相続した空家は固定資産税はいくら?知っておきたい税金の仕組み

投稿日:2017年11月2日 更新日:

全国で空家の増加が問題となっていますが、空家が発生する最も大きな原因は相続です。

息子は都会でサラリーマンをやり、娘は嫁に行っている場合等では、親が亡くなると実家が空家になります。

一方で、平成27年2月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたため、空家を放っておくことが難しくなってきました。

空家を保有している人は、

  • 空家を壊すと固定資産税が高くなると聞いたがその仕組みを知りたい
  • 小規模住宅用地の特例とは何かを知りたい
  • 空家法とはどういう法律なのかを知りたい

等々のことを思っている方も多いと思います。

そこで今回の記事では固定資産税の「小規模住宅用地の特例」を中心に、空家問題についてフォーカスしてお伝えいたします。

巷では、空家を壊すと固定資産税が6倍になるという噂がありますが、実際には6倍にはなりません。

この記事を読むことで、あなたは固定資産税の仕組みについて理解し、建物を取り壊すと固定資産税がどれくらい上がるのかを理解することができます。

1.空家が増加した3つの理由

1-1.話題は戸建の空家が対象

国内には、空家と呼ばれるものが大きく分けて2種類あります。

  1. 1つは賃貸アパートのような収益物件の空室
  2. 1つは相続をきっかけとした実家の空家

です。

地方の人口減少に加え、相続税法が強化されたことによりアパート建築が増えたことから、アパート等の空家も増えて問題になっています。

ただし、今回の記事で扱う空家は、アパート等の収益物件の空家ではありません。

被相続人が亡くなって住む人がいなくなったことによる空家が対象としています。

1-2.空家が増加する3つの理由

故郷の実家が空家になってしまう理由は、第一に子供たちがそこに戻る理由がないからです。

第二に、取り壊すと言っても取壊し費用が高額なことから、取壊し費用を誰も負担をしたくないという単純な理由があります。

木造の戸建住宅の取壊し費用は、坪4~5万円程度です。延床面積が30坪の戸建でも、取壊し費用は120万円~150万円程度かかります。

ポケットマネーで出すには結構な金額であるため、相続人のうち、誰が取壊し費用を負担するかでも揉める原因にもなります。

第三の理由として空家の固定資産税の問題があります。

タダでさえ高額な取壊し費用が、固定資産税が上がる可能性があることが、相続人間で「壊すのは止めておこう」という最終結論に導いてしまうのです。

そのため、固定資産税の特例制度があり、小規模住宅用地の特例と呼ばれるものがあります。

そこで次に小規模住宅用地の特例について、詳しく見ていきます。

2.小規模住宅用地の特例

2-1.固定資産税および都市計画税

不動産を保有していると、固定資産税が発生します。

さらに、都市計画法の市街化区域内に不動産を保有している都市計画税も発生します。

固定資産税も都市計画税も、毎年1月1日現在の所有者に課税されます。

固定資産税および都市計画税(以下、「固都税」と略)は、土地と建物のそれぞれに発生します。

固都税は、以下の計算式で税額が計算されます。

税額 = 課税標準額 × 税率

※税率は、固定資産税については1.4%、都市計画税については0.3%が標準的

ただし、税率は市区町村によって異なる場合があります。

ここで、課税標準額とは、その金額に直接税率を乗じることによって税額を求めることのできる価額を表しています。

課税標準額は固定資産税評価額から求められるものになります。

固定資産税を理解するためには、

  1. 固定資産税評価額
  2. 課税標準額

の2つの存在を知ることから始めます。

毎年、市区町村から送られてくる固定資産税納税通知書をよく見ると、①固定資産税評価額と②課税標準額の2つの数字が書かれていることが分かります。

税額は、課税標準額に税率を乗じたものになります。

最初に固定資産税評価額があり、そこから課税標準額が求められ、最後に税率を掛けることによって税額が決定されます。

2-2.住宅用地の軽減とは

固都税の中に、住宅用地の特例というものがあります。

住宅用地とは住宅の敷地の用に供されている土地のことを言います。

この特例は、あくまでも「土地」の特例であり、「建物」の特例ではありません。

住宅用地の特例の要件と課税標準額は以下の通りになります。

区分 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200㎡までの部分 固定資産税評価額×1/6 固定資産税評価額×1/3
一般住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200㎡を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 固定資産税評価額×1/3 固定資産税評価額×2/3

この中で「住宅の敷地で住宅1戸につき200㎡までの部分」の特例を、小規模住宅用地の特例と呼んでいます。

200㎡というと、60.5坪の敷地となります。

一戸建の敷地は、たいてい40~60坪の広さが標準的です。

敷地が60.5坪以内であれば、全て小規模住宅用地の特例が適用され、課税標準額が固定試案税の6分の1になります。

一方で、敷地が80坪ある場合、60.5坪までが小規模住宅用地の特例の適用を受けます。

残りの19.5坪(=80坪-60.5坪)の関しては一般住宅用地の特例が適用されることになり、19.5坪の部分は課税標準額が固定資産税の1/3になります。

繰り返しますが、これはあくまでも「土地」の特例です。

建物については、固定資産税評価額イコール課税標準額になります。

少し理解しにくいですが、「土地」の上にある建物が住宅かどうかで、「土地」の固都税が下がるという不思議な制度になります。

以上、ここまで小規模住宅用地の特例について見てきました。

それでは住宅を取り壊してしまった場合、土地の固都税はどうなるのでしょうか。

次に住宅を取り壊した場合について見ていきます。

3.住宅を取り壊した場合の固定資産税の計算方法

3-1.更地になると商業地等の扱い

住宅用地の特例は、「土地の上に建っている建物は何か?」によって決まります。

住宅が建っていれば住宅用地の特例が適用され、住宅が建っていなければ住宅用地の適用がされることはありません。

固都税においては、住宅用地以外の土地を「商業地等」という表現で表します。

商業地というと、オフィスビルの敷地をイメージしますが、更地や工場の土地等であっても、住宅用地以外であれば全て商業地等という扱いになります

ここで、ポイントとなるのが、「商業地等」の課税標準額は、固定資産税評価額でなないということです。

3-2.負担水準と負担調整

商業地の課税標準額は、負担水準に基づき、負担調整という措置が設けられます。

負担水準とは以下の式で表されるものです。

負担水準=前年度課税標準額÷当該年度の新評価額×100%

 条件 負担水準 税負担の調整措置
商業地の場合 70%超 当該年度の評価額の70%相当額を課税標準として計算した額が税額となる
60%以上70%以下 一律に前年度の税額が据え置かれる
60%未満 前年度課税標準額+固定資産税評価額×5%

負担水準は、「前年度課税標準額」と「当該年度の新評価額」との関係で決まります。

負担水準と固定資産税の計算式は以下のようになります。  

負担水準 固定資産税額
70%超 当該年度の固定資産税評価額×70%×1.4%
60%以上70%以下 前年度課税標準額×1.4%
60%未満 (前年度課税標準額+固定資産税評価額×5%)×1.4%

3-3.取壊し後の固定資産税

尚、取壊し前に敷地全体が商機住宅用地の特例が掛かっていた場合、固定資産税は以下のようになっていました。

取壊し前の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1/6 × 1.4%

上表の中で、「取壊し前の固定資産税額」と最も差がある式としては、負担水準が70%超の「当該年度の固定資産税評価額×70%×1.4%」という式です。

この式であれば、固定資産税は上がったとしても、前年の約4.2倍程度です。

負担水準が「60%以上70%以下」や「60%未満」であれば、建物を取壊しても固定資産税は同じか、約1.05倍程度で、ほとんど上がらないということになります。

結論としては、建物を取壊しても、固定資産税が6倍になることはありません

建物を壊せば、建物の固定資産税が無くなるというメリットもあります。

良く、住宅を取り壊すと固定資産税が6倍になるという人がいますが、それは間違いです。

固定資産税は市区町村税ですので、取り壊す前に、取り壊したら固定資産税がどれくらい高くなってしまうのか、市区町村の固定資産税課に事前に確認しにいくことをオススメします。

以上、ここまで建物を取り壊した場合について見てきました。

建物を取り壊すと、土地の固定資産税は上がる可能性があることが分かりました。

ところが、空家法が制定されてからは、建物を取り壊さなくても土地の固定資産税が上がってしまう可能性が出てきています。

そこで次に気になる空家法について見ていきます。

4.空家法とは「空家の取り壊し」を誘導する法律

空家法の正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。

空家は放っておくと、火災や犯罪利用の可能性があるため、社会にとって危険な存在です。

そのため空家の取壊しを誘導するためにできた法律が空家法になります。

空家法では、以下のような状態の空家を行政が「特定空家」として指定します。

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空家に指定されると、その土地については住宅用地にかかる固定資産税および都市計画税の特例措置が認められなくなります。

つまり、空家でも放っておいて特定空家に指定されてしまうと、住宅用地の特例がなくなり、商業地等の扱いとなることで土地の固定資産税が上がってしまうのです。

ただし、空家になったからと言って、すぐに空家が特定空家になることはありません。

特定空家に指定されてしまう前に、売却等の対処を行う必要があります。

空家の売却については、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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5.まとめ

以上、空家問題で知っておきたい小規模住宅用地の特例について徹底解説してきました。

空家は取り壊すといきなり固定資産税が6倍になるわけではありません。

上がる可能性を含んでいるだけです。

空家を取り壊しは、建物の固定資産税が無くなるメリットもあります。

取り壊す前に市区町村に出向き、土地建物トータルで固都税がどの程度変化するか確認するようにして下さい。

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