【不動産鑑定士が教える】消費税増税は不動産売却にどう影響が出る?

更新日:

2019年10月から、いよいよ消費税が10%となりました。

不動産売却において、増税はどのような影響をもたらすのでしょうか。

結論からすると、個人の売主にとっては、消費税増税はほぼ影響がありません。

むしろ個人売主は価格競争力が備わり、良い影響が出るくらいです。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 不動産売却と消費税増税って、どう関係があるの?
  • 不動産売却をする人のうち、消費税増税で影響が出るのはどんな人なの?
  • 不動産売却をする場合は、消費税増税前と後の、どちらが有利だったの?

そこでこの記事では、「不動産売却と増税」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、消費増税が不動産売却する人にどのような影響を与えるのかについて知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.消費税の基本的な仕組み

最初に消費税の基本的な仕組みについて解説します。

消費税は、普段我々が買い物の度に払っている大変身近な税金

年間にすると、相当な額を納めている感じがしますが、我々が買い物で払っている金額が、そのまま納税されているわけではありません。

消費者は、直接消費税を国に納めているのではなく、間接的に納めています。

消費税を国に直接納めている人は、課税事業者と呼ばれる商売をやっている人たちです。

課税事業者は、法人や個人事業主のような商売をやっている人たちです。

消費税の仕組み

個人事業主とは、例えば弁護士みたいな人が該当。

課税事業者は、商品やサービスを提供した際、買主から消費税を受領します。これを「預り消費税」と呼びます。

例えば、100円のものを売ったとき、2019年9月現在では消費税込みの108円で売却することになるため、預り消費税は8円です。

一方で、課税事業者は仕入などを行っているため、消費税を支払う立場でもあります。

課税事業者が支払いの際に払う消費税のことを「支払消費税」と呼びます。

例えば、50円のものを仕入れたとき、2019年9月現在では消費税込みの54円で購入することになるため、支払消費税は4円です。

課税事業者は、この預り消費税と支払消費税の差額を国へ納税します。

上記の8円の預り消費税と4円の支払消費税の場合、課税事業者が納税する金額は4円(=8円―4円)ということ。

消費者は、10%の消費税を納めていると思いがちですが、実際に納税されているのは、課税事業者の預り消費税と支払消費税の差額になります。

10%未満の金額が納められていますが、納税されている税金のパーセンテージは、商売の形態や企業によって異なります。

仕入が非常に少ない業態であれば、支払消費税が少ないため、10%に近い水準になります。

それに対して、売上のうちほとんどを仕入の額が閉めるような業態であれば、1~2%程度となっていることもあり得ます。

消費税の納税義務者は「課税事業者」

消費税に関しては、納税義務者は課税事業者であるという点がポイントです。

ここで、サラリーマンのような個人は、特に自分で商売を行っているわけではないので、課税事業者ではありません。

ただし、住宅の売却のように、個人でも売主になることはあります。

課税事業者ではない個人は、消費税の納税義務者ではないので、消費税を預かることはしないです。

預かったとしても納税をしないので、預かる必要がないということになります。

そのため、課税事業者ではない個人が不動産を売却した場合、消費税は非課税ということになります。

課税事業者ではない個人売主は、そもそも消費税を預からないので、増税前も増税後も関係ないということです。

つまり、個人売主の場合には、増税の影響はないということになります。

以上、ここまで消費税の基本的な仕組みについて見てきました。

では、不動産売却と消費税にはどのような関係があるのでしょうか。

そこで次に、不動産売却と消費税について解説いたします。

2.不動産売却と消費税の関係性

不動産売却と消費税の関係は、少し複雑です。

課税事業者が不動産を売却した場合、建物には消費税が発生しますが、土地には発生しません。

消費税は付加価値税と呼ばれ、付加価値のあるサービスや商品に対して発生します。

土地は消費税がかからない

土地は元々、自然にあるもので、人間が作り出したサービスや商品ではないことから、付加価値はなく、税金はかからないという考え方があるからです。

土地については、課税事業者が売主であったとしても消費税が発生しないということがポイント。

不動産の売主で、課税事業者とは、例えばディベロッパーや不動産会社が課税事業者に相当します。

新築マンションをマンションディベロッパーが分譲した場合、建物についてのみ消費税が発生しています。

また、中古住宅でも、不動産会社が一旦買い取り、転売するようなことがあります。

転売する際は、課税事業者である不動産会社が売主となるため、建物のみ消費税が生じます。

消費税の発生有無は「誰が売るのか」で決まる

一方で、課税事業者でない個人が不動産を売却した場合、消費税は発生しませんでした。

新築マンションは、購入時に消費税が発生していたとしても、課税事業者でない個人が中古マンションを売却する際は、消費税は発生しないことになります。

ただし、同じ中古マンションでも、売主が課税事業者である不動産会社となると、建物に消費税が発生することになります。

消費税の発生の有無は、「何を売るか」ではなく、「誰が売るか」がポイントとなります。

課税事業者が売れば建物に消費税が発生し、課税事業者でない個人が売れば建物に消費税が生じません。

不動産の消費税は少し複雑ですが、とりあえず課税事業者が売ったときのみ、建物だけに消費税が発生するということを理解しておきましょう。

以上、ここまで不動産売却と消費税について見てきました。

では、増税後に不動産売却して損をするのはどのような人でしょうか。

そこで次に、増税後に泣く人について解説いたします。

3.不動産売買で増税後に泣く人

消費税が10%になり、課税事業者は泣く人となります。

中でも、特に中古住宅を買取転売しているような不動産会社は厳しくなります。

中古住宅の買取転売では、売主が課税事業者である不動産会社なので、建物に消費税が発生しています。

しかしながら、中古住宅市場では、多くの売主が消費税とは関係のない「課税事業者ではない個人」です。

課税事業者ではない個人は、消費税を全く意識することなく値段設定をすることが可能。

例えば、土地価格2,000万円、建物価格1,000万円の物件があった場合、合計で3,000万円として売りに出すことができます。

一方で、課税事業者が売主で、土地価格2,000万円、建物価格1,000万円の物件を売ることを考えます。

このような物件を売る際、本来であれば建物価格は1,100万円と設定したいところです。

しかしながら、似たような物件を個人売主が3,000万円で売りに出しているのに、課税事業者が3,100万円で売りに出したら、価格競争力に負け、物件が売れなくなってしまいます。

そこで、現状ではどのようなことをしているかというと、建物価格1,000万円については、課税事業者が売る場合、税込で建物価格1,000万円という扱いにしているのです。

つまり、買取転売のような物件では、不動産会社が実質的に消費税の分だけ値下げして売っていることになります。

現状でも買取転売を行っている不動産会社は、消費税の分だけ泣いているということです。

消費税が増税され、不動産会社はさらに厳しくなります。

増税前は、8%の分だけ我慢すればよかったものの、増税した今は10%分を我慢して売らなければならないということ。

中古住宅の買取転売市場では、多くの売主が課税事業者ではない個人であるため、少数派の課税事業者だけが値上げするというわけにもいきません。

増税の影響を一番受けるのは、中古の買取転売を行っている不動産会社ということになります。

法人が不動産売却をするときの注意点は下記記事で詳しく解説しています。

法人が不動産売却をするときに気にすべき建物価格と消費税

この記事は法人で不動産の売却を担当している人向けに書いた記事となります。 個人は不動産の売却額に対して消費税は発生しませ ...

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新築物件は増税以降に値上がりする可能性大

それに対して、新築物件を販売している不動産会社は、消費税の増税分を価格に転嫁することが可能です。

理由としては、新築物件の売主は、ほぼ100%課税事業者だからです。

ライバルに課税事業者でない個人がいるわけではないので、全員が足並み揃えて増税することができます。

そのため、新築物件の価格は、おそらく増税した今、一斉に値上がりしていくでしょう。

以上、ここまで増税後に泣く人について見てきました。

では、逆に増税で影響がないのはどのような人でしょうか。

そこで次に、増税で影響のない人について解説いたします。

4.不動産売買で増税でも影響のない人

課税事業者でない個人は、増税で影響のない人になります。

むしろ、増税によって買取転売をする不動産会社よりも価格競争力が高くなるため、有利になるくらいです。

例えば、土地価格2,000万円、建物価格1,000万円の物件のような物件でも、課税事業者でない個人は、比較的自由に値下げすることができます。

ただし、課税事業者である不動産会社は値下げがさらに厳しくなります。

課税事業者である不動産会社は、消費税込みで建物価格1,000万円としているため、既に最初から値下げをしている状態です。

買主からさらに値下げを要求されてしまうと、厳しいのです。

課税事業者でない個人は、増税後も特に影響はないと考えて良いでしょう。

以上、ここまで増税で影響のない人について見てきました。

ただし、仲介手数料を考慮すれば、課税事業者でない個人の売主も増税前の方が有利です。

そこで次に、仲介手数料を考慮すれば個人でも増税前が有利ということについて解説いたします。

5.仲介手数料を考慮すれば個人でも増税前の方がお得だった

仲介手数料を考慮すれば課税事業者でない個人でも増税前が有利でした。

仲介手数料は、人間が生み出す仲介というサービスに対して支払う手数料です。

そのため、仲介手数料には消費税が発生します。

仲介手数料は、宅地建物取引業法によって、不動産会社が受領できる上限額が以下のように定められています。

取引額 (売買金額)速算式(上限額)
200万円以下5%
200万円超から400万円以下4%+2万円
400万円超3%+6万円

仲介手数料には、上記の速算式で求めた数字に対し、さらに手数料がかかります。

例えば、増税前と増税後に3,500万円の不動産を売却したときの仲介手数料は以下のようになります。

  • 仲介手数料 = 物件価格 × 3% + 6万円 (400万円超の場合) = 3,500万円 × 3% + 6万円 = 111万円
  • 増税前の仲介手数料 = 111万円 × 1.08 = 1,198,800円
  • 増税後の仲介手数料 = 111万円 × 1.1 = 1,221,000円
  • 差額 = 1,221,000円 - 1,198,800円 = 22,200円

仲介手数料は売却の中で生じる最大の費用です。その費用を少しでも圧縮するには、増税前の方が有利でした。

その他、不動産売却で消費税に対象になるものは下記記事で解説しています。

不動産を売却した時に消費税の対象となるものは?費用を抑える方法は?

不動産の世界は消費税がかかるものと、かからないものがあり複雑です。不動産の場合、一律に全て8%がかかるとは限りません。 ...

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6.まとめ

以上、ここまで、消費増税が不動産売却する人にどのような影響を与えるのかについて見てきました。

課税事業者でない個人は、基本的には増税後も影響はありません。

手数料に係る消費税増税が気になる人は、増税前に売却してしまった方が良いでしょう。

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一括査定の流れ

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筆者としては、その中でも大手・中堅~地域密着までの不動産会社をきちんと比較できるサービスに厳選。

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