住宅ローンを借りる前に、知っておかなければならないことがあります。
それは、あなたが「借りられる額」とあなたが「返せる額」は違うという点です。
住宅ローンには審査があるため、審査に通るとあなたは認められたような気分になり、自分の返済能力を過信します。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 住宅ローンを借りるうえでの適切な返済比率が知りたい
- 返済負担率はどの程度に抑えておけば良いのか知りたい
- 銀行が貸してくれるお金を満額借りてしまって良いのか知りたい
結論からすると、銀行の融資額を目いっぱい借りてしまうと、今後の生活は苦しくなります。
借入可能額と適正借入額は異なります。
そこで今回の記事では、住宅ローンの適切な「返済比率(返済負担率)」についてお伝えします。
この記事を読むことで、あなたは適切な返済比率がどれくらいかを理解し、どの程度の金額を借りればよいのか分かるようになります。
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【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
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1.住宅ローンの返済比率とは
定義は額面年収に対する割合
返済比率とは、額面年収に対する住宅ローンの年間返済額の占める割合
別名、返済負担率とも言われます。返済比率を式で表すと以下のようになります。
返済比率=年間返済額÷額面年収
返済負担率は、一般的に20~25%以内に収めておくことが無理のない水準と言われています。
理想としては20%以内に抑えるのが良いです。
例えば、額面年収800万円の人が、20%の返済比率とすると、年間返済額は160万円(=800万円×20%)となります。
月額換算すると13.3万円程度。返済負担率の分母は額面年収です。
額面年収と手取りの差は、扶養家族や保険等によってことなりますが、ざっくり言うと額面から20~25%くらい減額した数字が手取りとなるイメージです。
そのため、額面年収が800万円の人であれば、実際の手取りが600万円くらいになる場合があります。
年間返済額を160万円に抑えたとしても、手取りに対しては約26.7%の負担比率になります。
手取りに対する割合
額面年収800万円の人の手取りが600万円とした場合、額面収入に対する返済負担率と手取りに対する返済負担率の関係は以下のようになります。
額面に対する返済負担率 | 返済額 | 手取りに対する返済負担率 |
---|---|---|
20% | 160万円 | 26.7% |
25% | 200万円 | 33.3% |
30% | 240万円 | 40.0% |
35% | 280万円 | 46.7% |
40% | 320万円 | 53.3% |
※額面年収800万円、手取り600万円で計算
額面に対する返済負担率を30%としても、なんとなく大丈夫そうな気がしますが、実際の手取りに対する返済負担率は40%にもなってしまいます。
額面に対する返済負担率を25%に抑えて、やっと手取りに対する返済負担率は33.3%になります。
額面と手取りの金額差が大きいほど、両者の返済負担率との差が広がります。
実際の生活にインパクトを与える数字は、手取りに対する負担率。
手取りがいくらくらいなのかも含めて返済負担率を考えるようにしましょう。
上記の額面年収800万円、手取り600万円の人の理想返済額は額面20%の年額160万になります。
年収別の理想の返済額一覧
理想は額面年収20%以内です。
そこで各年収帯における20%だとどれぐらいになるのか一覧にしてみました。
額面給料(年) | 返済額(年) | 返済額(月) |
---|---|---|
100 | 20 | 1.7 |
200 | 40 | 3.3 |
300 | 60 | 5.0 |
350 | 70 | 5.8 |
400 | 80 | 6.7 |
450 | 90 | 7.5 |
500 | 100 | 8.3 |
550 | 110 | 9.2 |
600 | 120 | 10.0 |
650 | 130 | 10.8 |
700 | 140 | 11.7 |
750 | 150 | 12.5 |
800 | 160 | 13.3 |
850 | 170 | 14.2 |
900 | 180 | 15.0 |
950 | 190 | 15.8 |
1,000 | 200 | 16.7 |
1,100 | 220 | 18.3 |
1,200 | 240 | 20.0 |
1,300 | 260 | 21.7 |
1,400 | 280 | 23.3 |
1,500 | 300 | 25.0 |
1,700 | 340 | 28.3 |
2,000 | 400 | 33.3 |
2,500 | 500 | 41.7 |
3,000 | 600 | 50.0 |
国税庁が発表した「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によると、平成30年の平均給料は
- 男:545.0万円
- 女:293.1万円
- 平均:440.7万円
です。
現在の給料が日本全国の平均給料額と同等の440万円だとすると、月々の返済額は7万円程度が理想となります。
支払額のシュミレーションを細かく見たい方は、SUUMO(スーモ)が提供するローンシュミレーションサイトをご利用ください。
以上、ここまで返済比率について見ていきました。
それでは次に審査の許容額について見ていきます。
2.住宅ローン審査の許容額
住宅ローンの審査ポイント
住宅ローン審査を申し込む前に知っておくべきことは、「借りられる額」と「返せる額」の違いです。
住宅ローンでは、物件の担保価値よりも借りる本人の属性が重視されて審査が行われます。
住宅ローン審査のポイントは、下表の通り。
審査項目 | 備考 |
---|---|
年齢 | 35年ローンを組む場合、80歳までに完済できることが一つの目安になります。 |
職業 | 大企業に勤務しているサラリーマンや公務員、医者等の方は審査が通りやすくなります。 |
職種 | 自営業者や体を壊しやすいトラック運転手・建築関係の方 給料が歩合制の美容師・不動産営業マン等の職種は審査に通りにくいです。 |
勤続年数 | 少なくとも3年以上勤めていることが1つの目安になります。 |
年収 | 審査基準としては年収の8倍程度まで許容する銀行が多いです。 |
健康状態 | 団体信用生命保険に加入できる健康状態が必要となります。 |
借入状況 | 他の借入の有無や、過去の借入における滞納の有無等も審査項目になります。 |
条件の良い人は借り過ぎに注意
ここで、大企業のサラリーマンや公務員等で非常に条件の良い人ほど注意が必要です。
条件の良い人であれば、銀行は「ぜひ貸したい!」という状況になり、どんどん貸してくれるため。
条件の良い人の額面に対する返済負担率は40%程度まで承認されることもあります。
前章でも示しましたが、例えば額面年収800万円、手取り600万円の人であれば、額面に対する返済負担率が40%になると、手取りに対する負担率が53.3%にもなってしまいます。
つまり稼いだ額の半分以上のお金がローンの返済に充てられます。
このような状態だと、ボーナスもほとんどローンで消えてしまうことになり、全く貯金ができません。
子供が小さいうちはなんとか返せても、貯金ができないまま子供が高校生以上になってしまうと学費が払えない状況に陥ります。
実際、銀行が承認してくれる融資額は「借りられるお金」ではあっても「返せるお金」ではないということになります。
「借りられるお金」と「返せるお金」は、常に以下の関係にあるということを知っておく必要があります。
借りられるお金 > 返せるお金
銀行が審査して貸してくれるのだから、返せるのだろうと思うのは、大きな勘違いです。
銀行が返済負担率の40%まで貸してくれると言っても、自分で返済負担率を20%まで抑えるように自制心を働かせましょう。
公務員なのに返済が苦しい原因や対処法や下記記事で詳しく解説しています。
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公務員なのに返済が苦しい?住宅ローンが苦しい原因と対処方法について徹底解説
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以上、ここまで審査の許容額について見てきました。
それでは次に平均的な生活費について見ていきます。
3.平均的な生活費から自分の生活費を考えよう
統計上の平均支出
住宅ローンを借りる場合、家計簿をつけていないと自分たちの生活費がどれくらいかかっているのか分からないものです。
ましてや、これから結婚する人はいくらかかるか分からない方もいるでしょう。
そこで総務省統計による2019年の二人以上の世帯(平均世帯人員2.99人,世帯主の平均年齢59.2歳)の平均消費支出を提示してみます。
住居費(家賃地代、設備修繕・維持)を除く平均支出は以下の通りです。
項目 | 金額 |
---|---|
食費 | 72,934円 |
水道光熱費 | 21,177円 |
家具・家事用品 | 10,329円 |
被服及び履物 | 10,878円 |
保険医療 | 12,888円 |
交通・通信 | 39,054円 |
教育(授業料、教科書、補修教育) | 11,310円 |
共用娯楽 | 28,159円 |
その他消費支出(こづかい、交際費) | 58,780円 |
合計 | 265,509円 |
生活費は30万円弱
上表には、主に下の住宅関連の項目が含まれていません。
- 住宅ローン
- 固定資産税・都市計画税
- マンションの管理費・修繕積立金
ここで、固定資産税及び都市計画税はエリアによっても異なりますが、標準的な住宅でざっくり月10,000円程度です。
またマンションの平均の管理費・修繕積立金は17,430円となります。
そのため、上表の平均支出額265,509円に、固定資産税・都市計画税とマンションの管理費・修繕積立金を合算すると、292,939円となります。
一戸建てであれば、とりあえず管理費・修繕積立金は発生しないため、275,509円程度です。
いずれにしても、住宅ローン返済以外で、約30万円弱は生活費にかかるということになります。
家計簿をつけていない方は、生活費は住宅ローン以外で約30万円かかると思っておけば良いでしょう。
以上、ここまで平均的な生活費について見てきました。
それでは次に借入額と月額返済額について見ていきます。
4.借入額と月額返済額の妥当性
借入額別の返済額
借入額と月額返済額を計算してみます。
条件としては、35年の固定金利1.5%、ボーナス返済無しで毎月の返済額を算出しています。
借入額 | 毎月返済額 |
---|---|
20,000千円 | 61,236円 |
25,000千円 | 76,546円 |
30,000千円 | 91,855円 |
35,000千円 | 107,164円 |
40,000千円 | 122,473円 |
45,000千円 | 137,782円 |
50,000千円 | 153,092円 |
55,000千円 | 168,401円 |
60,000千円 | 183,710円 |
65,000千円 | 199,019円 |
70,000千円 | 214,329円 |
75,000千円 | 229,638円 |
80,000千円 | 244,947円 |
生活費には約30万円かかるため、例えば3,500万円を借りたとしても返済額が107,164円のため、毎月40万円のお金が必要となります。
毎月の返済額を107,164円とすると、年額返済額は1,285,968円となります。
仮に返済比率を20%とすると、年額返済額1,285,968円の人の額面収入は6,429,840円となります。
物件価格と必要年収
まとめると、年収650万円くらいの人が3,500万円を借りると、毎月40万円程度の支出が必要となります。
感覚的に、返済比率が20%でも決して余裕がある数字ではないことが分かります。
しかも都内の新築マンションであれば、7,000~8,000万円は当たり前。
7,000~8,000万円のローンを組もうとすると、返済比率を20%として年収1,300万円程度は必要となります。
都内で7,000~8,000万円のマンションを購入するのであれば、共働きでも世帯収入を1,300万円程度に維持していかないと厳しいです。
共働きであれば、今後も夫婦で仕事を続けていくことが出来そうかを十分に見極めた上で、購入しましょう。
以上、ここまで借入額と月額返済額について見てきました。
それでは次に理想的な返済比率について見ていきます。
5.プロが教える!理想的な住宅ローンの返済比率
住宅価格から考える
マンションを購入する際、上記のように生活費から積み上げていくらを借りるかを計算するような人は実際にはマレです。
むしろ、普通は物件価格ありきで考えている人の方が多いです。
住宅ローンよりも「○○駅の徒歩10分圏内のマンション」という物件の物理的な条件の方が先に検討されます。
そこで、次に物件の金額ありきで考えてみることにします。
株式会社不動産経済研究所の「首都圏のマンション市場動向」によると、2019年9月における首都圏の新築マンションと一戸建ての平均価格は5,991万円であったと発表されています。
つまり、特別な贅沢をしなくても、首都圏で新築住宅を購入しようとすると、少なくとも6,000万円はかかるということです。
一方で、35年ローンの金利で、銀行に最も多く採用されているのは、約1.10%となっています。
6,000万円の物件を35年固定金利(1.10%)のフルローン(ボーナス返済無し)で購入すると、毎月の返済額は172,464円となります。
年の返済額は2,069,568円となります。
返済率と年収
年間返済額を2,069,568円とした場合、返済比率に対する額面年収の関係は下表の様になります。
返済比率 | 額面年収 | 年収倍率 |
---|---|---|
20% | 10,347,840円 | 5.79倍 |
25% | 8,278,272円 | 7.25倍 |
30% | 6,898,560円 | 8.69倍 |
35% | 5,913,051円 | 10.2倍 |
40% | 5,173,920円 | 11.6倍 |
理想的な返済比率は20%ですので、年収1,035万円の人であれば6,000万円の住宅をフルローンで購入しても問題ありません。
ただし、例えば30歳で住宅を購入しようとしても、30歳の時点で年収1,035万円に届いている人は、そう多くはないです。
そのため、奥さんとの収入も併せて、世帯収入が830万円弱であれば、返済比率は25%以内であるため、なんとかやっていける水準になります。
平均的な生活費を月30万円だとすると、住宅ローンを込みで月472,464円(30万円+月々の返済額:172,464円)のお金が必要です。年に換算すると、5,669,568円です。
5,669,568円の手取り年収を得るには、額面年収で750万程度必要です。
返済比率が30%とすると、額面年収が6,898,560円で済みます。
ただし、額面年収が690万円程度の人は、手取り年収が500万円程度です。
年間5,669,568円のお金が必要となることを考えると、完全に赤字になります。
よって、やはり返済比率は20~25%以内とするというのは、妥当な水準です。
返済比率25%がちょうど損益分岐点であって、それより上になると家計の収支が赤字になる可能性があります。
将来のための貯金等を考えれば、やはり返済比率は20%程度に抑えておくことが理想的と言えるでしょう。
自己資金を増やす
では、年収860万円までいかないと、平均の家すら買えないのかといえば、そんなことはありません。
自己資金を加えていくことで返済率20%に近づきます。
ここで、再度、35年固定金利(1.10%)で、自己資金を追加して借入金額を変動させることで、返済比率20%を維持した形で必要額面年収を計算してみます。
物件価格は5,000万円とします。
自己資金 | 借入金 | 毎月返済額 | 年返済額 | 必要額面収入 |
---|---|---|---|---|
5,000,000円 | 45,000,000円 | 128,924円 | 1,547,088円 | 7,735,440円 |
10,000,000円 | 40,000,000円 | 114,599円 | 1,375,188円 | 6,875,940円 |
15,000,000円 | 35,000,000円 | 100,274円 | 1,203,288円 | 6,016,440円 |
20,000,000円 | 30,000,000円 | 85,949円 | 1,031,388円 | 5,156,940円 |
例えば、ご主人と奥様の両方の家から500万円ずつ出してもらい、自己資金を1,000万円とすれば、額面年収6,875,940円でも、返済比率20%で5,000万円の家を購入することが可能です。
30歳で35年ローンを組もうとすると、数字としては、かなり現実感を帯びてきます。
家を買うのに親から援助を受けるなど「甘えた考えだ」と思う方も多いと思います。
ただ、昔とは金額が違うため、親からの援助がない限り平均の家すら買えないというのが現実。
30歳で結婚してすぐに家を購入するのであれば、
- 親から援助を受けるか
- 親から借りるか
をして、1,000万円程度を工面した上で購入するのが現実的であり堅実です。
頭金や親からの援助については、下記記事で詳しく解説しています。
-
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親から住宅資金を工面してもらうには
親から住宅資金を工面してもらうことは、子供からはなかなか言い出せないことです。
特に、男性のご主人の方は口が裂けても言えないという人もいると思います。
そのような場合は、奥様の方で一肌脱いでください。
まずは実親に500万円の融資を頼みます。
娘のお願いなら親は喜んで援助をしてくれます。
嫁側の家が援助するとなると、夫側の家も援助しないわけにはいきません。
夫側の家からも、「こちらも500万円出す」と言ってくれる展開になります。
そのため、住宅を購入する際は、必ず事前に親に相談してください。
親を味方につけておくことが何よりも大切なポイントになります。
自己資金を増やすことによって、返済比率を20%に抑えることを目標にしましょう。
以上、ここまで理想的な返済比率について見てきました。
それでは次に年収の倍率について見ていきます。
6.年収の倍率で変わる借入可能額
返済比率と年収倍率との関係
住宅ローンは返済比率の他に、年収との倍率によっても借入可能額が決まってきます。
銀行の審査場の許容範囲は年収の8倍までとするところが多いです。
ここで、先ほどの表を再掲します。
返済比率 | 額面年収 | 年収倍率 |
---|---|---|
20% | 10,347,840円 | 5.79倍 |
25% | 8,278,272円 | 7.25倍 |
30% | 6,898,560円 | 8.69倍 |
35% | 5,913,051円 | 10.2倍 |
40% | 5,173,920円 | 11.6倍 |
上表は、6,000万円の物件を35年固定金利(1.100%)のフルローン(ボーナス返済無し)で購入した場合、月々の返済額:172,464円年から返済比率と年収の関係を見た表です。
右側に記載している数値は、6,000万円を額面年収で割った数字になります。
つまり年収の何倍を借りているのかを表した数字になります。
銀行の審査基準は、年収の8倍を目安としているところが多いです。
そのため、上表で言うと返済比率25%の人は年収倍率が7.2倍であるため借入可能ですが、返済比率30%の人は年収倍率が8.7倍であるため、借入が難しくなります。
やはり、返済比率が25%というのが、年収倍率から見ても許容範囲であるということができます。
適正年収倍率は5~6倍
返済比率が30%を超してしまうと、年収倍率の観点からしてもアウトになります。
返済比率が30%の人の額面年収は、6,898,560円となりますが、手取りは5,000,000円程度です。
上記シミュレーションでは、年間に必要となるお金が5,669,568円でした。
銀行は年収倍率が8倍、返済比率は40%まで貸してくれます。
しかしながら、年収倍率8.7倍、返済比率30%では赤字になります。
つまり借りることができても返せない金額となっています。
繰り返しますが、「借りられる額」と「返せる額」は違うということを、改めて認識しておくことが需要になります。
年収倍率は8倍以内、返済比率は25%以内が一つの目安です。
余裕を持った返済をする場合は、年収比率は5~6倍程度といったところでしょう。
以上、ここまで年収の倍率について見てきました。
それでは次に完済時とのバランスについて見ていきます。
7.完済時とのバランスも考える
65歳完済が基本
住宅ローンを借りる際は、返済比率の他に、完済時の年齢を考慮する必要があります。
完済時年齢は、65歳とするのがベストです。
実際、銀行は80歳完済までの計画でも貸してくれますが、65歳以降の年金生活ではとても住宅ローンは返済できません。
現在でも、定年退職をきっかけに住宅ローンが支払えずに自己破産をする人がいます。
ましてや、今の現役世代の人たちは、年金がもらえるかどうかも定かではありません。
そのため、返済期間を65歳で完済させる計画にすることが大切になります。
年金では足りない現実
65歳での完済を考えると、理論的には30歳以下で35年ローンを組まない限り、65歳で完済することは無理です。
しかしながら、現在では晩婚化が進んでおり、40歳近くで結婚する人も少なくありません。
銀行は80歳完済まで認めてくれるため、45歳までなら35年ローンを組むことができます。
ただ、標準的なサラリーマンのもらえる年金は月16万円です。
専業主婦は6万円もらえるため、夫婦の年金は合算すると22万円になります。
上記で、生活費は住宅ローン以外で約30万円弱かかると説明しましたが、年金生活だけだと、この時点で既に赤字です。
実際には教育費等がないため、切り詰めることが可能ですが、それでもさらに住宅ローンの支払いとなると、とても年金だけでは払いきれません。
よって、まずは65歳定年まで返せるローン期間を考慮することが必要になります。
40歳でローンを組む場合は、25年ローンになります。
完済期間も「借りられる額」と「返せる額」を狂わせる要因の一つです。
借りられるのは80歳までですが、返せるのは65歳までです。
住宅ローンを組む際は、65歳完済で、かつ、返済比率が20%以下になるようなローン設計を立てるようにしましょう。
それらを考慮すると、30歳の時に35年ローンを組むのが一番適正だと筆者は思っています。
詳細は下記記事で詳しく解説しています。
-
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以上、ここまで完済時とのバランスについて見てきました。
次に住宅の住み替えのコツについてご紹介します。
8.住宅の住み替え検討中なら「今の家がいくらで売れるか」確認しよう
住み替えの場合、資金計画を立てることが大きなポイントになりますが、そのための第一歩が「今の家がいくらで売れるのか」を確認することから始まります。
不動産の売却金額によっては、売却益を購入物件の初期費用に回して、ローンの借入額を減らすことも可能です。
まず、自分の不動産がいくらで売れるのかを把握する為には、不動産会社に査定してもらう必要があります。
しかし、あくまで査定額は不動産会社がいくらで売れそうなのか判断した価格です。
不動産会社ごとに、実績や算出方法が異なるので、不動産会社によって査定額がバラバラになってしまうことが一般的です。
その為、不動産査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することがとても大切です。

査定額が高すぎる不動産会社は危険
ただ、複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのは大変です。
そんな時に不動産一括査定サイトの活用を強くオススメします。
不動産一括査定とは、売却を検討している不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社から不動産の売却価格の査定を出してもらうことができるサービスのこと
便利な不動産一括査定サイトですが、筆者が知っているだけでも30はあります。
多くのサイトが乱立し、どのサイトを使えば良いか素人には分かりづらくなってしまっています。
実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つをオススメします。
一括査定サイトのオススメ3選
- 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
」
- NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
」
- 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール
」
※番外:一括査定と合わせて使うことで効果を発揮する「 SRE不動産(※旧ソニー不動産) 」
実績や信頼性はもちろんですが、上記3サイトは、机上査定に対応してくれる点もポイントになります。
机上査定とは、依頼時に入力した物件の基本情報を基に算出する査定方法で、不動産会社の担当者に物件を見てもらう必要もなく、家に居ながら気軽に査定額を知ることが可能です。
依頼時にメールで査定額を提示して欲しい旨を備考欄で伝えておけば、査定結果や担当者とのやり取りはメールで進むので、営業電話にも悩まずにやり取りすることも可能です。
オススメサイトの併用が鉄則
一括査定サイトごとに提携会社の性質は異なる為、売却を成功するためには、複数の一括査定サイトの併用がオススメです。
サイト選びのポイントとしては、売却物件のエリアに応じて、下記のような使い分けがいいでしょう。
所在地別地域毎のおすすめ
対象の物件種別
おすすめポイント
物件所在地に応じたおすすめの使い方
提携会社数・特徴
サイト名 | 提携会社数 | 特徴 | 公式サイト |
---|---|---|---|
![]() | 大手不動産6社 ※小田急不動産、住友不動産販売、野村の仲介、三菱地所ハウスネット、東急リバブル、三井のリハウス | ・大手不動産6社にまとめて査定依頼できる ※この6社に依頼できるのはすまいValueのみ | 公式サイト |
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![]() | 1,600社以上 | ・地方や田舎に強い | 公式サイト |
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最後に住宅ローン選びに便利なサイトについてご紹介します。
2021年1月現在のオススメ住宅ローン
2021年1月現在のオススメの住宅ローンを紹介します。
銀行の規模なども加味しながらの筆者の主観でのオススメ順となっています。(※金利等の最新情報は各金融機関をご確認ください。)
一般的には、固定金利と変動金利を組み合わせて借りるのが一般的です。
【固定金利で比較】住宅ローンの比較・ランキング
固定金利の中でも一番借り入れが多い10年固定でのオススメ順です。
今後、金利は上がると予想されるため、固定金利がむしろ有利。
【変動金利】住宅ローンの比較・ランキング
変動金利は金利が下がるときには有利です。
ただし、現状では変動金利は上がり傾向にあります。
- 1位:ジャパンネット銀行 変動金利(新規お借り入れ):0.380%
- 2位:auじぶん銀行 変動金利:0.410%
- 3位: 住信SBIネット銀行
変動金利:0.440%
【フラット35】比較・ランキング
金利はどうしても上がってしまいますが、返済計画を確定したい場合はフラット35もオススメです。
- 1位: 住信SBIネット銀行
35年固定(保証型):0.90%
- 2位: ARUHI
35年固定:1.220% ※フラット35、9年連続シェアNo.1
- 3位:日本住宅ローン 35年固定:1.48%
- 1位: 住信SBIネット銀行
どうしても迷うなら!住宅ローン一括審査もあり
住宅ローンをあれもこれも調べても結局わからない・・・
当たり前です。住宅ローンは、あなたの環境(家族構成、年収、将来性)により適正が異なります。
新規で借りようとしている人も、見直しを考えている人も実際にいくつかの銀行に仮審査をして金利、保障内容を比べるのが一番。
でも、いちいち銀行を1社1社探して申し込んでいたら大変です。
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まとめ
借りる前に知っておきたい適切な住宅ローン返済比率(返済負担率)について見てきました。
住宅ローンの返済比率は20%以内、年収倍率は5~6倍が適切。
銀行に言われるままに満額を借りてしまうのは危険です。
自分で自制心を働かせて、返せる額を借りるようにしましょう。