木造一戸建に住んでいる人の中には、シロアリ被害を心配している人も多いと思います。
シロアリは床下や基礎部分といった見えないところで繁殖し、知らない間に被害をもたらします。
こんな悩みをスッキリ解消!
- シロアリ駆除はどのようにしたら良いのだろうか
- シロアリは予防できるのだろうか
- シロアリ駆除はいくらくらいかかるのだろうか
そこで今回の記事では「シロアリ駆除」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたはシロアリ駆除について理解し、料金相場や不動産売却に与える影響等が分かるようになります。
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【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
1.シロアリ被害と予兆一覧
シロアリ被害とは、シロアリによって木の内側を食い荒らされることによって生じる住宅の被害
主に木造住宅に被害が生じます。シロアリは住宅の床下や天井裏などに繁殖します。
シロアリは木の内側から食べていくため、表面的には分かりにくく、知らない間に木材がスカスカの状態になります。
ある日、突然、床が抜ける、家が傾くなどの被害が生じます。
シロアリ被害は、一度発生してしまうと、住宅の価値を大きく下げることになります。
シロアリを発見したら、早期に駆除をする必要があります。
シロアリがいるかもしれない予兆としては、以下のようなものがあります。
シロアリの予兆
- 家の中で羽アリを見つけた。
- 風呂の入り口の敷居柱が変色した。
- 押入れがカビ臭い、湿気がある。
- 風呂場や台所の床がブカブカしている。
- 閉め切った室内にイヤな臭いがこもる。
- 庭の垣根がグラグラしている。
- ご近所で白アリを駆除した。
- 庭に置いてある板切れに白アリがいた。
シロアリは被害が出る部分が巣になっている可能性があります。
シロアリには数種類存在しますが、ヤマトシロアリはほぼ全国に存在します。
巣はコロニーと呼ばれ、その中には数千~数万匹のヤマトシロアリが存在します。
ヤマトシロアリは湿気があるところを好みます。
床下や、床面付近、雨漏りのする天井裏や柱、浴室などは、コロニーが形成されやすいため、注意が必要です。
以上、ここまでシロアリ被害について見てきました。
ではシロアリ駆除を自分でできるものなのでしょうか。
そこで次に自分でやるのは難しいシロアリ駆除と予防についてご紹介します。
2.自分でやるのは難しいシロアリ駆除と予防
シロアリの予兆を感じたら、プロのシロアリ駆除業者に依頼することをオススメします。
テレビでも紹介された「イエコマ」というサービスがオススメ。
シロアリの駆除は床下に潜り込み、木材部分に薬剤を散布・塗布を行います。
表面的にはシロアリが中を食べているかどうか分かりません。
シロアリが通っていると思われるルートを想定し、そこに薬剤を散布していきます。
その後、今後、シロアリが発生しそうなエリアに対し、土壌処置を行います。
蟻道周辺は、土を掘り起こしながら、薬剤を散布していきます。
そもそも、床下に潜り込んでの作業は危険ですし、シロアリのルートの特定などは経験がないとできません。
また、シロアリが発生しそうなエリアを素人が適切に判断することは、かなり難しいです。
そのため、シロアリ駆除に関しては、プロの業者にお金を支払って依頼した方が効果は確実です。
シロアリ駆除の薬剤は一般的に販売されていますが、自分で行うことにこだわらず、割り切って「イエコマ」などのプロに依頼した方が良いでしょう。
シロアリ「予防」がとても大事
また、シロアリは駆除の他に予防をしておくことが重要です。
シロアリ予防は、5年に1度を目安として、業者に依頼するのが理想的です。
尚、シロアリは湿気を好みますので、家の中を通気・換気させることが一番の予防策になります。
通常、住んでいる家では、日常的に窓の開け閉めを行いますので、自然と通気や換気が行われています。
しかしながら、空家などでは窓が締め切った状態になるため、シロアリが発生しやすくなります。
空家を持っている方は、シロアリの予防対策として定期的に換気を行うことが重要です。
以上、ここまで自分でやるのは難しいシロアリ駆除と予防について見てきました。
では、シロアリ駆除を業者に依頼した場合、いくらくらいかかるのでしょうか。
そこで次にシロアリ駆除の料金相場について紹介します。
3.シロアリ駆除の料金相場
シロアリ駆除は工事内容や家屋の被害状況や床下の高さなどにより、金額が異なってきます。
正確に金額を知るためには、現地を見てもらい、見積を取る必要があります。
但し、一般的には、シロアリ駆除は総額で15万円程度が相場です。
平米単価はかなり幅がありますが、総額ではなんとなく15万円前後に落ちついていることがほとんどです。
平米単価の場合、1階の床面積を乗じて計算を行います。
平米単価が異常に安い業者は、薬剤注入や防カビ殺菌消毒などが別途オプションとなっていることがあります。
平米単価が安い業者でも、結局、後から色々なオプションが付加されて、駆除費用が高くなることが良くあります。
平米単価だけで業者を決めてしまうのはリスクがありますので、必ず総額の見積もりを取ってから、価格を判断するようにしましょう。
以上、シロアリ駆除の料金相場について見てきました。
シロアリは一度被害に遭うと不動産の価値に大きく影響します。
そこで次にシロアリ被害と不動産売却について解説します。
4.シロアリ被害と家売却時の影響
シロアリは日本のみならず海外の住宅にも被害を与えており、世界的にも家売却において重要な問題となっています。
シロアリの被害が実際に見られるようであれば、家の価値を著しく下げる原因となります。
シロアリの被害があった場合、基本的には駆除と修繕工事を行った後に売却することが基本です。
家を売却する際、売主は瑕疵担保責任を負います。
瑕疵(カシ)とは、通常有すべき品質を欠くこと
シロアリ被害や雨漏りといった問題は、建物の典型的な瑕疵に該当します。
瑕疵担保責任とは、買主が購入後にシロアリ被害などの瑕疵を発見した場合、買主から損害賠償責任または契約解除を受ける責任
この瑕疵担保責任とは、隠れた瑕疵に適用されるという点がポイントです。
隠れた瑕疵とは、売主も知らなかった瑕疵になります。
シロアリは瑕疵担保責任を追及される
売主がシロアリ被害を知らずに売却した場合、買主が後からシロアリ被害を発見したら、売主は瑕疵担保責任を追及されることになります。
そのため、家を売却する場合においては、過去にシロアリ被害があったかどうかに関わらず、売却前にはシロアリによる被害がないことをしっかり確認した上で売却する必要があります。
瑕疵担保責任は、買主は瑕疵を発見後、1年以内に売主に対し、損害賠償または契約解除を請求できるということになっています。
民法の瑕疵担保規定は、買主の合意を得られれば、売買当事者間で瑕疵担保規定を変更することができます。
このような規定を任意規定と呼びます。
通常、家の売却では、売主が負う瑕疵担保の責任期間を3ヶ月とすることが多いです。
買主が合意すれば、瑕疵担保責任を全く負わないという契約をすることも可能です。
売買契約の中で瑕疵担保責任期間を3ヶ月と定めた場合、4ヶ月目以降にシロアリの被害が発見されたとしても、売主は責任を負わないことになります。
シロアリは瑕疵担保責任に関しては深く関わっていますので、瑕疵担保責任を十分に理解した上で売却することが重要です。
瑕疵担保責任については、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。
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シロアリ被害と告知書
家の売却では、売買物件の状況がどのような状態にあるか、買主に対し告知を行います。
この告知に関する書面を「告知書」と呼んでいます。
下記は実際に筆者が売却したときの告知書です。

告知書(サンプル)
告知書は、シロアリ被害の他、雨漏りや傾き、腐食、アスベストの仕様の有無、給排水設備の漏水、周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設等々に関してアンケート形式で回答していきます。
告知書の中のシロアリ被害に関しては、以下のような回答項目があります。
現在までの状況やシロアリ予防工事の実施の有無、過去のシロアリ被害、現在のシロアリ被害等、該当する部分にチェックを行い、回答します。
□現在までシロアリの被害を発見していない。
□シロアリ予防工事:未・済 年 月頃
□過去にシロアリの被害があった。 箇所: 駆除と修理工事:未・済 年 月頃
□現在シロアリの被害がある。箇所:
ここで、シロアリ予防工事に「済」に回答できると、買主に対する心象はとても良くなります。
売主が予防工事をしてくれていれば、買主はしばらくシロアリに関して心配する必要がないためです。
古い住宅を売却する場合、買主がシロアリの有無を気にする人も多いため、売却前に一度シロアリ予防の実施を検討してみるのも一つです。
5.まとめ
シロアリ駆除の料金相場や不動産売却に与える影響を徹底解説してきました。
シロアリ被害は住宅の代表的な瑕疵に当たります。
被害を出さないように定期的に予防を行い、シロアリ駆除を徹底させましょう。