リバースモーゲージのメリットとなかなか普及しない背景を徹底解説

投稿日:2017年12月1日 更新日:

住宅ローンの商品を調べていくと、リバースモーゲージという聞きなれない単語を見たことのある人も多いと思います。

リバースモーゲージとは、高齢者向けの年金のようなものです。

リバースモーゲージについて知りたい人の中には、

  • リバースモーゲージについてわかりやすく知りたい
  • リバースモーゲージのメリットを知りたい
  • なぜ日本ではあまりリバースモーゲージが普及していないのか知りたい

等々のことを思っている方も多いと思います。

そこで今回の記事では住宅ローンの「リバースモーゲージ」についてご紹介します。

この記事を読むことで、あなたはリバースモーゲージについて理解することができます。

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1.リバースモーゲージとは

1-1.リバースモーゲージの意味

リバースモーゲージとは、「高齢者向け居住用不動産担保の年金的融資」のことです。

別名、「住宅担保年金」や「逆抵当融資」などとも呼ばれています。

リバースモーゲージでは、毎月、年金のように銀行からお金を借り、死亡時に不動産を売却して、借りたお金を返すという融資になります。

リバース(reverse)とは、「裏返す」、「逆転する」という意味です。

モーゲージ(mortgage)とは「不動産抵当貸付」ということになります。

不動産抵当貸付とは、不動産に抵当権を付けてお金を貸すということです。

まさに住宅ローンのことですが、リバースモーゲージとは、住宅ローンの逆を行うということになります。

1-2.通常の住宅ローンの返済の仕組み

まず、通常の住宅ローンのお金の流れを見てみます。

通常の住宅ローンは、下図のようなお金の流れになります。

下図は、右側に進むほど、時間が経過する概念図です。

住宅ローンの返済の仕組み

住宅ローンの返済の仕組み

通常の住宅ローンでは、借り入れ当初、全額が一度銀行口座に入金されます。

その後、毎月、元本と利息を返済していきます。

当初、借入の元本が大きいため、利息も大きくなります。

後半は、元本も減っていくため、利息も小さくなっていきます。

そのため、通常の住宅ローンでは借入元本と利息の残額の合計額が、上に凸のカーブを描いて減っていくようなイメージになります。

通常の住宅ローンでは、返済が進むごとに借入元本の残額が減っていくことになります。

1-3.リバースモーゲージの仕組み

次に、リバースモーゲージのお金の流れを見てみます。

リバースモーゲージは、下図のようなお金の流れになります。

下図も、右側に進むほど、時間が経過する概念図です。

リバースモゲージの仕組み

リバースモゲージの仕組み

リバースモーゲージでは、毎月、ちょっとずつお金を借りていきます

年金のようにお金が毎月銀行から入ってくるような感じです。

毎月、お金を借りていくため、借入元本は、どんどん増えていきます

毎月借入元本が減っていく通常の住宅ローンの「逆」の動きをします。

どんどん、借入額が積み上がっていき、「いったい返済はどうなるの?」と思いますが、返済は、本人が死亡時点で不動産を売却することにより支払うという形になります。

通常、本人が死亡すると、その資産は子供に相続されますが、リバースモーゲージでは死亡すると、銀行が不動産を売却し、今まで貸したお金を回収することになります。

通常の住宅ローンでは借入元本は時間の経過とともに右肩下がりで減りますが、リバースモーゲージでは、借入元本が時間の経過とともに右肩上がりで増えていくという点が特徴です。

まさに「逆住宅ローン」と言えます。

リバースモーゲージでは、無限にお金を借りることができる訳ではありません。

当初、借入額を決めておき、その金額に達するまで毎月借りることができるという仕組みになります。


以上、ここまでリバースモーゲージとは何かについて見てきました。

では、このリバースモーゲージ、一体、どのような利用価値があるのでしょうか。

そこで次にリバースモーゲージのメリットについて見ていきます。

2.リバースモーゲージの2つのメリット

少し分かりにくいリバースモゲージですが、何が一体良いのでしょうか?

結論を言うと、メリットは大きく2つあります。

  1. 残す必要のない財産を有効活用できる
  2. 利用目的が自由

それぞれ解説していきます。

メリット1.残す必要のない財産を有効活用できる

繰り返しますが、リバースモーゲージは「高齢者向け居住用不動産担保の年金的融資」です。

短縮すると、「高齢者の年金」です。

リバースモーゲージとは、利用対象者が高齢者であることと、目的が年金代わりであることという点がポイントです。

あなたがイメージしやすいように少しストーリー仕立てで説明します。

例えば、Aさんが若いころ住宅を購入し、65歳で住宅ローンの完済を終えたとします。

また子供たちはそれぞれ独立し、各自が別の地で所帯を持ったとします。

子供たちが別の場所で家を持っていれば、Aさんの住宅は、相続が発生しても、誰もいらないはずです。

仮に、相続になった場合、売却して現金を兄弟間で分けるだけという話になります。

ひょっとしたら、家を残すことにより兄弟間で揉める原因になるかもしれません。

また揉めなくても売却などで子供たちの手を煩わせることになるかもしれません。

しかも、子供たちにとって見ると、売却額を分割すると大した財産ではない可能性もあります。

そのため、Aさんの家は「残す必要性のない財産」ということになります。

Aさんの家が残す必要性のない財産であれば、それを元手にAさんに老後をもっと楽しく過ごしてもらおうというのがリバースモーゲージの発想です。

Aさんが死亡するまで、毎月のようにお金を貸し、お金は死亡時に家を売却して返すというのがリバースモーゲージになります。

尚、リバースモーゲージを利用すると、住宅の資産が子供たちに残せなくなります。

リバースモーゲージを行う際は、推定相続人全員の同意が必要になります。

推定相続人とは、現状で相続が発生したならば相続人になり得る人のことです。

死ぬ順番は必ずしも被相続人が先になるとは限らないため、現時点での相続人を「推定」相続人と呼びます。

自分だけが「残す必要性のない財産」と思っていても、勝手にリバースモーゲージはできません。

きちんと子供たちなどの推定相続人の同意を得る必要があります。

メリット2.利用目的が自由

通常、銀行からお金を借りる場合、利用目的というのが制限されます。

住宅ローンなら住宅を購入するためのお金であり、住宅ローンを使って車や投資用ワンルームマンションを購入することはできません。

ところが、リバースモーゲージの場合、利用目的が自由というのが最大の特徴になります。

毎月、銀行からちょっとずつお金が入ってきますが、それを食費に使っても、旅行に使っても構いまわないのです。

お金はあくまでも死亡時に返済すればよく、返済の心配もありません。

銀行からお金を借りるという感覚よりは、銀行から毎月お金をもらうという感覚に近いです。

リバースモーゲージでは、毎月、銀行から自由に使えるお金が入ってくるため、まさに「年金」と言えます。

「高齢者向け居住用不動産担保の年金的融資」の「年金的融資」と呼ばれているのは、お金が年金のように入ってくるためです。

つまり、リバースモーゲージを使うと、年金の他に、使えるお金が増えます。

リバースモーゲージを使うことで、老後の生活が豊かになるというのが最大のメリットです。

通常であれば、住宅ローンの支払いを終えると、老後の生活が楽になります。

さらにリバースモーゲージを使えば、追加のお金が得られるため、老後の生活が豊かになります。

リバースモーゲージは、若いころ自分で頑張って得た財産を活かし、老後の生活を豊かなものにするという仕組みなのです。


以上、ここまでリバースモーゲージのメリットについて見てきました。

リバースモーゲージは、一見すると、素晴らしい仕組みに思えます。

ただし、全ての人がリバースモーゲージを利用できるわけではありません。

そこで次にリバースモーゲージができる住宅について見ていきます。

3.リバースモーゲージが利用できる住宅

便利そうに見えるリバースモゲージですが、利用できる人が限られています。

それは土地を所有している戸建住宅のみが対象です。

3-1.対象は土地が所有権の戸建住宅

リバースモーゲージが利用できる住宅は、「戸建」です。

マンションは利用できません。

また、戸建でも借地権付戸建は利用できません。

土地を所有権として持っている戸建しか利用できないというのが原則です。

リバースモーゲージが何故、戸建しかできないかというと、「更地売却」を前提としていることが理由です。

リバースモーゲージは、死亡時の将来に家を売却することでローンを返済します。

通常、住宅というのは築年数とともに価値が下落していきます。

戸建築年数別売却価格

戸建築年数別売却価格

※公益財団法人東日本流通機構の首都圏の戸建平均成約価格を筆者が編集

上記のグラフを見ると、戸建住宅は築年数とともに価値が下がりますが、築26年以降になると、ほぼ価格が下げ止まっていることが分かります。

これは、築26年以降になると建物価格がゼロとなり、土地価格のみが残るためです。

戸建住宅の価格の下落要因は建物にあります。

建物は築年数の経過とともに価格が下がり、築25年でゼロになります。

一方で、土地の価格は築年数が経過しても影響を受けずに下がることはありません。

そのため、戸建の価格はずっと下がり続けてゼロになってしまうわけではなく、最後には土地の価格が残るという性質を持っています。

リバースモーゲージでは、最初に死亡時までに融資できる価格を決めます。

ところが、債務者はいつ死亡するか分かりません。

もし土地と建物の合計額を融資額としてしまった場合、年々価格が下がるため、債務者が長生きすればするほど、売却しても回収できない金額が発生してしまいます。

そこで融資額を、土地価格を上限としておけば、仮に債務者が長生きして物件価格が下落しても、土地価格は経年減価しないため、融資をすることが可能です。

ただし、借地権付き建物の戸建住宅の場合、土地の所有権が無いため、銀行としてはリバースモーゲージで融資をすることができません。

銀行は、あくまでも土地の所有権を回収の対象としており、リバースモーゲージの融資可能額は所有権の土地価格になります。

3-2.マンションはできない

では、マンションの場合、なぜリバースモーゲージが組めないのでしょうか。

以下に築年数ごとのマンション価格の推移を示します。

マンションの築年数別価格

マンションの築年数別価格

※公益財団法人東日本流通機構の首都圏の戸建平均成約価格を筆者が編集

マンション価格についても、戸建と同様に、築20年を超えたあたりから価格が下げ止まる現象が見られます。

マンションにおいても、土地の所有権は取得しています。

価格は下げ止まっているのは戸建と同様に土地価格が残るためです。

しかしながら、中古マンションの場合は、建物と土地の価格を明確に分けることはできません。

不動産鑑定評価で理屈の上では分けることは可能ですが、実際にマンションの土地価格だけを正確に把握するのはできないというのが実態です。

さらに、マンションはマンション組合員の5分の4以上の賛成がないと、建て替えることができません。

そのため、戸建てのように債務者が死亡したときに、都合良く建物を取り壊して更地にするようなこともできません。

したがって、マンションは最後に残る土地価格が分からないことと、簡単に更地にもできないことから、リバースモーゲージが適用できない資産となります。

リバースモーゲージまで考慮すると、マンションよりも戸建の方が資産価値は高いということが言えます。

尚、戸建住宅はリバースモーゲージだけではなく、維持費用の面でも安いという魅力があります。

現在マンションに住んでいて、リバースモーゲージ興味のある方は、戸建住宅に買い替えるというのも一つです。

マンションから戸建への買い替えについては、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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以上、ここまでリバースモーゲージができる住宅について見てきました。

リバースモーゲージはとてもメリットがあるように思えますが、日本では、今一つ盛り上がっていません。

そこで次にリバースモーゲージが普及しない理由についてご紹介いたします。

4.リバースモーゲージが普及しない理由

リバースモーゲージは、アメリカやヨーロッパでは古くから浸透していますが、日本ではあまり使われていないというのが実態です。

リバースモーゲージが普及しない理由としては、以下の3つがあるとされています。

理由1.長生きリスク

日本人は平均寿命が徐々に延びています。

長生きしすぎて、生存中に融資枠を使い切ってしまうと、その後、融資を受けることができません。

利用者にとってみると、途中で資金が打ち切られる形になるため、使い勝手が悪くなります。

また銀行にとっても、売却時期が先になればなるほど、市場が読みにくくなるため、融資なしにくくなります。

理由2.不動産価格下落リスク

日本の土地価格は10~15年サイクルで価格が変動していきます。

20017年の現在では、土地価格が上昇傾向にありますが、この傾向がいつまで続くかは誰にもわかりません。

土地価格は建物価格のように下落するだけではなく、市況によって上下してしまいます。

そのため、融資可能額が決めにくいというのがネックになります。

理由3.金利の上昇リスク

リバースモーゲージでは、基本的に変動金利が採用されます。

そのため、今後金利が上昇するリスクもあるため、利用者が利用しにくいという欠点があります。

いつまで生きるかわからず、土地価格も読めない上に、金利も変動するという3点は、滞納や貸し倒れ等の「信用供与リスク」を引き起こすことに繋がります。

リバースモーゲージは信用供与リスクが高いため、貸す方も借りる方も使いにくいというのが普及しない理由になります。

5.まとめ

以上、リバースモーゲージのメリットとなかなか普及しない背景を徹底解説してきました。

日本も徐々に欧米化している歴史を辿っていますので、リバースモーゲージも将来的には普及するかもしれません。

まだまだ浸透していないリバースモーゲージですが、ご興味のある人はリバースモーゲージを扱っている銀行に相談してみるのが良いでしょう。

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