2017年4月に改正?法人の不動産売却と法人税繰越欠損金の活用

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簿価の高い不動産を抱えていても、普段の会社経営にはあまり支障がないのが実態です。

また業績のいい会社であれば、遊休地にもあまり関心のないことは事実でしょう。

普段は意識しない不動産ですが、タイミングよく売却することにより、企業の財務体質を強くすることが可能です。 

売却のための良いタイミングとは、市場の動きだけでなく、税制の改正動向も見極めなければなりません。 

不動産を保有している法人の中には、

ひよこ生徒 困り
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リーマンショック前に買った簿価の高い土地が残っている
ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
借入金の元本返済がきつくキャッシュフローを改善したい
ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
近隣の反対によって事業化できなかった土地が残っている

等々の悩みを抱えている会社も多いことでしょう。

そこで今回の記事では、2017年4月以後に変わる「法人税繰越欠損金」の税制動向を踏まえ、不動産売却とキャッシュフロー改善についてお伝えします。

この記事を読めば、御社は不動産売却のタイミングを理解し、法人税繰越欠損金を活用してキャッシュフローを改善することができるぞ
フクロウ先生
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1.簿価と売却額の関係

1-1.貸借対照表

法人が不動産を売却する際、まず確認すべきことは、不動産の「簿価」になります。

簿価は決算書の中にある貸借対照表に記載されています。

土地や建物の簿価は、貸借対照表の資産の部のうち、有形固定資産の中に簿価が記載されています。

複数の不動産を所有している場合は、合算した数字がここに記載されています。

個別の簿価を知りたい場合は、同じ決算書の中にある勘定科目内訳書か固定資産台帳で確認してください。

貸借対照表のサンプル

資産の部

負債の部

科目

金額

科目

金額

【流動資産】

 

【固定資産】

(有形固定資産)

建 物

土 地

 

 

 

 

**,***,***

**,***,***

【流動負債】

 

【固定負債】

 

 

 

純資産の部

  

資産の部合計

 

負債および純資産の部合計

 

1-2.損益計算書

有形固定資産を売却した場合、簿価と売却価格の差が、損益計算書に反映されます。

簿価よりも不動産が高く売却できれば「特別利益」となり、簿価よりも低い売却となれば「特別損失」となります。

(売却額が簿価よりも高い場合) 特別利益 = 売却額 - 簿価 > 0

(売却額が簿価よりも低い場合) 特別損失 = 売却額 - 簿価 < 0

売却した期の損益計算書は以下のようになります。

損益計算書のサンプル

科目

金額

【売上】

【売上原価】

売上総利益

【販売費および一般管理費】

営業利益

【営業外収益】

【営業外費用】

経常利益

【特別利益】

【特別損失】

税引前当期純利益

法人税、住民税及び事業税

当期純利益

 

 

 

 

 

 

 

 

**,***,***

**,***,***

 

***,***

 

1-3.大きな特損で損失を出す

法人が不動産を売却したときに発生する税金は、法人税のみです。

法人税は、基本的には「経常利益+特別利益(または▲特別損失)」で計算された税引前当期純利益に対して生じます。(会計上の利益と法人税法上の所得金額は異なる場合もあります。)

この際、不動産を購入した時期が、たまたま土地の高騰期だった場合、土地簿価が高いままの状態で資産計上されています。

簿価が市場価格よりも高い場合、大きな特別損失が発生し、経常利益がプラスでも税引前当期純利益がマイナスとなることがあるぞ
フクロウ先生
フクロウ先生

以上、ここまで簿価と売却額の関係について見てきました。

それでは次に気になる法人税繰越欠損金について見ていきましょう。

2.法人税繰越欠損金が延長する(2017年4月以降)

2-1.改正点は繰越期間が9年→10年へ

現在も法人税の繰越欠損金制度がありますが、2017年4月以後開始する事業年度より、損金の繰越期間が9年から10年に延長されることになりました。

今後は繰越欠損金の繰越期間は、欠損金が発生した翌事業年度以降、10年間となります。

資本金1億円以下で大法人による支配のない会社は、損金を100%繰越すことが可能

例えば、2017年4月以後の事業年度で、不動産を売却することにより大きな特別損失を発生し、最終利益がマイナス50,000千円だったとします。

翌期以降、税引前当期純利益が5,000千円だったとしても、昨年の▲50,000千円を繰越すことができ、法人の課税所得金額が▲45,000千円となります。

そのため法人税は法人住民税のみの支払で良くなり、利益が出ているのに翌期から節税が可能になります。

2-2.繰越欠損金の効果

具体的に以下の条件で繰越欠損金の効果を見ていきましょう。

説明を分かりやすくするために、具体例を用いて説明します。

前提条件

  • 経常利益が毎年5,000千円の中小企業。(資本金10,000千円、従業員10名)
  • 法人税率は25%。毎年1,250千円の法人税が発生。
  • 借入金の元本返済額は毎年3,000千円。

繰越欠損金のない状態

項目当期1期目2期目3期目4期目5期目6期目7期目8期目9期目10期目10年間累計現金
税引前利益5,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,000 
法人税(25%) ▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250▲ 1,250 
税引後当期純利益 3,7503,7503,7503,7503,7503,7503,7503,7503,7503,750 
借入金返済 ▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000 
キャッシュフロー 7507507507507507507507507507506,750

繰越欠損金のない場合だと、翌期の10年間で貯めることのできる現金は上記の例だと6,750千円となります。

一方で、繰越欠損金のある場合と考えます。

追加条件

  • 当期の税引前利益が▲50,000千円とする。

繰越欠損金のある状態

項目当期1期目2期目3期目4期目5期目6期目7期目8期目9期目10期目10年間累計現金
税引前利益▲ 50,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,0005,000 
課税所得金額▲ 50,000▲ 45,000▲ 40,000▲ 35,000▲ 30,000▲ 25,000▲ 20,000▲ 15,000▲ 10,000▲ 5,0000 
法人住民税等 ▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70▲ 70 
税引後当期純利益 4,9304,9304,9304,9304,9304,9304,9304,9304,9304,930 
借入金返済 ▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000▲ 3,000 
キャッシュフロー 1,9301,9301,9301,9301,9301,9301,9301,9301,9301,93017,370

上記のような繰越欠損金のある場合、法人税の節税が図れるため、借入金返済後のキャッシュフローが良くなります。

上の例だと、10年間で貯めることのできる現金が6,750千円から17,370千円へと上昇します。

また不動産の売却によって手元に売却金額が入っているため、売却代金を考慮すると、さらにそれ以上の金額のキャッシュを蓄積することができます。

2-3.キャッシュフローの改善ポイント

簿価の高い不動産をあえて売却して、大きな特別損を出し、法人税を節税することで資金繰りを楽にすることが可能

実際の経営では、損益計算書の利益よりも、手残りキャッシュを増やすことの方が大切です。

繰越欠損金は、利益を足しているのに法人税を節税できるため、10年間に渡りキャッシュフローを改善することができるのです。

以上、ここまで繰越欠損金の効果について見てきました。

それではいよいよ不動産売却に向けたステップについて見ていきましょう。

3.売却に向けたステップ

3-1.時価の把握

売却を行うにあたっては、「どの資産を売却するか」を決定する必要があります。

そのためには、まず時価の把握が第一歩です。

「時価と簿価の差額」を把握したのちに、「必要性の低い資産」を優先的にピックアップして売却する物件を決めていきます。

3-2.一括査定サイトも使える

法人が所有する事業用資産の中には、工場や倉庫、店舗、事務所、土地といったものが含まれます。

時価を知りたい場合、無料の一括査定サイトを使うのが便利です。

今は事業用不動産であっても、時価を知りたいだけであれば、わざわざ不動産鑑定士による有料の調査書を取る必要はありません。

無料で、しかも全国の不動産の査定が可能

ただし、一括査定サイトはマンションや戸建住宅などの個人向け資産の査定をするサイトが多く、法人が利用できる査定サイトは限られています。

そこで法人でも使える一括査定サイトを紹介します。

以下のサイトであれば、無料で査定することが可能です。

サイト名

査定可能なもの

イエイ

ビル一棟、店舗、事務所、工場、倉庫、土地

スマイスター

ビル一棟、区分所有ビル、店舗、工場、倉庫、土地

オウチーノ

店舗付き住宅、工場、倉庫、店舗、事務所、ビル一棟、区分所有ビル、市街化調整区域の土地または建物、土地

イエウール

ビル一棟、区分所有ビル、店舗、工場、倉庫、土地

一括査定サイトについては、「それぞれの特徴をまとめた種類別不動産一括査定サイトランキングについて」でも詳しく紹介しています。ぜひ、ご参照ください。

4.まとめ

以上、「あえて今売る!法人の不動産売却と法人税繰越欠損金の活用」について見てきました。

繰越欠損金により、不動産の含み損をひた隠しにするのではなく、あえて売却して損を出すことにより、会社の財務体質を強くすることが可能になってきました。

税制は中小企業に売却損を出しやすくする方向に変わってきていますので、所有している不動産の売却を検討してみるのが良いでしょう。

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