相続した土地売却の名義変更の方法とそれぞれの必要書類とは?よくある質問も解説

土地を相続した場合、その土地を売却するには名義変更が必要となります。

名義変更は分割の方法によって必要書類が若干異なるため、分割方法と名義変更をセットで理解することがポイントです。

この記事では「相続した土地売却の名義変更」について解説します。

名義変更の必要書類や名義変更に必要な費用、土地の名義変更でよくある質問について紹介します。

ぜひ最後までご覧ください。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 相続した不動産を売却するのになぜ名義変更が必要?
  • 名義変更の3つの方法とは?
  • 土地の名義変更でよくある質問とは
株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。

資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士

1.相続した土地を売却するためには名義変更が必要な理由

相続した土地を売却するには、原則として名義変更が必要です。

名義変更は、購入検討者に対し所有者を明確にするために必要となります。

2021年2月時点では相続した不動産の名義変更の義務化が国で審議中ですが、今のところ、まだ法律上は相続した物件の名義変更は義務化されていない状態です。

しかし以前から、相続した不動産を売却する上では、実務上名義変更が必要となっているのでその理由を解説します。

名義変更をしないと起きうるリスクとは

相続した物件は、分割しなければ相続人の共有状態で引き継いだままです。

土地の名義が被相続人(亡くなった人)のままだと、購入希望者からは売主が誰なのかよくわからない状態となります。

共有状態かもしれない不動産を購入すると、例えば後から隠し子の相続人が現れて「自分も共有者の一人で売却には反対だ」と主張されてしまうリスクもあります。

共有物件の売却は、共有者全員の同意が必要ですので、予想していなかった共有者に売却を反対されてしまうと、契約が成立しなくなってしまうのです。

名義が被相続人(亡くなった人)のままだとこのようなリスクがあり、購入希望者にとって「買えない恐れがある物件」となるため売却しにくくなります

よって、相続した物件は必ず名義変更してから売却する必要があるのです。

2.名義変更の3つの方法と必要書類

それでは次に、名義変更の3つの方法と必要書類について解説します。

法定相続による名義変更

法定相続とは、法定持分割合でそのまま共有で相続することです。

法定相続のメリット

法定相続による売却では、売却後の現金を法定持分割合に応じて公平に分割できる点がメリットです。

相続人間で財産を公平に分け合いたい場合には、法定相続による名義変更がよく行われます。

法定相続のデメリット

ただし、法定相続では共有物件の売却となるため、共有者全員が売主として売買契約に立ち会う必要がある・共有者全員の同意が必要など、手続きが煩雑になる点はデメリットです。

法定相続の際の必要書類

法定相続による名義変更の必要書類は以下の通りです。

【法定相続による名義変更の必要書類】

      • 被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本
      • 被相続人の除住民票
      • 相続人全員の戸籍謄本
      • 相続人全員の住民票
      • 固定資産税評価証明書
      • 相続関係説明図(任意)

最後に挙げた「相続関係説明図」とは、相続人の関係性を表した模式図のことです。

こちらは任意であり相続関係説明図に決まった書式はありませんが、相続関係説明図も添付すると戸籍謄本の原本を返してもらうことができるというメリットがあります。

相続関係説明図は、下図のような書式で問題ありませんので参考にして作成してみましょう。

【相続関係説明図の参考書式】

 

遺言による名義変更

遺言が残されている場合には、遺言により名義変更を行います。

遺言とは、被相続人(亡くなった人)の生前の意思により遺産の分割方法を決めることができる書面のことです。

遺言書が残されていれば、原則として分割は遺言書に従わなければならないので、相続が発生したら最初に遺言書を探すことがポイントとなります。

遺言による名義変更の際の必要書類

遺言による名義変更の必要書類は以下の通りです。

【遺言による名義変更の必要書類】

    • 遺言証書
    • 遺言者の死亡事項の記載のある除籍謄本
    • 遺言により相続する相続人の住民票
    • 固定資産税評価証明書
    • 受遺者の戸籍謄本
    • 相続関係説明図(任意)

遺言書には主に自筆遺言公正証書遺言の2種類があります。

自筆遺言の場合には、名義変更を行う前に家庭裁判所による検認の手続き(※)をし、開封は家庭裁判所で行う必要があります。

※検認とは、家庭裁判所による遺言書の存在および内容の確認のこと

家庭裁判所以外で開封すると過料の制裁対象でとなりますので注意してください。

また、遺言書が公正証書遺言の場合は、検認は不要となります。

遺産分割協議による名義変更

遺産分割協議とは、被相続人(亡くなった人)が死亡した後、相続人の意思によって分割方法を決める話合いのことです。

遺産分割協議は、以下のようなケースで行います。

【遺産分割協議を行うケース】

    • 法定相続以外の方法で特定の相続人に遺産を引き継がせたいケース
    • 遺言書があっても遺言書とは異なる方法で分割したいケース

遺産分割協議による名義変更を行う場合には、遺産分割協議書(※)の作成が必要です。

※遺産分割協議書とは、遺産分割協議で決めた内容を記載した書面のこと

遺産分割協議による名義変更の必要書類

遺産分割協議による名義変更の必要書類は以下の通りです。

【遺産分割協議による名義変更の必要書類】

    • 遺産分割協議書(相続人全員自署・実印押印・印鑑証明書添付)
    • 被相続人の10歳前後から死亡に至るまでの継続した全ての戸籍謄本
    • 被相続人の除住民票
    • 相続人全員の戸籍謄本
    • 相続人全員の住民票
    • 固定資産税評価証明書
    • 相続関係説明図(任意)

遺産分割協議を成立させるためには相続人全員の同意が必要で、遺産分割協議書は相続人全員の署名押印が必要です。

遺産分割協議書は形式要件を間違えると無効となってしまうため、司法書士等の専門家に作成を依頼することが一般的となっています

遺産分割協議書の作成費用は、遺産総額の0.5%~1%ほどが相場です。

3.名義変更に必要な費用

この章では名義変更に必要な費用について解説します。

登録免許税

名義変更を行う場合、登録免許税が生じます。

登録免許税とは、登記内容を変更する際、法務局に支払う手数料のような税金のことです。

相続のために行う名義変更の登録免許税は以下の式で求められます。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%

所有権移転登記の税率は目的ごとによって異なり、「相続・合併」を目的とする登録免許税は「0.4%」です。

固定資産税評価額とは、固定資産税納税通知書に記載されている「価格」を用います。

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地なら登録免許税は4万円です。

司法書士手数料

相続登記を司法書士に依頼すると、司法書士手数料も生じます。司法書士手数料の相場は、下表の通りです。

地区低額者10%の平均全体の平均値高額者10%の平均
北海道地区28,320円60,983円97,843円
東北地区35,457円60,667円99,733円
関東地区39,212円65,800円103,350円
中部地区37,949円63,470円116,580円
近畿地区45,842円78,326円118,734円
中国地区37,037円65,670円111,096円
四国地区40,683円65,578円99,947円
九州地区38,021円62,281円96,892円

出典:司法書士連合会「報酬アンケート結果(2018年1月実施)

上表の手数料は、相続を原因とする土地1筆及び建物1棟(固定資産評価額の合計1,000万円)の所有権移転登記手続の代理業務を受任し,戸籍謄本等5通の交付請求,登記原因証明情報(遺産分割協議書及び相続関係説明図)の作成及び登記申請の代理をした場合の金額です。

司法書士手数料は、概ね6~8万円程度のイメージとなります。

4.土地を売却をするには

ここまで、名義変更の方法について解説してきました。

実際に土地の売却を検討する際には、土地の見積もりだけではなく手続きなども含めて色々と相談してみましょう。

まず、不動産の売却は、不動産会社に査定してもらうところからスタートします。

しかし、あくまで査定額は不動産会社がいくらで売れそうなのか判断した価格です。

不動産会社ごとに、実績や算出方法が異なるので、不動産会社によって査定額がバラバラになってしまうことが一般的です。

さらに、物件のエリアや物件種別などで各不動産会社、得意・不得意とする領域が存在しています。

その為、不動産査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することがとても大切です。

不動産会社には、物件の種別やエリアによって得意・不得意がある

自分の物件が得意な不動産会社に頼むことが重要なポイント

ただ、自分の物件が得意そうな不動産会社を探すのは、素人にはなかなか難しいのが現実です。

複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのはとても大変です。

そんな時に不動産一括査定サイトの活用を強くオススメします。

不動産一括査定とは、売却を検討している不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社から不動産の売却価格の査定を出してもらうことができるサービスのこと

便利な不動産一括査定サイトですが、筆者が知っているだけでも30はあります。

多くのサイトが乱立し、どのサイトを使えば良いか素人には分かりづらくなってしまっています。

実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つをオススメします。

一括査定サイトのオススメ3選

  1. 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
  2. NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
  3. 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール
  4. ※番外:一括査定と合わせて使うことで効果を発揮する「 SRE不動産(※旧ソニー不動産)

実績や信頼性はもちろんですが、上記3サイトは、机上査定での査定依頼が出来る点も大きなポイントになります。

机上査定とは、依頼時に入力した物件の基本情報を基に算出する査定方法で、不動産会社の担当者に物件を見てもらう必要もなく、家に居ながら気軽に査定額を知ることが可能です。

依頼時にメールで査定額を提示して欲しい旨を備考欄で伝えておけば、査定結果や担当者とのやり取りはメールで進むので、営業電話にも悩まずにやり取りすることも可能です。

オススメサイトの併用が鉄則

一括査定サイトごとに提携会社の性質は異なります。

都心に強い大手不動産会社に絞って提携している一括査定サイトもあれば、マンション売却に特化した不動産会社に絞って提携している一括査定サイトもあります。

自分にピッタリの不動産会社を見つける為には、複数の一括査定サイトの併用がオススメです。

サイト選びのポイントとしては、下記のような使い分けがいいでしょう。

所在地別地域毎のおすすめ

対象物件種別

おすすめポイント

物件所在地に応じたおすすめの使い方

不動産一括査定は、各社の特徴を活かして、複数社への査定依頼がおすすめです。

都心(東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都・奈良)の場合

一括査定サイトの他にも、売主専門の不動産仲介会社SRE不動産への相談がおすすめ

県庁所在地など比較的人口が多い都市の場合

すまいValueで大手へ、HOME4Uで地元密着から大手へ査定依頼することで漏れなくチェック

田舎など人口が少ない都市の場合

地方の提携企業も多いHOME4Uとイエウールの併用使いがおすすめ

査定対象の物件種別を比較

  • ◎特化してる
  • ○対応している
  • △要相談
  • ×対応していない
サイト名戸建マンション土地投資物件農地
○○○△△
○○○△△
○○○△○
○○○○×
○○○××
×◎×××
○○○△○
○○○△△
サイト名戸建マンション土地投資物件農地

提携会社数・特徴

サイト名提携会社数特徴公式サイト
大手不動産6社
※小田急不動産、住友不動産販売、野村の仲介、三菱地所ハウスネット、東急リバブル、三井のリハウス
・大手不動産6社にまとめて査定依頼できる
※この6社に依頼できるのはすまいValueのみ
公式サイト
1,300社以上・NTTグループで安心、実績も抜群
・フリーダイヤルの相談窓口あり
・大手、中堅、地域密着の会社にバランスよく依頼できる
公式サイト
1,600社以上・地方や田舎に強い公式サイト
1,800社以上・匿名査定対応
・地方含めて対応エリアが広い
公式サイト
2,000店舗以上・不動産メディア認知度No.1
・最大10社から一括査定可能
・不動産会社の特徴で選べる
公式サイト
2,500店舗以上・マンションに特化
・賃貸も同時査定可能
公式サイト
1,700社以上・サポート体制が充実
・様々な物件種別に対応
公式サイト
約700社以上・収益物件に特化
・最大10社から一括査定可能
公式サイト

5.土地の名義変更でよくある質問

この章では、土地の名義変更でよくある質問について解説します。

名義変更のタイミングはいつすべきですか?

特に決まりはありませんが、不動産会社に査定を依頼する前に名義変更ができているとベストです。

名義変更がされていないとすぐに売れる状態とは言えないため、不動産会社も売却に積極的に協力をしてくれないことがあります。

多くの不動産会社の協力を得やすくするためにも、査定前に名義変更を完了しておくことをおススメします。

名義変更完了前に売却活動はできますか?

結論からすると、名義変更完了前でも売却活動することはできます。

ただし、購入希望者を安心させるためには、全相続人が確定できる書類を提示できる準備をしながら売却活動を始めることが適切です。

具体的には、「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」等をご用意ください。

名義変更の手続きは売却活動と並行で進めて行き、最終的には移転登記の完了をもって買主と売買契約を締結します。

共有で売却するときの注意点はありますか?

共有物を売却するときは、売却することについて共有者全員の同意が必要です。共有者全員の同意を得る上でポイントとなるのが売却価格です。

いくら以上で売るか、売り出し価格はいくらにするか等を共有者全員で決めておく必要があります。

売却前に価格を十分に調べておく必要があるので、査定は複数の不動会社に依頼し、全員で売却価格を客観的に予想しておくことがポイントです。

特定の相続人に名義変更して売却後の現金をわけることはできますか?

特定の相続人に名義変更してから売却後に現金を相続人間で分けることは可能です。

ただし、一旦特定の人に名義変更してから現金を移動させると贈与とみなされるため、現金を受け取る側の人に贈与税が生じます

贈与税を生じさせないようにするには、遺産分割協議書に換価分割を前提とした分割であることを明記しておくことが必要です。

換価分割とは、不動産を現金に変えて相続人間で遺産を分割することを指します。

つまり特定の相続人に名義変更した後に売却した現金を分ける場合、「遺産分割協議書の作成」「遺産分割協議書への注意書き」の2点が必要となります。

土地相続の名義変更は自分でもできますか?

土地相続の名義変更は司法書士に依頼せずに自分で行うことも可能です。

法務局は国の役所ですので、管轄の法務局に出向くと登記の変更の仕方を丁寧に教えてくれます。

まず、対象地を管轄している法務局を調べ、事前に電話して必要書類を聞いてから行うとスムーズです。

登録免許税は、法務局で支払いますので、お金も持参してください。

長年にわたり相続登記が行われていない場合はどうしたらいいですか?

複数世代に渡って相続登記が行われていない場合は、未移転時点に遡って登記を変更する必要があります。

例えば父が死亡した際、名義が祖父のままになっているケースでは、祖父の代から遡って名義変更を行います。

この場合、祖父が死亡した時点の法定相続人を確認することが必要です。

父が100%相続しておらず、父のほかに兄弟等の相続人がいた場合、当該相続人とともに共有で相続したことになるため、それぞれの持分に応じた登記を行う必要があります。

過去の経緯を遡り、誰がどのように相続したのか確認することがポイントです。

複数代に及ぶ名義変更の手続きは非常に煩雑なため、専門家の司法書士に任せることをおススメします。

まとめ

以上、相続した土地売却の名義変更について解説してきました。

相続した土地を売却するには、売主を明確にするために名義変更が必要です。

名義変更に必要な書類は、「法定相続」や「遺言」「遺産分割協議」によって必要書類が若干異なります。

名義変更には登録免許税と司法書士手数料が必要です。

名義変更の概要が理解できたら、早速に名義変更に着手してみましょう。

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