築年数を重ねた住宅は独特の趣があります。
しかし定期的にきちんとしたメンテナンスをしていても、経年劣化によって傷みや汚れ、住宅設備機器の故障などは出てきます。
いろんな不具合が目立ってくるようになると、まとまった予算をかけてリフォームをしたいと考える人は多いのではないでしょうか。
住宅全体のリフォームを考える場合、工事予算が1000万円台準備できればかなり自由にリフォームできると言われています。
この記事では、予算が1200万円の場合どのようなリフォームができるのか、その工事内容や事例を紹介します。
またリフォームの上手な進め方や快適性をアップさせるポイントについても解説します。
予算1200万円でできるリフォーム内容例
まずリフォーム業者探しをする前に、予算1200万円でどのような内容のリフォームができるのかを事前に把握しておきましょう。
住宅全体の間取り変更+内装リフォーム
新築時から時間が経てば経つほど、住んでいる家族の変化も起きやすくなります。
ライフスタイルや価値観だけでなく、所有者も変わることは珍しくありません。
そういった変化にともなって既存の間取りが使いづらくなった場合は、部分的に対処するのではなく住宅全体の間取り変更と内装をリフォームするのがオススメです。
築年数が経ってくると新築時より家族の年齢も高くなってきますから、部屋の広さや配置だけでなく高さの面もリフォームで問題を解消しておきましょう。
段差をなくしたりスロープをつけたりといった工夫も予算内で可能です。
住宅の性能向上を目的としたリフォーム
リフォームというと間取り変更や住宅設備機器の交換をするイメージが強いですが、こうした目に見える改修をするだけがリフォームではありません。
築年数がかなり経っていて断熱性や耐震性が低い場合は、夏場や冬場の室内環境に不満を抱えていたり、万が一大地震が来た時の不安を常に抱えながら住んでいるケースがありますが、予算が1200万円あればリフォームで改善することができます。
戸建であってもマンションであっても、構造部分に問題がなければスケルトン(構造部分だけを残してすべて撤去した)状態にしてからリフォームする方法があります。
断熱材や筋交いなどの補強材を加える、窓サッシを複層ガラスタイプにするといったリフォームであれば、断熱性や耐震性をアップできるでしょう。
外まわりや外構を含めた全面リフォーム
築年数の経過による劣化は住宅内部だけではありません。
雨や風・雪などに長年さらされる外まわりや外構部分は、定期的なメンテナンスをしていても劣化が早く進みます。
建材自体が劣化してしまった場合はメンテナンスでの対応にも限界がありますから、室内のリフォームと同じタイミングで全面リフォームするのもひとつの方法でしょう。
空地だった隣地に住宅が建つなど新築時と周辺環境が変わった場合は、フェンスを新たに設けたり植栽を整えたりすることでプライバシー保護の効果も得られます。
家族が増えて車の台数が増えたのなら、ガレージまわりのリフォームも検討するといいでしょう。
増築や減築
予算が1200万円あれば、既存の床面積内での間取り変更だけでなく、増築や減築といった大きな変更も可能です。
家族が増えたので余裕がある敷地部分に1室増やす、子供が独立したのでほとんど使わなくなった2階を撤去し平屋にするなど、ライフスタイルに合わせて増築や減築をすることで住み心地が大幅によくなる効果が期待できます。
マンションの場合は、リフォームできる範囲は実際に居住している専有部分内に制限されます。
戸建のように増築や減築はできませんので注意が必要です。
このように、予算が1200万円の場合さまざまなリフォームが可能だと分かりました。
次章では実際の施工事例を2例紹介します。
【実例】予算1200万円でのリフォームに成功した2つのケース
予算1200万円でどのようなリフォームができるのか、イメージとして把握できたのではないでしょうか。
ここからは、実際のリフォーム事例を見ていきます。
事例1.店舗併用住宅を全面リフォームしてゆったりとした生活空間を確保
約100㎡の店舗併用住宅の1階で店舗を経営していたT様ご家族。
お店を継いだ息子さん夫婦が別の場所に店舗を移設したため、1階内部をすべて解体し全面リフォームしました。
1階の約半分を占めていた店舗部分に押されて狭いスペースに詰め込んでいた浴室・トイレ・洗面所は、それぞれゆったりとしたレイアウトに変更。
8畳とコンパクトながら来客用リビングも設けました。
2階には、家族で過ごす広々とした20畳近いLDKとご夫婦それぞれの個室、大容量の納戸を配置。
ゆったりとした間取りになった住宅で、ご夫婦は居心地のいい毎日を楽しんでいます。
事例2.断熱性を改善し収納スペースも充実
約90㎡の戸建住宅は築32年、とにかく冬の寒さがつらかったというJ様ご夫婦。
寒さだけでなく湿気によるカビにも悩まされていたため建て替えを検討されていましたが、予算を抑えられるリフォームを選択されました。
リビングと寝室の床と壁前面に断熱材を追加し、リビングには床暖房も設置。
窓サッシはすべて複層ガラスに交換しました。
浴室は在来浴室からシステムバスに変更して冬場でもあたたかいバスタイムを実現。
住宅全体の断熱性がアップしたことで、J様は自宅で過ごす時間が楽しくなったと喜ばれています。
リフォームをスムーズに進めるための5つのポイント
1,200万円という多額の予算をかけて行うリフォームは、できることが多いです。
それだけに、リフォーム工事の目的や内容をしっかり認識しておくことが大切です。
リフォームをスムーズに進めるためのポイントを5つ挙げてみます。
- リフォームを行う目的を家族で明確にしておく
- 家族の意見がまとまらない時はリフォーム業者の提案を参考にする
- 完成イメージは具体的に伝える
- 予算は幅を持たせておく
- 必ず相見積を取る
ではここからは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
ポイント1.リフォームを行う目的を家族で明確にしておく
リフォームを検討しはじめたきっかけはさまざまでしょうが、プランや見積の提案を受けているうちに工事範囲や工事項目が増えていってしまいがちです。
もともと何のためにリフォームをしようと考えたのかを常に念頭に置いて検討することが重要です。
リフォームには、「キッチンが使いづらい」「トイレや洗面所が寒すぎる」など不満点を解消する目的と、「リビングがもう少し広くなれば」「廊下に収納スペースがあるともっと便利なのに」など快適性を向上させる要望を満たす目的の2つがあります。
一般的には、まず不満点を解消することを優先し、予算に余裕があれば快適性を向上させる項目を追加するという順番で進めるのがスムーズです。
ポイント2.家族の意見がまとまらない時はリフォーム業者の提案を参考にする
妻は友人を呼んでわいわい楽しく過ごしたいけれど夫はできるだけ静かに生活したい、といった家族内で価値観の相違があるのは珍しくありません。
しかし、この相違をすり合わせておかないと、後で揉めたりリフォームの効果を感じにくいという残念な結果になってしまいます。
家族で話し合っても意見がまとまらないなら、まとまらないままでいいので、複数のリフォーム業者に要望を提示し提案を受けてみましょう。
リフォーム業者ごとに視点が違うプランが出てくるため、妥協案が見つかることも多いです。
ポイント3.完成イメージは具体的に伝える
リフォーム工事の見積をリフォーム業者に依頼する際は、要望をより的確に伝えたいものです。
言葉だけでは伝わりそうにない、うまく伝える自信がないといった場合は、建築雑誌やリフォーム情報サイトの施工例などからイメージに近い画像を選んで提示するのがオススメです。
リフォーム業者はさまざまな提案や施工を経験してきているプロですから、施主から出された直接的な要望に加えて、潜在的な要望も想定しながら提案プランをつくります。
ただし要望のイメージがうまく伝わっていないと、想定するにも限界があり、結果的に焦点がずれた提案になってしまう可能性があります。
リフォーム業者と完成イメージを共有しやすいように、視覚的な資料で要望を伝えましょう。
ポイント4.予算は幅をもたせておく
予算1200万円といっても、それが上限額なのか希望額なのかでリフォームできる工事の内容は変わります。
総工事費として1200万円と考えているなら、諸経費などを考慮すると実質的なリフォーム工事にかかる金額は10~15%下がってしまうからです。
また、リフォームは新築とは違って既存の住宅の状態に影響を受ける工事です。
同じ水まわりのリフォームでも、現場調査によって床下や壁面の構造部分が予想以上に劣化していることが分かればその補修代が追加でかかります。
こうしたいわゆる想定外の事態が起きやすいのがリフォームの現場。
工事予算を決める際は幅を持たせておきたいものです。
希望予算額と上限予算額とをそれぞれ決めておくと、追加が出た時に調整しやすい上に、複数のリフォーム業者から相見積もりを取る場合の判断基準にもなります。
ポイント5.必ず相見積を取る
1200万円という予算をかけたリフォームとなると、ほぼ大規模な工事になります。
対象の工事内容に合わせて材料の数量や人工代などの見積り方が少し変わるだけでも、差額が出やすい規模です。
「知り合いの工務店に依頼するから」と他社に見積を取るのを迷うケースは少なくありませんが、1社だけの見積ではそれが相場の金額なのかを判断することは難しいでしょう。
大規模なリフォームをするわけですから、相場金額や工事内容を比較するためにも2~3社に相見積もりを取るのが一般的です。
業者によって提案力や施工力は違いますから、同じ要望を伝えても提案プランが異なるのはよくあること。
大きな金額を住宅に投資するのですから、必ず比較検討して選択していくようにしましょう。
概算段階で気に入った見積やプランを提案してくれたリフォーム業者には、現場調査をしてもらった上で正式見積を出してもらいます。
この時に一緒に平面図や展開図、矩計図といった各種図面が提示されますから、見積と照らし合わせながら内容を精査するようにしましょう。
複数社の相見積もりはリショップナビがオススメ
複数社の相見積もりを取るなら「リショップナビ」がオススメです。
リショップナビは、厳選された全国1,800社が参加しており、あなたのリフォーム内容に合うリフォーム会社が自動的にマッチングされて相見積もりが取れるサービス。
リフォーム会社によって、リフォームの質、値段は全然違います。
必ず「リショップナビ」で相見積もりを取りましょう。
リフォームをスムーズに進めるには、このようなポイントを押さえると効果的です。
再度まとめておきます。
- リフォームを行う目的を家族で明確にしておく
- 家族の意見がまとまらない時はリフォーム業者の提案を参考にする
- 完成イメージは具体的に伝える
- 予算は幅を持たせておく
- 必ず相見積を取る
打ち合わせや家族内の相談時にはこうしたポイントをしっかり押さえておきましょう。
せっかく行うリフォーム工事がスムーズに進むのはもちろんですが、できるだけ快適性をアップさせたいもの。
そのコツについて次章で見ていきましょう。
予算1200万円のリフォームで快適性をよりアップさせる3つのコツ
では最後に、予算1200万円のリフォームで快適性をより高めるコツをご紹介しましょう。
- 収納スペースは量よりバランスを重視する
- 住宅設備へのこだわりポイントを明確にしておく
- 内装の好みはしっかり反映させる
では詳しく見ていきましょう。
コツ1.収納スペースは量よりバランスを重視する
リフォームを検討する際によく挙げられる収納スペースの増量。
現在モノがあふれているからという理由が多いですが、収納スペースが増えればモノがあふれなくなるとは限りません。
なぜなら、モノがあふれている原因が収納スペースの不足ではなく、物理的にモノが多すぎたりスペースを有効に活用できていないといった別の理由であることも多いからです。
増築をしない限り、収納スペースを増やすほど居住スペースは減ります。
居住スペースが減ると快適性も下がることが多いです。
間取りを変更するリフォームをする場合は、収納スペースと居住スペースのバランスをよく考えましょう。
コツ2.住宅設備へのこだわりポイントを明確にしておく
グレードによって金額が大きく上下する住宅設備は、どの項目を優先するのかを決めて検討するのがオススメです。
機能が多ければ便利かというとそうとは限りません。
機能よりもデザインを重視したことで見た目が好みに近くなり、日々の満足度が高くなり快適に過ごせるといったケースもあるのです。
リフォームの工事費用はひとつひとつの項目の金額を積み重ねていくので、単価が高い住宅設備の金額は費用全体に与える影響が大きいもの。
予算をかけるものと抑えるものとを選り分け、予算をかけるものはしっかりこだわると快適さもアップさせやすいでしょう。
コツ3.内装の好みはしっかり反映させる
住宅の中で快適性を左右する重要な要素のひとつが内装です。
広さや高さなど、人は無意識に住宅内のさまざまな部分から影響を受けていますが、色やデザインによっても心地よさの程度が変わります。
たとえば同じ白色でも、青みが強い白と黄みが強い白とでは受ける印象が変わりますし、好みに近い色ほど快適性はアップすると言われています。
住宅設備と同じく、「リビングの内装はハイグレードにして他の部屋はスタンダードに」といったようにバランスをとれば、こだわりを取り入れながら予算を抑えやすいでしょう。
注意したいのは、色やデザインが重要視される内装材は必ず現物を確認して決めるということです。
メーカーのショールームが近くにあれば最低でも1回は足を運んで、商品を直接確認しましょう。
ショールームが遠方にしかないなら、商品サンプルを取り寄せて検討する作業は不可欠です。
リフォームによって快適性を高めるには、自分なりのこだわりをしっかり持つことです。
再度まとめておきます。
- 収納スペースは量よりバランスを重視する
- 住宅設備へのこだわりポイントを明確にしておく
- 内装の好みはしっかり反映させる
リフォームの主人公はあくまでも施主です。
リフォーム業者に任せすぎてしまうのではなく、不明な点は質問したり提案が納得いかなければ再度提案してもらうなど、施主として積極的に打ち合わせを進めたいものです。
まとめ
予算1200万円のリフォームは、フルリフォームができる金額でもあるため満足度は高い傾向にあります。
今回の記事内容を参考に、納得のいくリフォーム計画を進めていきましょう。