任意売却や競売の後も今の家に住み続けたい人向けのノウハウを徹底解説

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住宅ローンが払えなくなっても、細部までこだわって作った注文住宅などであれば今の家に住み続けたいと願う方も多いと思います。

結論からすると、任意売却を使えば今の家に住み続けることは可能です。

また競売になったとしても、今の家に住み続けることが全く不可能になるわけではありません。

今の家に住み続けたいと思う人の中には、

  • 離婚後、夫が住宅ローンを払えなくなったが今の家に住み続けたい
  • 細部までこだわって作った注文住宅だから、このまま今の家に住み続けたい
  • 競売になっても今の家に住み続けるにはどうしたら良いのか知りたい

等々のことを思っている方も多いことでしょう。

そこで今回の記事では、住宅ローンが払えなくなっても、今の家に「住み続けたい人」向けに、住み続けるにはどうしたら良いのかの方法について解説いたします。

この記事を読むことで、あなたは住宅ローンが払えない場合でも今の家に住み続ける方法について知ることができます。

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目次

1.住宅ローンが払えない場合の対処法

1-1.最初に行うのは返済額の減額交渉

住宅ローンを借りる際、家を担保に入れています。

これを、抵当権を設定していると言います。

住宅ローンが払えなくなると、担保に取られている家を売却することでローンを一括返済することになります。

売却によって、住宅ローンを一括返済する方法には、競売と任意売却の2つの方法があります。

これらの2つの方法の詳細については、後述します。

いずれにしても、一括返済は今の家を売却することになるため、家の所有者が変わってしまいます。

そのため、住宅ローンの返済ができなくなると、今の家に住み続けることはできないというのが、原則です。

住宅ローンが払えないと言っても、いきなり任意売却や競売になって売却されるわけではありません。

住宅ローンの支払いが難しくなってきた段階で、まずは銀行に相談して毎月の返済額を減らしてもらう交渉をすることが重要です。

1-2.リスケジュールとは

毎月の住宅ローンの返済額を減らしてもらうことをリスケジュールと呼びます。

例えば、毎月10万円の住宅ローン返済を、当面の間、6万円に下げてもらうといった交渉になります。

住宅ローンは、返済期間が長ければ長いほど、毎月の返済額が下がります。

同じ3,000万円(金利1.090%、元利均等返済、ボーナス返済無し)を借りても、20年で借りると毎月139,176円ですが、35年で借りると毎月85,949円に下がります。

このように返済スケジュールを再度見直して延長すると返済額が下がります。

このことをリスケジュールと呼びます。

リスケジュールを行えば、住宅ローンの返済を続けながら、今の家に住み続けることは可能です。

住宅ローンの支払いが出来なくなった場合、まずはリスケジュールができないかどうかを銀行に確認することが第一歩です。

1-3.他からの借入は絶対にNG

住宅ローンの支払いに困っている初期の段階では、他の消費者金融等からお金を借りることは絶対にしてはいけません。

他からお金を借りてしまうと、債権者(お金を貸す側の人)が増えてしまいます。

売却となった場合、今の家に住み続けるには任意売却が有効ですが、債権者が増えてしまうと任意売却が困難になってしまいます。

そのため、この段階で銀行への住宅ローンを返済するために、他からお金を借りることは絶対にNGです。

早めに銀行に申し出て、まずはリスケジュールができないかどうかを検討しましょう。

以上、ここまで住宅ローンが払えない場合の対処法について見てきました。

リスケジュールしても住宅ローンが払えない場合、いよいよ任意売却、もしくは競売になります。

そこで次に所有者が変わった場合における今の家に住み続ける方法について見ていきます。

2.住み続けるためのセールスアンドリースバックとは

2-1.売却後に借りること

家の所有者が自分から、第三者に変わっても、そのまま第三者から借りて住めば今の家に住み続けることが可能です。

一度、売却して借り戻すという意味で、「セールスアンドリースバック」と呼ばれます。

長いので単純に「リースバック」と呼ぶことが多いです。

一般の方には聞きなれない言葉ですが、セールスアンドリースバックは特に新しい手法や、珍しい手法ではありません。

不動産業界の中では昔から良く行われている極めて一般的な手法です。

セールスアンドリースバックは、特段、住宅に限られた手法ではありません。

むしろ企業において良く使われています。

例えば、企業が資金繰りに困った場合、本社ビルを売却してそのまま借り続けるということを良く行います。

バブル崩壊時は、多くの大手企業がこぞってこの手法を取り入れ、借金を返済することで難局を乗り越えていました。

そのため、資金繰りに困った企業や、住宅ローンの支払いに困った個人がリースバックを行うことは珍しくありません。

企業の行うリースバックも、営業上、そのビルに「住み続けたい」というのが理由です。

個人の場合も、今の家に住み続けるには、リースバックを行うことになります。

2-2.リースバックのデメリット

ただし、リースバックでは、今の家を借りることになるため、住宅ローンではなく家賃が発生します。

決して今後の支払いが全て無くなり、楽になるわけではありません。

住み続けられるというメリットがある代わりに、家賃を払わなければならないというのがデメリットになります。

リースバックでは、多くの場合、今の住宅ローンよりも低い家賃を設定します。

支払額を減額するという点では、リスケジュールと変わりません。

しかもリスケジュールであれば、所有権もそのままです。

そのため、まずはリスケジュールの検討、その次にセールスアンドリースバックの検討の順番となるのが基本です。

以上、ここまで住み続けるためのセールスアンドリースバックについて見てきました。

セールスアンドリースバックを実現するには、買主がいることが前提となります。

そこで次に購入可能性のある人について見ていきましょう。

3.購入可能性のある人を見つける

家のリースバック物件は、そもそも住宅ローンが払えない人が行うため、家賃がとても低いです。

そのため、そのような家賃が低くでも購入してくれる人は限られます。

3-1.親族を検討

第一の候補としては、親や親せき等の親族です。

親であれば、当面、家賃をゼロにしてもらうことも可能です。

リースバックの所有者が親になるというケースでは、離婚した娘のために親が購入するというパターンが良く見受けられます。

娘が離婚した後、別れた旦那が住宅ローンを払えなくなり、家を売却して一括返済をしなければならないようなケースがあります。

旦那が浮気して離婚した場合、娘を不憫に思って家を買ってあげるのは親心です。

親が買ってくれる場合、その後の家賃も緩くできるため、最も話が丸く収まります。

ただし、親が買い取る場合は、親によほどの経済力がないと無理です。

親族は購入者の第一候補として最適ですが、経済力がある親族が存在するかどうかという点がネックになります。

3-2.投資家を検討

第二の候補者としては、投資家です。

具体的には、小さな不動産会社がリースバック物件を収益物件として購入してくれるケースがあります。

ただし、これにもさらに大きなネックがあります。それは売却価格です。

リースバック物件の家賃はとても安いため、収益物件として購入する投資家は、価格が安くなければ購入しません。

良くあるケースでは、住宅ローン残債が残りわずかであり、その金額スレスレで購入すれば、なんとか一定の利回りが確保できる状態というパターンです。

このようなケースであれば、投資家に購入してもらうことは可能です。

投資家へ売却する場合、まず住宅ローン残債がいくらかを把握する必要があります。

債権者(お金を貸している側の人)は、住宅ローン残債以上で売却できれば、抵当権の抹消を了解してくれます。

一方で、住宅ローン残債の価格では投資家が高過ぎて購入できないという話の場合、投資家への売却はできなくなります。

投資家へ売却する場合は、ローン残債が、投資家の投資採算性に見合う価格を下回っていることが条件になります。

以上、ここまで購入可能性のある人について見てきました。

それでは以下より具体的な売却方法について見ていきます。

まずはグレーゾーンでの売却検討が必要になりますので、グレーゾーン売却について見ていきます。

4.グレーゾーンでの売却も検討の1つ

4-1.期限の利益の喪失とは

住宅ローンが払えなくなった場合、いきなり競売になったり、任意売却ができる状態になったりする訳ではありません。

住宅ローンが3~6ヶ月滞納すると、「期限の利益の喪失」という状態になり、ここで初めて一括返済が迫られます。

一括返済が迫られると、任意売却か競売によって不動産を売却して住宅ローンを返済することになります。

本来、住宅ローンを借りている人には、長期間かけてお金を返せば良いと言う利益があります。

例えば、あなたが友人に100万円を貸すことを考えます。

100万円を貸す方からすると、不安なため、すぐに返してもらいたいのが人情です。

なかなか「35年かけてゆっくり返して良いから」という太っ腹な発言はしにくいものです。

銀行は、実際にローンを貸し出すときに、この太っ腹な約束をしてくれます。

貸す側としては、返済期限が長期であればあるほど、お金が途中で返ってこない可能性も増えるため、長期で貸すことは勇気が必要な行為になります。

そのため、長期間の期限で返済しても良いということは、債務者(お金を借りる側の人)にとって、かなりの利益があることになります。

これを「期限の利益」と言います。

ところが、債務者が住宅ローンの返済を滞らせると、債務者が当初の約束を破ったことになります。

滞納が3ヶ月以上続き、債権者(お金を貸す人)も我慢ができないという段階になれば、約束を破った債務者に対し「期限の利益」を取り上げます。

これが「期限の利益の喪失」です。

当初、35年間待ってあげると約束したにもかかわらず、債務者が約束を破ったため、債権者としては我慢ができません。

そこで今後はもう待たずに今ある不動産を売却して一括で住宅ローン残債することを要求してきます。

これが「期限の利益の喪失」による「一括返済請求」です。

競売や任意売却が可能になるのは、債権者から一括返済請求を受けた後からになります。

4-2.ブラックリストに載ってしまうというリスクあり

ここで、ポイントとなるのが、期限の利益の喪失まで、住宅ローンの滞納が3~6ヶ月あることが前提になりますが、住宅ローンの滞納を3~6ヶ月してしまうと、ブラックリストに載ってしまうという点です。

ブラックリストとは、信用情報機関に名前が登録されることを言います。

ブラックリストに登録されてしまうと、5~10年は新規の借入ができなくなります。

また新たにクレジットカードも作れません。

信用情報機関には、銀行系では全国銀行個人信用情報センター、信販・クレジット系では株式会社シー・アイ・シー、消費者金融系では株式会社日本信用情報機構があります。

これらの3つの機関は情報共有されており、どこかに記録が載ると全ての機関に名前が登録されてしまいます。

このように競売や任意売却では、期限の利益を喪失していることが前提なので、ブラックリストに載っている人が競売や任意売却を行うことになります。

競売や任意売却を行うとブラックリストに載るのではなく、正しくは、既にブラックリストに載っている人が競売や任意売却をするという点です。

4-3.グレーゾーン売却

一方で、住宅ローンをリスケジュールしている最中の人、または住宅ローンの滞納が1~2ヶ月程度の人は、ブラックリストには載っていません。

この状態は、通常、グレーゾーンと呼ばれています。

住宅ローンが払えなくなりそうになったら、まずはこのグレーゾーンの状態で売却できないかどうかを検討する必要があります。

クレーゾーン売却であれば、ブラックリストに記載される前に住宅ローンの残債を返済することができます。

まずは早い段階で第一候補者である親族に売却できないかどうかを検討するようにしましょう。

以上、ここまでグレーゾーンでの売却について見てきました。

グレーゾーン売却は、まだ比較的余裕のある人が行います。

本格的に住宅ローンが払えなくなると、競売もしくは任意売却になります。

そこで次に競売について解説していきます。

5.任意売却とよく似た「競売」とは

5-1.滞納から競売の申立てまで

競売とは、抵当権を実行することにより不動産を売却する法的手段です。

競売による売却は、抵当権を付けた債権者(銀行などのお金を貸す人)に認められた正当な権利になります。

競売や任意売却は、期限の利益を喪失した後の話になります。

期限の利益を喪失した段階では、住宅ローンの滞納で既に3~6ヶ月が経過している状態です。

期限の利益を喪失した後は、銀行の債権(お金を返してもらう権利)は、サービサーと呼ばれる債権回収会社へ移管されます。

この段階で銀行の手から離れます。

サービサーは銀行からお金を返してもらう権利である債権を引き継いでいるため、「お金を返せ」という権利もサービサーに移っています。

今まで銀行の立場がそっくりサービサーに移管されていると理解してください。

サービサーに債権が移管された後、1~2ヶ月でサービサーが裁判所に「競売の申立て」を行います。

すると、債務者(住宅ローンを借りている人)のところに、「競売開始決定」の通知が届きます。

ちなみに、この段階においても任意売却へ切り替えることは可能です。

任意売却の詳細は、後述します。

競売開始決定から1ヵ月ほどすると、裁判所から執行官や鑑定人が現地を訪れ、現状の調査が行われます。

国家権力による調査のため、これを断ることはできません。

仮にこの段階で夜逃げをしていたとしても、執行官は専門業者に鍵を空けさせて中に入ってきます。

5-2. 配当要求終期の公告から引渡まで

現状調査とほぼ同じ時期に、裁判所において「配当要求終期の公告」というものが行われます。

これは、裁判所で「今度、何処の○○という物件が競売しますよ」という発表をする行為になります。

この段階で、債務者の家が競売になることが、一般に知れ渡ります。

そのため、「配当要求終期の公告」以降、任意売却を勧めるDMや不動産会社が自宅に来て「任意売却しませんか?」とセールスしにくるようになります。

配当要求終期の公告から2ヶ月ほど経つと、鑑定人の鑑定によって、売却基準価額等が決まります。

また債務者のところにも入札の通知が来ます。

入札通知が来てから2ヶ月ほど経つと、競売情報がインターネットに公表されます。

ここから一気にスピードが速まります。

ここまでくると、競売期限が迫っているため、もはや任意売却へ切り替えることはできません。

インターネットに競売情報がでると、その2週間後に入札が開始されます。

入札は、開始してからわずか1週間で締め切りになります。

その後、再びスピードが遅くなります。

入札後、すぐに開札が行われますが、売却の決定は約1ヵ月後になります。

その後、1ヵ月後に物件の引渡が行われます。

競売は、住宅ローンの滞納から計算すると、入札までに10~14ヶ月ほど準備期間がかかります。

その一方で、実際の売却期間はインターネット上に情報が公開されてから入札締め切りまでたった3週間しかありません。

準備は異常に長く、売却期間は異常に短いというのが競売の特徴です。

以上、ここまで競売について見てきました。

では競売で今の家に住み続けることができるかどうかという点を見ていきます。

6.競売では難しい理由

6-1.落札できる保証がない

競売でセールスアンドリースバックが、「絶対に不可能か?」と言われれば、絶対に不可能ではありません。

競売であっても、リースバックしても良いと言う人が運良く落札してくれれば、競売であってもリースバックすることは可能です。

ところが、競売は売却が「入札形式」であるという点が、リースバックを難しくさせています。

例えば、仮に親が「リースバックしても良い」と言ってくれたとしても、親が確実に落札できるかどうか分かりません。

親よりも高い価格で入札に参加した人が現れれば、有無を言わさずその人に売却が決定されてしまいます。

6-2.研究すれば競売でも落札できる

ただし、親族が頑張ってくれて、結果的に競売でも落札できたというケースはないわけではありません。

競売は、過去の落札結果状況が開示されていますので、どの程度の金額を入れれば落札できそうかというのを事前に研究することができます。

実際、競売で専門に物件を購入する業者は過去の結果を参考にして応札する価格を決めています。

そのため、ある程度、専門業者が入れてきそうな金額は、事前に把握することが可能です。

専門業者が応札してきそうな水準をやや上回る数字を入札すれば、競売でもセールスアンドリースバックを成立させることは不可能ではありません。

以上、ここまで競売では難しい理由について見てきました。

競売ではセールスアンドリースバックが難しいとなると、残る手段は任意売却です。

そこで次は任意売却について見ていくことにしましょう。

7.最終手段の任意売却

7-1.競売によらない回収方法のこと

住宅ローンを払えなくなっても、家に住み続けたい人が、現実的に取る手段は任意売却です。

任意売却は、通称、任売(ニンバイ)とも呼ばれています。

期限の利益を喪失した後は、住宅ローンの一括返済をすることになります。

この一括返済は、法的手段で行えば競売になりますが、債権者であるサービサーにとって見ると、別に返済方法を競売だけに限る必要はありません。

債務者が普通に売却してもらい、その売却金額で住宅ローン残債が返ってくるのであれば、競売に頼らず任意で売却してもらっても構わないわけです。

この競売によらない売却を「任意売却」と呼びます。

任意売却は、あくまでも期限の利益が喪失した後の一括返済が請求された後の売却のことを指します。

住宅ローンが残っていても、期限の利益を喪失していない人が行う売却は、普通の売却になります。

7-2.任意売却は買主を選べる点がメリット

任意売却は、基本的に普通の売却と同じですので、売主が買主を選ぶことができます。

ここが今の家に住み続けたい人にとって見ると、最大のメリットになります。

親や投資家など、買受人を自分で見つけ出すことができたら、その人に確実に売却することが可能です。

そのため、今の家に住み続けたい人は、基本的に任意売却を選択します。

ただし、銀行にとって任意売却は、抵当権を任意売却と同時に外すことになるため、売却後に何らかの原因で契約がやり直しや解除になるようなことは避けなければなりません。

任意売却では、買主に売買契約を後からひっくり返されないためにも、買主に対して以下のことを求めています。

  • 売主の瑕疵担保責任は免責されること
  • 補修必要箇所があっても現状のまま引渡し、容認すること
  • 実際の面積が異なっていても後から実測精算しない公簿売買とすること

これらの条件は、買主にとって見ると、いずれも不利な条件ばかりです。

親族等に売却するのであれば、これらの条件もあらかじめ了承しておいてもらう必要があります。

ただし、債務者本人が住み続ける場合、購入した親族が住むわけではないため、物件の不具合は特に気にならないはずです。

その点を踏まえて、買主を説得しましょう。

以上、ここまで任意売却について見てきました。

それでは任意売却をさらに理解するために、任売却のメリットとデメリットについて解説します。

8.任意売却のメリットとデメリット

8-1.任意売却のメリット

まずメリットについて説明します。

第一のメリットは、先ほどもお伝えしたように任意売却は買受人を選べる点す。

買受人とは買主のことを指さします。

買受人を指定できる任意売却は、今の家に住み続けたい人にとって最も適した売却方法になります。

第二のメリットとしては、買受価格を調整できると言う点です。

債権者にとっても債務者にとっても、住宅ローンを完済できれば良いわけです。

そのため、必要以上に高く売る必要はありません。

ローン残債額で売却できれば任意売却は成立します。

特に投資家等の第三者に売却する場合、かなり割安感が無い限り、投資家は物件を購入してくれません。

価格が安くても、ローンが完済できれば任意売却は認められます。

投資家も購入できれば、住み続けたい債務者も、債権者も、投資家も全員がハッピーになれます。

第三のメリットとしては、スピーディーに売却できるという点です。

任意売却をすることが決まれば、すぐに買受人に購入してもらい、問題を早く解決することができます。

競売の場合、入札が1年以上先になることもあるため、その間、ヤキモキしながら時を過ごすことになります。

任意売却であれば、問題を早く解決できるという点がメリットになります。

8-2.任意売却のデメリット

それでは次にデメリットについて見ていきます。

第一のデメリットとしては、任意売却では債権者の合意を得ることが必要である点です。

競売の申立てが行われてしまうと、その後は機械的に手続きが進みます。

その間に、債権者の合意を得て任意売却を成功させ、最終的には競売を取り下げてもらう必要があります。

仮に任意売却をすることの合意が得られても、完全に成功するまでは競売を取り下げてもらえません。

特に複数の債権者(お金を貸している人)がいる場合、合意を取り付けるのに困難を極めます。

住宅ローンが払えなくなった段階で、うかつに消費者金融に手を出してしまった人は、この段階で苦労します。

任意売却は債権者の合意が最大のハードルです。

第二のデメリットとしては、任意売却後もローン残債が残っていれば、その残債は返済すると言う点です。

この点は競売でも同様です。

任意売却後のローン残債も返済しなければならないことを考えると、任意売却では、そもそも安く売却するについて、債権者が合意しません。

売却後のローン残債は、資力信用のない債務者が引き続き返済することになるため、できるだけ小さくしておきたいという思惑が債権者にはあります。

そのため、親や投資家に売却する金額が、現在のローン残債を下回る状況の場合、債権者の頭の中では、本当にその買受人で良いかどうかの疑問が残ります。

任意売却による売却額が、ローン残債を下回る状況の場合では、親や投資家は、仮に第三者に任意売却をしたときと同等の金額で買い取ってもらう必要があります。

第三のデメリットとしては、債務者がブラックリストに載るという点です。

これは競売でも同様です。

ブラックリストへの掲載を回避するには、グレーゾーンのうちに売却するしかありません。

住み続けたい場合の任意売却は、住宅ローン残債以上の価格で購入してくれる親や投資家が見つかれば、それでほぼ解決できます。

そのため、わざわざ任意売却までしてブラックリストに載ってしまうことはありません。

グレーゾーンのうちに早めに親等に売却してしまい、ブラックリストに載る前に問題を解決してしまうことをオススメします。

以上、ここまで任意売却のメリットとデメリットについて見てきました。

では任意売却に実際に移行するにはどのようにしたら良いのでしょうか。

そこで、次に任意売却の要件について解説していきます。

9.任意売却の7つの要件

任意売却では、債権者の合意等、実行するためには他にも条件があります。

それらの条件は、下表に示す7つになります。

No.条件内容
1債権者の合意を得ていることサービサーや消費者金融等、お金を借りている全ての債権者の合意を得る必要があります。
2税の滞納等で物件が差押さえられていないこと差押がある場合、任意売却前に差押を解除しておく必要があります。
3売却活動時間が十分に確保されていること競売の入札期限が目前に迫っているような状態では任意売却はできません。
4市場価値のある物件であることすぐに売れず、市場価値の著しく低い不動産は認めてもらえません。
5共有者の同意が得られていること任意売却に限らず、共有物件の売却には共有物件の場合は、共有者全員の同意が必要です。
6連帯保証人の同意が得られていること連帯保証人がいる場合、同意を得ておく必要があります。
7一定額以上の管理費・修繕積立金の滞納がないこと多額の管理費・修繕積立金の滞納があると、任意売却を認めてもらえません。

任意売却の条件については、下記にに詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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特に、今後も住み続けたい場合には、債権者の合意を得ることが最大のポイントとなります。

それでは次に、債権者交渉のポイントについて紹介いたします。

10.債権者交渉のポイント

債権者との交渉は、買受人がローン残債以上支払えるか、もしくは支払えないかで大きく異なります。

10-1.買受人がローン残債以上を支払える場合

買受人がローン残債を支払い、任意売却で完売できるような状況であれば、特に問題はありません。

債権者が最も気にする点は、任意売却でローン残債が回収できるかどうかです。

債務者が、ローン残債を一括で支払うことのできる買主を連れてくるのであれば、それ以上の要求を突きつける理由はありません。

親族や不動産投資家が、ローン残債以上を支払うことができるかどうかが、成功に向けたポイントとなります。

10-2.買受人がローン残債を支払えない場合

買受人の購入額でローン残債を完済できない場合、交渉が難しくなります。

ただし、通常の任意売却でも、必ずしもローン残債以上で売却できるわけではないので、買受人の価格がローン残債を下回ったとしても、合意が得られないわけではありません。

住宅ローン残債が売却額よりも大きい場合を、オーバーローンと呼びます。
売却額が住宅ローン残債よりも大きい場合は、アンダーローンと呼びます。

債務者が主導で行う任意売却では、買受人は債務者自信が探してきます。

今の家に住み続けたい場合は、親族や不動産投資家を買受人として債権者に紹介することになります。

オーバーローンの場合、サービサー等の債権者にとって見ると、「本当にこの買受人に売却して良いのか」という点が問題になります。

本当はもっと高く購入してくれる人が他にいるのではないかと疑心暗鬼になるのです。

そのため、オーバーローンの場合、買受人が提示する購入額が、第三者に任意売却をしたときの売却額とそん色が見られない状態である必要があります。

例えば、親族が提示している購入額が、普通に任意売却をした場合に近い金額であれば、債権者も合意します。

10-3.任意売却の予想価額の調べ方

そこで、債権者と交渉するにあたっては、第三者に任意売却をした場合に売却できる価格を事前に調べる必要があります。

任意売却の売却予想額は、買取業者に売却した場合の価格が最も近いです。

買取業者へいくらで売れるかについては、買取の一括査定サイトを用いることで、比較的簡単に調べることが可能です。

不動産一括査定サービスとは?

インターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入力すると、その情報を元に査定先、売却先の不動産会社が自動的に抽出されて、複数の不動産会社に一度に査定依頼が行えるサービスです。
不動産一括査定のイメージ図

不動産一括査定のイメージ図

買受人が、住宅ローン残債の満額を支払えない場合は、まずは買取の一括査定を行って、第三者に任意売却した場合の価格を調べる必要があります。

そして買受人には、調査した価格になるべく近い価格を出してもらうようにします。

債権者には、買取の一括査定サイトで得た価格と、親族等が提示した価格の2つを持参します。

親族等の買取価格が、第三者に任意売却した場合とそん色のないことをアピールし、任意売却の合意を得るようにしましょう。

尚、買取価格を調べる方法については、下記で詳しく解説していますのでぜひご参照ください。

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以上、ここまで債権者交渉のポイントについて見てきました。

それでは次に任意売却が難しい案件の特徴について見ていきます。

11.任意売却が難しい案件の特徴

11-1.複数債権者がいる物件

任意売却は、繰り返しになりますが債権者の合意を得るところに大きなハードルがあります。

そのため、債権者が複数いるような物件であれば、任意売却が難しくなります。

任意売却では、売却額を債権者にどのように配分したら良いのか、配分額を話し合いで決めることになります。

競売であれば、配分方法も先順位の抵当権者が優先されるというルールが決まっているため、配分で揉めることはありません。

競売では、抵当権を先に設定した人が優先されます。

例えば、最初に銀行から住宅ローンを借りて、その後、消費者金融からも抵当権を付けてローンを借りたとします。

この場合、一番抵当権者は銀行で、二番抵当権者は消費者金融になります。

一番抵当権者のローン残債が2,000万円、二番抵当権者のローン残債が500万円の場合、競売の落札価格が1,900万円だとすると、1,900万円は全て一番抵当権者のものとなり、二番抵当権者は一円も入ってこないのが競売のルールです。

11-2.任意売却はルールが無いから配分で揉める

ところが、任意売却であればこのようなルールがないため、二番抵当権者にも回収のチャンスが出てきます。

二番抵当権者も少しでも債権を回収するため、担保解除料と呼ばれるいわゆるハンコ代を求めてきます。

ここで言うハンコとは、抵当権を抹消するための、ハンコを指します。

一方で、ハンコ代が発生すると、今後は一番抵当権者の取り分が減るため、一番抵当権者が良く思いません。

特に売却額がオーバーローンであれば、一番抵当権者の取り分は、減ってしまいます。

今度は一番抵当権者が任意売却を反対することになります。

このように債権者が複数いると、なかなか債権者の合意を得ることができません。

最終的に、任意売却の合意が得られない場合は、任意売却は失敗ということになります。

任意売却に失敗した場合、残された最終手段は競売になります。

競売でも親族等が落札してくれれば、住み続けることが可能です。

そこで次章からは競売について見ていきます。

14.最近の競売事情

14-1.競売入札に参加できる人

競売であっても、最終的にきちんと落札できれば、このまま住み続けることは可能です。

まず競売の入札ですが、「債務者本人」は入札に参加できません。

よって、債務者以外の親族であれば、入札には参加できます。

ただし、債務者の妻や子供については、そのお金の出所が債務者本人のものであると判明した場合には、落札しても売却許可がおりません。

同じ屋根の下に住む親族でも入札は参加できますが、お財布は債務者と別であることが条件です。

14-2.競売入札に良く参加している人

他の競売の参加者は、ほとんどが不動産会社です。

不動産会社は物件を競売で安く仕入れて転売することが目的で入札に参加してきます。

そのため、競売専門の業者は、なるべく低い価格で常にギリギリ落札できるところの価格水準を狙ってきます。

そのため、この水準を超えることができれば、素人でも落札は可能です。

競売専門業者の落札確率は、おおむね3分の1程度です。

プロは入札価格が拮抗するため、3回に1回程度しか落札できません。

逆に言えば、この拮抗している価格を一つ頭抜けた価格を提示すれば、競売でもかなりの確率で落札することができます

14-3.落札価格の傾向

過去の競売の落札結果は、裁判所の運営する不動産競売物件情報サイト(通称BIT)で公開されています。

BITでは、自分の物件が所属している裁判所の競売の落札結果を確認することが可能です。

ここで、実際にBITで掲示されている売却結果の一覧を見てみます。

例えば、東京地方裁判所の平成29年6月22日開札期日における戸建の売却結果は以下の通りです。

最右列の倍率とは売却価額を売却基準価額で割ったものであり、筆者が求めたものになります。

所在地売却基準価額(円)売却価額(円)倍率
足立区鹿浜六丁目14番地4411,360,00014,223,0001.3倍
台東区鳥越二丁目9番地536,570,00072,100,0002.0倍
足立区花畑四丁目35番地1618,200,00032,818,6671.8倍
足立区江北三丁目1008番地3,090,0003,333,3331.1倍
練馬区西大泉四丁目1418番地639,270,00053,801,1731.4倍
千代田区神田東松下町10番地3374,810,000871,000,0002.3倍
大田区田園調布本町43番地352,450,000120,000,0002.3倍
世田谷区等々力六丁目7番地4317,440,00042,300,0002.4倍
板橋区南町5番地2116,130,00027,889,1001.7倍
世田谷区瀬田五丁目207番地5061,080,00078,999,9991.3倍
世田谷区新町三丁目325番地1146,860,00078,960,0001.7倍
  平均値1.7倍

売却価額は実際の落札額になります。

売却基準価格は競売の鑑定評価額であり、売却基準価格の2割減額した価格を買受可能価額と呼ばれ、入札するときは買受可能価額以上の金額を提示します。

ここで注目したいのが、売却価額を売却基準価額で割った倍率です。

売却基準価額は入札の際、全員に情報として公開されます。

実際の落札価格は、売却基準価額の何倍くらいで落札されるのかというのが見るべきポイントになります。

上表では、倍率の平均値は1.7倍でした。

そのため、売却基準価額の1.7倍程度が、およその落札価格の目安になります。

物件の場所が良ければ、2.3~2.4倍の数値もあります。

競売で物件を確実に落札したいのであれば、おおむね売却基準価額の2倍程度の金額を入れることをオススメします。

良い場所の物件であれば、2.5倍程度が目安です。

都内の場合、過去の事例を見ても、競売の落札額は売却基準価額の2倍程度が多いです。

このように、競売の落札傾向を知っていれば、競売でも落札するのは必ずしも難しくはありません。

多少、余裕をもって3倍程度の金額を出せば、かなりの高い確率で落札できることが予想されます。

以上、ここまで最近の競売事情について見てきました。

自分の家に住み続けたい場合、競売になっても諦める必要はありません。

そこで、最後に競売のメリットについてご紹介します。

15.競売のメリット

競売は、全ての手続きが法律で定められているため、任意売却のように、債権者の合意を得ることや、配分を調整したり等の必要がありません。

そのため、債権者の合意を得ることが難しい複数の債権者が存在するような物件であれば、競売の方が楽です。

またオーバーローンのため、任意売却の売却価額が債権者の合意を得られないようなときも、競売の方が向いています。

競売では、全ての債権者が競売の落札額に従わざるを得ないため、価格に注文を出すことができません。

そのため、任意売却のように「価格が安いからダメ」という結果にはなり得ません。

競売は、落札できる保証がありませんが、BITで誰でも過去の落札額を確認できますので、傾向を研究することができます。

「これくらいなら落札できそうだな」というのが掴めれば、あとは落札額を決めて天に祈りをささげるだけです。

今の家に住み続けたい場合、任意売却だけが方法ではありません。

競売になっても、過去の落札価額を研究して傾向と対策を積めば、落札できる確率はかなり高くなります。

任意売却が駄目だった場合は、競売によるセールスアンドリースバックにチャレンジすることをオススメします。

16.まとめ

以上、任意売却や競売の後も今の家に住み続けたい人向けのノウハウを徹底解説してきました。

住宅ローンが払えなくなり、今の家に住み続けたい場合は、まずはリースバックを可能にしてくれる買主を探すことから始めます。

買主が見つかれば、まずはグレーゾーン売却です。

次に任意売却の可能性を探り、それが無理であれば競売にチャレンジすることになります。

競売になっても、最後まであきらめず、落札を目指すようにしましょう。

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