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コンパクトシティとは?定義や意義、現状・今後の方向性を徹底解説

コンパクトシティとは?定義や意義、現状・今後の方向性を徹底解説

平成27年3月に国土交通省より「コンパクトシティの形成に向けて」という題材で発表がされました。

コンパクトシティとは、持続的な成長を実現できるよう社会インフラが賢く使える集約型の都市のこと

こんな悩みをスッキリ解消!

  • コンパクトシティって何?
  • スマートシティとか似たような言葉もあるけど、違いは何?
  • コンパクトシティってこれからどうなるの?

そこで今回の記事では「コンパクトシティ」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことであなたはコンパクトシティについて理解し、現状や今後の方向性について知ることができます。

目次

コンパクトシティとは

コンパクトシティとは、

  • 高密度で近接した開発形態
  • 公共交通機関でつながった市街地
  • 地域のサービスや職場までの移動の容易さ

という特徴を有したコンパクトにまとまった都市のことを言います。

少し知識のある方は、「あれ、コンパクトシティってそんな街のことを指すんだっけ?」と思われた方もいるかと思います。

上記の定義は、国土交通省が実現しようとしているコンパクトシティのことを指しています。

コンパクトシティの定義

実はコンパクトシティには様々な定義があります。

例えば、ウィキペディアや知恵蔵の解説等にはコンパクトシティは以下のように定義されています。

【Wikipediaの定義】

コンパクトシティ(英: Compact City)とは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことである。

※出典:Wikipedia「コンパクトシティ」より

【コトバンクの解説】

中心部に様々な機能を集約し、市街地をコンパクトな規模に収めた都市形態、あるいはそうした形態を目指した都市計画の総称。大都市が膨張したために中心部のスプロール化が進み、その一方で多くの人口が移転した郊外で農地や緑地の減少が進行した結果、都市の規模を縮小しようとする発想が注目されるようになった。

※出典:コトバンク「コンパクトシティー」より

【ブリタニカ国際大百科事典】

都市の中心部に行政,商業,住宅などさまざまな都市機能を集中させた形態,またはその計画(都市計画)。

ウィキペディア等の定義は、国土交通省が実現しようとしているコンパクトシティとは少し異なります。

ウィキペディア等の定義は、学術的なものになりますが、そのキーワードは「スプロール化現象の歯止め」です。

スプロール化現象とは郊外の無秩序な開発によって郊外に向かって人が拡散してしまい、中心市街地が空洞化してしまう現象です。

日本もかつてバブル時代には東京の土地価格が高騰した結果、首都圏郊外に人が移り住み、都市部か空洞化するスプロール化現象が発生していました。

学術的なコンパクトシティは、スプロール化現象に歯止めをかけ、中心市街地を活性化することを目的としています。

それに対し、国土交通省が提言しているコンパクトシティは、人を都市部に集約化することで、社会インフラを効率的に利用し、持続可能な社会を実現しようとする都市計画のことを指しています。

以上、ここまでコンパクトシティの定義について見てきました。

実は、国土交通省が提言しているコンパクトシティには、似たような概念の言葉があります。

それはスマートシティです。

スマートシティとの違い

知恵蔵miniの解説によると、スマートシティは以下のように定義されています。

ITや環境技術などの先端技術を駆使して街全体の電力の有効利用を図ることで、省資源化を徹底した環境配慮型都市。

※出典:コトバンク「スマートシティ」より

スマートシティとは、環境に配慮して持続可能な社会を作り上げようという取組

社会の「持続可能性」を追求している点で、国土交通省が提言しているコンパクトシティと似ています。

スマートシティもエネルギーの効率化を優先させるため、コンパクトな街づくりを目指しています。

元々、コンパクトシティは、スプロール化現象によって、中心市街地が寂れてしまったため、それを再活性化するという商業的な発想が原点にあります。

スマートシティは環境配慮を原点としている

一方で、スマートシティは環境配慮を原点としています。

地球温暖化が防げれば、社会が持続していけることが可能になります。

地球温暖化を防ぐにはCO2の削減が必要になります。

CO2を大量発生させないためには、人間がエネルギーをできるだけ効率よくつかわなければなりません。

そのためには人々が一ヵ所にまとまって住み、効率よくエネルギーを使う街づくりが必要です。

この発想がスマートシティになります。

国土交通省が提言しているコンパクトシティは、持続的な成長を実現できるよう社会インフラが賢く使える集約型の都市のことでした。

どちらかというと、発想がスマートシティに似ています。

学術的なコンパクトシティとスマートシティの中間に位置する概念を提唱しているのが、国土交通省が提言しているコンパクトシティということになります。

以上、ここまでスマートシティについて見てきました。

ではコンパクトシティにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

コンパクトシティのメリット

コンパクトシティは、人々がまとまって暮らすことにより「集積による効率化」が発生するという点がメリットです。

具体的には、職住が近接していれば、移動距離も短縮できます。

その分、CO2の排出量も削減できます。労働者も通勤時間が短縮され、生産性が向上します。

また自転車で移動できる範囲に全てものが揃っていれば、車に乗る必要がありません。

車に乗らなければCO2の排出量は削減されます。

維持しなければならない道路や鉄道のインフラも規模が小さければ全体コストが低くなります。

さらに、図書館や学校、保健所、下水道等の公共施設も少なくてすみます。

行政が無駄なハコモノを作る必要が無くなるため、コストを省くことができます。

ギュっと圧縮したコンパクトな街にすることで、あらゆる面の効率化が図られ、エネルギーも効率よく利用できます。

ここで挙げたメリットは、スマートシティとかなり類似しています。

国土交通省が言うところのコンパクトシティは、かなりスマートシティに近い概念を有していますので、メリットも似ています。

以上、ここまでコンパクトシティのメリットについて見てきました。

国のコンパクトシティの議論は、今に始まったことではありません。

失敗が続くコンパクトシティ誘導政策

バブル時代には、日本もスプロール化現象が続いたため、学術的な意味合いでのコンパクトシティを目指す動きがありました。

当時は、郊外に次々とロードサイド型の大型店舗が登場し、全国の駅前商店街がシャッター商店街となっていったことから、それに歯止めをかけるべく様々な法律が施行されました。

最初は、平成10年から平成13年にかけて、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の3つの法律が立て続けに整備されました。

これら3つの法律はまちづくり三法と呼ばれています。

その後、さらに実効性を高めるべく、平成18年に、中心市街地活性化法と都市計画法が改正され、今のまちづくり三法の原型ができました。

当時は、駅前商店街の活気を取り戻すために、様々な補助金がばらまかれ、中心市街地の活性化が試みられました。

ただし、現状を見ればお分かりと思いますが、結果は思わしくありませんでした。

結局のところ、色々な政策を打ち、駅前商店街の衰退を打破しようと試みましたが、時代の流れには逆らえず、全国のほとんどの駅前商店街は衰退したままとなっています。

このように、かつては国の方も学術的な意味合いのコンパクトシティ化に乗り出していましたが、なかなか上手くいかなかったというのが結果です。

しかしながら、そうこうしているうちに、バブル崩壊で土地価格が一気に下がったことから、何もしなくても都心回帰が進むようになりました。

商店街は回復しなくても、郊外に流れていた人口が都心部へ戻ってくる都心回帰の現象が自然に現れるようになったのです。

商業的な意味合いのコンパクトシティ化は成功しませんでしたが、スプロール減少の解消については、自然に回復しています。

都心回帰と言えば、東京への一極集中です。

コンパクトシティ化する東京

一ヵ所に人をギュっと集めて、効率的な都市とするという意味では、東京は既にコンパクトシティ化しています。

東京は究極のコンパクトシティと表現する人もいます。

現に東京都の街づくりビジョンも「高齢者を含め誰もが暮らしやすいコンパクトな市街地への再編」を目標に掲げています。

東京は特に何もしなくても人が勝手に集まってくる状況であるため、集積による効率化が図られつつあります。

例えば、タワーマンションなどは、具体的な集積化の例です。

タワーマンションは大型物件で1棟に5,000人近くの人が住んでいます。

電気や上下水道等も、1棟のタワーマンションに送電や給水を行うだけで、5,000人の人の生活を支えることができます。

同じことを戸建住宅にするとなると、2~3人しか住んでいない2,000戸近くの家へ送電や給水を行うことになります。

インフラ整備の効率性を考えれば、圧倒的に1棟のタワーマンションの方が効率的です。

タワーマンションの例のように、人が一ヵ所にたくさん住むと、効率が上がることがたくさんあります。

東京は街自体に人がたくさん住んでいるため、コンパクトシティとしての機能も期待できるのです。

以上、ここまでコンパクトシティ化する東京について見てきました。

では、コンパクトシティは今後どのようになっていくのでしょうか。

今後の予想

東京への一極集中が加速していることから、東京は放っておいてもコンパクトシティ化が進むものと思われます。

一方で、地方都市は政令指定としてあっても、神戸市のように一部では人口減少が見られる都市も出始めています。

地方都市では、例えば札幌市のように周辺市区町村から人を集められる都市については増加しています。

このような大きな流れは政策ではなかなか変えることはできないため、引き続き、コンパクトシティ化する都市はコンパクトシティ化し、そうならない都市は人口が減り続けることが予想されます。

まとめ

コンパクトシティについて見てきました。

都市部への一極集中はマイナス面ばかりが取り上げられますが、コンパクトシティという側面から見れば、持続可能な社会の実現に向けたメリットの部分が大きいです。

コンパクトシティをきっかけに、持続可能な街づくりに興味を持って頂ければ幸いです。

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