任意売却

基礎から分かる!自ら主導して任意売却をする方法について徹底解説

投稿日:2017年8月12日 更新日:

住宅ローンが払えなくなった場合、簡単に任意売却ができるわけではありません。

「なんとなく競売は避けたい」と思い任意売却を選択しても、いざ任意売却を実行しようとすると、とても面倒なことに気付きます。

結論からすると、任意売却はとても手間がかかるため、実施に当たっては任意売却の特徴と方法について事前に知っておく必要があります。

これから任意売却を検討しようとしている人の中には、

  • 任意売却をする方法を知りたい
  • 引越代が出ると聞いているので任意売却ができる方法を知りたい
  • 今の家に住み続けたいので任意売却の方法を知りたい

等々のことを思っている方も多いことでしょう。

そこで今回の記事では、任意売却の「方法」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことで、あなたは任意売却の基礎知識と方法を知ることができます。

ぜひ最後までご覧ください。

1.任意売却とは住宅ローンを支払えなくなった人が行う不動産売却方法

1-1.任意売却の特徴

任意売却とは、住宅ローンを支払えなくなった人が、銀行から一括返済を求められたときに自主的に行う不動産売却のこと

本来、住宅ローンが返せなくなった場合は、競売という法的措置によって売却が行われますが、その法的措置によらない形で「任意に」売却を行うことを任意売却と呼びます。

任意売却は、基本的には普通の売却と同じです。

仲介を行う不動産会社は任売専門業者になりますが、手続的なものは通常の売却と同じと考えて差し支えありません。

但し、債権(お金を返してもらう権利)の回収を目的としていることから、早期売却を前提としており、販売期間が短いことが特徴です。

また売却が後で覆されないように、瑕疵担保免責や現状有姿等が売却の前提となっており、一般消費者にとっては、なかなか任意売却は購入しにくいという側面があります。

そのため、任意売却では購入者の多くが転売を目的とした不動産会社になります。

買受人(購入者)は買取転売を行う買取業者も多く、任意売却による価格目線は買取の金額とほぼ同水準というのが一般的です。

1-2.任意売却だから高く売れるわけではない

買取価格の目線は、市場価格の8割程度であるため、任意売却の売却目線も市場価格の8割程度が一般的です。

もちろん、任意売却は必ず買取業者に売却するというわけではないため、一般消費者に高く売却することもできます。

この場合には、市場価格の水準で売却することが可能です。

任意売却の売却価格水準は、「誰に売るか」で決まってきます。

一般の方に売れば高く売却できますし、買取業者に売れば安くしか売却できません。

「任意売却だから高く売れる」というわけではないため、注意が必要です。

以上、ここまで任意売却について見てきました。

任意売却をもう少し深く理解するために、次に任意売却のメリットとデメリットを紹介いたします。

2.任意売却の4つメリットと3つのデメリット

2-1.任意売却の3つのメリット

第一のメリットは、買受人を選べる点にあります。

これは、今の家に住み続けたい人であれば大きなメリットです。

競売ではできないことですので、今の家に住み続けたい人は任意売却をすることをお勧めします。

尚、競売でも運よく落札することができれば、今の家に住み続けることは可能です。

競売だと住み続けられないわけではなく、住み続けられる確証がなくなるということになります。

第二のメリットは、売却額を自由に配分できると言う点です。

たまに「任意売却だと引越代が出る」という人がいますが、任意売却だから引越代がでるわけではありません。

任意売却では、売却額を債権者(お金を貸した人)と債務者(お金を借りた人)の間で、話し合いで配分を決めることも可能です。

そのため、債務者側から「引越代を欲しい」と要望を出し、債権者の了解が得られれば売却額のうちから引越代を捻出することが可能になります。

この点も競売にはできないメリットです。

第三のメリットとしては、売却後のローン残債についても返済方法を話し合いで決めることができるという点です。

任意売却後に住宅ローンが完済しきれなかった場合は、残債を返済する必要があります。

これは競売も同じです。

ただ、任意売却では売却後のローン残債の返済方法までも話し合いで決めることができます。

このような話し合いは競売ではできません。

事前に話し合いで、売却後のローン残債の返済方法を「楽な金額」で決めておけば、売却後の返済も楽な形で進めることができます。

第四のメリットとしては、近所の人に知られないという点です。

競売は物件情報が裁判所の運営する「不動産競売物件情報サイト(通称:BIT)」に掲載されるため、世の中に知れ渡ってしまいます。

情報が公開されないという点も、競売にはできません。

近隣にあまり知られたくないという人であれば、任意売却はメリットがあります。

2-2.任意売却の3つのデメリット

第一のデメリットは、任意売却には競売のようなルールが無く、全て話し合いで決めなければならないと言う点です。

債権者との価格合意や、債権者間における売却額の配分、引越代の捻出、引越時期等、一つ一つ決めなければいけません。

交渉や調整が苦手な方には、結構な重荷になります。

第二のデメリットは任意売却には悪徳業者も存在すると言う点です。

お金に困っている人の弱みに付け込み、手数料を先に支払わせて何もしないという悪い輩が存在します。

「競売よりも任売の方が高く売れますよ」、「任売なら引越代が出ますよ」等々、言葉巧みに近寄ってくる業者には注意が必要です。

これらの言葉に騙されないようにしましょう。

第三のデメリットは、自己破産を予定している人には向いていないという点です。

自己破産であればいずれにしろ借金が無くなりますので、頑張って任意売却をする必要性がありません。

任意売却は引越の時期も早く、債権者等の利害関係者との調整や、内覧や契約等の手続きなどやることが多いです。

自己破産をするのであれば、今の家に少しでも長く住むことができ、かつ手続きも全てお任せできる競売の方が良いです。

以上、ここまで任意売却のメリットとデメリットについて見てきました。

任意売却は詐欺も多いため、任意売却を行う前に、本当に競売では駄目なのか知る必要があります。

そこで次に競売の知識についても触れておきます。

3.競売とは一括返済を行う本来の債権回収の手続き

3-1.競売の特徴

競売とは、抵当権が付いている不動産を売却して一括返済を行う本来の債権回収の手続きです。

住宅ローンを借りる際、家が担保入りますが、家を担保に入れることを、抵当権を設定すると言います。

抵当権は、約束通り住宅ローンを返済すれば、何も起こりません。

ところが、住宅ローンの返済が滞ると、抵当権が実行されます。

抵当権の具体的な実行を「競売」と呼びます。

競売は裁判所が行います。

競売は国が認めた債権回収の法的手段になります。

競売は昔のイメージが強く残っているため、多くの人が「競売は安い、任売は高い」と思い込んでいる人がいますが、決してそんなことはありません。

競売は、かつて「占有屋」と呼ばれる競売を妨害する人がいたため、競売はリスクが高く、競売になると必ず安くなってしまうと言う時代が存在しました。

この点は平成15年に民法の短期賃貸借制度の廃止という改正があったことで、大きく改善されています。

今では競売の法的整備が進み、競売の落札者はほとんどリスクなく物件を購入することができるようになっています。

3-2.競売の価格目線

都内の更地の競売物件などは、地価公示水準並みで落札されている物件が多くあります。

地価公示と言えば、建前上、時価相当額です。

都内の場合、なかなか地価公示水準で物件は購入できないため、地価公示価格で物件が購入できたらちょっと安いことは事実です。

ただ、決して安くはありません。

地価公示の価格水準であれば、買取業者が購入するような相場から2割ダウンの価格よりは間違いなく高いです。

もはや「任意売却は高い」と言い続けている人は、任意売却を商売のタネにしている人だけです。

悪徳業者は、「実は任売の方が安い」と知られてしまうと困るため、昔の常識を未だに引っ張り出して、「高い、高い」と言い続けています。

今は平成29年で、民法改正から14年も経過しています。

不動産競売物件情報サイト(通称:BIT)による情報公開も進んでいるため、「任意売却は高い」という常識が覆るのも時間の問題でしょう。

但し、任意売却も「誰に売るか」で値段が違うことを忘れてはいけません。

きちんと高く購入してくれる人に売却できれば、任意売却でも高く売却できる可能性はあります。

以上、ここまで競売とはについて見てきました。

競売にもメリットとデメリットがあります。

まずはそれを知ったうえで任意売却を選択する必要があります。

そこで競売のメリットとデメリットについて見ていきます。

4.競売の3つのメリットと3つのデメリット

4-1.競売の3つのメリット

第一のメリットは、競売は手続きを全て債権者(お金を貸した人)側で行うため、債務者はとても楽という点です。

手続きは国の定めたルールに基づき、粛々と進められるため、債務者は特に何もする必要がありません。

複数の債権者がいる場合にも調整をする必要がないため、複数の債権者がいるような複雑な物件はメリットがあります。

第二のメリットは、競売は時間がかかるため、その分長く住めるという点です。

特に自己破産を予定している人は、メリットがあります。

自己破産を予定している人であれば、借金を完済することを考えなくて良いため、「何もしない、長く住める」という競売の方がメリットはあります。

競落まで1年以上かかるため、その間になんとか生活を立て直すこともできます。

第三のメリットとしては、競売は強制力があるという点です。

消費者金融のような怖いところからもお金を借りていたとしても、消費者金融も競売のルールに従わざるを得ません。

債権者に消費者金融がいると、任意売却の際、抵当権抹消のための、いわゆるハンコ代を求められることがありますが、競売であればそのような心配をしなくて済みます。

素性の悪い債権者からお金を借りている場合は、自分を守るためにも競売にした方が良いでしょう。

4-2.競売の3つのデメリット

第一のデメリットとしては、競売では「配当要求終期の公告」という手続きにより、これから競売にかかる物件が公開されるという点です。

競売では途中で任意売却に切り替えることも可能です。

そのため公告がされると、任売専門の不動産会社から任意売却を勧めるDMが送られてきたり、業者が直接家に尋ねてきたり等のアプローチを受けます。

このような業者の中には悪徳業者も混じっていますので、注意が必要です。

また広告によって近所にも知られてしまうと言うデメリットもあります。

第二のデメリットとしては、売却後に残ったローン残債の支払うという点です。

これは任意売却も同様ですが、任意売却ではその後の支払い方法も柔軟に話し合うことができますが、競売では厳格に支払いが要求されてしまいます。

競売はルールが明確というメリットがありますが、逆に言えば話し合う余地がないという点にデメリットがあります。

第三のデメリットとしては、競売では買受人を選べないという点があります。

今の家に住み続けたい人であれば、競売は向いていないことになります。

ざっくり言うと、自己破産を予定している人は競売が向いており、自分の家に住み続けたいひとは任意売却が向いています。

それ以外はローン残債の多寡や債権者の数によりどちらが有利かを選択していきます。

以上、ここまで競売のメリットとデメリットについて見てきました。

任意売却は、任意売却と競売の特徴を踏まえた上で選択する必要があります。

それでは次に、任意売却の流れについて見ていきましょう。

5.任意売却の流れ

任意売却の流れは下図のようになります。

任意売却の流れ

任意売却の流れ

5-1.住宅ローンの滞納発生

住宅ローンが支払えなくなっても、すぐに任意売却はできません。

最初は、返済額を減額するリスケジュールの相談を行います。

それでも持ちこたえられない場合、滞納することになります。

滞納期間は少なくとも3ヶ月程度必要です。

5-2.期限の利益の喪失の発生

住宅ローンの滞納が3~6ヶ月続くと、「期限の利益の喪失」をした状態になります。

期限の利益を喪失すると、銀行から一括返済を求められます。

期限の利益とは、長期間にわたってちょっとずつ返済すれば良いというお金を借りる人に与えられた利益です。

滞納によって約束を破ったので、期限の利益を喪失し、一括返済を求められることになります。

5-3.競売か任意売却かの判断

期限の利益を喪失すると、このまま放っておけば競売に移行します。

高く売れそうな条件の良い物件であれば、債権者(お金を貸した人)から任意売却を勧められる場合もあります。

競売の申し出がなされた後も、競売の入札開始まで半年以上時間がかかるため、その間に任意売却を行うことは可能です。

任意売却に成功すれば、債権者に競売を取り下げてもらいます。

5-4.専門の不動産業者に相談

任意売却は、債権者の調整等、特殊な業務も含むため、任売専門の不動産会社に依頼するのが通常です。

任売専門業者は債権者のところに普段から出入りしていますので、債権者に任売専門業者を紹介してもらうことが間違いありません。

詐欺にあうことを避けるため、債権者に信頼できる専門業者を紹介してもらいましょう。

もしくは筆者が紹介している「任意売却相談センター」もいいでしょう。

とても親身になって相談に乗ってくれます。

5-5.価格査定は任売専門の業者に任せる

任意売却の価格査定は、任売専門業者の方で行います。

早期売却価格を前提としているため、通常の不動産一括査定サイトでは査定できません。

不動産一括査定サービスとは?

インターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入力すると、その情報を元に査定先、売却先の不動産会社が自動的に抽出されて、複数の不動産会社に一度に査定依頼が行えるサービスです。

イメージとしては、通常の一括査定サイトで査定する価格の80%程度が任意売却による査定額になります。

5-6.債権者との調整・合意

任売専門業者が査定を行ったあとは、その査定額で任意売却して良いかの確認を債権者に行います。

査定額がローン残債以上であれば、何も問題はありません。

査定額がローン残債を下回るようであれば、売却後に残るローン残債が返せるかどうかも含めて検討さおこなわれます。

債権者の合意が得られれば、任意売却を行うことができます。

5-7.販売開始

債権者の合意が得られたら、いよいよ販売開始です。購入希望者が現れた場合には、普通の売却と同様、内覧対応を行います。

5-8.買受人決定

希望価格に達する買受人(買主)が現れたら、買受人を決定します。

買受人は買取業者となる場合が多いです。

希望価格に達する買受人が現れない場合、債権者に売却額を下げていいかどうかの了解をもらいます。

売却額の減額の了解が得られない場合や、買受人が現れない場合は、任意売却は失敗となります。

任意売却に失敗すれば、引き続き競売の手続きが進むことになります。

債権者はこのようなリスクを避けるために、任意売却が成功するまで競売の取下げは行いません。

5-9.売買代金の承諾・配分調整

買受人が現れたら、債権者に売却して良いかどうかの承諾を得ます。

同時に、売却金額の配分方法についても決定します。

引越代については、この配分調整の中で捻出します。

債権者が複数いる場合には、後順位の債権者からハンコ代と呼ばれる担保解除料を請求されることがあります。

5-10.契約締結・決済

配分について了解が得られたら、最後の引渡です。

任意売却では、債務者(お金を借りている人)が手付金を持って逃げるのを防ぐため、売買契約と引渡を同日で行います

ここは普通の売却とは異なる点です。任意売却では手付金の習慣はありません。

以上、ここまで任意売却の流れについて見てきました。

この流れの中で最大のハードルは債権者をはじめとする利害関係人の合意です。

そこで次に利害関係人の合意について詳しく見ていきます。

6.利害関係人の合意

任意売却を行うにあたっては、主に

  1. 債権者
  2. 共有者
  3. 連帯保証人

の3者が利害関係人として関わってきます。

それぞれ了解をもらう必要がありますので、以下に詳しく見ていきます。

6-1.債権者の合意

任意売却で一番重要なのが、債権者の合意です。

合意を取りやすいパターンとしては、①売却予想額がローン残債を上回っている場合や、②債権者が1社のみの場合です。

売却予想額がローン残債を上回っている場合は、基本的には文句は出ません。

任意売却は競売よりも早く回収できるため、債権者も喜んで協力します。

残念ながら、売却予想額がローン残債を下回っている場合は、売却後の残債をどのように返済していくかも含めて合意を得ることになります。

但し、この際に緩めの返済条件を設定しておけば、任意売却後もゆとりをもって返済できるというメリットがあります。

また債権者が1社のみであれば、交渉は非常にしやすくなります。

一方で、債権者が2社以上になると交渉のハードルが一気に高くなります。

債権者の設定する抵当権は、設定した時期の順番でその優劣が異なるのが基本ルールです。

最初に抵当権を設定した人を一番抵当権者、2番目に抵当権を設定した人を二番抵当権者と呼びます。

抵当権設定が後の人を後順位抵当権者と言います。

競売では、低当選の設定順位が早い人に優先されて売却額が配分されます。

競売になると、後順位の抵当権者が回収できる見込みは限りなく低くなります。

一方で、任意売却では配分を自由に決めることが出来るため、後順位抵当権者にも回収のチャンスが回ってきます。

任意売却になると後順位抵当権者の声が大きくなり、ハンコ代と呼ばれる担保解除料を請求してきます。

ところが、売却額の中から担保解除料を捻出してしまうと、今度は先順位の抵当権者の取り分が減ってしまいます。

そのため一番抵当権者が不満を表すようになり、調整が難航します。

さらに債務者が引越代も要求すると、それも一番抵当権者の取り分を減らす結果になります。

複数の債権者がいると、任意売却の合意を得ることが難しくなります。

それでも任意売却を選択したい場合は、粘り強く配分方法を決めるようにしてください。

6-2.共有者の同意

物件が複数の所有者で共有されている場合は、共有者の同意を得る必要があります。

これは任意売却だから同意を得るということではなく、共有物の売却では共有者全員の同意が必要であることが理由です。

共有者の同意で見落としがちなのが、離婚した後の共有物件の任意売却です。

住宅の共有名義をそのままにして離婚した後に、任意売却をすることになったようなケースです。

このようなケースで、離婚後、相手方と連絡が取れなくなっている場合、共有者の同意が得られないため、任意売却が出来なくなるということが生じます。

共有者の同意が得られないと、任意売却はおろか、普通の売却すらできません。

離婚の際は共有名義を解消するか、離婚後も連絡が取りあえるようにしておきましょう。

6-3.連帯保証人の同意

任意売却の後にローン残債が残っていると、その残債に対して連帯保証も引き続き存続することになります。

そのため、任意売却にあたっては、連帯保証人の同意も得ることが必要になります。

連帯保証人も見落としがちなのが、離婚後の任意売却です。

夫が債務者、妻が連帯保証人というケースは良くあります。

ここでも連絡が取れない状況だと、連帯保証人の同意が得られないため、任意売却ができなくなります。

以上、ここまで利害関係人の合意について見てきました。

任意売却をする方法としては、まず銀行へ切り出すタイミングが重要になります。

そこで次に任意売却を切り出すタイミングについて見ていきましょう。

7.任意売却を切り出すタイミング

7-1.競売申立ての前がベスト

任意売却を切り出すタイミングとしては、債権者が競売申立てをする前がベストです。

まず住宅ローンの滞納から期限の利益の喪失により一括返済を迫られるまで、3~6ヶ月間かかります。

期限の利益を喪失すると、債権者が銀行から保証会社やサービサー(債権回収会社)へ移管されます。

その後、1~2ヶ月後に競売申立てが行われるのが通常です。

そのため、住宅ローンが払えなくなってから、競売が申立てされるまで、4~8ヶ月ほどかかります。

この間に、任意売却をしたい旨を申し出てください。

7-2.合意を得るためのポイント

任意売却を申し出るときは、具体的な買受額と買受人が決まっていると、話が早いです。

「こういう会社がいくらで購入すると言っています」となれば、あとはその金額で債権者が合意をするかどうかで決まります。

任意売却を切り出す際、とりあえず買受人と買受価格を具体化するには、買取業者の買取価格の数字を持っていくことが一番確実です。

買取業者の買取価格は、市場価格の80%程度ですが、ほぼ任意売却の相場になります。

住宅ローンの返済を考慮すると、買取業者になるべく高く購入してもらった方が、債務者と債権者の両方にメリットがあります。

買取価格を高くするには、一括査定サイトを用いるのが効果的です。

不動産一括査定サービスとは?

インターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入力すると、その情報を元に査定先、売却先の不動産会社が自動的に抽出されて、複数の不動産会社に一度に査定依頼が行えるサービスです。

一括査定サイトを使えば、買取業者も簡単に見つけることができ、なおかつ競争原理によって価格も高くすることができます。

買取の一括査定については、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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買取を切り出すタイミングでは、簡単に否定されないようにしっかりとした準備をしていくことが何よりも重要です。

しっかりとした準備とは、具体的な買受人と買取価格の提示になります。

とりあえずの数字が確定していれば、債権者の方も判断がしやすいです。

返済しきれない住宅ローン残債も確定するため、残りのローンの返済方法についても話し合うことができるでしょう。

尚、債権者の合意を得る前に、共有者と連帯保証人の了解は取っておくようにしてください。

「共有者や連帯保証人は同意しているのですか?」と聞かれて「まだです」という回答になれば、せっかく具体的な価格を持って行ったとしても、だいなしです。

4~8ヶ月の間に、共有者と連帯保証人の了解と、買取業者の価格を取得し、任意売却を切り出しましょう。

以上、ここまで任意売却を切り出すタイミングについて見てきました。

尚、このまま住み続けたい場合は買取業者に売却するわけにはいきません。

そこで次にこのまま住み続けたい場合の買受人の探索について見ていきます。

8.このまま住み続けたい場合の買受人の探索

任意売却では買受人を選べるため、任意売却を使えばこのまま住み続けることは可能になります。

このまま住み続けるには、例えば親や投資家に任意売却で購入してもらうことになります。

任意売却後は、購入者に対して家賃を支払うことになります。これをセールスアンドリースバックと呼びます。

セールスアンドリースバックで問題となるのは価格です。

親や投資家がローン残債以上の価格を提示できれば、問題ありません。

しかしながら、ローン残債よりも低い価格しか提示できない場合は、債権者の合意が得られる可能性が低くなります。

低い金額しか提示できないと、債権者としては任意売却を承認せず、競売を実行してきます。

債権者の合意を得られない場合は、競売で落札することにチャレンジすることになります。

なお、任意売却や競売で、その後の家に住み続ける方法については、下記に詳細に記載していますのでご参照ください。

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以上、ここまでこのまま住み続けたい場合の買受人の探索について見てきました。

債権者から任意売却の合意が得られた場合、債権者が2人以上いる人にとっては、もう一つ課題があります。

それは債権者間の配分です。そこで次に配分の検討について見ていきます。

9.債権者間の配分の検討

9-1.配分は自由だからこそ揉める

債権者が複数いる場合、売却額をそれぞれの債権者に配分することになります。

競売では配分のルールが法律で決まっていますが、任意売却ではどのように配分しても構わないため、自分たちで配分方法を決めることになります。

ここで、後順位の抵当権者でも声の大きい抵当権者がいると、話をまとめることが大変になります。

後順位抵当権者が質の悪い消費者金融であると、かなり厄介です。

債権者が複数いる多重債務の場合、往々にして売却額がローン残債を下回ります。

一番抵当権者の債権額も回収できない場合も多いです。

このような場合、競売であれば一番抵当権者が全て受け取ることができますが、任意売却だと二番抵当権者以降も、ここぞとばかりに自らの権利を主張します。

そこで二番抵当権者以降の債権者が主張してくるのは、ハンコ代と呼ばれる担保解除料です。

抵当権抹消には、債権者の印が必要であるため、そのハンコを押すための費用としてハンコ代を求めてきます。

9-2.担保解除料の目安

ハンコ代は抵当権抹消費用の実費ではありません。

ハンコ代と称してローン残債を少しでも回収しているという意味合いになります。

ハンコ代にはルールが無く、揉めることが多いのですが、住宅金融支援機構の方で、ハンコ代の目安を開示しています。

住宅金融支援機構が示すハンコ代の目安については、以下のようになります。

抵当権順位 目安
2番抵当権者 30万円または残元金の1割のいずれか低い方
3番抵当権者 20万円または残元金の1割のいずれか低い方
4番抵当権者 10万円または残元金の1割のいずれか低い方

ハンコ代で揉めたときは、これを一つの目安として、話をまとめることをオススメします。

任意売却には法律のルールがないため、このような目安を参考にしながら、話をまとめていくのがポイントになります。

配分のルールが決まったら、しっかりとそのルールを書面に残しておきましょう。

後で揉めないようにするための防御策になります。

以上、ここまで配分の検討について見てきました。

それでは最後に任意売却のときの売買契約のポイントについて見ていきます。

10.任意売却の売買契約書のポイント

10-1.普通の売却と異なる点

任意売却では、売買契約に通常の売却とは異なる特殊な部分が3つあります。

一つ目は、瑕疵担保責任の免責です。

通常の売買では、売却後3ヶ月間は売主が瑕疵担保責任を負うことが多いですが、任意売却では瑕疵担保責任を売主は負いません。

二つ目は、現状有姿による売却です。

引渡時に何か不具合があったとしても、買主はそれに対して文句を言わず、そのままの状態で引き受けることが条件になります。

三つ目は、公簿売買になります。

公簿売買では、後から実測して実測面積が異なっていたとしても、精算することはありません。

実測精算はなしということを意味しています。

10-2.買主に不利な理由

これらは一見すると、売主に有利で買主には不利な条件ばかりです。

なぜ、売買にこのような条件を付けるかというと、任意売却は抵当権を外すための売却であるからです。

普通の売却と同じ条件としてしまうと、例えば後から買主がクレームを言って、損害賠償や契約の解除、売買代金の変更等をすることも可能です。

ところがこのようなことをして例えば売却が白紙撤回されてしまうと、抵当権を再設定しなければならなくなり、二度手間になってしまいます。

よって、任意売却では、買受人はこのような条件を承諾できる人であることが必要となります。

そうなると、任意売却で一般の人へ物件を高く売るというのは、だんだん難しくなってきます。

任意売却の買受人に買取業者が多いのは、このような背景もあるのです。

買取の一括査定サイトを使えば、その結果がほぼ任意売却での売却額と同等になります。

11.まとめ

以上、基礎から分かる!自ら主導して任意売却をする方法について徹底解説してきました。

任意売却は①今の遺影に住み続けたい人や②売却額よりローン残債の低い人、③債権者が1社だけの人に向いています。

これらに1つも該当しない人は、本当に任意売却を選択する必要がるかどうかを再度見直しましょう。

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