自宅はフルローンで買えるため、アパート投資もフルローンでできるのではないかと考えがちです。
これは非常に危険な発想なので、フルローンによるアパート投資は絶対にやめるべきです。
こんな悩みをスッキリ解消!
- なんとかしてフルローンでアパート経営ができないだろうか
- フルローンでアパート経営を始めると、何が不都合でもあるのだろうか
- 適切な借入金の範囲とはどのように考えれば良いのだろうか
そこで今回の記事では、「フルローンによるアパート経営」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことであなたはフルローンによるアパート経営について、どのような問題が生じるのか理解し、適切な借入範囲についても知ることができます。
そもそもフルローン投資は不可能
フルローン投資とは、自己資金を使わずに全額借入金によって物件を購入する投資方法です。
一般的に、アパートローンでは以下のような諸経費はローンの対象とならないことが多いです。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 司法書士手数料
- 融資保証料
- 融資事務手数料
- 火災保険料・地震保険料
- 固定資産税清算金
アパートローンは銀行によっては上記のうち一部の諸経費が組める銀行もあります。
しかしながら、全ての諸経費も組める銀行はありません。
原則フルローンでアパート投資をすることはできず、仮にフルローンに近い状態でローンを組めたとしても、最低でも投資額の10%程度の頭金は必要となります。
以上、ここまでそもそもフルローン投資は不可能について見てきました。
ローンを借りる上で、ローン返済は費用にはならないということを知っておく必要があります。
ローン返済は費用ではない
これからアパート経営をするひとは、ローンの返済は会計上の費用とはならないという点を理解しておく必要があります。
お金の返済は、実際に支出されるものですが、利益を計算する上での費用とはならないため、全く節税効果はないということを知っておくことが重要です。
企業経営においても、お金を借りたり返したりすることは、売上にも費用にもならず、その考えはアパート経営においても適用されます。
例えば、お金を借りたとしても、それは売上とはみなされません。
実際に入金はありますが、それは営業上の収入ではなく、単純に他人からお金を借りただけの話です。
お金を借りただけであるため、借りたお金に対しては、税金はかかりません。
借りたお金は、稼いだお金ではないからです。
一方で、返すお金に関しても同様の考え方をします。
実際に支出はありますが、それは営業上の支出ではなく、単純に他人にお金を返すだけの話です。
お金を返しているだけであるため、返したお金には、税金を減らす効果はありません。
お金は借りても税金は増えませんが、返しても税金は減らないと言うことになります。
ローンの返済は費用ではないため、返済は税引後の利益の中から行うことになります。
例えば、実質利回りが5%のアパート投資を行った場合、アパートそのものが生み出す利益率は、自己資金100%の場合でも、フルローンで借入金100%の場合でも同じ5%となります。
但し、自己資金100%の人と、借入金100%の人では、借入金返済後の手残りの金額、つまりキャッシュフローが異なります。
自己資金100%で投資をした人なら、利回り5%をそのまま享受することができますが、借入金100%で投資をした人なら、借入金の返済があるため、実際には1~2%程度の利回りにしかなりません。
同じ利回り5%のアパートに投資をしたとしても、投資家の借入金と自己資金割合の違いによって、キャッシュフロー利回りが異なってきます。
フルローンでアパート投資を行ってしまうと、場合によってはキャッシュフロー利回りが1%未満になることもあります。
大きなリスクを背負って、1%未満の利回りの投資をするのであれば、不動産投資などはしない方がマシです。
1%程度なら銀行の定期預金金利よりは高いと考える人もいますが、将来もずっと1%弱の利回りが続くとは限らないため、リスクには全く見合いません。
リスクだけ背負う割には、全く儲からないため、フルローンによる不動産投資は絶対にやめるべきです。
フルローン投資は一番儲からない投資スタイルですので、フルローンでアパート経営をやってみたいと考えている人は、是非見直すようにしてください。
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以上、ここまでローン返済は費用ではないについて見てきました。
ローンを借り過ぎると、アパートが古くなったときに苦しくなります。
アパートが古くなったときを考える
アパート経営の良い時期は、せいぜい最初の15年程度です。
その後は、大規模修繕費もかかり、空室も増え、賃料も下がっていきます。
また、アパートは古くなったとき、空室や賃料下落以外にも、会計上の利益計算に問題が生じてきます。
それは、建物の減価償却費が耐用年数を超えると無くなるという点です。
アパート投資で建物を取得した場合、建築費は初年度に一気に費用となるわけではありません。
初年度は建築費として実際にお金が支出されますが、その建物代金は資産として計上されます。
ただ、建物は築年数が経過すると価値が落ちます。
帳簿上、何十年も新築当初の建築費が載っていたら、実態よりも高い資産を持っていることになってしまいます。
そこで、建物に関しては帳簿価格を徐々に減額していく会計上の操作を行います。
それが減価償却です。
減価償却とは、建物の取得原価の一部を耐用年数に応じて毎年、計画的・機械的に費用として配分していく処理のことを指します。
減価償却で発生するのが減価償却費です。
減価証約費は、ローンの元金返済とは異なり、実際にお金は支出されないのですが、会計上の費用となります。
見た目上費用となるため、その分利益が圧縮され、税金が減る節税効果があります。
税金を減らしてくれる効果があることから、減価償却費はキャッシュフローを良くしてくれる存在です。
木造アパートの場合、耐用年数は22年と定められています。
これは、22年間かけて帳簿上の建物価格を1円まで減額していくことを意味しています。
例えば、新築アパートの建築費が4,400万円のアパートの帳簿価格と減価償却費との関係は以下のようになります。
減価償却費により帳簿価格が毎年減額されていき、最終的には1円となります。
帳簿価格(建物簿価) | 減価償却費 | |
---|---|---|
建築時 | 4,400万円 | ― |
1年目 | 4,200万円 | 200万円 |
2年目 | 4,000万円 | 200万円 |
3年目 | 3,800万円 | 200万円 |
~ | ~ | ~ |
20年目 | 400万円 | 200万円 |
21年目 | 200万円 | 200万円 |
22年目 | 1円 | 約200万円 |
23年目 | 1円 | 0円 |
24年目 | 1円 | 0円 |
上記の例だと、減価償却費があることで、毎年200万円の費用が計上されることになります。
しかしながら、23年目に入ると減価償却費が計上されません。
すると、このタイミングで税金が一気に上がることになります。
一方で、築23年頃のアパートは、空室も増え、賃料も下がり、修繕費も増えてくるため、放っておいても収益が落ちています。
収益が落ちている中、22年目と23年目では減価償却費の発生の有無が異なるため、突然税金だけが上がることになります。
つまり、アパート経営では、収益が落ちているにもかかわらず、税金だけが突如として増えると言うことが起こります。
この際、耐用年数満了時にまだアパートローンが残っていると、さらにキャッシュフローが悪くなります。
22年目までは減価償却費によって税金が少なくなっていましたが、23年目以降は突如として税金が増えるため、返済原資となる税引後の利益が小さくなります。
税引との利益が小さくなった後も、返済が続くと、なおもキツイです。
フルローンでアパート投資を行うと、耐用年数満了以降もローンが残っている場合があります。
尚、銀行によっては、アパートのローン期間は建物の耐用年数以内としている銀行が多いです。
耐用年数以内となると、木造アパートの場合、借入期間が22年間ということになります。
少し厳しい条件と感じる人もいるかもしれませんが、実は、耐用年数以内で借りるという借り方は、正解です。
上述したように、耐用年数満了後にまだ借入金の返済が残っていると、キャッシュフローが急激に悪くなってしまいます。
アパートローンは耐用年数満了後にも返済を残してはいけないのです。
借入期間が耐用年数以内となると、フルローンで組んでしまうと、毎月の返済額がとても大きくなります。
22年間しか借りることができないため、フルローンに近ければ近いほど、返済額が重くなります。
22年間の借入期間でも毎月の返済額を減らすには、自己資金を増やし、借入額を減らすしかないのです。
尚、銀行によっては、耐用年数以上に貸し出してくれる銀行も存在します。
22年よりも35年で借りた方が、毎月の返済額は減るため、長期のローンを選択したくなります。
但し、耐用年数満了以降は急激にキャッシュフローが悪化するため、耐用年数超の借入期間で借りることは避けるべきなのです。
以上、ここまでアパートが古くなったときを考えるについて見てきました。
アパートでローンを組むには適切な返済比率も考慮する必要があります。
適切な返済比率
適切な返済比率は、賃料収入の約50%と言われています。
これ以上、高いとちょっとでも空室が発生してしまうと、返済が厳しくなります。
アパート経営に必要な固定資産税や修繕費等の経費率は、15~30%程度です。
仮に、30%の経費率だとしたら、返済比率が50%だとすると、家賃収入の20%程度しか儲からないことになります。
20%ということは、10部屋中、2部屋が空室となったら、手残りはゼロになるということです。
借入期間を耐用年数以内とし、フルローンで組んでしまうと、返済比率が50%を超えてしまうことが多いです。
自己資金をしっかりと用意し、返済比率を50%以内で抑えるようにして下さい。
まとめ
フルローンアパート投資のリスクを解説してきました。
そもそもフルローンによる投資はできませんが、できたとしてもフルローンは危険な投資。
元本返済は税引後の利益の中から返済することになり、借入が多過ぎるとわずかにしか儲かりません。
適切な範囲の借入によって、アパート経営を始めるようにして下さい。