土地のベストな活用方法を行うために知っておくべき全知識を一挙公開

空地や更地は何もしなければ固定資産税や除草費用などが発生し、お金がかかるばかりです。

せっかくの資産であれば活用しない手はありません。

ところが、土地活用を考えた場合、なかなか良い活用方法がすぐに見つからないのも事実です。

土地の活用を考えている人の中には、

  • 先祖から受け継いだ土地をどう活用していいか分からない
  • 銀行やハウスメーカーからアパート建築を勧められるが決心がつかない
  • 皆が違うことを言うので、誰を信じて良いのか分からない

等々のことを思っている方も多いことでしょう。

土地を持っている資産家の方には、資産家の方にしか分からない悩みがあるものです。

ただ、自分たちの資産を守りたいのであれば、銀行やハウスメーカーの言いなりになるのではなく、やはり自分で土地活用についてきちんと勉強することが重要です。

というのも、銀行やハウスメーカーは、基本的にサラリーマンであるが以上、自らの目標達成のため、自分たちの売上至上主義になりがちだからです。

特に不動産のような営業数字至上主義の業界ではなおさらです。

そこで今回の記事では、土地活用を行う前に知っておくべき全知識についてお伝えします。

この記事は長いですが、読めば土地活用の全体像が分かるようになっております。

場面に応じて、振り返り、何度も読み返して活用いただけると幸いです。

この記事を読み終える頃には、あなたがどこかの会社に土地計画をお願いしたい際も、自分で良し悪しが判断できるようになることをお約束します。

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1.主要な土地活用方法10とリターン・リスクの一覧表

同じ土地活用と言っても、様々なケースが考えられます。

それぞれの不動産事業によって、投資額や収益性は異なります。

土地活用の例を以下にまとめました。

投資の種類投資額収益性空室リスク難易度
時間貸駐車場少ないとても低い低い低い
戸建賃貸少ない低い普通低い
区分ワンルームマンション少ない良いやや低い普通
木造アパート【標準】普通普通普通普通
一棟マンションやや大きい普通普通普通
平屋店舗普通やや良い高い低い
商業ビル大きい良い高いかなり高い
オフィスビル大きい普通普通高い
ホテル大きい普通普通低い
倉庫大きいやや良い高い普通

上表は個人の不動産投資の中で最も典型的なアパートを標準として見た場合、他の不動産投資と比較する形でまとめてみました。

不動産投資は、息の長い事業です。

長い目で見て、どれが一番良い選択なのか、様々な条件を検討したうえで決めることがポイントとなります。

もちろん、そのポイントについてはこの後に説明していきますので、このまま読み進めてくださいね。

以上、土地活用方法一覧表について見ていきました。

それでは次に初めに何が建つかを知るについて見ていきます。

2.初めに何が建つかを知る

土地活用方法一覧表でいくつかの不動産投資の種類を例示しましたが、今保有している土地でこれらの投資を全て選択できるわけではありません。

必然的に、その土地に見合ったベストな投資の種類が決まってきます。

建物の種類を決める要因としては、

  1. 公法上の規制
  2. マーケット状況

の2つです。

例えば、公法上の規制で戸建住宅しか建てられないエリアではオフィスビルを建てることはできません。

またオフィスビルが建てられるエリアであってもマーケット状況でオフィスのテナントが存在しないようなエリアであればオフィスを建てることは避けるべきです。

2-1.まずは土地の公法上の規制を調査する

そのため建物計画を建築するには、まずその土地の公法上の規制を調査することから始めます。

具体的には、用途地域や建築基準法等の規制を調べます。

その次にマーケット調査を行います。

例えば、5階建てが建築できるようなエリアであっても、そこまでテナントが埋まらないようなエリアであれいば、2階建てとするという判断も必要になってきます。

土地には、公法上の規制やマーケット状況から、その土地に見合った最も有効な土地の使用方法が存在します。

その使用方法を土地の「最有効使用」と呼びます。

土地活用の検討とは、「最有効使用」を見つけることにあるのです。

例えば駅前にある広い土地のように、様々な可能性を秘めた土地ほど、最有効使用の判断には時間がかかります。

不動産投資は大きな金額が動きますので、判断に迷う土地では、焦らず、何度もじっくりと検討することが重要になります。

以上、ここまで初めに何が建つかを知るについて見てきました。それでは次に用途地域と店舗面積について見ていきます。

3.用途地域と店舗面積を考える

3-1.知っておくべき「都市計画法」

日本国内の土地は、都市計画法と言う法律により、下図のようにゾーニングされています。

比較的、人口の多いエリアは都市計画区域と呼ばれるエリアの中になります。

都市計画区域の中では、

  1. 市街化区域と市街化調整区域に分かれているエリア
  2. 市街化区域等の線が引かれていない非線引都市計画区域

の2つに分かれます。

市街化区域内は、用途地域と呼ばれるエリアでさらに細かくゾーニングされています。

用途地域とは、言葉の通り建物の「用途」が「地域」ごとに決まっているエリアです。

3-2.用途地域は12種類ある

用途地域は以下の12種類に分かれます。

用途地域定義
第一種低層住居専用地域低層住宅に係る良好な住居を保護するための地域。
第二種低層住居専用地域主として低層住宅に係る良好な住居を保護するための地域。
第一種中高層住居専用地域中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するための地域。
第二種中高層住居専用地域主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するための地域。
第一種住居地域住居の環境を保護するための地域。
第二種住居地域主として住居の環境を保護するための地域。
準住居地域道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利用増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するための地域。
近隣商業地域近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するための地域。
商業地域主として商業その他の業務の利便を増進するための地域。
準工業地域主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するための地域。
工業地域主として工業の利便を増進するための地域。
工業専用地域工業の利便を増進するための地域。

3-3.用途地域における店舗面積も決まっている

用途地域の中では、さらに建築可能な建物や店舗面積も決まっています。

それぞれの用途地域において、建築可能な事業系の建物と、店舗の面積制限については以下のようになります。 

施設1種低層2種低層1種中高層2種中高層1種住居2種住居準住居近隣商業商業準工業工業工業専用
保育園
共同住宅×
老人ホーム×
美容院・店舗・飲食店(2階以下かつ150㎡以内)×
店舗・飲食店(2階以下かつ500㎡以内)××
店舗・飲食店(1,500㎡以内)×××
店舗・飲食店(3,000㎡以内)××××
店舗・飲食店(3階以上または10,000㎡以内)×××××
ホテル、旅館××××××
倉庫業を営む倉庫××××××
店舗・飲食店(10,000㎡超)×××××××××

特に店舗面積については、用途地域によって面積上限が決まっていますので、注意が必要です。

例えば1種中高層で1階に店舗を設けたマンションを作ろうとしても、500㎡以下しか作れません。

このような土地では、仮にスーパーの需要が合ったとしても、店舗面積が小さすぎてスーパーが出店しないということが良くあります。

そのような場合は、足元店舗を諦めるようなことになります。

また1種住居であれば、3,000㎡以下の店舗を出すことが可能です。

3,000㎡であれば、中堅のスーパーであれば十分に出店可能性が出てきます。

1種住居は周辺に住宅が多く、かつ、ある程度の規模の店舗も出店が可能なため、最有効使用の判断は慎重に行う必要が出てきます。

一般的に、店舗系は家賃が高いため、店舗を入れるかどうかは、重要な決定要素です。

店舗については、出店可能性と退去リスクのバランスを見ながら、店舗区画を作るかどうかを検討しましょう。

さらに、最近では保育園の賃貸事業も増えてきました。保育園はどの用途地域でも建築が可能です。

ただし、保育園は賃料が安いため、検討するのであれば、1種低層や1種中高層といった他の店舗が出店しにくいエリアが中心となります。

3-4.その他の地域はどうなのか

尚、市街化調整区域は市街化を抑制するための地域であるため、原則、建物の建築をすることはできません。

市街化調整区域の土地は土地活用が極めて難しい土地となります。

また非線引都市計画区域では、公法上の規制は緩いですが、賃貸需要が極めて低いエリアがほとんどです。

そのため、非線引都市計画区域も同じく土地活用が難しくなります。

このような土地活用が難しいエリアにおいては、無理にその土地で事業を行う必要はありません。

売却して、より収益性の高い土地への買換えというのも資産活用の一つになります。

売却については一括査定サービスを利用して検討してみるといいでしょう。

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また、買換えについては、所有期間が10年を超える土地・建物に使える特例があります。

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以上、ここまで用途地域と店舗面積について見てきました。

それでは次にボリュームチェックについて見ていきます。

4.どの程度の大きさが建てられるかチェックする

どのような建物が建つのかという検討と同時に、どの程度の大きさの建物が建つのかという検討も行います。

それが「ボリュームチェック」と言われる検証です。

建物容積(ボリューム)がどの程度になるかという事前検証になります。

土地には、都市計画法等で容積率と呼ばれる建物の延床面積の敷地面積に対する割合が指定されています。

容積率は、用途地域によって、100%、200%、400%のような数字が規定されています。

容積率が大きければ大きいほど、高い建物や大きな建物が建築できます。

ただ、容積率の他に、日影規制や道路斜線制限と呼ばれる規制も別にあり、敷地の状態や周辺の道路状況によっては、必ずしも指定された容積率を全て消化できるわけではありません。

そこで建物の検証にあたっては、実際に対象地でどの程度の容積(ボリューム)が消化できるのか、細かい法規制を全て加味したうえで簡単な設計図を描くことを行います。

このボリューム図面の設計図については、通常は、一級建築士の方が図面を描きます。

ボリュームチェックの結果によっては、400%の容積率が指定されていたとしても、250%しか建物が建たない場合もあり得ます。

まずは本当に建てることのできる大きさを把握することから始めます。

ここで、1つ注意が必要です。

仮にボリュームチェックで400%の建物が建築できるとしても、マーケット状況により本当にそのような大きな建物を作ってテナントが全て埋まるかどうかという点に関しては、別の問題です。

ここはプロでも判断に失敗する部分のため、慎重に検討をする必要があります。

ハウスメーカーやゼネコンなどは、大きな建物を建てた方が儲かるため、容積率を全て消化しきることを勧めてきます。

しかしながら、建てた後にテナントが入らず苦労するのは所有者です。

最大ボリュームを把握した後は、本当にその建物の中を全てテナントが埋まるかどうかを、周辺のマーケット状況を加味しながら、きちんと判断することがとても重要になります。

ボリュームチェックの結果、400%の建物が建つことが分かったとしても、200%の建物に抑えて投資を行う決意をすることは、とても優れた判断と言えます。

特に、商業施設系の建物を作る場合は、わざと容積率を割り込む判断をすることは良くあります。

商業系のテナントは、お客様が入りにくい3階や4階へは出店したがりません。

そのため、本来は5階建てができるところを、わざと2階建てにするような選択も行います。

容積率を消化しきることが最有効使用ではないことを、十分に認識しておきましょう。

以上、ここまでボリュームチェックについて見てきました。

それでは次に一棟貸と退去リスクについて見ていきます。

5.一棟貸と退去リスク

個人が賃貸事業を行うにあたり、テナントへの一棟貸という選択肢は欠かせません。

一棟貸は、賃料も安定し管理の手間もかからないことから、有効な個人向けの土地活用と言えます。

ただし、一棟貸と言っても様々です。スーパーなどの店舗の一棟貸もあれば、保育園や老人ホーム、社員寮というような一棟貸もあります。

一棟貸を検討する場合、特に注意が必要なのが「退去リスク」です。

一棟貸はテナントが退去してしまうと、一度に全ての収入を失ってしまいます。

アパートなどは数戸の空室ができたとしても、一度に全ての収入を失うことはないため、この差は大きな違いです。

賃貸事業はテナントが入っていなくても、固定資産税等の固定費が発生します。そのため一棟貸の退去は大きな打撃になるのです。

また、一棟貸は建物をほぼ最初のテナントの意向に沿って建築するため、建物の汎用性が効きません。

例えばスーパーマーケットに一棟貸を行った場合、仮に最初のテナントが退去してしまうと、次も同規模のスーパーマーケットに貸すような形になります。

ところが、営業が上手くいかなかったことが理由で退去した後の店舗は、同業者はなかなか借りません。

例えば、コンビニが退去した後に、別のコンビニが入らないのは、そこではコンビニが上手くいかないと判断されているためです。

そのため一棟貸は、テナントが退去した後、次のテナントを埋めるのにとても苦労します。

一棟貸の場合、ほとんどのケースでは以前のテナントよりも大幅に賃料を下げて次のテナントを決めています。

特に店舗や倉庫の一棟貸は抜けた後が怖いため、退去リスクを十分に考慮したうえで決断することが重要です。

一方で同じ一棟貸でも、保育園や老人ホーム等の認可事業は比較的退去リスクも低いです。

但し、これらの用途は家賃が低いケースがほとんどになります。

一棟貸の場合、高い家賃の店舗系を取るか、低い家賃の認可事業系を取るか、十分に考慮する必要があります。

一棟貸を検討する場合は、特に「退去リスク」を踏まえて決定するようにしましょう。

以上、ここまで一棟貸と退去リスクについて見てきました。

それでは次に建築費について見ていきましょう。

6.建築費をよく考えておく

6-1.構造で異なる建築費

建物が決定したら、次は建築費を検討します。

元々土地を保有している場合、大きな投資額は建築費のみですので、ここは重要なポイントとなります。

建築費は、まず木造や、鉄骨、鉄筋コンクリート等の構造によって建築費が異なります。

昨今では慢性的な職人不足から、どの構造でも建築費は高騰しています。

構造だけで見た場合、建築費は①木造(W造)、②鉄骨(S造)、③鉄筋コンクリート(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)の順番で高くなります。

尚、地下階を作ると建築費が非常に高くなります。

オフィスビルや大型マンションを建築する場合、建物の耐震性能によっても建築コストが異なります。

特に一番耐震性の高い免震構造を取り入れると、建築費が上がります。

6-2.必ず相見積を取る

建築費を下げるためには、最も効果が高いのは相見積を取ることです。

ハウスメーカーなど、1社だけで検討してしまうと、どうしても価格が高くなります。

アパートを建築する場合は、ハウスメーカーに何度もプラン検討をしてもらうため、他社から相見積を取得するのに気が引ける方も多いです。

しかしながら、建築費の比較検討ができるのは、着工前のタイミングしかありません。

ハウスメーカーやゼネコンは、相見積を取られることには慣れていますので、思い切って他社にも声をかけましょう。

6-3.VEとCDという設計変更もある

また少し高度になりますが、建築費を下げるために、VEやCDと呼ばれるもの設計変更を行うことあります。

VEとはバリュー・エンジニアリング、CDとはコスト・ダウンの略です。VEは同等品で安いものに部材を入れ替えることを指し、CDは取りやめによってコストを削減することを言います。

初期段階の設計は、基本設計と呼ばれています。

実は基本設計の段階では、具体的な詳細までは決まっていません。

そのため、請負工事業者側も、「ある程度、このくらいのスペックだろう」と見越して予算取りをしているような状況です。

基本設計の段階では、お互い仕様に関して認識の行き違いがあるため、高くなっているケースが良くあります。

建築費が高過ぎる場合は、「なぜここまで高いのか?」についてお互い話し合うことからスタートします。

その中で、請負業者側が過剰に見込んでいる仕様については、VEをすることで減額していきます。

本格的なVEは専門知識がないとできないのですが、個人でも請負業者からVE提案を受けることでVEやCDは可能です。

請負業者もVE提案は無料で行ってくれます。「VE提案を持ってきてください」と依頼しましょう。

以上、建築費について見てきました。

それでは次に初期費用について見ていきます。

7.初期費用はどれぐらいみておくのが良いか

7-1.初期費用は建築費の3~4%程度

開発を行うにあたっては、建物の不動産取得税等、建築費以外の初期費用がかかります。

初期費用は、通常、建築費の5%を予備費として見込み、その中で消化していきます。

但し、一般的に予備費が5%もかかることはありません。

通常の開発であれば、初期費用は建築費の3~4%に収まることが一般的です。

7-2.初期費用の項目

初期費用に関しては、以下のようなものが挙げられます。

  • ボーリング調査費用(地盤調査費用)
  • 現況測量費
  • 新築建物不動産取得税
  • 新築建物登録免許税
  • 工事期間中の土地の固定資産税及び都市計画税
  • テナント募集費用(仲介手数料等)
  • 電波障害調査費用

7-3.想定外の初期費用

尚、敷地から搬出する土の中に汚染土壌がある場合は、別途、汚染土壌除去費用が発生します。

地中内の汚染土壌は、土の表層調査では分からないため、開発時に突如として現れる開発リスクです。

開発リスクに関しては、以下のものがあります。

主には土の中にあるもので、掘ってみないと分からないものが開発リスクになります。

  1. 土壌汚染対策費用
  2. 埋蔵文化財対策費用
  3. 地中障害物撤去費用

但し、これらの項目は、全く発生しないことも多いのですが、知識としては知っておきたい部分ですので、リスク項目として挙げておきます。

7-4.設計料

また、設計料は別途発生します。

ハウスメーカーの場合、設計料が請負工事金額の中に含まれていることが多いです。

設計会社を請負工事業者と別で契約する場合は、早めに設計監理料の金額を明確にするようにしてください。

設計料率は、規模の小さい建物ほど建築費に対して割高になります。

また設計監理料は支払い条件も建築工事費とは別です。

設計監理料は、着工時に70%、竣工時に30%支払うと言ったような頭でっかちになることが多いです。

設計監理料は、金額と支払い条件を早めに明確にしておきましょう。

以上、ここまで初期費用について見てきました。それでは次に収入について見ていきます。

8.収入はどれぐらいになるのか

賃貸事業を開始すると、「賃料」が主な収入となります。

その他は、駐車場使用料や看板収入、自動販売機収入といったものもあります。

マルチテナントビルのような共用部分があるような賃貸事業は、別途、「共益費」を受領します。

また一棟貸でない商業ビルやオフィスビルなどは、水道光熱費はビルオーナーが直接、水道や電気の契約者となります。

そのため、テナントが利用した水道光熱費は「付加使用料」という名前で徴収します。

一棟貸の場合は、共用部がないため、共益費という概念がありません。

また一棟貸はテナントが直接、水道や電気の契約者となるケースが多く、その場合は付加使用料も発生しません。

以上、ここまで収入について見てきました。

それでは次に費用について見ていきます。

9.費用の項目一覧

9-1.費用項目一覧

賃貸事業の主な費用項目は、以下のものになります。

  • 土地の固定資産税及び都市計画税
  • 建物の固定資産税及び都市計画税
  • 建物維持コスト(清掃費用、設備定期点検費用等)
  • 修繕費(軽微なもの)
  • 水道光熱費
  • 建物保険料
  • 管理費用
  • テナント入替時の入居者募集費用(仲介手数料等)

これらの費用は、賃料収入の15~25%程度です。

賃貸事業の費用は、多くても30%程度ですが、経費率が30%を超えるような賃貸事業はどこかに問題があるため、費用の見直しを行う必要があります。

9-2.賃貸人が負担する原状回復費用

また、賃貸マンションやアパートを経営する場合、入居者の退去時にクロスや床の貼替費用も発生します。

建物を通常使用したことによる経年劣化については、入居者の原状回復の対象にはなりません。

通常使用による経年劣化とは、例えば、畳の日焼けや画鋲の穴等があります。

経年劣化に伴う損傷等については、賃貸人である所有者が負担して修繕を行うことになります。

9-3.NOIを意識する

収入から上記費用を控除したものをNOI(Net Operating Income:ネットオペレーティングインカム)と言います。

NOIは、減価償却費は控除しません。また借入金の元本返済額及び金利も控除しません。

ざっくり言うと、会計上の営業利益に減価償却費を足したものになります。

以上、ここまで費用について見てきました。

それでは次に気になる大規模修繕費について見ていきます。

10.大規模修繕した場合の費用は?

10-1.所有者の修繕義務

所有者である賃貸人の義務に、修繕義務があります。

テナント等の賃借人の故意による損傷以外は、所有者が修繕を行います。

修繕の中には、共用部の電球の交換等の軽微なものから、外壁塗装・屋上防水の貼替等の大規模なものまであります。

大規模修繕費は、突発的に発生することも多く、なかなか費用として見込むことができません。

但し、一般的には築年数が古くなるほど、大規模修繕費も多く発生します。

10-2.大規模修繕費の目安

大規模修繕費の目安としては、以下の通りです。

あくまでも目安ですので参考程度に留めておいてください。

○築年数○○大規模修繕費の目安○
1~10年目建築費の0.3%
11~20年目建築費の0.7%
21年目~建築費の1.0%

大規模修繕費は、毎年、定期的に発生するものではありません。

そこで、竣工時にゼネコンやハウスメーカー等に修繕計画の一般的なものを作ってもらうことをお勧めします。

大規模修繕に該当するかどうかの判断は、1つの修繕が20万円以上となるかが目安です。

20万円以上となる修繕費は資本的支出と呼ばれ、資産計上されます。

資産計上された資本的支出は、その後、減価償却費の形で費用になります。

以上、ここまで大規模修繕費について見てきました。

それでは次に自己資金と借入金について見ていきましょう。

11.自己資金と借入金の割合が利益の差になる

不動産の賃貸事業は、投資に対しての利回りで決まるため、収益性は基本的には誰がやっても同じです。

但し、借入金の元本返済額が少なければ、手残りは多くなります。

そのため、不動産賃貸事業を行う場合、人によって儲かる、儲からない、の差が出てくるのは、「自己資金の多さ」によって差が出ます。

借入金と自己資金の割合は、総投資額のうち、30%を自己資金、70%を借入金とするのが一般的です。

自己資金は多い方が、借入もしやすいです。

また借入金返済後の手残りキャッシュも多くなります。

不動産投資には、借入金の返済リスクが伴います。

事業である以上、フルローンで行うのは、やはりリスクが高いです。

なるべく自己資金を多く用意してから開始するようにしましょう。

以上、ここまで自己資金と借入金について見てきました。

それでは次に借入金の返済方法について見ていきます。

12.借入金の返済方法

12-1. 元利均等返済と元金均等返済

借入金の返済方法には、

  1. 元利均等返済
  2. 元金均等返済

の2種類があります。

元利均等返済は、元金と利息を合わせた額が、毎月一定額となる返済方法となります。

元利均等返済の特徴としては、毎月定額となるため、最初のころはほとんどが利息になります。

逆に返済の後半になると、一定額の中で元金の占める割合が増え、急速に元金返済が進む形となります。

一方で、元金均等返済は、換金が毎月一定額となる返済方法です。

元金均等返済の特徴としては、一定額の元金に利息が加わる形で返済します。

そのため元利合計額が、最初のころは非常に大きく、返済の後半になると小さくなっていくという形で返済が進みます。

12-2.築古はきつい元利均等返済

個人が行う不動産賃貸事業では、通常、元利均等返済となるのが一般的です。

元利均等返済は、新築当初の賃料が高いときはメリットが大きいです。

一方で、築古になり空室が増えてくると、返済額の変わらない元利均等返済はデメリットが顕在化します。

住宅ローンの場合は、将来的には出世して給料が増えることを前提としているため、元利均等返済でも特に問題ありません。

一方で、賃貸事業の場合は、築年数が古くなると、空室が増えたり、修繕費がかさんだりすることで、収益性が悪化します。

そのため不動産賃貸事業では、元利均等返済のデメリットを十分に認識しておきましょう。

以上、ここまで借入金の返済方法について見てきました。

それでは次に減価償却費について見ていきます。

13.減価償却費の考え方

13-1.減価償却費とは

不動産賃貸業を行う上で、減価償却費の知識は必須です。

減価償却とは、建物等の固定資産の取得原価を使用できる各会計期間に、あらかじめ定められた一定の計画に基づいて、計画的・規則的に配分するとともに、同額だけ資産の価額を減少させていく会計上の手続きのことを言います。

減価償却が行われるのは、建物や償却資産のみです。

土地は減価償却がありません。

減価償却費は実際にお金の支出のない会計上の費用です。

そのため、費用計上できる減価償却費の分の利益が圧縮されるため、節税効果を生みます。

建物の減価償却は、躯体と設備に分けて行われます。

躯体については定額法、設備については定率法が用いられるのが一般的です。

定額法の減価償却費は、毎期一定額の減価償却費が費用計上されます。

それに対し、定率法の減価償却費は、最初は大きいですが、年々その減価償却費用が減っていきます。

定率法が用いられる設備については、15年ほどで償却が終わります。

そのため、減価償却費は新築時が一番大きく、その後、どんどん減少し、設備の減価償却が終わると一定額になります。

13-2.減価償却費と税金

不動産賃貸業では、減価償却費が減少していくため、築年数が増えると会計上の利益が増加します。

会計上の利益が増加すると、税金が大きくなります。

話が少しややこしいですが、まとめると以下のようになります。

これは不動産賃貸業で一番悩ましい点ですので、よく理解してください。

築年数減価償却費利益税金返済額キャッシュフロー
新築当初大きい小さい少ない一定良い
築古小さい大きい多い一定悪い

不動産賃貸業は、築年数の経過とともに、収益がほぼ一定もしくは微減していきます。

その中で、減価償却費が減少していくため、会計上の利益が増加します。

会計上の利益が増加するため、税金が増加します。

一方で、元利均等返済で借入を返済すると、借入金の返済額は変わりません。

つまり、実際のキャッシュフローについては、築年数が経つと税金が増えていくことにより、どんどん悪くなると言うのが不動産賃貸業の特徴です。

不動産賃貸業は、後半戦は利益が増えるのに苦しくなるというパラドックスに陥ります。

このような性質は、既にアパート経営をしている人であれば、痛いほど知っています。

これから不動産賃貸業を始める人にとっては、なかなか理解しにくい部分です。

不動産賃貸業にはこのようなパラドックスがあるということを、事前に知っておきましょう。

以上、ここまで減価償却費について見てきました。

それでは次に土地の相続税評価額について見ていきます。

14.土地の相続税評価額

14-1.資産を守る効果がある

賃貸事業には一定のリスクやデメリットがありますが、「資産を守る」という点については、不動産投資の右に出るものはありません。

現金や株といった資産を不動産という形に変えることによって、その資産を何代にも渡って引き継ぐことが可能となります。

具体的に資産を守る効果を表すものが、相続税対策になります。

建物を建てて賃貸事業を行うと、「土地」と「建物」のそれぞれについて相続税評価額が下がるため、相続税の節税対策に繋がります。

賃貸事業とは、アパートやオフィスビル、店舗、倉庫等、借主を入居させて賃料を受領する事業であれば、全て適用されます。

14-2.貸家建付地

土地に関して言えば、「借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されている宅地」は「貸家建付地」と呼ばれる評価減を適用できます。

「借家権の目的となっている家屋」とは、貸している建物を指します。

その「敷地の用に供されている宅地」であるため、賃貸建物を建設すると、その下にある土地が評価減を受けることができます。

貸家建付地の評価額は、以下の式で表されます。

貸家建付地 = 路線価評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合)

借家権割合は、全国一律で30%となります。

借家権割合は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のホームページの中にある「土地関係以外」の中の「借家権割合」に記載されています。

借地権割合についても、同じく国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のホームページの中で見ることができます。

借地権割合は、エリアによって異なります。

借地権割合は、下図のような路線価図に右上に記載されている数値を指します。

路線価図のサンプル

路線価図のサンプル

例えば、自分の敷地の目の前の道路が100D書かれている場合、「D」というアルファベットに注目します。

路線価図の右上の表を見ると、記号Dの部分には60%と書かれています。

そのためこの土地の借地権割合は60%となります。

14-3.貸家建付地の計算

そこで借地権割合が60%、借家権割合が30%の貸家建付地の評価額を計算してみます。

貸家建付地 = 路線価評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合) = 路線価評価額 × (1 - 60% × 30%) = 0.82 × 路線価評価額

よって、この土地は収益事業を行うことによって、▲18%(=1―0.82)の評価を下げることができたことになります。

以上、ここまで土地の相続税評価額について見てきました。

それでは次に建物の相続税評価額について見ていきます。

15.建物の相続税評価額

建物ついては、特に何もしなければ固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

但し、建物についても賃貸事業を行うことによって、相続税評価額を下げることができます。

賃貸事業で他人に貸している建物は、借家権割合による評価減を受けます。

その評価額は以下のように求められます。

借家権割合による評価減 = 建物固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合)

借家権割合は、全国一律で30%のため、借家権割合による評価減は以下のように計算され、▲30%減価されます。

借家権割合による評価減 = 建物固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合) = 建物固定資産税評価額 × (1 - 30%) = 0.7×建物固定資産税評価額

以上、ここまで建物の相続税評価額について見てきました。

それでは次に土地建物評価額について見ていきます。

16.土地建物の相続税評価額

16-1.時価と評価額

次に賃貸事業を行うと、相続税評価額がどれほど減額されるのかを検証します。

まず賃貸事業を行わなかった場合の時価と相続税評価額の差を検証します。

相続税評価額は、土地については路線価評価額、建物については固定資産税評価額になります。

土地の路線価評価額は、時価に対して80%です。

建物の固定資産税評価額は、新築時は請負工事金額に対して50~60%程度となります。ここでは仮に55%とします。

種別評価方式時価に対する割合
土地路線価評価額80%
建物固定資産税評価額55%

16-2.賃貸事業の効果

次に、賃貸事業を行うと、土地は貸家建付地、建物は借家権割合による評価減を受けます。

仮に借地権割合が60%のところであれば、貸家建付地では路線価に対して82%程度になります。

賃貸事業を行った場合は、さらに以下のように評価額が下がります。

(土地)貸家建付地 = 0.82 × 路線価評価額  = 0.82 × 時価 × 0.8  = 0.656 × 時価

(建物)借家権割合による評価減 = 0.7 × 建物固定資産税評価額 = 0.7 × 時価 × 0.55  = 0.385 × 時価

よって土地については、時価に対して▲34.4%(=1-0.656)の減価、建物については、時価に対して▲61.5%(=1-0.385)の減価がされることになります。

そのため賃貸事業を行うと、賃料収入が入ってくることに加えて、相続税評価額も下がるという2重のメリットが発生します。

加えて借入金を用いて建物を建築すると、さらに相続税評価額を下げることが可能になります。

賃貸事業を行うことで、相続人に対して相続税の過剰な負担をさせることなく、収入を生むアパートも引き継げることになります。

以上、土地建物の相続税評価額について見てきました。

それでは次に法人を使った不動産投資について見ていきましょう。

17.法人を使った不動産投資

17-1.注目の法人による投資

近年は、法人の法人税率が下がり、個人の所得税率が上がっていることから、法人を活用した相続税対策が注目されています。

また法人の設立費用も少額で済むことも法人による投資が増えていることの要因でもあります。

法人と言っても、不動産賃貸業だけを行うプライベートカンパニーになります。

個人が土地を保有している場合、プライベートカンパニーが借地して建物を建てることになります。

建物投資を法人か個人かどちらかで行うかは、年間の収益が1,000万円を超えるような物件が目安となります。

法人が建物を所有した場合、その会社の株が相続対象となります。

株価については、借入金を活用することで減額ができます。

17-2.法人による投資の4つメリット

法人による不動産投資のメリットには以下のようなものがあります。

  1. 役員報酬の形で所得を分散でき、相続人が早くから納税資金を貯めることができます。
  2. 所得分散により、被相続人の収入を減らすことで被相続人の所得税を減らします。
  3. 個人の不動産事業よりも認められる経費の範囲が広くなります。
  4. 法人で損失が出た場合、繰越欠損金によって損失を繰り越すことができます。

土地は個人のもので、建物を法人が建てる場合は、比較的借入はしやすい方になります。

その法人が不動産賃貸業に近い「ほぼ個人」のような会社の場合、長期の借入をすることも可能です。

一般事業法人では、借入は長くても20年程度ですが、個人であれば例えば住宅ローンなどは35年の長期で借り入れることも可能です。

借入可能期間は、一般論としては個人の方が長くなります。

但し「ほぼ個人」とみなされるプライベートカンパニーでは、30~35年の長期で借入ができる銀行も増えてきました。

そのためプライベートカンパニーを使った不動産投資では、個人とほぼそん色ない融資条件を獲得することもできます。

17-3.老々相続に向いている

近年の相続では、長寿命化により相続する方も高齢者となっている老々相続が増えてきています。

長寿命では、被相続人が個人で不動産投資を行うと、被相続人へお金の蓄積する時間が長くなり、資産がさらに増えてしまいます。

しかも子供たちの相続人も高齢者となっているため、相続税を負担する資金的余裕がありません。

このような状況を回避するには、不動産から得られる収入を親の被相続人と子供たちの相続人へ時間をかけて分散していく必要があります。

所得の分散に関しては、息子たちをプライベーカンパニーの役員とすることで、役員報酬を支払うことにより分散を図ることができます。

このように法人による不動産投資は、老々相続が増えてくるこれからの時代に適した投資方法と言えるのです。

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18.まとめ

以上、土地のベストな活用方法を行うために知っておくべき全知識を一挙公開について見てきました。

土地活用のポイントは、その土地に見合った最有効使用を見つけることが重要になります。

とても息の長い事業になりますので、十分に検討を行ったうえで、どのような投資を行うべきかを決めましょう。

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