困ったことが起きた時に助けてくれるのが弁護士です。
ところが、住宅ローンの返済に困っている人は、弁護士に相談したいけど、費用が高いのが怖くて相談できない人も多いのではないでしょうか。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 任意売却を依頼すると弁護士費用はいくらかかるのか知りたい
- 任意売却をすると常に弁護士費用が発生してしまうのか知りたい
- どういう場合に弁護士費用が発生するのか知りたい
- 司法書士では駄目なのか知りたい
- 司法書士の場合、いくらくらいになるのか知りたい
そこで今回の記事では任意売却における「弁護士費用」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたは任意売却で発生する弁護士費用がいくらくらいなのかを知ることができます。
任意売却費用の基本的な考え方
原則弁護士は不要
まず基本的なことですが、任意売却をする場合は、弁護士は必ずしも必要な存在ではありません。
多くの任意売却の場合、弁護士は登場しませんので、もちろん弁護士費用も発生しません。
そもそも任意売却は競売の代替手段としての債務の返済方法です。
競売によらずに不動産を売却してローンを返済することを任意売却と言います。
任意売却は基本的には普通の売却と同じです。
普通の不動産の売却には弁護士は登場しません。
それと同様に、任意売却でも基本的には弁護士は登場しないというのが原則です。
任意売却で登場してくるのは、任売専門業者である不動産会社です。
任売専門業者は、短期間の中で、できるだけ高く購入してくれる買受人を探すことが仕事になります。
この点についても、基本的には普通の売却と役割は同じです。
任意売却の費用
また任意売却では、原則として費用は発生しません。
細かい費用として、売買契約書に貼り付ける印紙代が発生する程度です。
普通の売却では、不動産会社へ支払う仲介手数料や所有権移転のための登記費用等の費用が発生します。
任意売却においても、仲介手数料や登記費用等の費用は必要になるのですが、これらは全て売却代金の中から支払われることになります。
よって、仲介手数料等の大きな費用も発生せず、費用としては売買契約書に貼り付ける印紙代程度になります。
住宅ローン残債が売却額を下回っているようなケース(アンダーローン)であれば、基本的に弁護士への相談は必要ありません。
まずは査定を取ってみて、アンダーローンかどうかを確認するようにしてください。
以上、ここまで任意売却費用の基本的な考え方について見てきました。
では、どのような場合に弁護士が登場するのでしょうか。
そこで次に弁護士等の費用が必要となるケースについて見ていきましょう。
弁護士等の費用が必要となるケース
任意売却で弁護士が必要となるケースは、借金が多過ぎてなんらかの整理が必要な場合です。
具体的には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」等の手段を使って債務を整理する必要のある人が弁護士への相談を要します。
任意売却によってローン残債を完済できてしまう人は、特に弁護士は必要ありません。
また仮に任意売却で返済しきれなくても、残債を自力で返済できるような人も弁護士は必要ありません。
弁護士や司法書士は、基本的に自力では債務を返済しきれない人が相談することになります。
任意整理
任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者(お金を貸している人)に対して、代理で交渉することによって返済額や返済方法下げること
債権者との交渉は、債務者本人がやっても可能ですが、より専門的な知識を持った弁護士等が行うことで、交渉の成功確率を上げることができます。
任意整理を選択する人は、住宅ローン以外でもローンを抱えている人が多いです。
任意整理では、基本的には住宅ローン以外の債務を圧縮し、全体の返済を緩和していきます。
任意整理では、住宅ローンは引き続き支払う必要があるのが特徴です。
また任意整理によって住宅ローン以外の債務が圧縮され、今の住宅ローンが払えるようであれば、何も家を任意売却する必要はありません。
任意整理と任意売却はあくまでも別物です。
任意整理をしても苦しいため、結果的に、家も任意売却するということはあり得ます。
尚、任意売却では、任意売却後の残債の返済方法については、弁護士を通さずとも自分で交渉して月々の返済額を下げることができます。
任意売却後の残債の圧縮では、必ずしも弁護士が必要ではないことを理解しておきましょう。
個人民事再生
個人民事再生も、住宅ローン以外にもかなりの借金を抱えており、返済が厳しい人が選択する手法です。
個人民事再生は法律の知識を必要とするため、弁護士や司法書士に依頼しないとできません。
個人民事再生とは、借金の減額を目的に裁判所を介して行う債務整理です。
任意整理との違いは裁判所を通すか通さないかという点です。
住宅ローンを抱えた人が、選択する個人民事再生としては、住宅資金特別条項付き個人民事再生(住宅ローン特則付きの個人再生)があります。
裁判所に再生計画という計画を提出し、再生計画が認可されると、住宅ローン以外の債務が減額されるという制度です。
個人再生計画が認められると、住宅ローン以外の債務が以下のように減額されます。
債務額(総額) | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円以上~500万円未満 | 100万円 |
500万円以上~1,500万円未満 | 債務額の5分の1 |
1,500万円以上~3,000万円未満 | 300万円 |
3,000万円以上~5,000万円以下 | 債務額の10分の1 |
住宅ローン特則付きの個人再生では、住宅を手放さずに手続きができるというメリットがあります。
ただし、住宅ローンについては減額されず、住宅ローンについては引き続き支払う必要があります。
個人再生も任意売却とはあくまでも別物です。
個人再生を行っても最終的に行き詰れば、任意売却で自宅を手放すということもあり得ます。
自己破産
借金の大部分が住宅ローンの場合、債務整理する方法として、自己破産があります。
自己破産とは、返済が不可能な債務に苦しむ人を救済し、経済的再生の機会を与える法的な制度です。
破産するためには財産があってはならないため、家や車、有価証券、貴金属等は全て売却することになります。
自己破産では、免責が得られれば、借金がなくなるというメリットがあります。
ただし、連帯保証人がいる場合、自己破産しても連帯保証人には債務の返済義務が残ります。
そのため、連帯保証人がいるような場合は、連帯保証人と一緒に弁護士等にどうすべきかを相談することをオススメします。
自己破産も法律の知識を必要とするため、弁護士や司法書士に相談した上で進めて行く必要がります。
尚、自己破産をした場合には、破産管財人(弁護士)に財産の処分権が移ります。
破産管財人が競売よりも任意売却の方が有利と判断すれば、破産管財人の方で任意売却が行われることがあります。
これは破産管財人が主導になって任意売却を行うようなケースです。
破産管財人が任意売却によって不動産を処分すると、その代金の3~5%が破産管財人へ支払われることになります。
これらはあくまでも売却代金の中から支払われるため、債務者の費用には直接関係はありません。
尚、自己破産を選択する場合には、競売を選択しない人も多くいます。
いずれにしても借金が免責されるため、少しでも今の家に長く住める競売の方がメリットはあるからです。
破産管財人に財産が移る前であれば、無理に任意売却で動く必要はないでしょう。
以上、ここまで弁護士等の費用が必要となるケースについて見てきました。
弁護士が必要なケースが分かったとしても、どこに相談して良いか分からない人は多いです。
弁護士に相談するならこの3つ
弁護士や司法書士の最初の窓口としては、以下の相談先があります。
相談先 | 内容 |
---|---|
各都道府県の弁護士会の法律相談 | 各都道府県にある弁護士会です。相談費用は30分5,250円程度です。 |
司法書士総合相談センター | 無料相談が可能です。 |
法テラス(日本司法支援センター) | 相談内容に応じて弁護士会や司法書士会が紹介されます。直接相談できるわけではないため、二度手間になります。 |
相談に行く際は、以下の資料を持っていくと、話が早いです。
- 借入先の一覧表
- 借入金額
- 給与明細
- 家計の収入状況が分かる資料
相談のポイントは、実情を隠さず、ありのままに伝えることです。
そうすれば、的確な回答や適切な専門家紹介を受けられることが期待できます。
準備して相談に臨みましょう。
以上、ここまで主な相談先について見てきました。
では次に気になる費用です。
弁護士に相談した場合の費用
弁護士に相談した場合の費用について見ていきます。
相談内容としては、「任意整理」、「個人民事再生」、「自己破産」に分かれます。
費用はそれぞれ、着手時の着手金と、成功したときに支払われる成功報酬に分かれます。
概ねの相場は以下の通りです。
債務整理の種類 | 時点 | 費用相場 |
---|---|---|
任意整理 | 着手金 | 債権者1人につき3万円~5万円が必要。 |
成功報酬 | 減額された借金額の10%が多い。 過払い金がある場合は回収した過払い金の20%程度。 訴訟によって過払い金を回収した場合は回収額の25%程度。 |
|
個人民事再生 | 着手金 | 20万円~30万円程度。 |
成功報酬 | 再生計画が認められれば10万円~20万円。 | |
自己破産 | 着手金 | 20万円~30万円程度。 |
成功報酬 | 免責が認められれば、10万円~20万円。 ただし、成功報酬を不要としている場合もある。 |
以上、ここまで弁護士費用について見てきました。
次に司法書士費用について紹介します。
司法書士に相談した場合の費用
司法書士の中でも、法務大臣の認定を受けている認定司法書士であれば、140万円を超えない債務であれば、代理人として債権者と交渉してもらえることができます。
つまり債務が140万円を超えない範囲であれば、弁護士と同様に、交渉の代理人として任意整理を依頼することができます。
債務が140万円を超えていなければ、コストの安い司法書士を選択するのがオススメです。
司法書士に対する費用は以下のようになります。
債務整理の種類 | 時点 | 費用相場 |
---|---|---|
任意整理 | 着手金 | 債権者1人につき2万円~3万円が必要。 司法書士会連合会の指針で5万円が上限としている。 |
成功報酬 | 減額された借金額の10%。 過払い金がある場合は回収した過払い金の20%。 訴訟によって過払い金を回収した場合は回収額の25%。 司法書士ではこれらを上限として定めている。 |
また、司法書士は個人再生や自己破産についても書類作成人として手続きに関与することができます。
司法書士の書類作成費用は以下の通りです。
債務整理の種類 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
個人民事再生 | 書類作成 | 住宅ローン特則の適用を受けない場合で20万円弱~30万円程度。 |
自己破産 | 書類作成 | 12万円~20万円程度。 |
まとめ
任意売却で弁護士等に依頼した場合の費用はどれくらいかかるか解説してきました。
まずは、そもそも弁護士への相談が必要かどうかを見極めることが必要です。
債務が多過ぎてどうにもならない人は、弁護士に相談することをオススメします。