一戸建てを売却して利益が出た場合、税金が発生します。
しかし、「一戸建てを売る経験」など頻繁にあるわけではない上に、仕組みも複雑で「全部でいくらかかるのか?」「確定申告が必要?何をすればいいのか?」「節税する方法は無いの?」と不安に思う人も多いでしょう。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 一戸建ての売却ではどんな税金がかかるの?
- 節税対策のコツはあるの?
そこで今回は、一戸建て売却でかかる税金の種類や計算方法、節税対策について紹介していきます。
この記事を読めば、一戸建ての売却時に必要な税金の全体概要を理解できます。
1.一戸建て売却時に発生する5つの税金
一戸建て売却時に発生する税金は、大きく分けて下記の5種類です。
不動産売却をして掛かる税金
- 印紙税:売買契約時に支払う収入印紙代
- 登録免許税:不動産登記の名義変更にかかる
- 消費税:仲介手数料などに消費税がかかる
- 所得税(復興特別所得税含む):不動産を売却して出た利益に対して支払う
- 住民税:不動産を売却して出た利益に対して支払う
上記5種類の税金のうち、「1.印紙税」「2.登録免許税」「3.消費税」に関しては、売買契約時に支払われます。
基本的に、不動産会社と一緒に契約を進めていくうちに支払いが発生するので、特に売却後に何か発生することはありません。
しかし、「4.所得税」と「5.住民税」に関しては、売却した翌年の3月15日までに確定申告を行い、税金を納めることになります。
売却に関する税金まわりで、しっかりと理解しておくべき重要な事項はこの「所得税」と「住民税」についてになります。

不動産売却時の税金
売買締結前に支払う3つの税金:印紙税、消費税、登録免許税
印紙税
印紙税は売買価格に応じて国に定められており、この額の支払い義務から逃れることはできません。
売買価格が大きければ大きいほど、その金額は上がります。
令和4年3月31日までに作成される売買契約書に関しては軽減措置が行われており、1,000万円を超え5,000万円までの売買で1万円。5,000万円を超え1億円までなら印紙税は3万円です。
消費税
不動産売却時に掛かってくる消費税は、仲介手数料や司法書士に支払う費用です。
課税事業者が取引する場合、建物売買代金に対しても消費税が発生しますが、サラリーマン等の課税事業者以外の方の場合は建物売買代金に対する消費税は発生しません。
詳しくは、下記の記事で詳しく解説しております。
-
不動産を売却した時に消費税の対象となるものは?費用を抑える方法は?
不動産の世界は消費税がかかるものと、かからないものがあり複雑です。 不動産の場合、一律に全て10%がかかるとは限りません ...
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登録免許税
売却する不動産に住宅ローンが残っており、抵当権が付いている場合は、抵当権抹消費用として登録免許税がかかります。
掛かる費用は下記の通り。
登録免許税=売却不動産の数×1,000円
注意するところとしては、売却不動産の数という点。
一戸建ての場合、建物と土地の2つで、2×1,000円=2,000円という計算になります。
売却後に計算が必要な税金:所得税(復興特別所得税)、住民税
所得税と住民税に関しては、不動産を売却して、利益が出た時だけ発生します。
その税額については下記計算式で検索ができます。
税額(所得税+住民税)=課税譲渡所得金額×税率
不動産売却で得た所得を「譲渡所得」と呼びます。
税率は決まっているため、課税譲渡所得が計算できれば、税額(所得税+住民税)が分かります。
課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除
それぞれの項目や税率など、細かい計算方法に関しては、下記の記事で解説しております。
-
不動産売却でかかる「住民税」と「所得税」を具体例を用いて解説
不動産を売却すると、場合によっては住民税や所得税が発生するケースもあります。 こんな悩みをスッキリ解消! 不動産売却の所 ...
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2.一戸建てを売却したときの特別控除:3,000万円特別控除
「マイホームを売却して利益が発生すると税金がかかる」とお伝えしましたが、マイホームを売却した際、税金の控除が受けられる仕組みがあります。
これを知っていると、マイホーム売却のハードルが大分下がるのではないでしょうか。どのような控除か、早速見ていきましょう。
それが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。
前章で紹介した、下記の計算式の「特別控除」の箇所が該当します。
課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除(3,000万円)
3,000万円を課税譲渡所得から控除する施策となっています。
ざっくりとまとめると、売却での利益が3,000万円未満までであれば、所得税が発生しなくなるということです。
とても大きな金額の控除制度なので、ぜひ覚えておきましょう。
適用要件やその他詳細に関しては、下記の記事で詳しく解説しております。
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3,000万円特別控除とは?相続空き家の売却は適用される?適用要件と必要書類
個人の方が不動産を売却しやすくするため、国は様々な税政策を実施しています。 個人がマイホームを売却や買換えした時によく使 ...
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3.買い換えの場合の特別控除
買い替えで譲渡益が発生した場合の特別控除として、「3,000万円特別控除」の他にも「特定のマイホームの買換え特例」という制度があります。
買換え特例を適用するにあたっては、まず、「3,000万円特別控除」の適用によって売却益が3,000万円以下に収まるかどうかを確認することが先決となります。
仮に、買換えの売却部分で、譲渡益が3,000万円以下であれば、そもそも所得税を支払う必要がありません。
買換え特例を検討する必要がありません。
適用要件やその他詳細に関しては、下記の記事で詳しく解説しております。
-
特定のマイホームを買い換えたときの特例とは?税金控除額と適用要件・計算例
不動産は「売って」も、「買って」も、「持っていて」も税金のかかる資産です。 不動産を買換える場合は、「売って買う」という ...
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4.相続した家を売却する場合の税金と特別控除
次は、相続した家を売却した場合の税金と特別控除について解説していきます。
相続した不動産の譲渡益の計算方法
相続した不動産を売却すると、当然利益が出ます。
不動産取得時の価格と売却時の価格の差から得られる「譲渡益譲渡益」の計算方法を見てみましょう。
譲渡所得(譲渡益)=譲渡収入金額(売った金額)-取得費(買った金額)-譲渡費用(売却にかかった費用)
相続時によく聞かれるのが「取得費」です。
結論から言うと
- 取得費=亡くなった人が購入した価格
です。
なお、業務に使われていない土地建物を相続によって手に入れた際に、相続人が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれます。
年数が経っていたりして取得費が不明の場合、売却価格×5%相当額を取得費として計算します。
税率の表を下記に掲載します。不動産の所有期間が5年を超えると約20.315%、5年以下では約39.63%となります。
譲渡所得 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% (復興特別所得税を含めると15.315%) | 5% |
短期譲渡所得 | 30% (復興特別所得税を含めると30.63%) | 9% |
※令和19年までは、復興特別所得税2.1%分が加算されます
相続した不動産の特別控除とは
両親などが住んでいた家を、相続してから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すれば、譲渡所得から3,000万円をさしひくことができます。
これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除制度の特例」といいます。
この特例は、H28.4.1~R1.12.31までの売却に限られます。
控除を受けられる詳しい要件に関しては、こちらのページの「5.相続した不動産売却の税金と特別控除」を御覧ください。
5.家を解体して売却する場合の固定資産税と注意点
家を解体して売却する場合は、解体のタイミングが非常に重要になります。
それは一体なぜなのでしょうか?
「固定資産税」を考えると、12月31日までに解体すべし
どんなに古くなって誰も住んでいなかったとしても、所有物として「家」がある限り「固定資産税」が発生します。
家を取り壊して売却する場合、1月1日よりも前に取り壊しておくことが重要です。
理由は、固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対し課税されるため、1月1日時点に建物が残っていると、途中で建物を取り壊したとしても1年分の固定資産税が課税されてしまうから。
例えば、2月頃に解体してしまうと、建物が存在しないのにも関わらず、11ヶ月間分の固定資産税を余計に払うことになります。
解体のタイミング次第では、とても無駄な固定資産税が発生してしまいますので、12月31日までに取り壊しておくことが重要です。
ギリギリになりそうな時は役所に相談する
12月31日までに解体が間に合わない可能性がある場合、事前に市区町村の固定資産税課に相談に行くようにして下さい。
12月中旬に解体に着手したとしても、例えば1月1日時点で屋根と壁が壊れているような場合は、次の年の固定資産税は免除してくれる場合もあります。
あらかじめ役所と協議し、最低限の部分を取り壊しておくと、固定資産税の免除がスムーズです。
尚、建物の固定資産税は、毎年1月1日時点で航空写真を取ることで、建物の有無を確認し、課税の判断をしていると言われています。
そのため、建物を取り壊した後の滅失登記までは必要ありませんが、ギリギリのタイミングの場合は、念のため役所に取り壊したことを伝えておくことをオススメします。
6.売却検討の方なら、まずは査定から
まず、不動産の売却は、不動産会社に査定してもらうところからスタートします。
しかし、あくまで査定額は不動産会社がいくらで売れそうなのか判断した価格です。
不動産会社ごとに、実績や算出方法が異なるので、不動産会社によって査定額がバラバラになってしまうことが一般的です。
さらに、物件のエリアや物件種別などで各不動産会社、得意・不得意とする領域が存在しています。
その為、不動産査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することがとても大切です。

自分の物件が得意な不動産会社に頼むことが重要なポイント
ただ、自分の物件が得意そうな不動産会社を探すのは、素人にはなかなか難しいのが現実です。
複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのはとても大変です。
そんな時に不動産一括査定サイトの活用を強くオススメします。
不動産一括査定とは、売却を検討している不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社から不動産の売却価格の査定を出してもらうことができるサービスのこと
便利な不動産一括査定サイトですが、筆者が知っているだけでも30はあります。
多くのサイトが乱立し、どのサイトを使えば良いか素人には分かりづらくなってしまっています。
実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つをオススメします。
一括査定サイトのオススメ3選
- 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
」
- NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
」
- 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール
」
※番外:一括査定と合わせて使うことで効果を発揮する「 SRE不動産(※旧ソニー不動産) 」
実績や信頼性はもちろんですが、上記3サイトは、机上査定での査定依頼が出来る点も大きなポイントになります。
机上査定とは、依頼時に入力した物件の基本情報を基に算出する査定方法で、不動産会社の担当者に物件を見てもらう必要もなく、家に居ながら気軽に査定額を知ることが可能です。
依頼時にメールで査定額を提示して欲しい旨を備考欄で伝えておけば、査定結果や担当者とのやり取りはメールで進むので、営業電話にも悩まずにやり取りすることも可能です。
オススメサイトの併用が鉄則
一括査定サイトごとに提携会社の性質は異なります。
都心に強い大手不動産会社に絞って提携している一括査定サイトもあれば、マンション売却に特化した不動産会社に絞って提携している一括査定サイトもあります。
自分にピッタリの不動産会社を見つける為には、複数の一括査定サイトの併用がオススメです。
サイト選びのポイントとしては、下記のような使い分けがいいでしょう。
所在地別地域毎のおすすめ
対象の物件種別
おすすめポイント
物件所在地に応じたおすすめの使い方
提携会社数・特徴
サイト名 | 提携会社数 | 特徴 | 公式サイト |
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まとめ
一戸建てを売却した時にかかる税金について見てきました。
複雑な仕組みとなっており、なかなか素人では難しいのが現実です。
お得な特例も沢山あるので、面倒くさいと思わず、しっかりと確認しながら進めていきましょう。