相続空家で3,000万円特別控除を適用する場合の条件と必要書類

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相続空家で3,000万円特別控除を適用する場合の条件と必要書類

全国で増えている空家の問題に対処するために、様々な制度が空家を取り壊す方向へ誘導しています。

その一つが、不動産の売却時に使う3,000万円特別控除の制度です。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 空家を売却すると税金が発生してしまうのか知りたい
  • 相続税も払ったのに、さらに売却で税金を払うのは嫌だ
  • 相続空家を売却したときの3,000万円特別控除について知りたい

結論からすると、要件を満たせば相続空家を売却しても、3,000万円特別控除という特例を使って税金を節税することが可能

しかも取壊して更地にしても特例が適用できます。

そこで今回の記事では、「相続空家」で適用する3,000万円特別控除の特例についてお伝えいたします。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.不動産を売却したときの所得税

譲渡所得の原則

個人が不動産を売却した場合、譲渡所得がプラスになると、所得税が発生します。

売却時の譲渡所得とは、以下の式で計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

※譲渡価額とは売却額
※取得費とは売却した不動産を購入した額(建物は減価昇格後の価額)

譲渡費用とは、以下のものが対象になります。

  1. 売却の際の仲介手数料
  2. 売却の際の測量費
  3. 売買契約書に貼付した印紙税
  4. 建物等の取壊し費用

相続空家を取壊して売却する場合は、建物の取壊し費用は譲渡費用になります。

ここで、上記式の譲渡所得がプラスであると所得税が発生してしまいます。

譲渡所得がマイナスであれば、所得税は発生しません。

  • 所得税発生:譲渡所得がプラスの場合
  • 所得税なし:譲渡所得がマイナスの場合

3,000万円特別控除を適用した譲渡所得

譲渡所得がプラスの場合、その金額を抑えるために、3,000万円特別控除という特例があります。

3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円特別控除を適用して譲渡所得がマイナスになれば、所得税は発生しません。

仮にプラスになっても3,000万円も譲渡所得を減額していますので、この特例の適用効果はとても大きなものになります。

結論を言うと、通常の不動産売却でいくと、譲渡所得がプラスになることはなく、所得税が発生することはありません。

ただし、相続の不動産を売却をするときはそうもいきません。

相続不動産を売却する場合、問題となるのが取得費です。

2.相続不動産の取得費の条件

譲渡所得の計算では、「取得費」を用います。

相続不動産の取得費は、先祖が購入したときの価格を引き継ぎます。

購入額を知るためには購入当時の売買契約書が必要になります。

ところが、相続した不動産は、元々持っている物件が多く、購入当時の売買契約書が無い場合が多くあります。

相続物件は、2~3代前の祖先が不動産を購入している場合もあり、取得費が不明というケースがとても多いです。

取得費が不明の場合は「概算取得費」になる

取得費が不明の場合には、「概算取得費」を用いることになります。

概算取得費は譲渡価額の5%。

取得費が譲渡価額の5%として計算されると、譲渡所得がとても大きくなってしまうという問題があります。

そのため、相続物件の売却で3,000万円の特別控除を適用できるかどうかは、とても大きなポイントになります。

3,000万円の特別控除の適用を受けるには、一定の要件を満たす必要がります。

3.相続空家の3,000万円の特別控除の要件

相続空家で3,000万円の特別控除を適用する場合、「売主」「家屋」「譲渡に関すること」の3つにそれぞれの要件があります。

売主の要件

被相続人居住用家屋及び相続開始直前においてその被相続人居住用家屋の敷地のように供されていた土地等を相続又は遺贈により取得した「相続人」であること

遺産分割協議前で相続人が共有状態となっている際に売却する場合は、共有者全員の同意が必要になります。

売却のタイミングは、相続の開始のあった日以後、3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却したものに限られます。

既に相続している物件は、平成25年1月2日以後の相続から適用することが可能です。

家屋の要件

売却する家屋には、以下の要件が必要になります。

  1. 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること。
  2. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  3. マンション以外の家屋であること。
  4. 相続開始直前においてその被相続人以外に居住したいた者がいなかったこと。
  5. 相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

さらに、取壊して更地を売却する場合は、上記要件に加え、以下の要件も加わります。

  1. 相続のときから取壊しのときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
  2. 土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

ここでポイントとなるのが、相続空家を一度でも事業や賃貸住宅等で活用してしまうと、3,000万円の特別控除の特例が受けられなくなるという点。

相続空家を有効活用してしまうと、3,000万円の特別控除を適用できる権利を失います。

相続空家の有効活用を考える時は、必ず売却の選択肢も含めて検討するようにしましょう。

譲渡する際の要件

相続空家の3,000万円特別控除の対象となる売却は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 譲渡価額が1億円以下であること。
  • 家屋を譲渡する場合、その譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

ここで、1つ大きなポイントがあります。

譲渡する家屋は「現行の耐震基準に適合するもの」となっていますが、家屋の要件の1つに「昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること」という条件があります。

現行の耐震基準とは、新耐震基準を表します。

新耐震基準に適合する建物とは、昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物であるといのが原則です。

そのため、原則的には昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、現行の耐震基準に適合していません。

現行の耐震基準に合わせるためには、売却する前に耐震リフォームが必要になります。

ただし、昭和56年以前の建物は、築35年以上経過しているため、そのような木造住宅をわざわざ耐震リフォームまでして売却するのは非現実的。

新耐震基準に満たない建物は更地にして売却することが多い

新耐震基準に満たない建物は、現実的には取壊して更地にして売却することになります。

本特例は、平成27年2月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」と連動して追加されたため、意図としては空家をどんどん取り壊すことを誘導しています。

国としては、不要になった相続空家はなるべく壊して欲しいということを制度で伝えているのです。

懸念される空家を壊した場合の固定資産税の増加の件については下記に詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

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固定資産税については、毎年1月1日がどのような状態になっているかで、特例の適用の有無が決まります。

1月1日時点で小規模住宅用地の特例が適用されており、その年内に取壊して、その年の12月31日までに売却してしまえば、土地の固定資産税は低いままの状態で売却が可能です。

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不動産一括査定の賢い使い方

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不動産一括査定サイトは怪しくない?利用者のリアル評判とデメリット

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以上、ここまで相続空家の3,000万円の特別控除の要件について見てきました。

本特例を適用させるためには、確定申告が必要です。

4.確定申告に必要な書類一式

相続空家で3,000万円の特別控除の特例を適用する場合、確定申告では以下の書類を添付する必要があります。

ケース必要書類
家屋または家屋及び敷地等を譲渡する場合①譲渡所得の金額の計算に関する明細書
②被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書
③被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写し等
④被相続人居住用家屋等確認書
⑤被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
家屋を取壊し、除去または滅失後の敷地等を譲渡する場合①譲渡所得の金額の計算に関する明細書
②被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書
③被相続人居住用家屋等確認書
④敷地等の売買契約書の写し等

その他、確定申告の流れや必要な書類については下記記事をご確認ください。

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5.まとめ

相続空家で3,000万円特別控除を適用する場合の手続きと書類について見てきました。

相続空家は取得費が不明な場合が多く、3,000万円特別控除が適用できるかどうかは、重要なポイントになります。

安易に活用して適用できる権利を失うのも得策ではありません。

適用要件を良く確認して、3,000万円特別控除を上手く活用するようにして下さい。

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