木造一戸建ての中でも、50坪となると比較的大きな規模の住宅です。
50坪の戸建ての解体を考えている人の中には、解体費用の高さに頭を悩ましている方も多いのではないでしょうか。
解体費用はほとんどを「作業費」が占めていることから、解体費用は現場の作業のしやすさによってかなり金額が異なってきます。
解体工事費を安くするには、解体とはどのようなものであるかを知ってから適切な会社に見積もりを取ることがコツです。
この記事では、「50坪の木造一戸建ての解体費用」について、解体工事費用の相場や相場よりも高くなる要因、または相場よりも安くなる要因、解体費用を安くする方法について紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
- 50坪の木造一戸建ての解体費用の相場は?
- 解体費用が相場より高くなるor安くなる要因は?
- 解体費用を安く抑える方法を知りたい!
50坪一戸建ての解体工事費用の相場
一軒家を解体する場合、解体工事費用を構造別にみると以下の表のようになります。
構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 4~5万円 |
鉄骨造 | 5~7万円 |
鉄筋コンクリート造 | 7~8万円 |
50坪の一戸建ての場合は、総額としては「200万円~400万円」程度ということになります。
構造別では、木造構造の場合、「200万円~250万円」程度、鉄骨造なら「250万円~350万円」程度、鉄筋コンクリート造なら「350万円~400万円」程度となります。
また、上記の坪単価は地下室がないことが前提ですが、地下室がある場合には解体費用は相場の2倍程度となることも多いです。
相場はあくまで参考レベル。相見積もりが鉄則
解体費用は実際に見積もりを取ってみると相場からかなりかけ離れていることがよくあります。
新築工事費の場合は、各部材の材料費に相場があり、その材料費を積み上げて工事費が形成されるため、相場からブレにくいという特徴があります。
しかし、解体費用は、そのほとんどが「作業費(施工費)」であることから、「材料費」がほとんどを占める新築工事費とは性質が大きく異なります。
また、解体費用は材料費を積み上げているわけではなく、主に作業費で構成されていることから、「作業のしやすさ」などが価格に大きく影響します。
したがって、解体費用は現場の状況によってかなり異なるというのが実態であり、相場だけで予算を把握することは危険です。
実際に現場を見てもらって複数社から見積もりを取ることがとても重要ですので、最終的には見積もりをしっかりと取るようにしてください。
相場よりも見積もりが高くなる要因
この章では、実際の工事費用が相場よりも高くなる要因について解説します。
- 施工条件が悪い
- 手壊し作業が多い
- ガードマンを多く配置しなければならない
見積もりが高くなる要因1.施工条件が悪い
「重機が入らない」、「隣地との距離が近い」等のように条件が悪いと解体費用が高くなります。
重機が入らないケースとしては、例えば現地までの道が細く、また敷地が高くなっており階段を使わないと建物にたどり着けないような状況が挙げられます。
解体をするのに重機が入らない場合、困難な作業が予想されます。
また、解体現場が閑静な住宅街の中で隣地との距離が近い場合、騒音対策が必要となります。
そのような「特別なブラスアルファ」が必要になる場合は、金額が高くなるケースもあります。
見積もりが高くなる要因2.手壊し作業が多い
解体費用は手壊し作業が多い場合には金額が高くなります。
木造住宅の解体工事は、「手作業・機械作業併用分別解体工法」と呼ばれる工法が用いられることが一般的で、これは職人の手壊しによる解体と、重機の機械による解体の両方を行います。
全て機械で壊さないのは、手作業・機械作業併用分別解体工法を用いた方がトータル的に安くなるからです。
昨今は、解体工事で発生する廃材は、リサイクル法によって分別処理をしなければならないことになっています。
畳や建具、内装材等はそれぞれ分別しなければならないため、一気に壊して後から分別するよりも、解体現場で分別しながら壊す方が効率的です。
そのため、重機を使って一気に壊すようなことはせず、職人が一つ一つ手作業で壊すことを行いますが、以下のような場合は作業費が割高になりやすいです。
- 建具や畳、内装材の石こうボード、断熱材、屋根瓦等、分別しなければならない廃材を多く持っている建物
- 重機が入れず、本来、重機で壊せる部分も手壊しとなるような現場
- 騒音対策のために、重機を使えず、手壊しとなるような現場
逆に掘立小屋のように分別しなければならないものが少ない建物であれば、手作業部分が少なくなるため、解体費用が割安となります。
見積もりが高くなる要因3.ガードマンを多く配置しなければならない
ガードマンを多く配置しなければならない現場も解体費用が割高です。
一般的に解体工事現場では周辺に1人のガードマンを配置しますが、以下のような場合にはガードマンが増えるケースがあります。
- スクールゾーンなどがある場合、安全上の理由がある場合
- 前面道路が狭く道路を占有し、車や自転車を迂回誘導が必要場な場合
相場よりも見積もりが安くなる要因
この章では相場よりも安くなる要因について解説します。
- 施工条件が良い
- リサイクル材が多くある
見積もりが安くなる要因1.施工条件が良い
施工条件が良いと、解体費用は安くなります。
イメージとしては、「大草原の小さな家」のような物件を壊すときは、解体費用は安いです。
大草原であれば重機の搬入も容易ですし、騒音対策も不要となり、周辺にガードマンを配置する必要もないことから、解体費用を抑えることができます。
このように田舎で広々したところの家を壊す場合には、解体費用は安くなる傾向にあります。
見積もりが安くなる要因2.リサイクル材が多くある
リサイクル材が多くある物件も、解体費用は安くなります。
解体工事では、廃材の中に鉄などの有価で売却できる廃棄物が出ることがあります。
有価で販売できるもの(主に鉄)は、解体工事会社が解体後に売却するため、その分は見積金額から値引きが行われます。
そのため、屋根が鉄のトタン屋根でできているケースは、有価で販売できるリサイクル材の分量が大きくなるため、解体費用が割と下がります。
また、木造でも古民家のような建物は、木材の断面も大きく、金物の使用量が少ないことから建築資材として再利用できるケースがあります。
ただし、昨今の建物は木材の断面も小さく、付着金物の量も多いことから、リサイクル材として利用されることはほとんどありません。
リサイクル材は、トタン屋根や古民家等、古い建物の方が多く発生するため、解体費用も古い建物の方が安くなる傾向にあります。
解体費用を安くする方法
この章では解体費用を安くする方法について解説します。
解体費用を抑える方法1.残置物を処分しておく
解体費用を安くするには、家具やゴミなどの残置物を処分しておくことが必要です。
一般的に、解体工事会社は産業廃棄物収集運搬業の免許を有していることが多く、解体工事の現場から出る廃棄物は解体工事会社が処分することが可能です。
一方で依頼主が残していった家具やゴミ等の残置物は、家庭ゴミとして一般廃棄物に該当します。残された家庭ゴミを処分場まで運ぶには、一般廃棄物収集運搬業という別の免許が必要です。
多くの解体工事会社は一般廃棄物収集運搬業を有していないため、解体工事会社が一般廃棄物収集運搬業を外注することになるのでその処理費用が上乗せとなります。
よって、解体費用を安くするには、家具や家庭ゴミは全て自分で処分し、「がらんどう」にした状態で依頼することがポイントとなります。
解体費用を抑える方法2.地下埋設物の状況を明確にしておく
地下に何か埋まっている可能性がある場合は、その分、撤去費用が高くなります。典型的な地下埋設物としては、浄化槽があります。
下水が整備される以前から家が建っている場合には、敷地内に浄化槽が埋まったまま残っているケースが多いです。
設計図面等が残っている場合には、どこにどの程度の規模の浄化槽があるかを明確にしておくと、いたずらに解体費用が膨らむことを避けることができます。
解体費用を抑える方法3.解体工事会社に直接依頼する
解体費用を安くするには、解体工事会社に直接依頼することがポイントです。
建築会社でも解体工事を請けてくれますが、その場合、建築会社は解体工事会社に解体を外注するためマージンが上乗せされて費用が高くなってしまいます。
また、解体工事会社も重機を保有している会社と重機をリースしている会社に分かれますが、解体費用が安くなるのは重機を保有している会社です。
重機をリースしている会社は、重機のリース料が高いことから、その分、解体費用も高くなります。
よって、解体費用は「重機を保有している解体会社」に直接依頼することが最も安くする方法です。
解体費用を抑える方法4.相見積もりを取る
解体費用を安くするには、複数の解体工事会社に相見積もりを取ることが基本となります。
相見積もりを取ると会社によってかなり金額が異なることがありますが、会社によって金額が異なるのは、重機の保有の有無が大きく影響していることがよくあります。
また、重機の有無だけではなく、外国人労働者を解体職人として活用している会社も見積もりを安く提示することができます。
人件費がコストの大部分を占めるため、比較的安く雇っている外国人従業員がいるかどうかも、見積もりに反映されています。
とはいえ、解体会社を複数知っている人の方が珍しいと思うので、「解体会社への相見積もり」自体がハードルが高いかもしれません。
また解体業者は「解体の窓口」で探すのがオススメです。
解体の窓口は優良業者のみ厳選。ネット上で相場が分かる他、条件にあった最安の解体業者が見つかります。
連絡もメール要望などでき、大変便利です。
解体は年度によって補助金や助成金が出る場合もあるので、早めに確認をしておきましょう。
解体費用を抑える方法5.着工を1月1日以降にする
解体費用を直接安くするものではありませんが、戸建ての解体は着工を1月1日以降にすることで固定資産税を安く抑えることが可能です。
土地の上に一戸建てのような住宅が建っていると、住宅用地の軽減によって土地の固定資産税が安くなっています。
1月1日に航空写真が撮影され、その時点で住宅が残っていると、その土地は1年間住宅用地とみなされ、住宅用地の軽減が適用されます。
よって、解体は1月2日から行っても、その年の1年間の土地の固定資産税は安いままです。
解体の工事期間は、概ね1~2ヶ月程度が一般的です。
解体後に売却や土地活用をすることが決まっている方は、売却後のスケジュールを含めて解体着手のタイミングを調整することをオススメします。
解体費用を抑える方法6.自治体の補助金を活用する
自治体によっては建築物の解体に補助金を出す場合もあります。
解体補助金は、要件が自治体の解消したい課題と関連している点が特徴です。
単に取り壊したい建物に全て補助金が適用できるわけではなく、建物が自治体の解消したい課題に合致していないと補助金をもらうことができません。
補助金があるどうかは自治体によって異なるので、まずは管轄の自治体に問い合わせてみましょう。
またその際、気をつける点は以下になります。
- 募集期間が1-3ヶ月程度と短いので事前に書類は用意しておくべき
- 補助金が支払われるのは後からになるので、解体費用を100%準備する必要がある
- 自治体の補助金は単年で予算を組むため、ある年と無い年が存在する
「昨年補助金があった」からと言って、今年もあるとは限りません。
また補助金が支払われる期間は短いため、自分の解体希望期間と重ならない可能性もありますので、事前に色々調査をしておきましょう。
売却や土地活用を見越した解体なら損する可能性も
- 親から継いだ実家が古すぎて売れないから、更地にしてから売りたい!
- 土地活用をしたいが、古家の解体から始めないといけない
上記のようなことから、家の解体を検討する方は多いのではないでしょうか?
確かに、築20年以上の木造戸建て住宅の場合、多くは価値がゼロとして査定されてしまいます。
一方で、建物が古くても「古民家」として価値のあるものは、取り壊さない方が良いです。
昨今の古民家ブームを受け、高く売れる古民家もあります。「古民家カフェ」や「古民家ヨガ教室」などでへの土地活用も検討出来ます。
解体して更地にすることを前提に進めてしまうと、後で「壊さなければよかった」と後悔してしまうことにもなりかねません。
特に、都内の港区、目黒区、渋谷区、世田谷区あたりに古民家をお持ちの方は、希少性が高いため安易に取り壊さないことをオススメします。
一戸建てを処分して現金化したい方なら、すぐに「解体」という判断をせず、まずは現状のままで高く売れないかを不動産会社に相談しましょう。
また、更地にしてから土地活用と考えていた方は、今ある建物を活かした活用方法も含めて、一度、土地活用の得意な不動産会社に相談してみましょう。
一戸建て売却、土地活用についても解体会社選びと同様、便利な一括査定サイトが幾つもありますので、是非活用してみてください。
数ある一括査定サイトのなかでも筆者としては、「HOME4U」をオススメします。
「HOME4U」はNTTデータ・スマートソーシングが運営するサイトでサイト全体の利用者数は年間1000万人以上を誇る、実績十分のサービスと言えます。
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結局、解体してから進める方がお得という判断になれば、出会った不動産会社に安く請けてくれる解体会社を紹介してもらってから相見積もりとることも可能です。
まとめ
50坪の木造一戸建ての解体費用について解説してきました。
木造の解体工事費用の坪単価は、坪4~5万円です。50坪だと200万円~250万円程度となります。
解体工事費用が相場よりも高くなる要因としては、「施工条件が悪い」、「手壊し作業が多い」等の理由がありました。
一方で、解体工事費用が相場よりも安くなる要因としては、「施工条件が良い」、「リサイクル材が多くある」といった要因があります。
解体費用を安くする方法としては、「重機を保有している解体工事会社に直接依頼する」ことが最も重要で、自治体によっては解体の補助が出る場合もあるのでその確認も必要です。
また、解体をするべきかどうかの判断に関しても一度、専門家に確認をしてから判断することをオススメします。