これから不動産を売却する人の中には、全体スケジュールはどのようになるのか気になっている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産は売り方次第ではスケジュールが長引いてしまうこともあるため、長引かせないためのコツも知っておくことが重要です。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 不動産売却の全体スケジュールをざっくり知りたい
- 不動産売却のスケジュールが長引いてしまうのはなぜなの?
- 不動産売却のスケジュールを長引かせないためには、どうすればいいの?
そこでこの記事では、「不動産売却のスケジュール」にフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、不動産売却のスケジュールの流れと、長引かせないためのコツについて知ることができます。
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不動産売却は今の時期に行動を起こすと成功確率がぐっと上がります。
4月の新生活を前に引越し需要が増え、2・3月が1年で最も中古住宅の取引が活発になるからです。
しかも、近々の不動産マーケットは買いニーズがとても旺盛です!
しかし、コロナ情勢で先の読めない今、いつまでこの売り手市場が続くかは未知数です。
不動産売却を検討中の方は、この大きなチャンスに売却活動を進めていきましょう!
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【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
1.不動産売却の全体スケジュール
不動産売却の全体の流れは、下図の通りです。

不動産売却の全体スケジュール
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1自宅の価格査定
不動産売却では最初に行うのは価格査定。査定は、適正な売り出し価格を決定するために行います。
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2媒介契約の締結
査定が終わったら、不動産会社に仲介の媒介契約の締結を行います。
不動産会社との間で締結する仲介の契約のことを媒介契約と呼びます。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に重ねて媒介を依頼することができる媒介契約
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約
専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いは、自己発見取引をできるかどうか。
自己発見取引とは、売主が自分で買主を探してくること
どの媒介契約を選択するかは、売主の自由です。
媒介契約については下記記事で詳しく解説しています
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一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の特徴とそれぞれの違い
媒介とは仲介やあっせんのこと 一般的には仲介と言うことの方が多いですが、法律用語で仲介のことを媒介と呼んでいます。 こん ...
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3売却活動の開始
仲介の依頼をしたら売却活動の開始です。価格査定から売却活動の開始までは、早くて1~2週間程度で
販売期間は、一般的に3ヶ月程度の期間を要します。
買主に物件を認知してもらうには、一定の時間が必要だからです。
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4契約条件の交渉
購入したい買主が現れたら、買付証明書という書類を受領し、契約条件の交渉を行います。
買付証明書には、買主の購入希望価格が書いてあります。
購入希望価格は、必ずしも売り出し価格満額とは限りません。
値引き要求があるケースもありますので、許容できる範囲であれば応諾します。
もし、条件が整わない場合は、購入を断り、次の購入者を探すことになります。
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5売買契約の締結
不動産は金額が大きいため、トラブルにならないよう書面で売買契約書を締結することが通常です。
物件を最終的に引渡す引渡日は別途設けます。売買契約と引渡は、通常、1ヶ月期間を開けます。
売買契約時には、買主から手付金を受領します。手付金は売買代金の10~20%程度です。
また仲介手数料については50%を支払います。
売買契約の当日の流れや出てくる言葉については下記記事で詳しく解説しています
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6引越
売主は、売買契約から引渡しまでの間に引越を行います。
また、買主の立会いのもと、境界の明示や設備の動作確認なども売買契約から引渡しまでの間に行います。
買主は、売買契約後、銀行に住宅ローンの本審査を申し込みます。
住宅ローンの本審査には売買契約書が必要となるため、売買契約から引渡しまでの間に本審査の手続きを進めることになります。
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7引渡
引渡時は、手付金を除いた残金が支払われます。
また、売主は仲介手数料の残額の50%を支払います。
以上、ここまで不動産売却の全体の流れについて見てきました。
では、販売期間は平均してどのくらいなのでしょうか。
そこで次に、平均販売期間について解説いたします。
2.不動産の平均販売期間は3ヶ月
不動産の平均販売期間は、3ヶ月です。
前章で全体の流れを紹介しましたが、売買契約から引渡しまでの間の1ヶ月というのは、ほとんどの不動産売却で共通して同じです。
また、価格査定から売却活動の開始の期間は、準備期間ですので自分で早めようとすれば早められますし、じっくりやろうと思えばゆっくりできます。
つまり、準備期間は自分でコントロールが可能です。ただし、全体のスケジュールの中で、唯一不確定な部分が販売期間です。
販売期間は1~2ヶ月で終わる場合もありますが、長引けば1年以上かかることもあります。
以下に、公益財団法人東日本不動産流通機の「首都圏不動産流通市場の動向(2018年) 」による販売期間の平均日数を示します。
過去10年間の平均日数を見てみると、以下のグラフの通り。

売却に要する平均日数
過去10年間の平均では、
- マンションが「71.5日」
- 戸建てが「88.9日」
- 土地が「95.9日」
ですので、いずれも概ね3ヶ月といったところです。
- 価格査定から売却活動の開始の期間は0.5ヶ月
- 平均販売期間は3ヶ月
- 売買契約から引渡しまでの間の1ヶ月
ですので、全体スケジュールは順調に進んで4.5ヶ月程度ということになります。
古家を解体して土地売却する場合
古家を所有していて、解体してから土地売却をする場合、木造戸建てなら2週間から1カ月程度かかります。
家の解体工事の費用や流れを知りたい方は下記記事を参考にしてください。
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家の解体費用の相場はどれくらい?補助金やローンについても解説
親から継いだ実家が古すぎて売れないから、更地にしてから売りたい! 土地活用をしたいが、古家の解体から始めないといけない ...
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以上、ここまで平均販売期間について見てきました。
販売期間は全ての人が3ヶ月で終わるとは限りません。販売期間は1年以上となることもありますので、長引かせないようにする必要があります。
では、なぜ売却のスケジュールが長引いてしまうのでしょうか。
そこで次に、スケジュールが長引く理由について解説いたします。
3.不動産売却のスケジュールが長引く2つの理由の対策
スケジュールが長引く理由は、主に以下の2点です。
- 価格が高い
- 不動産会社が両手仲介を狙っている
理由1.価格が高い
スケジュールが長引く最大の原因は、売り出し価格が高いという点。
売れない価格で売り出しているので、なかなか買主が見つからないことになります。
実は、売り出し価格が高くなるということは良くあります。売り出し価格が高くなってしまうのは、売主が高い査定価格を採用してしまうことが原因です。
査定価格は、3ヶ月で売却できると「予想」される価格。あくまでも予想であるため、不動産会社は保証もする必要はありませんし、責任を取る必要もありません。
一方で、査定価格には営業的な意味合いも含みます。不動産会社からすると、査定価格は高めに出した方が、仲介の契約を取りやすくなります。
例えば本当は3,000万円でしか売れない物件であっても、A社は3,500万円、B社は3,000万円と査定してきたら、売主はA社に依頼したくなるのが普通です。
A社の高い査定価格に釣られて売り出し価格を高く設定してしまうと、なかなか売却できないことになります。
不動産会社が査定価格で売ってくれるのだろうと思うのは、基本的に間違いです。

査定額が高すぎる不動産会社は危険
高い査定価格を提示する不動産会社は、売主が根負けして値下げするのを待っていますので、売却は当然に長引きます。
対策.適正な売り出し価格を設定する
適正な売り出し価格を設定することが重要。適正な売り出し価格を設定するには、高過ぎる査定価格を見抜く必要があります。
高過ぎる査定価格は、少なくとも3社以上から査定を取ることが必要となります。
例えばA社から3,300万円という査定を受けてもそれが高いのか安いのか分かりません。
次にB社に依頼して4,100万円という査定を受けても、A社が安く、B社が高いという事実しか分からないです。
さらにC社に依頼して、3,500万円という査定を受けた場合、ここではじめて3,300万円~3,500万円辺りが適正で、4,100万円は高過ぎるということが見えてきます。
高過ぎる査定価格を排除するために、不動産一括査定を使って必ず複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。
不動産一括査定については下記記事で詳しく解説しています
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理由2.不動産会社が両手仲介を狙っている
不動産の売却では、不動産会社が両手仲介を狙っていることで売却が長引くことがあります。
「両手仲介」とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと
それに対して、売主と買主が別々の仲介会社となることを「分かれ」と呼んでいます。
両手仲介自体は悪いことではないのですが、不動産会社が意図的に両手仲介を狙うと売却が長引くことがあります。
例えば3,500万円の物件をA社に売却依頼したとします。A社のような売主側に付く不動産会社のことを「元付業者」と呼びます。
その際、たまたま物件を見つけたB社が3,500万円で買う買主を連れてくることがあります。
B社のような買主側に付く不動産会社のことを「客付業者」と呼びます。
分かれとなる場合は、「元付業者」は売主から、「客付業者」は買主からそれぞれ仲介手数料を受領します。
しかしながら、元付業者のA社は、客付業者に買主を見つけられてしまうと、得られる仲介手数料が半額となってしまいます。
そこで、B社から客付の申出があった場合、A社がそれを断ってしまう可能性もあります。このような行為を「囲い込み」と呼んでいます。
A社は物件を囲い込むことで、自力で買主を見つけてくれば、両手仲介ができ、仲介手数料が倍額となります。
たとえ、3,400万円の買主だったとしても、分かれになるよりは仲介手数料は増えるので、金額は下げてでも両手仲介を狙うことがあります。
このように囲い込みをされると、A社が自力で買主を探してくるまで売れないことになります。
つまり、不動産会社が両手仲介を狙っている場合は、売却までの時間が長くなることがあるのです。
対策.一般媒介で売る
囲い込みを排除するには、一般媒介で依頼するのが適切。仲介手数料は成功報酬ですので、複数の不動産会社に売却を依頼すると、仲介手数料は早く売却を決めた1社のみが手にすることができます。
つまり、仲介手数料は早い者勝ちになりますので、不動産会社は囲い込んでいる余裕がなくなります。
一般媒介には、物件が早く売れるという効果があります。
たまに、インターネットにおいて、一般媒介より専任媒介を推奨する記事を見かけることがありますが、あれほど無責任なアドバイスはないと思います。
専任媒介では、不動産会社選びのリスクを売主が負います。専任媒介を推奨する人は、不動産会社選びに失敗したときのリスクを書いていないことが多いです。
専任媒介では、契約した後に、契約を解除したいと悩む人は多くいます。
よほどのメリットがない限り、売主は専任媒介を選ぶ必要はありませんので、媒介契約の選択は慎重に行うようにしてください。
両手仲介と囲い込みについては、下記記事に詳しく記載しています。
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4.まとめ
不動産売却のスケジュールと、長引かせないためのコツについて見てきました。
不動産売却を長引くと大変ストレスが溜まります。
長引かせないコツを参考に、適正なスケジュール感で売却を進めるようにしましょう。