土地活用で知っておきたい定期借家・普通借家の基礎知識を徹底解説

投稿日:2017年10月6日 更新日:

賃料ももらうことで稼ぐ不動産投資では、賃貸借の知識が欠かせません。

物件を購入した後は、賃貸借の知識は必ず必要になります。

ところが、投資をする前は、利回りや物件選びに必死になり、賃貸借の知識がほとんどないまま不動産投資を始めてしまう人も多いです。

これから不動産投資を始めようとする人の中には、

  • オーナーとして最低限知っておきたい賃貸借の知識を知りたい
  • 新貸借の知識を得る機会がない
  • 賃貸借契約の知識が全くないので少し不安だ

等々のことを思っている方も多いことでしょう。

結論からすると、借地借家法ではオーナー側がとても弱い立場であるため、土地活用などの不動産投資を始める前は基礎的な知識を知っておく必要があります。

そこで今回の記事では「定期借家と普通借家」の基礎知識にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことで、あなたは定期借家と普通借家の違いを理解し、土地活用にどのような影響を及ぼすのか分かるようになります。

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1.定期借家と普通借家の違い

実は借家契約といっても「定期借家」と「普通借家」の2種類があります。

1-1.定期借家の特徴

定期借家契約とは、期間の定めのある建物の賃貸借契約で、かつ、契約の更新がなく契約終了時点で入居者が確実に退去しなければならない契約のことを指します。

定期借家制度は2000年に創設されました。

定期借家と普通借家の最大の違いは「更新」があるかどうかです。

定期借家契約では、更新という概念がなく、契約期間終了時点で、借家人が確実に退去することになります。

もし、定期借家契約で、借家人が引き続き借りたいという話があれば、そのときは「再契約」をすることになります。

仮に、オーナー側が再契約を望まない場合は、再契約はできなくなるため、入居者は退去という形になります。

定期借家契約は書面による契約が必要となりますが、必ずしも公正証書によらなければならないわけではありません。

借地借家法では公正証書「等」というように「等」を付けていますので、独自に作成した契約書でも定期借家は有効になります。

また、定期借家は契約前に、オーナー(賃貸人)が入居者(賃借人)に対し、定期借家である旨を「書面」で交付して説明する必要があります。

この書面交付が実務の上ではうっかり忘れられることがあるため、注意が必要です。

この書面交付義務を怠った場合は、たとえ定期借家契約書が締結されていたとしても、従来型の普通借家契約として扱われることになります。

後々の問題とならないよう、書面交付をした際は、入居者(賃借人)からも書面交付を受けたことを証す署名押印をもらっておくことが必要です。

1-2.定期借家の賃料相場

定期借家契約は、立退料が法外な価格となる店舗系の賃貸でかなり浸透してきています。

最近、都心部の店舗では、新たに出店する場合は、ほとんどが定期借家契約です。

普通借家契約の場合、店舗はオーナーから退去させようとすると、立退料を要求されます。

店舗の場合、立退料の中に「営業補償」を含みますので、その金額が億単位に上ることもあります。

店舗を退去させるのに、いちいち億単位のお金を払っていたら、オーナーは建替えすらできません。

店舗の立退きは、将来、建物が老朽化した場合のリスクになりますので、定期借家できちんと退去させられるようにしておくことが重要です。

オーナー側としては、店舗系の賃貸借は定期借家で行うことが浸透してきていることから、ほとんどが普通借家契約と変わりのない相場賃料で募集をしています。

店舗の場合は、定期借家契約と普通借家契約との間に、賃料差額はほぼないと言えます。

一方で、住宅の場合は、ほとんどが普通借家です。

住宅には立退料の中に「営業補償」は含まれませんので、立退料が法外になることはあまりありません。

そのため、住居系の賃貸借契約のほとんどは普通借家契約のままです。

逆に、定期借家契約で住居系の賃貸借契約を行うと、借手が不利となり需要がなくなるため、借手がほとんどつきません。

住居系の場合は、定期借家契約となると、その賃料は普通借家契約の50~60%程度となります。

尚、1階がコンビニで、2階以上が住宅のような「下駄履きマンション(1Fが店舗のマンションのこと)」に投資する場合、1階は定期借家契約、2階以上の住宅は普通借家契約と分けて契約することになります。

以上、ここまで定期借家について見てきました。

それでは次にもう一つの普通借家契約について見ていきます。

1-3.普通借家の特徴

前章までの説明で理解いただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、普通借家について説明します。

普通借家契約とは、更新のある契約です。

入居者(賃借人)の立場が強く守られているため、退去させたい場合は、正当事由(賃借人を退去させるに値する正当な理由のこと)が必要となります。

普通借家契約では、入居者が強烈に守られています。

例えば、オーナー側から賃料を上げたいと要望を出した場合、入居者がそれを拒んだとしても、それが理由で入居者を退去させることはできません。

賃料のことで揉めたとしても、入居者が今までの賃料をきちんと払っている限り、入居者はそのまま更新することができます。

これを法定更新と言います。

そのため家賃交渉に関しては、オーナー側が極端に弱い立場にあります。

賃上げを要求しても、そのまま居座られる可能性もあります。

一方で、入居者は家賃が高いと思えばいつでも退去できる立場にあります。

契約を切れるというカードは常に入居者(賃借人)側にあります。

そのため、仮に相場よりも高い賃料で貸していた場合、入居者から相場と同じにしてくれと言われてしまうと、要求をのまざるを得ません。

理由としては、もし今の入居者に退去されてしまったら、結局は相場の賃料でしか貸せないからです。

普通借家契約では、立退きが必ず問題となります。

将来、建替える際、入居者を簡単に退去させることができない点がリスクです。

立退きについては下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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1-4.アパートの空室保証

アパートなどの空室保証でサブリース会社との間で締結する賃貸借契約は、普通借家契約です。

サブリースといっても普通借家契約と変わりはないため、サブリース会社は賃下げ要求が可能です。

この論点は最高裁まで争われ、サブリース会社は家賃減額ができるということで判例まで出ています。

良く、空室保証のことを家賃保証と間違って表現する人がいますが、サブリースは決して固定の家賃は保証しません。

あくまでも空室保証であって、全体の賃料が下がれば家賃減額を要求してきます。

結局のところ、家賃の減額要求があるため、サブリース会社は空室リスクを取っていません。

アパート経営を始める方は、サブリースを行っても家賃減額はあり得るということを知っておく必要があります。

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以上、ここまで普通借家について見てきました。

「定期借家と普通借家はどのように見分けるのですか?」という質問をよく質問を受けることがあります。

そこで次に定期借家と普通借家の見分け方について見ていきます。

2.定期借家と普通借家の見分け方

普通借家契約にも、契約期間が「賃貸借期間は平成29年9月1日から平成31年8月31日までの2年間とする。」というように有限の契約期間が定められています。

そのため、この契約期間だけをみて「これは定期借家契約ですか?」と聞いてくる人がいます。

普通借家契約でもこのように契約期間は定められていますので、これだけで普通借家か定期借家かを見極めることはできません。

両者を見極めるポイントは「更新」規定の有無になります。

更新規定とは、以下のような条文です。

甲又は乙が、賃貸借期間満了の6か月前までに、相手方に対し更新しない旨の通知をしないときは、本件契約は同一条件でさらに2年間更新されるものとし、その後の期間満了についても同様とする。

定期借家契約には、このような更新規定はありません。

あるとすれば、以下のような再契約規定になります。

再契約規定は任意であるため、ない契約書もあります。

甲及び乙は、協議の上、本契約の期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約をすることができる。

両者を見極め方のポイントは、更新の規定があるかどうかです。

両者には立退きの他に、賃料改定で重要な違いがあります。

そこで次に賃料改定について見ていきます。

3.知っておきたい賃料改定

普通借家契約は、借家人が強烈に守られているため、入居者(賃借人)に不利な賃料改定の特約は無効になります。

例えば、普通借家契約の中に、「賃料は一定期間固定とし、減額できないものとする。」というような特約を見かけます。

このような特約を不減特約と呼びますが、

  • 普通借家契約ではこの不減特約は無効
  • 一方で定期借家契約では不減特約は有効

になります。

逆に、「賃料は増額できないものとする(不増特約)」というような借家人に有利な契約は、普通借家でも定期借家でも有効です。

また、例えば「賃料を3年ごとに5%ずつ増額する(自動増額特約)」というような契約も、バブルは有効と考えられていましたが、現在で基礎的事情が失われたため有効ではありません。

賃料改定の特約と、普通借家・定期借家との関係は以下のようになります。

契約条件  普通借家契約 定期借家契約
不減特約 無効 有効
不増特約 有効 有効
自動増額特約 有効ではない 有効

そのため、普通借家契約の場合、オーナーに有利な賃料改定特約を入れていたとしても、意味がないことになります。

アパートなどでサブリース会社とこのような契約を結んでいたとしても、普通借家契約では安心できないということを理解しておく必要があります。

5.まとめ

以上、土地活用で知っておきたい定期借家・普通借家の基礎知識を徹底解説について見てきました。

借地借家法があるため、オーナーは法的に弱い立場にいます。

法律上の関係を十分に踏まえて、土地活用を行いましょう。

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