不動産の売却期間は売主の「心の持ちようによって決まる」というのをご存知でしょうか。
これから不動産を売却する人の中には「不動産を売却するのに要する期間を知りたい」と思っている方も多いことでしょう。
そこで、今回の記事では不動産売却の必要な期間とあらかじめ準備しておくことについてまとめました。
不動産売却するまでにかかる期間や、不動産を予定通り売却するための準備、予定通りの期間に売却できなかった場合の対処法などをご紹介いたします。
-
【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。
資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格
1.不動産売却するまでにかかる期間は3ヶ月
一般的に、不動産の売却期間は3ヶ月間と言われています。
売れる時は3週間程度で売れてしまいますし、売れない時は10ヶ月以上かかる場合もあります。
3ヶ月と言うのはあくまでも一つの目安であり、誰もが3ヶ月で売却できるとは限らないのです。
査定は3カ月を前提に出している
不動産売却を行う前に「査定」を行います。
この査定額は3ヶ月程度で売却できることを前提とした金額を出しています。
一方で極端に短い期間で不動産の売却が行われるケースがあります。それは競売です。
競売とは、住宅ローンが払えなくなった場合に、抵当権のついている不動産を売却することによりローン残債を返済する「法的手段」
競売は2週間以内で入札が締め切られます。
競売のような短い期間の売却を前提とした価格は早期売却価格と言われます。
競売の売出価格である最低競売価格は通常価格の70%程度となっています。
安い価格で売り出せば、早く売却することが可能となるのです。
売出価格(査定額)が高すぎると売れない
反対に、売出価格を高く設定してしまうと、なかなか買手がつきません。
売却期間は3ヶ月以上かかってしまいます。
売出価格は売却期間を左右する最も大きな要因となります。
そのため、3ヶ月程度の期間で売却を終わらせるには、適正な売出価格の設定が必要となるのです。
売り出したら自然と3ヶ月で売れるのではなく、適正な売出価格を設定するから3ヶ月程度で売れるのです。
適正な売出価格については下記記事で詳しく解説しています。
-
統計データから分析!不動産売却で適正な売出価格の決め方と注意点
定価のない中古中宅は「値切ってなんぼ」の世界。 不動産は売出価格と成約価格が異なるのは常識です。 インターネットでは売出 ...
続きを見る
以上、不動産を売却するまでにかかる期間について見てきました。
それでは次に気になる不動産を予定通り売却するための準備について見ていきましょう。
2.不動産を予定通り売却するための2つの準備
不動産を適正な期間で売却するためには、適正な売出価格の設定が必要であることをお話ししました。
そこで、不動産を予定通り売却するには、大事な準備を2つ行う必要があります。
- いくらで売れそうかを知ること
- いくら以上なら売るかを決めておくこと
①いくらで売れそうかを知ること
まず1つ目の「いくらで売れそうかを知ること」についてお話しします。
つまり売れそうな相場を把握して、適正価格で売り出せば売れ残りは無いのです。
適正な売出価格を把握するために、査定は必ず複数社から取ってください。

査定額を比較するのが大切
1社だけの査定では、その査定額が高すぎるか安すぎるか分かりません。
複数社の査定額を見ることで適正価格が分かるようになるのです。
複数社の査定依頼は一括査定サイトが便利
複数社の査定依頼をするなら一括査定サイトが便利。
一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス

一括査定サービスの仕組み
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。

一括査定の流れ
一括査定サイトを利用すると、一気に複数社の査定額を受けることができます。
さらに机上査定を選べばメールで査定額をもらえるため大変便利。
一括査定査定を利用して、適正額を把握し、売り出し価格を決めるのが一番なのです。
一括査定サイトのオススメは
「すまいValue」「HOME4U」 
不動産一括査定は筆者が知っているだけでも30はあります。
その中でも
- 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
」
- 【1都3県・大阪・兵庫 限定】売主専門の数少ない不動産会社「 SRE不動産(※旧ソニー不動産)
」
- NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
」
- 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール
」
の4つを特にオススメしています。
筆者も不動産一括査定(「 すまいValue 」「 HOME4U
」「 イエウール
」)を利用しました。
下記は「 すまいValue 」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所ハウスネット」より、査定結果をもらった写真。
とても分厚い査定書を見ながら、3社ともに丁寧に説明をしていただきました。

不動産査定書を3社より入手


不動産一括査定の賢い使い方
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額提示を希望」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。


一括査定 | 机上査定 | 備考欄 |
---|---|---|
すまいValue | 〇 | 〇 |
HOME4U | 〇 | 〇 |
イエウール | 〇 | |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | 〇 | 〇 |
一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
-
不動産一括査定サイトは怪しくない?利用者のリアル評判とデメリット
不動産一括査定サイトのオススメを先に見たい人はコチラ マンションや一戸建て、土地などの「不動産を売りたい」と考え始めたと ...
続きを見る
②いくら以上なら売るかを決めておくこと
次に2つ目の「いくら以上なら売るかを決めておくこと」についてです。
つまり目標を決めておくことが大事です。
目標がないと、単純に高く売れればそれで良いという想いになるため、一番高い査定額を提示した不動産会社に依頼してしまいます。
ただし、前述の通り、適正な売出価格にしないといつまで経っても売れ残ってしまいます。
さらに、いつまでに売りたいという目標もないため、値下げにも応じず、高い価格設定のまま、ズルズルと売却活動が続くことがよくあります。
マーケットの外部事情と売主自身の内部事情
いくらで売るのか決めるのは売主自身の内部事情。
一方で「いくらで売れそうかを知ること」はマーケットの外部事情になります。
外部事情は自分で決めることは出来ませんが、内部事情は自分で決めるしかないのです。
「いくら以上なら売るか」というのは、売主の個人的な内部事情になります。
内部事情は売主それぞれによって異なります。
自分の貯蓄や次の新居に必要な頭金などによっても金額が変わってきます。
もちろん、どのような内部事情であっても高く売りたいというのは共通の想いです。
しかしながら「いくら以上なら売るか」はマーケットの外部事情を把握しないと決定できません。
高く売りたくても、マーケット価格を逸脱したハードルを設定することは出来ないからです。
ここまで不動産を予定通り売却するための準備について見てきました。
最後に予定通りの期間に売却できなかった場合の対処法についてご紹介します。
3.予定通りの期間に売却できなかった場合の3つの対処法
予定通りの期間に売却できなかった場合の対処方法としては、
- 値段を下げる
- 不動産会社を変える
- ①値段を下げると②不動産会社を変える
のミックスを行うという3通りの対処法が考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
対処法1.値段を下げる
初めに「①値段を下げる」についてお話しします。
多くの場合、実際の売却額は不動産会社の査定額よりも低くなるケースが多いです。
そのため、ほとんどの売主の方が最終的に値下げという行為を行っています。
それは不動産会社が「弊社ならこの金額で売却できますよ」と高い査定額だけを提示し、実際にはその金額では売れないというケースが多いためです。
そもそも売主の判断を誤らせるような高い査定額を提示する不動産会社も悪いのですが、それを盲目的に鵜呑みにしてしまう売主にも多少問題はあります。
結局のところ、不動産価格は「この不動産欲しい!」と思う買主が2人以上競合しない限り値段が吊り上がることはありません。
入札形式を取らない個人の不動産売却においては、基本的に相場よりも高い金額で売却をするのは難しいのです。
売出価格が少し高いかなと感じている人であれば、まずは相場程度に価格を見直す必要があります。
価格を下げることが早期に売却する最も効果的な対策となるのです。
対処法2.不動産会社を変える
次に「②不動産会社を変える」についてお話しします。
不動産会社と専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を結んでいる人は、通常、3ヶ月間の契約を締結している方が多いです。
3ヶ月以降は、この専任媒介契約は当然に更新される訳ではありません。
3ヶ月間、不動産会社に売却をさせてみて、結果が出ないようであれば、不動産会社を変えましょう。
この際、新たに不動産会社と契約する場合は、複数の会社と一般媒介契約を締結することをオススメします。
各社に「いくら以上であれば、早い者勝ちです」という条件を伝えておけば、その中でやる気のある会社は頑張って買主を見つけてくれます。
不動産会社にとってみれば、仲介手数料も早い者勝ちのため、買主探しも急がなければならない理由が生じるのです。
不動産会社を何社も見つけるには、前述した
「 すまいValue 」「 HOME4U
」
などの一括査定サイトを使うといいでしょう。
以上、売却がうまくいかなかった人向けの対処法です。
まとめると「①値段を下げると②不動産会社を変える」で、これらをミックスを行えば、さらに効果は高まるでしょう。
4.まとめ
不動産売却の必要な期間とあらかじめ準備しておくことについて見てきました。
大切なことは、「いくら以上なら売るか」を決めておくという「心の持ちよう」です。
査定をしてみて、最低ラインのハードルを決めることから始めましょう。