チラシというものは不思議なものです。今までゴミにしかならなかったものが、自分があることに興味を持った瞬間から、それに関連するチラシが急に気になりだしたりするものです。
不動産の売却についても同じです。不動産を売却しようかなと考え始めた時から、急にチラシが気になりだした方も多いのではないでしょうか。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 不動産売却のチラシがよく入っているけどどうしてなの?
- 不動産売却のチラシについて、本当に大丈夫なの?
- 不動産売却のチラシの注意点について知りたい
- 不動産売却のチラシをそのまま鵜呑みにしていいの?
そこで、今回の記事では不動産売却のチラシの真相と2つの注意点についてお伝えします。
初心者の方でも読めば解決できるまで丁寧に説明していますので、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。
不動産売却のチラシの真相
実は広告ルールの厳しい不動産業界
意外に思われることかもしれませんが、不動産業界は従来から広告ルールがとても厳しい業界です。
昨今、高級レストランでの産地の虚偽表示等が話題となりましたが、不動産業異界からすると、もってのほかのレベルの事件と言えます。
不動産業界は歴史も長いのですが、不動産という商品は持ち歩けないため、初期の段階から広告の活用をしていました。恐らく当初は規制も緩かったことから、それこそ多くの虚偽表示も多かったのです。
しかしながら、不動産は取引額が大きいため、誤認を誘発するような広告は損害も大きかったことから、歴史的にも古くから広告に関する規制が敷かれてきました。
不動産業界には宅建業法の第32条「誇大広告の禁止」
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
※宅地建物取引業法
不動産業界には宅建業法の第33条「広告の開始時期の制限」
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項 又は第二項の許可、建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項 の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
※宅地建物取引業法
等の規制がある他、業界で「不動産の表示に関する公正競争規約」という業界自主ルールを定めています。
これは宅建業法とは別の広告に関する法律である不当景品類及び不当表示防止法(通称、景品表示法)にも違反しないように業界が定めたルールです。
チラシ以外の広告でも規制対象になっている
これらの規制やルールは、不動産に関するあらゆる広告が対象となります。
そのためチラシや新聞、ポスター、インターネット、放送等のあらゆるものが規制の対象となっています。
規制の内容は、「実際のものよりも著しく優良、有利であると一般消費者に誤認されるような表示」や「著しく事実に相違する表示」などを規制しています。
特徴としては、積極的に誇大表示する場合だけでなく、ある事項を表示しないことにより結果として誤認させる場合も含まれています。
このように不動産業界は広告に厳しく、不動産会社は広告にはかなり神経をすり減らして違反の無いように作成しています。
そのため、他の業界から比較すると、広告に関してはかなり地味です。
これは本当?と思うような広告表現も多いのが実情
しかしながら、逆に表示ルールが厳しすぎて、一部の内容に関しては、「本当なの?」と思う部分もあります。
例えば「駅徒歩○○分」という駅距離表示です。駅距離は道路距離80m=1分として算出し、1分未満の端数は1分として切上表示されます。
道路距離が450mなら450m÷80m=5.625分のため、表示としては6分となります。
この駅距離ですが、それぞれの施設から最も近い地点で同士を結んで測定されます。
そのため広いマンションでは敷地内の距離がカウントされません。またエレベーターや信号の待ち時間なども考慮されません。
大規模マンションなどでは、駅徒歩5分などと表示されていても、実際、朝の通勤時は10分かかるなどのケースも多いです。
駅距離については、多少、短いと感じる人も多く、違和感を覚える方も少なからず存在します。
以上、チラシの真相について見てきました。
チラシの内容は、駅距離のような若干違和感を覚える内容もありますが、基本的には正しいと言えます。
次にチラシの注意点についてもう少し深堀りしていきましょう。
不動産売却のチラシの2つの注意点
注意点①:価格表示
注意点の1つ目は価格です。最近の新築マンションでは、基本的に値引きが無い世界なので、売出価格と成約価格というのはほぼ同じです。
しかしながら、中古住宅の場合、売出価格と成約価格が異なることの方が多いです。
値引き幅は売出価格の設定にもよりますが、5~10%程度あります。まずは、売出価格でそのまま売却できているとは限らないということが注意点です。
中古物件を真剣に購入したい方は、普段から良くチラシを見て研究しています。そのため、売主の想像以上に相場を把握しています。
購入希望者にとって、最も重要な情報は売出価格です。
値付けで失敗すると、売却期間も長期化し、大幅に値下げをせざるを得ない状況になります。
売出価格は強気過ぎず、弱気過ぎず、ストライクゾーンのほんの少し高め程度に設定しておくことがポイントなのです。
注意点②:求めている人がいます!といった買主存在をアピールする表現
次に2つ目の注意点です。チラシの中には、売物件の内容以外で、裏面や下の方に「オマケの文言」が付記されているケースがあります。
それは、「このマンションを求めている人が居ます!」という買主の存在をアピールするメッセージです。
これは売物件の紹介ではなく、今自分の住んで居るマンションの住民に対し、発信している内容です。
このメッセージの意図するところは、「あなたの物件を売却する際は、是非当社へお任せください」という売主を集めるための広告となります。
売主を探したがために頻繁にチラシを入れる業者もいます。この「買いたい人が居ます!」という情報は、本当にある話なのか、もしくはあったとしてもいつの話なのか分かりません。
買主を募集する広告は規制の対象外
この情報に関しては規制の対象外のため、注意が必要です。
このようなチラシを見て、チラシの不動産会社に売却依頼をしてみたところ、買いたいという人はただの買取業者だったという話もあります。
実際に、購入希望者は、「あのマンションに売物件が出たら教えてください」と事前に不動産会社に依頼をしておくケースはあります。
中古物件の購入者からすると、中古物件は欲しいタイミングで買えないというデメリットがあります。
そのため、賢い購入者は事前に不動産会社に買いたいマンションで売物件が出たら優先的に情報を流してもらう様に依頼する方もいます。
特にそのエリアで人気のあるマンションは、このような情報収集は行われていることが多いです。
あまり人気のないエリアでこのようなチラシが出ていたら注意
しかしながら、例えば駅から10分以上離れたマンションでもこのような文言が入っていたら、かなり怪しい匂いがしてきます。
マンションを売却したい人は、「買主を掴んでいるのなら、この不動産会社に依頼しよう」と思いがちですが、この情報に関しては確証がないため、鵜呑みにするには注意が必要なのです。
ここまで、チラシの注意点について見てきました。それでは次に売却チラシをお願いする時のコツについて紹介します。
不動産会社に売却のチラシをお願いするときのコツ
上述のように、不動産広告は規制が厳しいため、やたらのことを書けません。
そのため、不動産会社はありきたりの広告を作りがちです。平凡なチラシの中で差を付けるにはキャッチコピーが重要となります。
ところが、不動産会社は一つ一つの物件にいちいちキャッチコピーを考えてくれません。
そこで不動産会社に依頼する時は、物件のキャッチコピーも考えて、「このキャッチコピーも付けてください」とお願いするのが良いでしょう。
具体的には「お父さんの隠れ家あります」とか、「このマンション、婚活中です」などのようなちょっと目を引くコピーです。
まとめ
不動産売却のチラシの真相と2つの注意点について見てきました。
あらためて、家に入っているチラシを見返してみるのも良いでしょう。