家を購入しようとすると、4,000万円という壁があります。
不動産経済研究所の首都圏・近畿圏マンションの市場予測によると、2022年1月~11月の新築マンションの平均価格は、首都圏:6,465万円、関西圏:4,760万円です。
頭金1,000~2,000万円以上を用意したとしても、4,000万円は住宅ローンを組む必要があります。
- 4,000万円の住宅ローンを組むには年収がいくらあればいいのだろう
- 年収の何倍まで借りるのが適正なのだろうか
- 4,000万円を借りるのに年収以外の基準はあるのだろうか
- 今の自分の年収で家のローンを35年で完済できるのだろうか
結論からすると、4,000万円の住宅ローンを組むには、666万円~800万円の年収が適正範囲になります。
しかし、「借りれる金額=適正」ではなく、住宅ローンを借りすぎると返済に苦しむケースもあります。
そこで今回の記事では4,000万円の住宅ローンを組むための「年収」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことであなたは4,000万円の住宅ローンを組むにはどの程度の年収が適正なのか理解できるようになります。
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銀行が貸してくれる金額≠無理なく返せる金額
4,000万円の住宅ローンの適正年収は666万円~800万円
冒頭の結論で、4,000万円の住宅ローンを借りる適正年収は666万円~800万円と述べました。
住宅ローンの基準はさまざまありますが、年収の5~6倍程度が借入額の目安とされている数字から算出したのが上記の適正年収です。
ただし、銀行の審査基準としては年収の8倍までを基準として有しており、実際には年収500万円あれば4,000万円まで借りることは可能です。
適正な住宅ローンの年収倍率は年収の5~6倍ですが、銀行は8倍程度まで融資をしてくれます。
無理なく返せる金額と、銀行が貸してくれる金額は異なるということがポイントです。
「8倍基準」が存在する理由
では、なぜ銀行は適正な年収倍率を超えてでも貸してくれるのかというと、それには理由がります。
銀行は、住宅ローンのうち、長期固定金利のローンに関しては、住宅金融支援機構へ債権を売却できる仕組みを持っています。
住宅金融支援機構では、民間の銀行が貸し出した住宅ローンを証券化し、それを銀行から買い取るという仕事をしています。
銀行は住宅金融支援機構から回収業務だけを請け負います。
銀行は固定金利の住宅ローンを貸したらすぐに、住宅金融支援機構へ債権を売却します。
銀行は債権を売却した時点で利益が確定し、債務者(お金を借りる人)が返済できなくなっても損失を受けることはありません。
つまり、固定金利の住宅ローンについては、銀行としてはいくら貸出を行っても痛くもかゆくもないのです。
最近は固定金利と変動金利を半々で組み合わせる人が多い
家を購入する時に、住宅ローンを組むと金利に応じた利息が発生します。
金利は次の3つのパターンがあり、それぞれで特徴が異なりますので、詳しく見ていきましょう。
利息 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
完全固定金利型 | ・金利相場が上がっても利息は最初に決めたときから変化しない ・返済額が正確に分かる |
・金利相場が下がると相場よりも多く支払いが必要になる ・金利水準が高い |
変動金利型 | ・金利相場が下がると返済額も減る ・金利上昇は従来の返済額の1.25倍までという制限つき ・金利水準が低い |
・金利変動で返済額が上がるリスク |
固定期間選択型 | ・一定期間固定金利で返済を行う ・一定期間後に固定金利か変動金利かを選び直せる |
・再設定の際の利息タイプの選び方が重要 |
住宅ローンを借りる人でも、全額を「変動金利型」で借りる人は少ないです。
固定と変動を半々にする等、組み合わせて住宅ローンを組む方が殆どです。
最近は超低金利であるため、「完全固定金利型」「固定期間選択型」で借りる方も少なくありません。
そのため銀行としては、住宅ローンを貸すリスクは非常に少なく、適正返済額を超えて貸しても構わないのです。
銀行が貸し出しをし過ぎて、返済できなくなった場合、そのリスクを負うのは住宅支援機構が証券化した証券を購入した投資家になります。
銀行自体は、住宅ローンの貸し出しリスクはほとんど取っていません。
そのため、銀行は適正借入額を上回る年収の8倍まで貸してくれるのです。
では次に年収500万円の人が年収の8倍である4,000万円を借りたらどうなるのかについて見ていきます。
年収500万円の人が4,000万円(年収の8倍)を借りるとどうなる?
決して贅沢な買い物ではない
2022年の首都圏における新築マンションの平均価格は約6,000万円です。
首都圏の平均価格であるため、6,000万円のマンションは決して贅沢な買い物ではありません。
近年は若年世帯よりも高齢者世帯の方が資産を有している傾向にあることから、住宅を購入する際、親から子供への住宅取得資金を支援するケースが増えてきました。
親からの支援は、片側の親から500万円ずつ支援するようなケースが多いです。
夫婦各両親から1,000万円づつの支援があれば、自己資金は2,000万円となるため、4,000万円の住宅ローンを組めば、なんとか「平均」のマンションを購入することができます。
6,000万円は平均的な価格であるため、贅沢な家を購入している訳ではありません。
あくまで平均的な物件を購入するだけでも、親からは2,000万円を調達し、銀行からは4,000万円を借入しないと、購入できないのです。
そのため、現実的に普通の物件を購入するのでも、住宅ローンを4,000万円は借りたいところです。
そこで、4,000万円を借りると毎月の返済額はどうなるかを見てみます。
4,000万円を借りた場合の金利
35年の住宅ローンの中で、最安値帯の金利は約1.1%前後です。
4,000万円を1.090%で35年の住宅ローンで組むと、毎月の返済額は114,599円になります。
年間返済額は1,375,188円です。
ここで、年間返済額を年収で割った数字を返済比率と言います。
適正な返済比率は20%程度です。
以下に、4,000万円の借入をした場合、年収倍率を5.0倍から8.0倍までスライドさせた場合の返済比率の数値を以下に示します。
倍率 | 年収 | 年間返済額 | 返済比率 |
---|---|---|---|
5.0倍 | 8,000,000円 | 1,375,188円 | 17% |
6.0倍 | 6,666,667円 | 1,375,188円 | 21% |
7.0倍 | 5,714,286円 | 1,375,188円 | 24% |
8.0倍 | 5,000,000円 | 1,375,188円 | 28% |
上表を見ると、年収が6,666,667円(年収倍率6倍)の人であれば、返済比率が21%であるため、おおむね適正の範囲内であることが分かります。
適正な返済比率は高くても25%です。年収5,714,286円(年収倍率7倍)の人であれば、苦しいですが、一応、返済比率が25%を下回っています。
一方で、年収5,000,000円だと、返済比率は25%を超えてしまいます。これは危険水域です。
ちなみに銀行は返済比率が30%でも貸してくれます。
実際、年収5,000,000円の人が、毎月114,599円の住宅ローンを返済していくのは、かなりキツイと思われます。
年収の8倍で住宅ローンを借りてしまうと、返済比率の面からしても、高いと言わざるを得ません。
返済比率の観点からしても、4000万円を借りる場合は、返済比率が6.0倍の666万円程度の年収が必要となります。
以上、ここまで8倍で借りるとどうなるかについて見てきました。
次に、住宅ローンを無理なく完済するための5つのコツについてお伝えします。
無理なくローン完済するための5つのコツ
厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、令和2年における都道府県別の平均年収は、1位が東京都で373万6000円になっています。2位が大阪府の320万4000円です。
全国トップの東京都の平均年収ですら、住宅ローン4,000万円の適正年収である666万円を大きく下回っています。
ましてや、20代後半や30代前半の若い夫婦では、平均年収に届いていない人が殆どのため、4,000万円の借入はもっとできないということになります。
一方で、65歳定年を考えると、35年ローンを組む場合、30歳で住宅ローンを組むことがベストになります。
では、30歳の若い夫婦が贅沢をせず、物件を購入するにはどのようにしたら良いでしょうか。
そこで、住宅ローンを無理なく完済するためのコツは以下の5つ紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
住宅ローンを無理なく完済するための5つのコツ
- 頭金の支払い金額を増やす
- 繰り上げ返済する
- 金利の安い銀行で住宅ローンを組む
- 住宅ローン控除を活用する
- 夫婦で合算して住宅ローンを組む
コツ1.頭金の支払い金額を増やす
ローンの支払総額や月々の負担額を減らして無理なく返済するために、頭金の支払い額を増やしましょう。
頭金の有無によって、月々の負担額や支払総額は次のように変化します。
項目 | 頭金の金額 | 借入額 | 毎月の返済額 | 総支払額(頭金含む) |
---|---|---|---|---|
頭金なし | 0円 | 4,000万円 | 12万523円 | 約5,062万円 |
頭金1割 | 400万円 | 3,600万円 | 10万8,471円 | 約4,956万円 |
頭金2割 | 800万円 | 3,200万円 | 96,419円 | 約4,850万円 |
頭金3割 | 1,200万円 | 2,800万円 | 84,366円 | 約3,540万円 |
※35年ローンで金利1.4%で計算した場合
住宅ローンの頭金を1割増やすと、総支払額は100万円程度減ります。頭金が多くなるほど、より少ない負担で住宅ローンを借りることができます。
頭金が足りない場合、親からの資金援助をお願いするケースもありますので、一度ご両親に相談してみましょう。
コツ2.繰り上げ返済する
選択した金利プランによって異なりますが、基本的に住宅ローンの支払い額は毎月固定です。
しかし、お金に余裕がある場合は、繰り上げ返済で返済額を通常よりも多く支払うことができます。
繰り上げ返済をすることで、返済期間を短縮できるため、毎月の支払い利息額も少なくなります。
余裕がある場合に繰り上げ返済をすると、総支払額が小さくなり、かつ支払い期間も短縮できるので、完済しやすくなります。
コツ3.金利の安い銀行で住宅ローンを組む
少しでも利息の負担額を小さくしたいなら、金利の低い銀行で住宅ローンを組むことがオススメです。
金利はその時々で変動しますが、条件は銀行によってその時々で変わるため、常に最新の情報を得るのは苦労します。
そこでオススメなサービスが「モゲチェック」です。
住宅ローンを1社1社探していては非常に面倒です。
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コツ4.住宅ローン控除を活用する
一般の住宅の場合、新築なら10年間で最大400万円、個人から購入する中古なら最大200万円の税金が戻ってきます。
サラリーマンにとって最大の節税対策となりますので、要件を十分に確認した上で、活用するようにしましょう。
その他細かい条件もあるため詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
コツ5.夫婦で合算して住宅ローンを組む
夫婦で合算して住宅ローンを組むことで、住宅ローンを早く完済することができます。
例えば、東京都の30歳男性の平均年収は528万3827円です。
また30歳女性の平均年収は432万8235円です。合算すると世帯収入は961万2062円になります。
世帯収入が961万2062円であれば、4,000万円の住宅ローンは無理なく借りることができます。
夫の単独収入では住宅ローンが組めない場合は、夫婦合算の世帯収入で住宅ローンを組むことで無理なく完済しやすくなります。
次に世帯年収を前提とした場合の注意点について見ていきましょう。
世帯年収を前提とした場合の2つの注意点
注意点1.意外と早い離婚の現実
世帯年収を前提とした連帯保証や共有の方法でも落とし穴があります。
それは離婚をした場合です。
住宅ローンを組む際は、あまり離婚のことまで考えたくないですが、実は離婚の現実は割と早く訪れます。
国内では結婚後5年未満で離婚をする人は、全体の3割近くいると言われています。(※出典:厚生労働省「人口動態総覧」より)
しかも30~34歳の女性が最多です。
5年未満の離婚となると、住宅ローンがほとんど返済されていない状況です。
連帯保証や共有を解消するには、不動産の売却が基本になります。
運良くマンションが値上がりして住宅ローン残債以上で売却できれば問題ありません。
ただ、売却額が住宅ローンを下回っている場合(オーバーローンの状態)だと、売却後の残債を自己資金で返済しなければなりません。
注意点2.住宅ローンを払えなくなると問題になる
オーバーローン状態の売却は、踏み切れない人も多いため、離婚後も連帯保証や共有状態を引きずったまま不動産を所有し続けることになります。
連帯保証人は、離婚後に夫が自己破産してしまうと連帯保証人に返済義務が回ってきます。
また共有では共有者の同意がないとずっと売却できない状態になります。
いずれにしても、離婚後、元パートナーが住宅ローンを払えなくなった場合は、自分も巻き込まれる可能性があります。
連帯保証人や共有は離婚の際に問題となることを知っておきましょう。
失敗しない注文住宅選びは、多くのカタログ&間取りプランを見て学ぶ
注文住宅は設計次第で1,000万円で建てることもできれば、1億円で建てることもできます。
素人のあなたがあれやこれや考えても、想像が出来ないでしょう。
また、住宅メーカーにより外観の違いや得意・不得意もありますので、まずは多くの住宅メーカーからカタログを取り寄せるのがベストです。
1つ1つハウスメーカーに自分の予算やイメージを伝えるのは大変面倒。
ただし、家は何度も買えるものではなく、人生で一発勝負なので、それぐらい時間を掛けるべき・・・
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まとめ
4,000万円の住宅ローンを組むには年収はいくらであれば良いのかを解説してきました。
4,000万円を借りる場合には、世帯収入等で666万円程度は必要です。
8倍基準で借り過ぎないよう注意してください。