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居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について徹底解説

投稿日:2017年4月15日 更新日:

アメリカ人は一生のうち3回は家を買い替えると言われていますが、日本でも住宅を買い替える人が増えてきました。 

住宅は価値が落ちやすく、買換えでは損が発生しやいのですが、特例を活用すると、その損によって源泉徴収税の還付を受けることが可能となります。 

これから買換えを検討している人の中には、

ひよこ生徒
買換えで損をしてしまうが、仕方のないことなのだろうか
ひよこ生徒
売却損が出たら確定申告はしなくて良いのだろうか
ひよこ生徒
買換えで損が出たら税金が戻ってくるというのは本当だろうか

等々の疑問をお持ちの方も多いことでしょう。

そこで今回の記事では、税金還付を受けることができる「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」(以下、「本特例」と略)にフォーカスしてお伝えいたします。 

フクロウ先生
今回説明する特例は、個人の住宅の売却において、最も使える特例じゃよ。よく読んで理解しよう!

1.売却損は発生しやすいので一番使える特例

最初に築年数別に見た住宅価格の下落の推移を以下に示します。

築年数別に見た住宅価格の下落の推移

築年数別に見た住宅価格の下落の推移

グラフは㎡当たりの単価を示しており、パーセントの数字は築0~5年目までを100%とした場合の、価格の下落率を表しています。

グラフを見ると、戸建やマンションの価格は築年数に応じて下がっていることが分かります。

そのため、よほど土地の価格が上昇しない限り、基本的には住宅を売却すると売却損が発生します。 

今回のテーマである「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、居住用財産を売却して発生した損を元に、税金の還付を受けることのできる制度です。 

以上、ここまで売却損は発生しやすいについて見てきました。

それでは次より特例を使った課税譲渡所得の計算について見ていきましょう。

2.課税譲渡所得の計算

課税譲渡所得を、ここでは「譲渡所得にかかる損失額」と言い換えることにします。

譲渡所得にかかる損失額は以下の計算式で求められるものになります。

譲渡所得にかかる損失額 = 譲渡収入 - 取得費 - 譲渡費用

  • 譲渡収入とは売却した不動産の売却額です。
  • 取得費とは売却した不動産の昔の購入費用になります。ただし、建物は減価償却後の価額となります。
  • 譲渡費用は売却に要した仲介手数料等が該当します。

この特例は買換えを要件としていますが、新たに買換える資産の金額等については、計算の対象にはなりません。

あくまでも買換えで売却する不動産の売却価額や取得費等だけを計算に用います。

以上、課税譲渡所得の計算について見てきました。それでは次に損益通算についてご紹介します。

3.損益通算でさらに計算することになる

個人が、土地や建物を譲渡して損失が発生した場合は、通常はその損失分を他の所得(給与所得、事業所得等)から控除したり、繰越して控除したりすることはできません。

ただし、特定の居住用財産の譲渡損失についてだけ、その年の他の所得から控除(損益通算)することができます。

また控除しきれなかった残額のあるときは、その残額をその翌年から3年間に繰越して各年の総所得金額から控除できるようになっています。

以上、損益通算について見てきました。それでは次に適用要件についてご説明します。

4.適用要件:居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

今回のテーマである特例は買換えを前提としていますので、譲渡資産と買換え資産のそれぞれに要件があります。

譲渡資産の場合の要件

平成29年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の(a)から(d)のいずれかに該当するものであること

  1. 現に自分が住んでいる住宅
  2. 以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの
  3. (a)や(b)の住宅及びその敷地
  4. 災害によって滅失した(a)の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が5年を超えている住宅の敷地
    ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。

買換え資産の場合の要件

  1. 譲渡資産の譲渡した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得される自己の居住用に供する家屋またはその敷地
  2. その家屋の居住部分の床面積が50㎡以上であること
  3. その取得の日から取得した年の翌年の12月31日までの間に自己の居住の用に供すること、または供する見込みであること
  4. 繰越控除を受けようとする年の12月31日において、買換え資産に係る住宅借入金等(返済期間10年以上のローン契約等によるもの)の金額を有していること

その他、物件以外の要件として、損益計算できる年は、給与や事業所得等の合計金額が30,000千円以下の年に限るという要件があります。

以上、ここまで本特例の適用要件について見てきました。

それでは次に具体的計算例についてご紹介します。

5.具体的計算例

5-1.与件

平成8年に購入したマンションを平成28年に売却(所有期間5年超)したケースで考えます。

その他の予見は下表のとおりとします。

譲渡資産の購入額 60,000千円
譲渡資産の減価償却費 4,000千円
譲渡資産の売却額 40,000千円
譲渡資産の譲渡費用 1,260千円
平成28年の給与所得 8,000千円
平成28年の源泉徴収税額 628,900円
平成29年の給与所得 8,500千円
平成29年の源泉徴収税額 710,600円
平成30年の給与所得 9,000千円
平成30年の源泉徴収税額 792,200円
平成30年の所得控除額 2,500千円

5-2.計算例

譲渡所得にかかる損失額 = 譲渡収入 - 取得費 - 譲渡費用

            = 40,000千円 - (60,000千円-4,000千円) - 1,260千円

            = ▲17,260千円

平成28年の損益通算

繰越控除の対象となる金額 = 他の所得金額 - 譲渡所得にかかる損失額

= 8,000千円 - 17,260千円

= ▲9,260千円

損益通算の結果、所得はマイナスとなるため、この年の所得税はゼロになります。

また源泉長税額628,900円が全額還付されます。

平成29年の損益通算

繰越控除の対象となる金額 = 他の所得金額 - 前年の繰越額

              = 8,500千円 - 9,260千円

              = ▲760千円

損益通算の結果、所得はマイナスとなるため、この年の所得税はゼロになります。

また源泉長税額710,600円が全額還付されます。

平成30年の損益通算

所得 = 他の所得金額 - 前年の繰越額

   = 9,000千円 - 760千円

   = 8,240千円

課税所得額 = 所得 - 所得控除額

      = 8,240千円 - 2,500千円

      = 5,740千円

所得税額 = 課税所得額 × 所得税率 - 控除額

     = 5,740千円 × 20% - 427,500円

     = 720,500円

※所得が330万円超695万円以下の税率は20%
※427,500円は所得が330万円超695万円以下の控除額

復興所得税額 = 所得税 × 復興所得税率(2.1%)

       = 720,500円 × 2.1%

       ≒ 15,130円

所得税合計 720,500円 + 15,130円 ≒ 735,600円

還付される源泉徴収税額:792,200円 - 735,600円 = 56,600円

よって、この事例では3年間で合計1,396,100円の還付を受けることができます。

以上、ここまで具体的計算例について見てきました。

それでは次に気になる住宅ローン控除との併用について見ていきます。

6.住宅ローン控除との併用

本特例は買換えを前提としていますので、新たに購入する不動産で住宅ローンを利用する方も多いと思います。

住宅ローンを使って住宅を購入すると、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

住宅ローン控除は所得税から所定の額が控除される制度なので、本特例と似たような節税効果をもたらします。

そのため、本特例を適用した場合、住宅ローン控除のW適用が可能なのかどうかが心配となるところです。

しかしながら、本特例の優れているところは、住宅ローン控除との併用も可能という点です。よって、本特例と住宅ローン控除はW適用ができます。

受託ローン控除については下記に詳しく解説しています。

マンション売却で住宅ローン控除の適用を受けられなくなるって本当?

住宅ローンを使って住宅を購入する場合、住宅ローン控除という制度があります。 これはあくまでも購入の制度ですが、実はその前後に発生する不動産の売却次第では、住宅ローン控除が適用できたり、できなかったりす ...

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7.まとめ

以上、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について徹底解説しました。本特例を行うためには、確定申告が必要です。

譲渡損失が発生した場合には、税金を納めなくて良いから確定申告はしなくて良いという理解ではいけません。むしろ確定申告することによって税金が戻ってくるのです。

住宅の売却では非常に優れた特例ですので、ぜひ活用を検討しましょう。

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