投資用マンションの売却方法には、仲介会社を介して売却する「仲介」と、下取りとして不動産会社に直接売る「買取」の2種類があります。
入居者が賃貸中である投資用マンションも「買取」による売却は可能です。
買取には、不動産会社に直接売却するため、売却活動時間を大幅に短縮されるので、早くて数週間以内に完了し、不動産売却をスピーディーに進めたい人にとって、大きなメリットと言えます。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 投資用マンションで買取をするメリットとデメリットを知りたい
- 投資用マンションを買取で売却する流れを知りたい
- 投資用マンションを買取で売却する際の注意点を知りたい
そこで今回の記事では「買取による投資用マンション売却」について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
-
【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
1.投資用マンションを買取で売却するメリット
最初に投資用マンションを買取で売却するメリットについて解説します。
買取による投資用マンション売却には、以下の3つのメリットがあります。
買取の3つのメリット
- 早く売れる
- 確実に売れる
- 仲介手数料がかからない
早く売れる
投資用マンションを買取で売却する1つ目のメリットは、早く売れるという点です。
投資用マンションに限らず、不動産売却は一定数の購入希望者に売物件として認知されるまでそれなりの時間を要するため、時間がかかります。
仲介の場合、インターネット上に物件広告を出しても、ある程度の人数に見てもらうためには、情報を一定の期間公開し続ける必要があり、情報の公開期間が3ヶ月程度は必要なことが多いです。
一方で、買取の場合、買取業者がそのまま買主になるため、物件を買主に認知されるまでの時間が不要で、売主が買主が提示した買取価格に納得すれば売却はスムーズに完了します。
買取の場合、早ければ1~2週間程度で売却できることから、すぐにでも現金化したい人にオススメとなります。
確実に売れる
投資用マンションを買取で売却する2つ目のメリットは、確実に売れるという点です。
買取の査定は「これから投資用マンションを買う人が買取価格を提示する」という点で買取の意思が明確であるため、確実に売却することが可能です。
一方で、仲介の査定は、「これから買主を探す人が売却予想価格を提示する」という点が特徴となっています。
あくまでも予想であるため、誰がいくらで買うのかは査定の時点ではわからないといえます。
また、仲介では「いつ売却できるのか」ということも正直分かりません。
目安として、仲介の売却期間は3ヶ月程度というものがありますが、必ずしも3ヶ月で売却できる保証はないことも特徴です。
買取では査定の時点で「買取業者が、いつ、いくらで買うか」という点が明確になります。
そのため「なるべく早く確実に現金が欲しい」という方には買取がオススメです。
仲介手数料がかからない
投資用マンションを買取で売却する3つ目のメリットは、仲介手数料が不要となる点です。
仲介手数料とは、住宅の売買や賃貸借の取引の際、売主と買主の間に入って意見の調整や契約事務などを行う不動産会社(仲介会社)に支払う手数料のこと
買取は仲介ではなく、不動産会社が直接購入することから、そもそも仲介手数料という概念がありません。
不動産会社は買取した投資用マンションを転売することによって利益を確保するため、何らかの手数料を要求されることもないです。
一方で、仲介の売却では、不動産会社に対して仲介手数料の支払いが生じます。
仲介手数料については、下表のように不動産会社が受領できる上限額が定められています。
取引額※1(売買金額) | 仲介手数料の上限額(税抜き速算式) |
---|---|
200万円以下 | 5%(18万円※2) |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円(18万円※2) |
400万円超 | 3%+6万円 |
※1取引額は、物件の本体価格をいい、消費税を含まない価格を指します。
※2空き家などの現地調査が必要な取引の場合(2018年より施行 出典:国土交通省より)
マンションは、売却額が400万円超となることが多いです。
そのため、マンションの仲介手数料は、ほぼ「取引価格×3%+6万円」となることがほとんど。
例えば、3,000万円でマンションを売却した場合の仲介手数料は以下のように計算されます。
仲介手数料 = 3,000万円 × 3% + 6万円 = 90万円 + 6万円 = 96万円
仲介手数料には消費税がかかります。
消費税を考慮すると、仲介手数料は以下のようになります。
仲介手数料 = (3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.10 = (90万円 + 6万円) × 1.10 = 105.6万円
仲介手数料は、不動産の売却に要する費用の中で最も大きな費用です。
買取での投資用マンション売却は、仲介手数料が不要となるため、大きなメリットといえます。
次に投資用マンションを買取で売却するデメリットについて見ていきましょう。
2.投資用マンションを買取で売却するデメリット
買取による投資用マンション売却には、主に以下の点がデメリットです。
買取のデメリット
- 買取価格が安くなる
買取価格が安くなる
買取の最大のデメリットは、売却価格が安くなるという点です。
一般的に、買取の売却価格は仲介の80%程度の価格が相場です。
売却までの時間や手間を大幅に削減できるメリットがある一方、売却価格は低くなる可能性があります。
売却価格が低くなる理由は、買取業者はあなたから買い取った物件に自分達の利益を乗せて再販するからです。
つまり、物件を再販した際に売れると踏んだ価格から
- 粗利益
- 業者が金融機関から融資を受けた場合の事務手数料
- 売主からもらえなかった仲介手数料分の金額(人件費)
と言った費用を差し引いて、買取価格を算出しているため、仲介に比べて価格が安くなりやすいのです。
買取の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
-
不動産買取のメリット・デメリットは?仲介との違いや手順を徹底解説!
「不動産の買取ってどういう仕組み?」 「不動産買取と仲介ってどっちがいいの?」 「買取のデメリットは何があるの?」 不動 ...
続きを見る
買取価格が安くなるデメリットを少しでも解消するには、複数の買取業者に買取価格の査定を依頼して、高い価格を提示してくれる買取業者を探すことがポイントです。
買取の場合、「査定価格イコール売却価格」ですので、最初の査定で頑張って高く買ってくれる買取業者を見つけることが失敗しないためのコツとなります。
次に投資用マンションを買取で売却する流れについて見ていきましょう。
3.投資用マンションを買取で売却する流れ
この章では買取の流れについて解説します。
比較のために、買取と仲介の流れを並列して示します。
買取も仲介も最初に行うのは査定です。
買取では、売主が査定価格に納得したら、すぐに売買契約に移行することができます。
買取は「査定価格 = 売却価格」ですので、売主さえ買取価格に納得すれば、買取は終了となります。
一方で、仲介の場合は、査定価格はあくまでも売却予想価格になります。
納得できる売却予想価格を提示してくれた不動産会社と媒介契約を締結することが必要です。
媒介契約とは仲介を依頼する不動産会社との契約のこと
媒介契約については、以下の記事で詳しく解説しています。
-
一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の特徴とそれぞれの違い
媒介とは仲介やあっせんのこと 一般的には仲介と言うことの方が多いですが、法律用語で仲介のことを媒介と呼んでいます。 こん ...
続きを見る
仲介では、媒介契約を締結したら、そこから売却活動を開始し、売却活動の期間は3ヶ月程度です。
買取も仲介も、売買契約と引渡を別日で分けて行う形が基本です。
仲介の場合は、売買契約から引渡までの間が1ヶ月程度かかります。
それに対して、買取では、買取業者の応諾が取れれば売買契約と引渡日を同日にすることも可能です。
そのため、買取では査定から引渡まで1~2週間程度で終わらせることもできます。
仲介の場合、現金化するまで最短でも4.5か月程度はかかりますが、買取なら1~2週間程度で現金化できますので、売却までの期間が圧倒的に短いことが特徴です。
これまで買取と仲介を比較しながら、流れについて見てきましたが、次に投資用マンションを買取で売却する際の注意点についてお伝えします。
4.投資用マンションを買取で売却する際の5つの注意点
投資用マンションの買取は、専有部内に借主が居住中であるため、不動産会社が内部を確認せずに資料だけで即決して買取することが多いです。
そこでこの章では、不動産会社に少しでも高く購入することを即決してもらうための5つの注意点についてお伝えします。
投資用マンションを買取で売却する際の5つの注意点
①空室は埋めた状態で売ること
投資用マンションを高く売るなら、空室は埋めた状態で売ることがコツです。
空室が埋まっていない物件だと、買い取った不動産会社にその物件を収益物件に仕立て上げる手間が生じます。
転売するまでの保有期間の間、不動産会社には賃料収入が生じないわけですから、その分、買取価格は安くなります。
場合によっては、買取業者が買取後にリフォームを行うケースもあるため、リフォーム費用も価格が安くなる原因となります。
手間のかかる物件は安く購入しないと買取業者の投資採算性が合いません。
入居者が埋まっている状況の物件であれば、買取業者は手間をかけずにすぐに転売することができるため、入居中の物件の方が高く売ることができるのです。
②管理費や修繕積立金の滞納は解消しておくこと
投資用マンションの買取価格をできるだけ高くするには、管理費や修繕積立金の滞納は解消しておくことがポイントです。
管理費や修繕積立金の滞納があると未納分は、購入後、買取業者が納める必要があるため、買取価格が安くなりやすいです。
管理費や修繕積立金の滞納があっても買取で売却することは可能ですが、少しでも高く売りたいのであれば、管理費や修繕積立金の滞納はできる限り解消しておくようにしましょう。
③修繕履歴や滞納状況をまとめておくこと
投資用マンションの買取を依頼する際は、修繕履歴や滞納状況をまとめておくこともポイントです。
リフォームや設備交換等の修繕を行っている場合は、できるだけアピールすることが高く売却するコツとなります。
また、管理組合が行った大規模修繕についてもプラス材料となりますので、直近5年くらいに行われた修繕内容を伝えることもオススメします。
一方で、今の借主に家賃滞納の履歴があった場合には、その事実を伝える必要があります。
預かっていた敷金から家賃滞納分を充当している場合には、買取業者に対し充当分を差し引いた敷金を承継する必要があるからです。
家賃滞納がなければ、「ない」と伝えれば問題ありません。
修繕履歴や滞納状況は、査定時に買取業者から質問されますので、回答できるようにまとめておきましょう。
④賃貸借契約書の写しを用意しておくこと
投資用マンションで買取の査定を依頼する際は、あらかじめ賃貸借契約書の写しを用意しておくことがポイントです。
投資用マンションの買取は、借主が入居中であるため、買取業者が中を見ることができないため、客観的な資料を元に価格を算出します。
資料の中で、買取業者が最も重視する資料は今の入居者との「賃貸借契約書」です。
賃貸借契約書には、賃料や敷金の額、契約期間、禁止事項、原状回復の範囲、連帯保証人の有無等が記載されており、査定に必要な情報ばかりです。
原本でなく、写し(コピー)を用意しておけば、複数の買取業者に査定を依頼して最も高い査定額の買取業者を選ぶこともできます。
複数の買取業者に査定を依頼する予定の方は、査定を依頼する不動産会社の数だけ、賃貸借契約書の写しを用意しておきましょう。
⑤あなたの物件にピッタリの不動産会社に依頼すること
投資用マンションの買取で最も重要なことは、あなたの物件にピッタリの不動産会社を見つけることです。
不動産売却は不動産会社の力量にかかっていると言っても過言ではありません。
しかし、不動産買取を対応出来る不動産会社は限られています。
不動産買取をしてもらいたいと思っても、買取をしてもらえる業者を探すのに苦労するということです。
ただし、この点については、不動産一括査定サイトを使うことで解消できます。
不動産一括査定サイトとは、売却を検討している不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社から不動産の売却価格の査定を出してもらうことができるサービスのこと
一般的な不動産一括査定サイトで探す不動産会社は仲介がメインですが、中には「買取に特化している一括査定サイト」やもあります。
買取専門の一括査定サイト
例えば、買取専門の一括査定サイトには以下のようなものがあります。
買取専門の一括査定サイト
買取サイトを使えば買取業者同士に買取価格を競争させることができるため、少しでもいい条件で投資用マンションを売却できます。
また、買取査定後に「いや、そんな金額差だったら買取は嫌だよ…」と感じるようでしたら仲介をメインとする一般的な不動産一括査定サイトを使って、仲介での売却価格との比較検討もしてみましょう。
投資用物件でも活用できる一括査定サイト
仲介含めた一般的な不動産一括査定サイトでも、投資用マンションの早期売却などの要望を伝えて、査定依頼をお願いすることが可能です。
実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つをオススメします。
都市部での売却なら
超大手の不動産会社6社に唯一依頼が一括査定サイト「 すまいValue 」
東京・神奈川・千葉・埼玉・名古屋・大阪・兵庫・福岡といった都市部での売却なら活用マストです!
都市部以外での売却なら
上記サイトとセットで活用
投資物件の売却に特化した不動産一括査定サイト「 RE-Guide 」
上記2サイトと合わせて活用すると効果的です!
上記オススメサイトの査定依頼フォームでは、「物件の状態」と「賃料」を問う項目があるので、人に貸している投資用物件の場合は「賃貸中」にチェックの上、現在の賃料を入力しておきましょう。
投資用物件の査定は賃料が大きく関わってきますので、入力しておいた方が正確な査定結果を得ることができます。

「すまいvalue」入力画面
まとめ
買取による投資用マンション売却のメリットについて解説してきました。
買取には主に「早く売れる」「確実に売れる」といったメリットや、「売却価格が安くなる」といったデメリットがあります。
投資用マンションを買取で売却する際は、特に「投資用マンション専門の不動産会社に依頼すること」という点が重要で、買取の概要が把握できたら、専門の不動産会社に査定を依頼することをオススメします。
オススメの買取の一括査定サイト
一括査定サイトのオススメ3選