一生涯でマンションを売却する機会は、ほとんどありません。
何から始めたらいいのか分からず、インターネットでいろいろ調べているものの、サイトによって書いてあることが違うし・・・
「調べれば調べるほど分からなくなるし不安になる」と思っていませんか?
こんな悩みをスッキリ解消!
- マンション売却、何から始めたらいいの?
- トラブルなく早く高く売るためのポイントは?注意点は?
- マンションを売却すると税金がかかるの?確定申告は必要?
下記図をみてください。これは売却経験者295人に「自宅の売却価格に満足しているのか」のアンケート結果。
※調査結果参照:アットホーム「中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」より
注目するところは「いいえ」の39.0%。
ざっくり3人に1人は自宅売却は失敗したと感じているのです。
そしてこの調査をさらに紐解いていくと、失敗している人の共通点が下記2つの落とし穴にはまっていることが分かりました。
- 落とし穴1:1社だけの査定依頼をしている
- 落とし穴2:会社選びに失敗している
でも実はちょっとしたコツを抑えておけば、マンション売却で失敗する可能性はビックリするぐらい下がります。
当記事を見てもらえれば、マンション売却が成功すること間違いなし!
マンション売却の流れ7ステップと失敗しないためのポイント・注意点
安心してください。何だかんだで最終的には売却できているんです。
しかもほんの少しのコツを抑えておくだけで失敗しなくなります。
まずはマンション売却の大まかな流れについてお伝えします。
『マンション売却の準備から、マンション引渡しまでの流れで5~6ヶ月程度かかる』と頭の片隅に入れておきましょう。
ステップ1.マンション売却準備
売却相場を知っておくことは、モノを売るときは鉄則。
次のステップにある不動産会社からの査定額が高いのか安いのかも判断が付かないのです。
冒頭で見たアットホーム「中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」のアンケート調査では、下記が書かれています。
自宅の売却価格は、当初の予定よりも安くなった人が 54.2%(160 名)、売却価格に満足している人は 37.6%(111 名)でした。ちなみに、「市場動向をチェックし、売るタイミングを研究しましたか?」(P4)の質問で「はい」と回答した人に絞って見てみると、58.5%と 6 割近くが売却価格に満足しており、事前にある程度研究してから臨んだ人は満足度が高いようです。
そう、市場動向(相場)をチェックしている人は満足度が上がるということ。
相場は、下記サイトを使って、売却予定のマンションに近い環境がいくらぐらいに取引されているのか、売り出しされているのか調べておきましょう。
Q.住宅ローンが残っていても売却できる?
住宅ローンが残った家でも売却は可能。ただし、抵当権抹消が必要となります。
抵当権とは、銀行からお金を借りるときに土地と建物に設定した担保権のこと
抵当権抹消するためには、ローン残債分を返済する必要があります。
「マンションの売却金額 > ローン残債」(アンダーローン)であれば、問題なく売却できます。
「マンションの売却金額 < ローン残債」(オーバーローン)であれば、残りの残債分を手持ち金などで支払う必要が出てきます。
また、住み替えの方は「住み替えローン」などを使うことで売却することも可能。
その他、任意売却という方法がありますが、売却金額が下がるためオススメしていません。
まずは、売却金額がどれぐらいになるのか把握するためにも、不動産査定を依頼しましょう。
Q.住み替えの時に何か考えないといけないことはある?
住み替えを検討するとき迷うのが次の家を探してから売却か、売却してから次の家を探すのかです。
専門用語で「売り先行」「買い先行」という言葉があります。
先行 | メリット | デメリット |
---|---|---|
売り先行 | ・売却価格が確定するので、買換えに向けた資金計画が立ちやすい。 ・焦らずに売却活動かできるため、売り急ぐ必要がない。 |
・住宅を引渡すまでに購入物件が決まれなければ、仮住まいになってしまう。 ・仮住まいになると、引越の回数も増え、余分な費用がかかってしまう。 |
買い先行 | ・時間をかけてじっくりと購入物件を探すことができる。 ・新居へ引越後の空き家の状態で売却できるため、物件の印象を良くして売却することができる。 |
・売却の目途が立たないと、新居購入の分と合わせた二重ローンになる可能性がある。 ・売却価格や時期が未定なため、資金計画が狂ってしまう可能性がある。 |
それぞれあなたの環境によって売り先行がいいのか買い先行がいいのかは異なります。
Q.マンション売却はいつから準備する?
マンションの売却期間は3~6カ月程度です。
売却期間は大きく下記要素が絡み合って決まってきます。
- 人気
- 売出価格
- 季節要因
人気なマンションでも売出価格が高すぎれば、なかなか買主を見つけることができません。
余裕をもって動くようにしましょう。
Q.売却時期により有利・不利はある?
一般的にマンションの売買が活発な時期は「2~3月」「9~11月」のライフスタイルが変わる時期です。
卒業・入学や転勤などの時期になりますからね。
つまりこの時期に重なれば買主が見つかりやすく売れやすくなります。
不動産は築年数の経過につれて価格が下がっていくのが一般的ですのでなるべく早く売却するのが望ましいです。
また、2024年12月現在は東京オリンピックや大阪万博等の世界的なイベントが控えてることもありマンション価格が高くなっており、売れやすい時期と言えます。
また住宅の売却価格がここ数年上昇し続けており、今は売却時期として非常に好ましいです。
買主はいつ現れるか分かりませんので、少しでも売るのを検討始めたら、まずは不動産査定をしておくことをオススメします。
Q.共有名義のマンションは売却できる?
共有名義のマンションを売却することは可能です。
ただし、共有者全員の承諾が必要になりますし、全員の署名や立ち合いが必要になります。
共有を得意としている不動産会社もありますので、まずは査定相談をしてみましょう。
Q.資金計画は立てたほうがいい?
住宅ローン返済中のマンションを売却する場合、売却額によって住宅ローン残債が返済できるかが重要です。
また、買い替えを行うのであれば、次の物件購入時の頭金をいくら用意できるかも重要です。
資金計画では、住宅ローン残債がいくらかを把握し、次に購入する物件はいくらくらいを希望するかといった内容を考えておいてください。
ステップ2. マンションの査定依頼
事前準備が終われば、不動産会社への査定依頼し、査定額の提示を受けます。
筆者がオススメするマンション査定依頼の進め方は下記のとおりです。
査定依頼から不動産会社決定までの流れ
- 一括査定サイトを使って、複数社に机上査定依頼
- 複数社からの机上査定の結果を比較検討し、2~3社程度に絞る
- 厳選した会社に対して訪問査定を依頼
- 訪問査定の結果をもとに、売買仲介を依頼する不動産会社を決定
上記の流れのなかで、特に大事なポイントについて解説していきます。
不動産会社1社だけではなく、複数社に査定依頼をする
不動産会社への査定は、1社だけではなく必ず複数社に依頼するようにしてください。
理由は下記の2つ。
- 複数社から査定額を出してもらうことで相場観を掴めるため
- あなたのマンションを得意としている不動産会社を見つけるため
中古マンションは、全く同じ物件が他にないため「定価」という概念がありません。
同じマンションでも方角、階数、角部屋か否かなどで異なってきます。
1社だけの査定額で判断せず、複数の会社から査定額の提示を受けてください。
そして、査定額の根拠をしっかり聞くようにしてください。
不動産一括査定サイトを使うと複数の不動産会社がすぐ見つかる
不動産一括査定サイトを使うと、わざわざ1社1社探さなくても、一度にたくさんの不動産会社に査定依頼ができます。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定サイトのオススメはコレ
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
筆者は何度も不動産一括査定を利用しています。
下記は「すまいValue」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所の住まいリレー」より、査定結果をもらった写真です。
下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。
少し細かいので、流し読みする程度で大丈夫です。
これを見ると、上位4社がずば抜けているのが分かると思います。
正確にはセンチュリー21はフランチャイズ経営なので、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」の3強ということです。
不動産売買は超大手に偏っている
「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」が超大手と言われる不動産会社です。
超大手不動産会社3社で不動産仲介の約30%のシェアを持っています。つまり、不動産売買した人の中で3人に1人は、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」のどこかに仲介を依頼していることになります。
それだけ日本の不動産売買は、超大手不動産会社に偏っているということ。
超大手不動産会社は販売活動に強く、豊富な買主を持っており、売りやすいとも言えます。
そしてこの3社に唯一依頼できるのが「すまいValue」です。なので「すまいValue」は外せません。
超大手不動産会社だけではなく大手・中堅・地域密着の会社とも比較する
ただ、超大手だけで満足してはダメ。不動産業界は特殊な縄張りなどもあり、A地域はX不動産が強い、B地域はY不動産が強いということが存在します。
また、超大手になるほど両手仲介の比率が高まります。
両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと。買主と売主から手数料をもらえるため、利益相反の関係になる。アメリカは両手仲介は禁止されています。
売却を成功するためにも超大手不動産会社と併せて大手・中堅や地域密着の不動産会社も比較することをオススメします。
その場合は下記のような使い分けがいいでしょう。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
机上査定で絞り込んでから訪問査定
複数社への依頼をするにしても、何社も家まで訪問してもらって、査定調査をお願いするのは手間がかかってしまいます。
まずは、机上査定で会社の絞り込みをオススメします。
机上査定と訪問査定の違いは下記の通りです。
- 机上査定とは、不動産を見ずに登記簿謄本や地図等の資料だけで行う査定
- 訪問査定とは、机上査定の資料に加え、実際に物件を見て行う査定
それぞれの違いを理解したら、まずは、一括査定サイトを使って複数社への机上査定依頼から進めましょう。
売却したいマンションがある地域に強い不動産会社を選ぶ
不動産一括査定サイトを利用すると、査定書が郵送やメール添付ファイルで自宅に送られてきます。
この段階で各不動産会社の査定書の情報や実際に直接相談をした後、マンション売却を任せる仲介業者を選ぶことになりますが、重要なポイントは、売却したいマンションがある地域に強い業者に任せることです。
実際、地域特性への理解というのは、売却の成否にも影響を与える大きなポイントとなります。
郊外にあるような地元の不動産会社は、遠くに離れた大手不動産会社よりも、多くの情報を持っていますので、上手く活用するのがオススメです。
ステップ3.不動産会社との媒介契約
媒介契約締結時の必要書類
必要書類
- 【必須】登記済権利書(登記識別情報)
- 【必須】固定資産税通知書
- 【任意】購入時の売買契約書
- 【任意】購入時の重要事項説明書
- 【任意】図面や設備の仕様書など
- 【任意】マンションの管理規約
- 【任意】マンションの維持費など
査定が終わったら、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約とは不動産会社との間で締結する仲介の契約のこと
媒介契約には下記3種類あります。
不動産取引は3種類の契約がある
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
- 一般媒介契約:契約を締結した不動産会社以外でも売却活動はOK。自ら他の不動産会社を探して売却活動してもOK。
- 専任媒介契約:契約を締結した不動産会社としか売却活動できない。自ら他の不動産会社を探してもOK。
- 専属専任媒介契約:契約を締結した不動産会社としか売却活動できない。自ら他の不動産会社を探して売却相談も認められない。
それぞれの特徴を表にして整理しました。
特徴 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
他業者への依頼 | ○ | × | × |
自己発見取引 (自分で買主を見つけること) |
○ | ○ | × |
成約に向けての不動産会社の義務 | 努力義務 | 積極的努力義務 | 積極的努力義務 |
不動産会社の業務処理状況の報告義務 | 特になし | 2週間に1回以上の報告 | 1週間に1回以上の報告 |
レインズへの登録 | 特になし | 契約締結日の翌日から7日以内に登録 | 契約締結日の翌日から5日以内に登録 |
有効期間 | 法的な規定なし | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
だから最終的に売買契約を交わす1社のみに支払えばOKなのじゃよ!
注意:査定額が高すぎる不動産会社は疑え
特に大事なポイントになるため、詳しく解説します。
初心者によくやりがちなのが、一番査定額が高い不動産会社と専任契約を結んでしまうこと。
冒頭で「マンション売却に満足していない人が多い」と話しましたが、経験上、実はここの選択で失敗している人が非常に多いのです。
不動産会社の査定額はあくまでも売却予想価格にすぎません。
不動産会社自身がその金額で買い取るわけでもなければ、責任を持っているわけでもありません。
極端なことを言うと、2,000万円が市場価格のマンションを1億円と査定しても問題ないのです。
その査定額を鵜呑みにしたまま売り出してしまうと、売れるものも売れなくなってしまいます。
売る時期が遅れると、どんどん売れ残りのリスクが増していきます。
売主も売れないと焦り始めるため、値下げをすることになり妥協した金額で売ることになり失敗することになるのです。
市場価格と乖離が少ない方が当然売れやすくなります。
「三井のリハウス」の査定書に「成約案件を対象にした市場価格との乖離率」が記載されていました。
市場価格乖離率とは、市場の適正価格から売り出し価格がどれぐらい離れているかの割合
市場価格が3,000万円、売り出し価格が3,600万円だとすると、乖離率は3,600万÷3,000万×100%=120%
今では減りましたが、この焦る心理を利用した悪徳業者が存在していました。
下記ニュースサイトの文面を引用します。
この売主が売却を依頼した仲介業者は、その物件を売ろうとする活動など一切していない。ひたすら囲い込んで購入希望のお客さんには紹介しない。これを業界用語で「干す」という。<そうやって売主が焦るのを待つのだ。頃合いを見計らって知り合いの再販業者に見せる。再販業者は中古物件を安く買って市場価格で売ることで利益を上げる。売主が焦って再販業者の提示する価格で売却すれば、仲介業者は売りと買いの両方から手数料を取れる。さらに、購入した再販業者が売り出す時にも専任の契約を取って、今度は本当の客に売る。ここでも両方から手数料を得られる。つまり、この仲介業者は1つの物件を2回売買してそれぞれ売り買い両方から手数料を得るのである。
そして、市場価格よりも高い低いを判断できるようにするためにも、前述した複数社への査定依頼が大事なのです。
注意:物件状況は不動産会社と一緒にチェックする
マンション売却では通常、物件状況確認書(告知書)や付帯設備表を買主に提出します。
そのため、媒介契約前にマンションの状況を不動産会社と一緒に確認します。
付帯設備表は、コンロや換気扇、食洗器、暖房器具、TVアンテナなど、マンションに付帯しているものすべてになります。
普段から使っていないものなど気づかないうちに壊れている可能性があるので、不動産会社と一緒にしっかり確認していきましょう。
もし、引渡し後に物件状況確認書(告知書)や付帯設備表に誤りがあると、買主からクレームが来る可能性があります。
マンションのような大きな不動産を売却するときは売主に「契約不適合責任」が発生します。
契約不適合責任とは、売主が契約の内容と異なるものを売ったときに売主が負う債務不履行責任
民法では契約の内容とは異なるものが売却されたときは、買主は売主に対して追完請求・代金減額請求
・催告解除・無催告解除・損害賠償の5つを請求できることになります。
つまり、売主は、売買契約後に契約と異なる事実が発見されると、損害賠償を負う、もしくは契約解除を求められる責任があります。
予め分かっている故障等はこの時点で必ず不動産会社に伝えるようにしましょう。
ステップ4.販売活動
媒介契約を締結したら、いよいよ販売活動です。
なお、媒介契約締結後からのざっくりした流れは下記図で説明しています。
スケジュール表(PDF)のダウンロードはこちら
販売活動は下記の3点。
- 売り出し価格を決める
- 不動産会社による買主集め
- 内覧対応をする
①売り出し価格を決める
査定額を見て市場相場を把握して、売り出し価格を決めます。
ココでの注意点は、売り出し価格を高くし過ぎないこと。
いつまでも売れ残ってしまいます。
②不動産会社による買主集め
不動産会社は不動産業者専門の不動産流通サイト「REINS」を始め、「SUUMO」「HOME’S」など一般消費者が閲覧するサイトに物件情報を掲載。
また、新聞の折り込みチラシや近所のポストにチラシ投函(ポスティング)を行います。
買主を多く抱えている不動産会社などでは、買主にDM(ダイレクトメール)等で紹介したりもします。
注意:不動産会社に任せきりにしない
ここでの注意点は、不動産会社に任せきりにしないということです。
慣れないマンション売買を安全かつスムーズにおこなうために、プロの不動産会社に仲介を依頼しますが、全て不動産会社に任せきりにするのは控えるようにしてください。
不動産会社が説明したことや行っている仕事を、売主であるあなたが理解できていなければ、よく分からないまま話がトントン進み、後からトラブルになる可能性はあります。
1週間に1回くらいの頻度で「売却活動の状況はどうですか?」と聞いたり、売出物件の広告をチェックして、足りていない情報があれば必要に応じて写真や物件の魅力を担当者に伝えましょう。
注意:物件の売出価格も確認しておこう
不動産会社に依頼後のチェックポイントとして、「物件の売出価格」も確認するようにしましょう。
最近のネット事情に詳しくない不動産会社に依頼をしてしまうと、売り出し価格をキリのいい数字(例えば、4,000万円)でSUUMOやHOME’Sに掲載したりします。
昔はチラシなどのポスティングで買主を集めるのが主流でしたが、今の主流はインターネットです。
中古マンションを探すときによく利用されるのが「SUUMO」「HOME’S」といったポータルサイト。
例として「SUUMO」で山手線沿線の中古マンションを探してみます。(PC画面で見ていきます。)
買主に一番使われる機能が「価格」での検索や絞り込みです。
実際に価格の下限と上限を見たところ、下記のようになっています。
数字が「500万円以上」「500万円未満」「3000万円未満」など、キリがいい数字になっているのが分かると思います。
買主は当たり前ですが、予算は3,000万まで、5,000万までとおおよそ決めています。
つまり、売主としては上限を意識した価格設定が必要ということ。
仮にあなたが4,000万円で売り出したとき、「4,000万円未満」で探している買主にはヒットしないことになります。
これらの理由もあり、中古マンションは「3,980万円」「2,480万円」などの数字にしているという背景があります。
また、SUUMOは特に中古マンションが強いため、不動産会社には「SUUMO」に広告掲載をしているのかを確認するようにしましょう。
③内覧対応
具体的に買主が見つかったら、次は内覧対応です。
内覧とは、買主が気になる物件の内部を実際に見学すること
内覧が決まったら下記4つのことは必ずしておきましょう。
- 掃除をする
- モノを減らす
- 収納の中を整理整頓する
- 臭い対策をする
また、買主の印象を悪くしてしまう箇所は修繕しておきましょう。
よくある修繕ポイントは下記の通り。
- 床が腐っている
- ガラスが割れている
- キッチンやトイレの水の流れが悪い
- トイレやお風呂のドアの取っ手が壊れている
また、内覧当日のポイントは下記5つです。
- 奥さん(メインで家事をする人)が対応する
- 部屋を綺麗に照明を明るくしておく
- 換気や室温に気を配る
- スリッパを用意する
- 愛想を良く振る舞う
内覧は買主が購入を決定づける重要な場面です。
買主から多い質問は周辺の環境や教育、キッチン回りなど。
普段からよく触れている奥さんの方が正確に答えられます。
また、男性よりも女性の方が買主側も質問が気軽にしやすいというのもあります。
内覧は、おもてなし精神を持って、買主は神様という気持ちで接するようにしましょう。
Q.内覧前にリフォームはするべき?
基本的にあなたの判断でリフォームするのは止めましょう。
買手にとって中古マンションの魅力は価格の安さ。
最近の買手は、なるべく物件を安く買って、リフォームにお金をかけたいと人たちが増えています。
リフォームで自分らしい住宅にしたいと考えている人たちからすると、売り手に先にリフォームされてしまうと、むしろ価値が下がってしまうのです。
ただし、前述した通り最低限の修繕はしておきましょう。
Q.住みながらマンションを売却するときの注意点は?
住みながらの売却は家具等が置きっぱなしになるので「生活感」が出てしまいます。
生活感が出るとどうしても買主にとってみると、内覧時に汚い印象を持たれてしまいます。
買主は他のマンションも内覧して比較検討していることがほとんど。
家具などない他のマンションを見ていると見送られる可能性が上がってしまいます。
お伝えした最低限の内覧対策(掃除や修繕など)を行い、あとは内覧数を増やすことに力を入れるようにしてください。
Q.ペットを飼っているマンションは何を注意したらいい?
ペットを飼っていたマンションはどうしてもマイナスポイントになります。
最低限、内覧前に下記4つのことを実施してください。
- 消臭
- ひっかき傷の修繕
- 消臭クロスへの貼替
- ノミ駆除
特に1つの目のペットの臭いを気にする人が多いです。
しっかりと消臭を行うとともに、当日は窓を開けて内覧するようにしてください。
ステップ5.買主との売買契約
売買契約時に必要な費用と書類
費用
- 仲介手数料(売買契約時に50%を支払うことが多い)
- 印紙税(売却価格により費用は異なる)
- 印鑑証明書の発行費用(350円程度※市区町村により異なる)
書類
- 【必須】身分証明書(運転免許証など)
- 【必須】実印
- 【必須】印鑑証明書
- 【必須】銀行口座の通帳
- 【必須】登記済権利書(登記識別情報)
- 【必須】固定資産税納付書
- 【必須】ローン残高証明書(※ローン残高がある方)
- 【必須】住民票(※登記されている住所が現住所と異なる場合)
- 【任意】設備に関する説明書
- 【任意】物件のパンフレット
購入したい買主が現れたら、買付証明書という書類を受領し、契約条件の交渉を行います。
買付証明書には、買主の購入希望価格が書いてあります。
購入希望価格は、必ずしも売り出し価格満額とは限りません。
値引き要求があるケースもありますので、許容できる範囲であれば応諾します。
購入希望価格に納得ができたらいよいよ売買契約です。
マンションなどの不動産は金額が大きいため、トラブルにならないよう書面で売買契約書を締結することが通常です。
売買契約では、売買契約書に売主、買主が署名・捺印をし「重要事項説明」の読み合わせがおこなわれます。
売買契約時には、買主から手付金を受領。手付金は売買代金の10~20%程度です。
また不動産会社に仲介手数料の半額(50%)を支払います。
売買契約の当日の流れや出てくる言葉については下記記事で詳しく解説しています
注意:売買契約後にキャンセルするとペナルティーがある
売買契約後にやっぱりキャンセルするとなった場合、受け取った手付金の返却と同額のペナルティー料が発生します。
また、不動産会社への仲介手数料(前払い金)が戻ってきません。
手付金や仲介手数料の前払い金の相場は下記の通り。
- 手付金の相場:売却金額の10~20%【売買契約締結時】
- 仲介手数料の前払い金:半額(売却代金の1.5%程度)【売買契約締結時】
売買契約を交わすかどうかはよく考えて決断しましょう。
ステップ6.マンションを引渡し
売却できたら、マンションを買主に引渡し、確定申告など事務作業をすすめます。
引渡し時に必要な費用と書類
費用
- 仲介手数料(残金)
- 抵当権抹消費用(※司法書士費用1~2万円程度、登録免許税1,000円)
- ローン返済費用(※ローン残債分)
- 引っ越し費用(※人により異なる)
必要書類
- 【必須】身分証明書
- 【必須】実印
- 【必須】印鑑証明書
- 【必須】登記済権利書(登記識別情報)
- 【必須】固定資産税納付書
- 【必須】マンションの鍵
- 【必須】ローン残高証明書(※ローン残高がある方)
- 【任意】設備に関する説明書
- 【任意】物件のパンフレット
売買契約から約1ヶ月後に、家の引渡しと残代金の決済をします。
引渡し完了証に売主、買主が署名・捺印し、売買金額の残金を受領し、鍵を買主に渡します。
注意:買主がローン審査に通らなかった場合は契約解除&手付金の返金が発生
買主が住宅ローンを組んでマンションを購入する場合には、契約の中に融資利用のローン特約を加えることが通常です。
ローン特約は、買主が住宅ローンの審査が通らなかったときに、売買契約がキャンセルとなる特約
通常、売買契約後に買主によるキャンセルの場合は、買主より受領した手付金(売買代金の10~20%)はそのまま受け取ることができます。
ただし、ローン特約による解除は、手付金を買主にそのまま返金する必要があります。
ステップ7.確定申告
マンションの売却は引渡しをもって完了します。
ただし、税金が掛かる可能性があります。下記図を見てください。
上3つの「印紙税」「登録免許税」「消費税」などは売買時に行うので問題ありませんが、所得税や住民税も掛かってくる可能性があり忘れがちです。
我が国では残念なことに「お金を受け取る=所得が発生した」とみられ、所得税が掛かってきます。
ただ、所得は単純に売った売却金額ではありません。
マンションなどの不動産の場合は下記で計算します。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
ザックリいうと、売却金額に購入した時の金額や諸費用を引いてプラスになっていれば、所得が発生したとみなされ税金を払う必要が出てくるというわけです。
基本、マンションなどの不動産は、年数に応じて価値は下がるため、購入時よりも高く売れることは稀。
実はマンションのような居住用財産を売却するときには、国が税金を免除する法律があります。
それが「特別控除(特例)」と呼ばれているもの。
ほとんどの人が所得税や住民税を払わなくてもいい対象の可能性が極めて高くなります。
先ほどの計算式が下記のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)-3,000万円
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
注意:特別控除を受けるためには確定申告が必要になる
3,000万円の特別控除を受けるためには確定申告を行う必要があります。
確定申告は売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。
確定申告書に下記の書類を添付して税務署に提出する必要があります。
確定申告書は国税庁のホームページである「確定申告書当作成コーナー」から自宅で作成できます。
所轄税務署に対し、確定申告書を作成の上、下記書類を添付して提出手続きを行います。
必要書類 | 入手方法 |
---|---|
除票住民票 | 旧住所の市区町村役場より入手 |
譲渡資産の登記事項証明書 | 法務局により入手 |
新しい住民票 | 移転先の市区町村役場より入手 |
譲渡所得計算明細書 | 国税庁のHPより入手 |
住宅借入金残高証明書 | 借入先の銀行より入手 |
税務署の担当の方に聞きながら行えば、だれでも可能。
確定申告の時期になると、市町村役場が確定申告の受付を行っています。
その際、サポート役として地元の税理士が何人か受付対応をしていることがほとんど。
それらの税理士であれば無料で対応してくれますので、分からないときは聞きましょう。
確定申告のさらに詳細が知りたい方は下記記事をご確認ください。
3,000万円の特別控除については下記記事で詳しく解説しています。
マンション売却の流れステップごとの注意点まとめ
- ステップ1:マンションの売却準備
- 注意:契約後のキャンセルはペナルティーがある
- 注意:相場を把握しておく
- ステップ2:マンションの査定依頼
- 注意:不動産会社1社だけではなく、複数社に査定依頼をする
- ステップ3:不動産会社との媒介契約
- 注意:専任媒介契約にしない
- 注意:査定額が高すぎる不動産会社は疑え
- ステップ4:販売活動
- 注意:売り出し価格を高くし過ぎない
- 注意:不動産会社に任せきりにしない
- 注意:キリがいい売り出し価格にしない
- 売主:瑕疵担保責任があるため嘘はダメ
- ステップ5:買主との売買契約
- ステップ6:マンションを引渡し
- 注意:買主がローン審査に通らなかった場合は手付金を返金する
- ステップ7:確定申告
- 注意:売却益が出たり特例を受ける場合は確定申告が必要
マンション売却に失敗しないための10チェックリスト
- 【重要度:高】不動産会社は複数社に依頼しているか
- 【重要度:高】複数の査定額を確認しておおよその相場を把握できたか
- 【重要度:高】売り出し価格が高すぎないか
- 【重要度:中】査定額によっては売却する意志があるか
- 【重要度:中】査定を受ける前に相場を把握したか
- 【重要度:中】査定額が高すぎる不動産会社と専任媒介契約にしていないか
- 【重要度:中】4,000万円などキリがいい売り出し価格にしていないか
- 【重要度:中】販売活動を不動産会社に任せきりにしていないか
- 【重要度:中】付帯設備表や告知書に間違いはないか
- 【重要度:小】買主のローン審査は問題ないか
まとめ:マンション売却の成功するコツは焦らないこと
マンションは高額のためなかなか買主がすぐ見つかるとは限りません。
焦りは禁物という言葉があるように、マンション売却は基本焦ると失敗します。
一般的に売却期間は早くて3~4ヶ月。売れる時はすぐに売れますし、売れない時は3カ月でも売れません。
買手との出会いは縁であり、運でもあります。
売り急ぐと安く売ってしまうことになるため、時間的に余裕を持っておくことが必要です。
また、焦ると不動産会社の営業マンにも横柄な態度を取ってしまいがちになります。
不動産会社の営業マンもお客様のつもりで接するようにしましょう。