借金は相続しなくてOK!相続放棄のやり方5つのポイントを徹底解説

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親が亡くなった際、特に親に借金がなくても相続放棄を利用することがあります。

相続放棄は本来、親が多くの借金を残して亡くなったときに、その返済を免責するために利用するもの

しかしながら、手続きが簡便なことから、相続人の誰かに遺産を寄せるために使われることも多いです。

例えば、親の事業を引き継いでいる弟のために姉は相続放棄するというようなパターンが該当します。

このような相続放棄の利用の仕方を、この記事では「遺産分割的な使い方」と称することにします。

遺産分割的に相続放棄を検討している人の中には、

  • 相続放棄ってそもそも何なの?
  • 相続放棄の手続きはどのようにしたら良いの?
  • 相続放棄をするときに注意することはあるの?

等々のことを思っている人も多いと思います。

そこでこの記事では、「遺産分割的な相続放棄」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、とくに遺産分割的に相続放棄をする際の注意点について知ることができます。

1.相続放棄とは

かんたん説明

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も相続しないで、相続の権利を全て放棄すること

相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったものとみなされます。

相続では借金などのマイナスの資産も相続することになります。

親が莫大な借金を残して亡くなった場合も、相続すると相続人に返済義務が生じます。

しかしながら、親が残した借金は子供のせいではなく、子供に借金の返済を強いることは不合理であることから、相続人には相続を放棄する権利が認められています。

そのため、相続放棄は、明らかに借金の方が大きいときに利用するのが一番メリットはあります。

親がどれだけ借金をしていても、金額に関係なく、全て帳消しにすることができるため、考えてみると相続放棄はすごい制度です。

もちろん、相続放棄をすると借金だけでなくプラスの財産も相続できません。

相続放棄をすると、最初から相続人でなかったものとみなされるため、代襲相続(孫への相続)はできないことになります。

また、相続放棄は一回行うと撤回できないため、注意が必要です。

以上、ここまで相続放棄について見てきました。

相続放棄は遺産分割的に使われることがあります。

そこで次に、遺産分割的な相続放棄の使われ方について解説いたします。

2.遺産分割的な相続放棄の使われ方

相続放棄は、他の相続人に遺産を譲りたいときに使われることがあります。

元々の相続財産があまり大きくなく、姉や妹が嫁に出ており、弟が実家を引き継いで住んでいるような状態のときに、姉や妹が相続放棄をして弟に実家を譲るような場合に相続放棄が用いられることがあります。

例えば以下のようなケースを考えてみます。

  • 相続財産:実家2,8000万円、現金200万円
  • 相続人:姉、弟、妹
  • 相続人の状況:弟が実家に住んでおり、姉と妹は結婚している

上記の例では、相続財産は3,000万円になります。

本来、相続人である姉や妹には3分の1ずつの法定相続割合があるため、1,000万円をもらえる権利があります。

しかしながら、姉や妹に1,000万円を渡そうとすると、弟は家を売却しなければなりません。

それはあまりにも不合理なので、姉や妹は相続放棄をすることによって、弟に実家と現金を全て譲るという選択肢を取ります。

上記のような状況でも、遺産分割協議を行うことで、弟に資産を譲ることは可能です。

遺産分割協議は、財産の分け方を相続人によって決めることができる制度であるため、2,800万円の実家を弟に、残りの現金を100万円ずつ姉と妹に分けるということもできます。

しかしながら、遺産分割協議では、司法書士に依頼して遺産分割協議書を作らなければならず、また不動産の名義変更にも遺産分割協議書が必要となってくるなど、コストもかかり、手続きも面倒になります。

それに対して、相続放棄は相続人1人で自由に行うことができるため、手続きも簡便です。

また、費用も戸籍謄本の取得等、公的な書類の取得費用だけに限られるため、数千円のレベルで可能となります。

そのため、「他の相続人に遺産を譲りたい」、「相続人同士で揉めたくない」という場合には、相続放棄を利用するメリットが出てきます。

このように相続放棄は、借金を免責するだけではなく、遺産分割協議の代替手段として用いられることも多いです。

わざわざ遺産分割協議をするほどでもないというときは、相続放棄を利用するのが良いでしょう。

以上、ここまで遺産分割的な相続放棄の使われ方について見てきました。

では、相続放棄はいつまですれば良いのでしょうか。

そこで次に、相続放棄の期限について解説いたします。

3.相続放棄の期限

相続放棄の期限は、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という期限があります。

3ヶ月という短期間であるため、相続放棄をするか否かはすぐに判断しなければならないという点が注意点となります。

ただし、3ヶ月を過ぎてしまった場合でも、遺産分割協議をすれば相続人間で遺産を分割することはできます。

遺産分割協議では、多少の費用や手間は発生してしまいますが、目的が「遺産を適切に分けること」だけであれば、遺産分割協議でなんとかなります。

一方で、目的が借金の免責となると、相続放棄のチャンスを逃せないので3ヶ月以内が勝負となります。

相続放棄の期間には「期限の伸長」という制度もありますが、家庭裁判所が認めた場合に限り延長されるものであるため、やはり原則は3ヶ月以内となります。

借金や連帯保証人の免責を目的としている人は、3ヶ月以内というワンチャンスしかありませんので、相続が開始されたら早急に対応するようにしましょう。

以上、ここまで相続放棄の期限について見てきました。

では、相続放棄にはどのような手続きが必要なのでしょうか。

そこで次に、相続放棄の手続きについて解説いたします。

4.相続放棄の手続き

相続放棄は、家庭裁判所に申述書を提出します。

申述書は、以下のようなものになります。

申述書は裁判所のホームページからダウンロードが可能です。

相続放棄は、他の相続人の同意を得なくても、1人で自由に行うことが可能です。

必要書類は以下のようになります。

【共通して必要なもの】

1.相続放棄の申述書
2.被相続人の住民票除票又は戸籍附票
3.申述人(放棄する方)の戸籍謄本

【申述人が,被相続人の配偶者の場合】

4.被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【申述人が,被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】

4.被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
5.申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

以上、ここまで相続放棄の手続きについて見てきました。

では、相続放棄にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

そこで次に、相続放棄に必要な費用について解説いたします。

5.相続放棄に必要な費用

相続放棄に必要な書類の取得費用は、以下の通りです。

金額感としては数千円で相続放棄をすることが可能となります。

書類金額
相続放棄の申述書に貼る収入印紙代800円
被相続人の住民票除票300円
被相続人の戸籍謄本450円
申述人の戸籍謄本450円
被相続人の除籍謄本、改製原戸籍謄本750円

住民票除票等の取得費用は市町村によって異なる場合がありますので、最終的にはご自身でご確認願います。

以上、ここまで相続放棄に必要な費用について見てきました。

では、相続放棄の前にはどのようなことを調べておけば良いのでしょうか。

そこで次に、相続放棄の前に調べることについて解説いたします。

6.相続放棄の前に調べること

相続放棄の前に調べることは2つあります。

相続財産をしっかり調べる

相続放棄をする場合は、相続財産をしっかり調べることが重要です。

特に、債務の免責を目的に相続放棄をする人は、本当にマイナスの財産の方が大きいのかしっかりと調べる必要があります。

3ヶ月間の中で、プラスの財産もマイナスの財産もはっきりしない場合には、限定承認を申請するという方法があります。

限定承認とは、プラスの遺産の範囲内でマイナスの遺産を相続できるという制度です。

例えば、プラス1,000万円とマイナス3,0000万円の資産があった場合、債務は1,000万円だけ引き継げば良いという相続方法となります。

遺産分割的な利用をする人でも、相続放棄をしてしまうと、財産を受け取ることができません。

大きなプラスの財産が無いか、念のため確認するようにしましょう。

相続人をしっかり調べる

相続放棄では、相続人をしっかり調べる必要があります。

例えば、現実には相続放棄をした後に隠し子が現れるというケースがあります。

姉と弟で、姉が相続放棄をした後に、隠し子が現れると、隠し子には相続財産を渡さなければなりません。

姉が相続放棄をする前であれば、隠し子に分ける財産は3分の1で良かったものの、姉が相続放棄をした後だと、隠し子に2分の1を渡すことになります。

相続人が1人増えるか減るかで法定相続割合が大きく異なってしまうため、相続人は必ず確認する必要があります。

2013年12月以降は、民法が改正されたことで非嫡出子と嫡出子の相続割合は同じになりました。

隠し子の影響は以前よりも大きくなっていますので、相続放棄をする前は、必ず相続人を調べるようにしてください。

以上、ここまで相続人をしっかり調べることについて見てきました。

相続放棄では遺品整理においても注意が必要です。

そこで次に、相続放棄と遺品整理の注意点について解説いたします。

7.相続放棄と遺品整理の注意点

相続放棄をする人は、遺品整理を行ってはいけないということが注意点になります。

遺品整理では、相続人の遺品を捨てます。

遺品を捨てるということは、一度遺品の所有権を取得していることになるため、相続を単純承認したものとみなされます。

単純承認とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて無条件で受け継ぐ相続のことを言います。

つまり普通の相続手続きのことです。

単純承認をしてしまうと、相続する意思があるとみなされてしまうため、相続放棄をすることができなくなります。

相続放棄をする前に、うっかりと遺品整理を手伝ってしまうと、相続放棄ができなくなりますので、ご注意ください。

尚、単純承認してしまった場合でも、遺産分割的に相続放棄をする場合には、その後、遺産分割協議をすれば大丈夫です。

遺産分割や遺品整理に関しては、以下の記事で詳しく記載しています。

ぜひご参照ください。

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8.まとめ

以上、ここまで、相続放棄を遺産分割的に使う際の注意点について見てきました。

相続放棄は3ヶ月以内という期限があります。

遺産分割的に使う際は、相続財産や相続人の確認を行い、遺品整理には関与せずに相続放棄を利用するようにしましょう。

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