械的で適当に行われます。
数も多いため、銀行の担当者がわざわざ現地を見に行くこともありません。
繰り返しますが、銀行にとってみると、担保評価には大した意味がないということです。
すごい新築の高級マンションを購入するとなり、担保評価額が満額の100%であったとしても、本人がフリーターで収入が不安定であれば、審査は通りません。
一方で、市場価格が5,000万円の中古の戸建住宅で、担保評価額がその50%である25,000千円であったとしても、本人が公務員や大企業に勤務しているような場合は、5,000万円の満額の融資を受けることができます。
住宅ローン審査においては、まずは「人物」評価ありきということになります。
ただし、人物も全くダメというわけではなく、これくらいなら融資をしても良いかなという場合は、担保評価額が参考になります。
このような場合、例えば物件価格が3,000万円で担保評価額が1,500万円であったとすると、融資額は1,500万円までであり、残り1,500万円を自己資金で用意して購入することになります。
新築マンションが一番評価は高い
担保評価額としては、例えば同じ3,000万円の中古物件だとしても、戸建よりもマンションの方が担保評価額は高くなる傾向にあります。
中古マンションは、ある程度事例に基づき、掛け目を加えて評価額を算出します。
一方で、戸建は事例とは関係なく、路線価等の機械的な数値を使って評価額を算出します。
路線価は時価の80%相当と言われていますが、都心部では土地代が高いめ、実際には時価の70%程度になっているケースが多いです。
そのため、時価から低い方にかけ離れた数値を使う戸建の担保評価は、マンションの担保評価よりも結果的に低くなる傾向にあります。
さらに、新築と中古を比べると、新築の方が高いです。
特に新築マンションでは、機体的に販売価格がそのまま担保評価額となるため、最も高い数値になります。
また、戸建もマンションも、土地の権利が借地権のようなイレギュラーなケースの場合、担保評価額が下がります。
借地物件は、いざ売却しても買手が表れにくいため、その分、担保評価額も下がることにあります。
以上、ここまで担保評価の傾向について見てきました。
それでは次に実は銀行はノーリスクについて見ていきましょう。
実は銀行はノーリスク
銀行が住宅ローンの審査に「人物」評価の方を重視するのは理由があります。
国内では、住宅ローンを借りて返済不能に陥る人の割合は0.4%と言われています。
一方で、中小企業が借りた融資を返済できなくなるような企業の割合は2%です。
住宅ローンは1,000人に4人の割合でしか返済不能になる人がおらず、なおかつ中小企業への融資と比べると、格段に安全であることが分かります。
住宅ローンは国民のほとんどの人が真面目に返しているということになります。
銀行にとって見ると、0.4%の確率のために担保評価額を意識するよりは、「この人は真面目に返してくれるか」という人物評価を中心に審査をした方が、効果的と言えます。
債権はすぐに売却している
さらに、住宅ローンが長期・固定金利である場合、銀行は住宅ローンを貸し付けた債権を住宅金融支援機構に売却することができます。
住宅金融支援機構とは、旧住宅金融公庫のことです。
かつてフラット35などの住宅ローンを提供していた公的金融機関です。
例えば、A銀行がBさんに住宅ローンの貸付を行います。
銀行は貸し付けた債権をすぐに住宅金融支援機構に売却することで利益を確定させることができます。
A銀行は引き続き取立業務を行うため、Bさんにとって見ると、債権者は引き続きA銀行のように見えます。
また登記簿謄本に記載されている抵当権についても、引き続きA銀行だけが債権者として名前が記載されています。
そのため、Bさんや他の第三者にとって見ると、債権者は引き続きA銀行に見えるのですが、A銀行は既に住宅金融支援機構へ住宅ローン債権を売却しているため、本当の債権者ではありません。
Bさんが住宅ローンを返せなくなるという貸し倒れリスクは、住宅金融支援機構に移っているため、A銀行は貸し倒れを気にする必要はないのです。
A銀行はBさんに住宅ローンを貸してすぐに住宅金融支援機構に債権を売り渡しているため、貸し倒れリスクを負わなくて済みます。
そのため、貸し倒れた時の回収可能額である担保評価に関しては、目くじらを立てる必要がないのです。
ただし、銀行がこのようにリスクヘッジできる住宅トーンは、長期固定金利の住宅ローンに限られます。
建物は、新築か中古かは問いません。
長期固定ローンでは担保評価の重要性が低くなる
最近は超低金利になったため、多くの方が長期固定の住宅ローンを選ぶようになりました。
そのため、銀行にとって見ると、ますます貸し倒れの心配がなくなるため、担保評価はどうでも良いレベルの存在になってきているのです。
実際、借入可能額は本人の年収で決まります。
担保評価額が借入可能額の上限ではありません。
借入可能額は年収の8倍まで可能です。
また返済期限を80までとして35年ローンを組むことができます。
理屈としては、年収1,000万円の45歳の人が35年ローンを組むことができます。
普通に考えれば、「そんなの返せるわけない」と思うかもしれませんが、ケチで頭の固い銀行がそれでも貸してくれます。
なぜそんな条件の住宅ローンでも貸してくれるのかと言うと、貸した瞬間に債権を住宅金融支援機構に売却することで利益を確定しているためです。
銀行にとって住宅ローンはノーリスクで儲けられる「貸したくて、貸したくて仕方のない商品」なのです。
以上、ここまで実は銀行はノーリスクについて見てきました。
それでは次に結局は競売で再評価について見ていきましょう。
銀行は担保評価には力を入れない
冒頭のグラフで示したように、住宅の価格は、下に凸の形で価格が下がります。
最初は新築で最も高く、その後は急激に下がりますが、価値の下がらない土地価格が残るため、後半はゆっくり価格が下がっています。
一方で、住宅ローンは元利均等返済で返済するため、上に凸の形で減少していきます。
元利均等返済とは、毎月、元本と金利の合計額が一定額になるような形でも返済を指します。
よって、中古住宅と価格減少と住宅ローンの元本減少の関係を表した図は以下のようになります。
この関係のグラフを見ると、融資実行の際に担保評価を頑張って行っても、結局のところ、いざ競売になっても銀行が満額回収できない可能性は高いです。
新築マンションでは、担保評価額が販売価格の100%であるため、多くの人がフルローンで借りることが可能です。
そのため途中で競売や任意売却で回収しなければならない事態になっても回収しきれないことの方が多くなります。
それでも銀行が担保評価を甘くしてでも貸す理由としては、
- そもそも住宅ローンの貸し倒れリスクは0.4%でとても低いこと
- 長期固定の住宅ローンであれば住宅金融支援機構に売却できるためノーリスクであること
の2つが理由になります。
競売になったときの対応
では、いざ競売になった場合はどうなるのかと言えば、競売になった時点で裁判所が物件を再評価して最低競売価格の決定を行います。
具体的には裁判所が不動産鑑定士に評価を依頼して価格を決定します。
銀行からしてみると、貸すときは誰がいつの時点で競売になるのか分かりません。
しかもその確率は0.4%と、とても低いです。
そのため、貸し出すときにたくさんの労力をかけて担保評価を行うことは、無駄な作業になります。
さらっと機械的に済ませてしまうのが、住宅ローンにおける担保評価のスタンスと言えます。
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まずはどれぐらい減るのかチェックしてみましょう。
まとめ
住宅ローンの担保評価額とは無関係な融資額の理由について徹底解説について見てきました。
住宅ローンの担保評価は銀行にとって、それほど重要ではありません。
そのため、借手にとってもそこまで重要ではないです。
重要なのは、本人の収入や勤務先、健康状態、勤続年数、雇用形態等になります。
住宅ローンを借りる際は、本人評価を高めてから借りるようにしましょう。