日照権とは?そんな権利ないし先住民の単なるわがままという本音を暴露

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街の中で、たまに「マンション建設反対」などという横断幕を目にすることがあります。

先に住んでいる住民が日照権の侵害を理由に反対していることも多いのですが、そもそも日照権なんて権利はあるのでしょうか。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • そもそも日照権って、どういう権利なの?
  • 日照権を主張するのは正当なの?
  • 日照権が侵害されそうになったら、どうすればいいの?

そこでこの記事では、「日照権とは」ということにフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、日照権とはどのような権利なのかについて知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.日照権とは

日照権とは、健康的な生活を送るため建築物の日当たりを確保する権利

日照権は、何かの法律で明記されている権利ではなく、学説や判例の中で登場してくる概念です。

日照権は、守られるべき権利ではありますが、それは建築基準法によって守られています。

建築基準法は違反建築を防止し、建築物と市街環境の安全を図ることを目的として法律。建築基準法に従って建物を合法的に建てることにより、周辺住民の日照権は守られます。

つまり、周辺に建築基準法に従った合法的な建物が建つならば、その時点で自分の日照権は守られているということにあります。

仮に、建築基準法に違反した建物が建つ場合には、日照権は侵害されていると考えられ、不法行為として建築の差し止めや損害賠償請求ができる対象となります。

以上、ここまで日照権とはということについて見てきました。

建物を建てる際には、日照を確保するための規制があります。

そこで次に、日照権を守る規制について解説いたします。

2.日照権を守る2つの規制

建築基準法に従った建物がなぜ周辺の日照権を守っているかというと、建築基準法には周辺の日照を確保するための様々な規制があるからです。

周辺の日照を確保する代表的な規制は、「日影規制」と「北側斜線」の2つの規制です。

日影規制とは、日照を確保することを目的した、日影による建築物の高さの制限のこと

一定の建築物は、原則として冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間にまでに発生する日影の量を制限することで建築物の形態を制限する規制です。

具体的には建物の北側を階段状に削ることで、建物の北側の住民に対する日照権を確保します。

良くマンションなどで階段状に建てられている物件を見ることがありますが、あれはデザインで階段状にしているわけではなく、日影規制によって階段状になっています。

北側の日照権を確保する方法

北側の日照権を確保する方法

日本は南側から太陽光が降り注ぎますので、建物の北側を削ると、周辺の日照時間を確保することが可能。日影規制は、指定されるエリアが用途地域で決まります。

用途地域とは、住居、商業、工業等の用途を適正に配分して、住居の環境を保護し、商工業の利便を増進するために定められた13種類の地域の総称

13種類の用途地域は以下の通りです。

  1. 第一種低層住居専用地域
  2. 第二種低層住居専用地域
  3. 田園住居地域
  4. 第一種中高層住居専用地域
  5. 第二種中高層住居専用地域
  6. 第一種住居地域
  7. 第二種住居地域
  8. 準住居地域
  9. 近隣商業地域
  10. 商業地域
  11. 準工業地域
  12. 工業地域
  13. 工業専用地域

日影規制の対象区域と規制対象建築物の関係は以下の通りです。

日影規制の対象区域規制対象建築物
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
軒の高さ7mを超える建築物、
または地上3階以上の建築物
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域 第二種住居地域
準住居地域 近隣商業地域
準工業地域
高さ10mを超える建築物
用途地域の指定のない区域①軒の高さ7mを超える建築物、または地上3階以上の建築物
②高さ10mを超える建築物
上記①、②のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、
当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定する。
商業地域
工業地域
工業専用地域
対象区域として指定することはできない

また、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域においては「北側斜線制限」という規制もあります。

第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域でも北側斜線は適用されますが日影規制が適用される場合には北側斜線は適用除外となります。

北側斜線も、建物の北側の形態を規制し、北側敷地に対して日照を確保する規制

ここで、上表でポイントとなるのは、「商業地域」や「工業地域」「工業専用地域」には日影規制がないという点です。

「工業専用地域」は住宅を建てられませんので問題ありませんが、「商業地域」や「工業地域」ではマンションが建っていることがあります。

「商業地域」や「工業地域」「工業専用地域」は建築基準法によって日照権が守られませんので、購入には注意が必要です。

例えば、商業地域において、自分の家の目の前に背の高いビルが建ったとしても、商業地域に住んでいる人であれば、やむを得ないことということになります。

用途地域については下記記事をご確認ください。

用途地域とは?定義から種類・調べ方・建築制限一覧表・価値の高い土地の条件

用途地域とは、エリアごとに建築可能な建物の用途を定め区分けした地域のこと 用途地域について調べている方は、 用途地域とは ...

続きを見る

以上、ここまで日照権を守る規制とは、ということについて見てきました。

日照権の主張は、認められない場合がほとんどです。

そこで次に、先住民のわがままでしかない、ということについて解説いたします。

3.法律以上の日照権は先住民のわがままでしかない

建築基準法で合法的に建てられる建物であれば、日照権は守られているとういことになります。

ただ、世間の反対運動のほとんどが、合法的に建てられる建物に対して反対がなされています。

合法的に建てられる建物に対し、反対するのは、ハッキリ言えば先住民のわがままでしかありません。

人間社会においては、共同社会を営む上で、一定のルールが必要。その最低限のルールが法律になります。

法律を守っている人に対し、法律以上のことを要求するのは、単なるわがままです。それこそ、共同社会を営む上でのルール違反といえます。

例えば、犯罪にあった被害者が加害者に対して報復措置を行うことは認められていません。

被害者が加害者に仕返しをしたいというのは、心情的には理解できますが、それを許してしまっては共同社会が成り立たなくなります。

日照権の問題も、報復措置に似ています。日照権が侵害されるから反対するというのは、心情的には誰でも理解できるところだと思います。

しかしながら、全ての主張を認めていたら、誰も後から建物を建てることができなくなります。

反対を認めれば、人は住まなくなり、街も衰退し、社会全体が後退することに繋がります。

もし、本当に日照権が侵されて耐えられないのであれば、引越せば良いだけです。

ただし、自分が引越して、新しく家を建てようとしたら隣の人に日照権を主張される可能性はあります。因果応報ではありませんが、結局は「お互い様」ということです。

日照権を主張する人は、自分が別の場所に引っ越すことを想像し、もう少し他人に優しくなった方が良いと思います。

以上、ここまで先住民のわがままでしかない、ということについて見てきました。

建築物は、合法的に建てられているという仕組みがあります。

そこで次に、建築主は法律違反をしているわけではない、ということについて解説いたします。

4.建築主は法律違反をしているわけではない

一定規模以上の建物は、建築の際に建築確認申請という手続きが必要です。

建築確認申請は、着工前に行われ、合法的な建物であるかどうか図面上でチェックがなされます。

建築確認申請が通ると、建築確認済証を受領し、建物の建築に着工することができます。

建物が竣工すると、再度、建築確認申請通りに建物が建ったかどうかのチェックが行われます。

建物が建築確認申請通りに建っていると、「検査済証」と呼ばれる書類が受領でき、本当に合法的な建物であることが確定します。

建物は、着工前と竣工後の2回に渡り合法性のチェックが行われますので、通常であれば建築主が法律違反をすることはありません。

マンションのような大型建築物は、着工時点では、図面上、合法な建築物であることが既に証明されている状態です。

例えば自分の家の目の前にマンションが建つ場合、建築確認申請が通っていれば、日照権は確保されていることになります。

そのため、多くの場合、日照権を主張して建築を反対しても、その主張が認められることはありません。

理由としては、建築主は建築基準法に則った建物を建てており、建築基準法を守れば周辺住民の日照権は確保されていると解釈されるからです。

以上、ここまで建築主は法律違反をしているわけではないということについて見てきました。

中高層の建築物を建てる際は、近隣説明会が開催されることがあります。

そこで次に、火に油を注ぐ近隣説明会の存在について解説いたします。

5.火に油を注ぐ近隣説明会の存在

中高層の建築物を建てる際は、自治体によっては条例で近隣説明会を行うことが定められているところがあります。

この近隣説明会が住民の火に油を注ぐ近隣説明会の存在にもなっています。

近隣説明会は、あくまでも「これからこんな建物を建てます」というお知らせの場に過ぎません。

住民が反対する場でも何でもないのですが、近隣説明会となると反対できる場だと思って参加する人が多いです。

テレビで、良く企業の謝罪会見の様子が流れますが、近隣説明会をあたかも謝罪会見と同視しているような人も少なからずいます。

近隣説明会で説明される建物は、基本的には合法的な建物ですので、日照権を主張することはできないです。

ただし、法律の範囲内であれば、お互い譲り合う余地はあります。例えば、「建物全体を50cmだけ南側に下げられないか?」みたいな主張なら可能です。

少しでも南側に寄せれば、日照は若干でも良くなります。建築主も、ギリギリまで南側に寄せることは検討すべきです。

建築基準法の範囲内で日照を最大限確保するための対応策であれば、むしろ近隣説明会で話し合った方が良いでしょう。

6.まとめ

以上、ここまで、日照権について解説してきました。

日照権は建築基準法で合法的に建てられている建物であれば、守られています。

合法的な建物なら、社会生活を営む上での我慢すべき限度が守られている建物ということです。

過剰な日照権の要求は、単に先に住んでいるだけの人のわがままに過ぎません。

お互い様の世界ですので、寛容に対応するようにしてください。

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