不動産売却の短期・長期譲渡所得とは?税率の違いと見極め方

更新日:

不動産売却の短期・長期譲渡所得とは?税率の違いと見極め方

不動産は時間が経つとどんどん価値が下がるため、できれば短期間のうちに売却したいと考えている方も多いと思います。 

ただし、購入してから短期間での売却は注意が必要です。 

仮に売却して譲渡益が出てしまった場合は、所得税及び住民税が発生。

しかも、この税率は所有期間の長短で異なってくるのです。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 不動産売却において、短期譲渡所得や長期譲渡所得とは?
  • 不動産売却は所有期間によって税率が異なるって聞いたけど?

そこで今回の記事では個人の不動産売却における「短期譲渡所得と長期譲渡所得」についてお伝えいたします。

この記事を読むことで、あなたは短期譲渡所得と長期譲渡所得について理解し、自分が売却する不動産に関わる話かどうかを見極めることができるようになります。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.不動産売却の税金計算で用いる「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」

初めに短期譲渡所得と長期譲渡所得の概要についてご紹介します。

不動産を売却した場合、譲渡益が発生した場合は、所得税が発生します。

譲渡益は課税譲渡所得と言われ、以下の式で計算されます。 

課税譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった費用)

 上式で計算される課税譲渡所得がプラスであれば、所得税が発生します。

所得税は、以下の計算式で計算されます。 

所得税等 = 課税譲渡所得 × 税率

所有期間が「短期」「長期」により税率が異なる

ここで、個人が不動産を売却した場合、所有期間によって上式の「税率」が異なることになります。

所有期間は5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得とされます。それぞれの税率は以下の通りです。 

 所得税住民税合計税率
短期譲渡所得30%9%39%
長期譲渡所得15%5%20%

補足:短期・長期の制度が出来た背景

なぜこのような税制になっているかと言うと、土地転がしを抑制するため。

バブル時代は、不動産は持っているだけで価値が上がったため、保有してしばらくしてから売るだけで利益が出ました。

そのため、バブル時代はたくさん儲けるために短期間で土地を売り買いする人が横行したのです。

当時はこのような投機目的を主体とした土地取引が多かったため、本当に不動産を取得して有効に利用したい人が土地を買えないという事態を招きました。

このような投機目的の土地取引を避けるために、短期間で不動産を売却する人には重い税金を課したのが短期譲渡所得の制度です。

バブルが崩壊して20年以上が経過していますが、制度としては未だに残っています。

以上、ここまで短期譲渡所得と長期譲渡所得について見てきました。

それでは次に短期か長期かを分ける5年の定義についてお伝えします。

2.所有期間の判定は売却した年の1月1日で判定する

所有期間5年というのは、その土地や建物を購入した日から売った日までの期間で計算するわけではありません。

ポイントは、売却した日の属する年の1月1日で判定

例えば2020年中の売却では、2020年1月1日が判定の基準日となります。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の堺

短期譲渡所得と長期譲渡所得の堺

つまり2020年中の売却の場合、取得日が2014年12月31日以前のものであれば長期譲渡所得に該当します。

一方で、取得日が2015年1月1日以後のものであれば短期譲渡所得に該当します。

よって短期譲渡所得と長期譲渡所得の定義は以下のようになります。

短期譲渡所得売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの
長期譲渡所得売却した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの

補足:取得日の定義

不動産の購入には、単純に中古物件を購入したり、新築を建てたりすることがあるため、ケースごとによって取得日が異なります。

取得日はケースによって、以下のような定義となります。  

取得のケース取得日の定義
購入した場合引渡日(売買契約の効力発生日とすることもできます。)
建築工事により建物を建築した場合引渡日
自営工事により建物を建築した場合建築の完了日

また譲渡日は原則として引渡の日となります。

例外的に売買契約の効力発生日とすることもできます。

3.マイホーム売却で使える税金特例

マンションを購入して2~3年で売却した方もいると思います。

「いや~、マンションが値上がりして少しだけ儲かったよ。売ったタイミングが良かったね。」という話は聞いても、「税金が高くてびっくりした」という話はあまり聞いたことのない人の方が多いのではないでしょうか。

実は、短期間でマンションを売却して売却益を出しても、税金を納めなくても良い場合が多いです。

よく使われる3,000万円特別控除とは?

マイホームの売却における「3,000万円の特別控除」を使っているから。

個人がマイホームなどの居住用財産を売却した場合、3,000万円の特別控除という制度を適用することが可能。

この制度は所有期間の長短に関係なく使える制度。

この特例を適用できるかどうかは、まず自分の売却する不動産が居住用財産に該当するかどうかを判断することが必要です。

居住用財産の定義

居住用財産とは、以下の要件に当てはまる不動産を言います。

  • 現に売主本人が居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  • 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  • 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  • 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

例えばこの定義に当てはまらない投資用ワンルームマンションやアパート、店舗や事務所などの事業用不動産の売却については、この特例の適用対象とはなりません。

基本的にはマイホームのみが適用の対象となります。

3,000万円特別控除を使った時の計算式

3,000万円の特別控除を適用すると、一番最初に伝えた譲渡所得の計算式が以下のようになります。

課税譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった経費) - 3,000万円

バブル崩壊以降は、例え短期間でマンションを売却して売却益が出たとしても、3~4年で3,000万円以上も値上がりすることは、ほとんどありません。

特別控除の特例を適用すると、課税譲渡所得はマイナスとなり所得税は発生しなくなります。

よってマイホームの売却の場合、ほとんどの方が短期譲渡所得や長期譲渡所得については関係がない話となります。

税率がどうたらこうたらの前に、課税譲渡所得がマイナスとなるためそもそも税金が発生しないからです。

3,000万円の特別控除については下記記事で詳しく解説しています。

3,000万円特別控除とは?不動産を売却しても税金を払わなくてもいい理由
3,000万円特別控除とは?他の特例との併用は可能?適用要件と必要書類

個人の方が不動産を売却しやすくするため、国は様々な税政策を実施しています。 個人がマイホームを売却や買換えした時によく使 ...

続きを見る

譲渡損失が出た場合でも特例がある

個人がマイホーム(居住用財産)をたとえ短期で売却しても損が出るケースは多いです。

譲渡損失が出た場合は、所有期間の長短に関係なく使える特例があります。

譲渡損失が出た時の特例については下記記事でさらに詳しく解説しています。

不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説
不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説

個人がマイホーム(居住用財産)を売却した場合、買った時よりも値段が上がっているケースはほとんどありません。 特に新築で購 ...

続きを見る

個人が不動産を売却・買換えした時によく使われる5つの特例
不動産(マイホーム)を売却・買換えした時によく使われる5つの特例

個人の方が居住用財産(マイホーム)を売却した時の特例は、非常に複雑で分かりにくいです。 税金特例の分野は、宅地建物取引士 ...

続きを見る

4.まとめ

不動産売却における短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いについて解説してきました。

この制度は、投資用ワンルームマンション等を売買している方には特に重要

短期で利益を乗せて売り抜ける戦略を持っている方は、所有期間と売却時期にも注意をしましょう。

投資用マンションの売却については下記記事でさらに詳しく解説しています。

投資用マンションを売却する際に知っておきたいポイントと高く売るコツ
投資用マンションを売却する際に知っておきたいポイントと高く売るコツ

国内の不動産市況が高騰を続けている中、投資用マンションについても今が売り時です。 特に東京オリンピック前というのもあり、 ...

続きを見る

おすすめ記事一覧

49,427view
不動産一括査定

不動産一括査定サイトのオススメを先に見たい人はコチラ マンションや一戸建て、土地などの「不動産を売りたい」と考え始めたと ...

58,288view
マンション売却で3人に1人が失敗している?2つの落とし穴と間違いない成功のコツ

一生涯でマンションを売却する機会は、ほとんどありません。 何から始めたらいいのか分からず、インターネットでいろいろ調べて ...

9,245view
一戸建て売却は苦戦しやすい?トラブルなく高額査定してもらう4つのコツ

一戸建て(一軒家)を売却するには、正しい手順があります。 でも、一戸建ての売却をする機会は、人生でそう何度もありませんか ...

1,463view
土地売却は注意点が多い!スムーズに売却するための完全ガイド

更地は不動産の中でも最も売却しやすい物件です。 ただし、更地は不動産会社等のプロが購入者となる場合も多く、売主に対して厳 ...

-不動産売却, 税金

Copyright© 不動産売却の教科書 , 2019 All Rights Reserved.