登記情報提供サービスとは、インターネットで登記簿謄本や公図、地積測量図、建物図面等の書類を取得できるサービスです。
法務局に行かずに登記簿謄本が取得できるようになった画期的なサービスといえます。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 登記情報提供サービスって、何のことなの?
- 登記情報提供サービスでは、どのようなことができるの?
- 登記情報提供サービスは、どうすれば使うことができるの?
そこでこの記事では、「登記情報提供サービスとは」ということにフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、登記情報提供サービスとは何かについて知ることができます。
登記情報提供サービスとは
登記情報提供サービスとは、インターネットを通じて請求した時点における登記情報をリアルタイムに利用者のパソコンで表示・保存することができるサービス
わざわざ法務局に行かなくても、登記情報を取得することができるため、大変便利なサービスとなっています。
登記情報提供サービスは、法務省が運営している国のサービス。登記情報は、昔は手書きでしたが、手書きの情報は徐々にコンピュータ化されていき、最終的にはインターネットで見ることができるようになりました。
今でこそ、便利で当たり前になりましたが、膨大な数の手書き情報をコンピュータ管理に置き換え、地積測量図や建物図面は全てスキャンして電子管理に切り替えたのは、相当な苦労があったものと想像できます。
登記情報提供サービスは、不動産関連の会社や金融機関等、普段から登記簿謄本を大量に取得する会社にとっては、大変ありがたいシステム。
登記情報提供サービスの登場によって、多くの会社が業務効率化を図られるようになっています。
以上、ここまで登記情報提供サービスとは、ということについて見てきました。
では、登記情報提供サービスでは何ができるのでしょうか。
登記情報提供サービスでできること
登記情報提供サービスでは、主に以下の登記情報をインターネットで取得することができます。
- 不動産登記情報(全部事項)
- 不動産登記情報(所有者事項)
- 公図
- 地積測量図
- 地役権図面
- 建物図面・各階平面図
- 商業・法人登記情報
- 動産譲渡登記事項概要ファイル情報及び債権譲渡登記事項概要ファイル情報
法人の謄本は取ることはできますが、残念ながら印鑑証明書については取得することはできません。
基本的には不動産関連の書面については、コンピュータ化される前の閉鎖謄本以外は取れるようになっています。
以上、ここまで登記情報提供サービスでできることについて見てきました。
では、登記情報提供サービスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
登記情報提供サービスの3つのメリット
登記情報提供サービスのメリットは、以下の3つです。
登記情報サービスの3つのメリット
- 法務局に行かなくて済む
- 取得費用が安い
- ブルーマップ検索ができる
メリット1.法務局に行かなくて済む
登記情報提供サービスによって、わざわざ法務局に行かなくて済むようになりました。
昔の法務局を知っている人からすると、法務局に行かずに謄本が取れることは、相当画期的なことだと思います。
そもそも、法務局というのは、不便なところにあるケースが多いです。
電車から歩いて行けるようなところは少なく、車がないと行けないようなところがたくさんあります。
また、昔は法務局が非常に混雑していたため、謄本を取得するのに大変な時間がかかりました。
謄本取得の待合スペースには、たいていNHKが流れているのですが、混雑しているときは1つの番組が最初から最後まで見ることができてしまうくらい待たされました。
夕方の17:00前に行くと、混み過ぎて壊滅的な状況も多かったです。
そのため、昔は法務局で謄本等を取得すること自体に半日くらいの時間を要したため、ひと仕事といった感覚がありました。
それが今では自宅や事務所から一瞬で取得できてしまうため、大きな進歩であると感じます。
わざわざ遠い法務局に行く必要もなく、また法務局で長時間待たされることもなくなったため、今や謄本取得は快適にできる仕事に変わりました。
尚、登記情報提供サービスができたことにより、現在は法務局がとても空いています。
いつ行ってもガラガラですし、謄本を依頼するとビックリするほど早く謄本が出てきます。
印紙を購入している最中に名前を呼ばれてしまうため、待ち時間はほぼない状態。登記情報提供サービスの利用者が増えたことから、法務局が空いたという副次的なメリットも生まれています。
いずれにしても、インターネットでも法務局でも、謄本の取得は昔より格段に楽になったといえるでしょう。
メリット2.取得費用が安い
登記情報提供サービスで謄本を取得すると、取得費用が安いというメリットがあります。
恐らく、最初は登記情報提供サービスの利用を促すために安くしたのだと思います。
登記情報提供サービスは、便利で、かつ、安いので利用者からすると選択しない手はありません。
利便性が高く、コストメリットもあるので、現在では多くの企業が登記情報提供サービスを利用しています。
登記情報提供サービスと法務局における書面請求の料金の違いを示すと以下のようになります。
区分 | 登記情報提供サービス | 書面請求 |
---|---|---|
登記事項証明書(全部事項) | 335円 | 600円 |
登記事項要約書 | 145円 | 450円 |
公図 | 365円 | 450円 |
図面(地積測量図等) | 365円 | 450円 |
法務局でする書面請求と比較するとかなり安いことが分かります。
また、法務局で取得する場合、印紙を購入しなければなりません。法務局では、印紙を購入するのに、並びます。
印紙を購入する手間を考慮すれば、この安さは金額以上にかなり価値があると思います。
メリット3.ブルーマップ検索ができる
筆者は、登記情報提供サービスが優れている点として、ブルーマップ検索ができるという点に価値があると考えています。
ブルーマップとは、住宅地図に地番が表記されたゼンリンが発行している地図のこと
ブルーマップは地番と住宅地図が合体しており非常に便利ですが、購入するには非常に高額であることがネックでした。
ブルーマップは昔から法務局には備付でありましたが、法務局に行くとブルーマップを見るのに並ぶということもありました。
登記情報提供サービスでは、インターネット上でブルーマップを確認しながら場所を特定することができます。
しかも、登記情報提供サービス内でブルーマップを見ること自体は無料。法務局に行かないとできなかったブルーマップの確認が自宅でできるようになったため、かなり価値があるサービスとなっています。
以上、ここまで登記情報提供サービスのメリットについて見てきました。
では、登記情報提供サービスは、どのように利用すれば良いのでしょうか。
登記情報提供サービスの4つの利用方法の違い
登記情報提供サービスの利用方法は、
- 一時利用
- 個人利用
- 法人利用
- 公共機関利用
の4つがあります。
昔は「一時利用」はできませんでしたが、いつの間にかできるようになりました。
今回だけ謄本を取りたいという人は、一時利用がオススメ。一時利用の決済方法はクレジットカードになります。
若干面倒ですが、一時利用者登録で名前や生年月日、電話番号、メールアドレス等を入力すると、初回ログイン時のみ謄本等を請求できます。
ただし、一時利用は利用者登録で結構手間がかかるわりに、初回ログイン時のみしか利用できません。
今後も何回か謄本を取る機会があれば、「個人利用」や「法人利用」をすることをオススメします。
「個人利用」や「法人利用」では、IDが付与され、一度登録してしまえば何回でも使えます。
特に維持費もかかりませんので、謄本を取得するときだけ費用が発生します。
不動産関連の仕事や会社の謄本を取るような仕事をしている人であれば、「個人利用」や「法人利用」でIDを取得するのが良いでしょう。
なお、4つ目の公共機関利用は、公共機関の方が利用する際に使用します。
以上、ここまで登記情報提供サービスの利用方法について見てきました。
では、登記情報提供サービスを利用する際は何に注意すれば良いのでしょうか。
登記情報提供サービスを利用する際の注意点
登記情報提供サービスを利用する際の注意点は、以下の3点です。
3つの注意点
- 利用時間が限られている
- 閉鎖謄本は取れない
- 公的機関が資料として認めないことがある
注意点1.利用時間が限られている
登記情報提供サービスは、利用できる時間が限られており、平日の午前8:30~午後9:00までとなっています。
その時間帯にアクセスするとTOPページに下記のような画面が表示されます。
インターネットサービスなのに、24時間対応ではありません。平日のみの利用というのは、登記情報提供サービスの発足当初から続いており、これだけは不満です。
別に人がやっているわけではないのに、なぜか時間に制限があり、使いにくくなっています。
「謄本は後で取れば良いや」と油断していると、時間が過ぎて取れなかったという失敗が良くあります。
土日も含めて24時間利用できるようになって欲しいことは、この場を借りて要望したいくらいです。
登記情報提供サービスは大変便利ですが、とりあえず、土日や深夜は利用できないということを知っておきましょう。
キャッシュが効いて利用できないことがある
先ほど示した画像に書いてありますが、営業時間内(午前8:30~午後9:00)でも使えないことがあります。
それはキャッシュが効いている可能性が高く、営業時間外のページが表示されているのが原因です。
キャッシュとは、表示速度を上げるために、パソコンに読み込みデータを保存させておき、表示速度を上げる技術
対処法としてはキャッシュを削除してください。キャッシュなしの状態でアクセスるのが確実です。シークレットモードというのが各ブラウザには用意されておりますので、利用しましょう。
- Internet Explorer:「Control + Shift + P」(Macは「Command + Shift + P」)
- Google Chrome:「Control + Shift + N」(Macは「Command + Shift + N」)
- Opera:「Control + Shift + N」(Macは「Command + Shift + N」)
- Firefox:「Control + Shift + P」(Macは「Command + Shift + P」)
なお、Microsoft Edgeの場合は、ショートカットキーがありませんので、下記画面にすればシークレットモードで起動できます。
スマホの場合
スマホで登記情報サービスを利用する方は少ないとは思いますが、念のためスマホでのシークレットモードについて説明しておきます。
iPhoneの場合
※出典:Apple公式サイト「iPhone、iPad、iPod touch でプライベートブラウズをオンまたはオフにする」より
Androidの場合
- Android スマートフォンまたはタブレットで Chrome アプリ を開きます。
- アドレスバーの右のその他アイコン [新しいシークレット タブ] をタップします。
- 新しいウィンドウが表示されます。左上にシークレット アイコン があれば、シークレット モードになっています。
※出典:Google Chrome ヘルプより
注意点2.閉鎖謄本は取れない
登記情報提供サービスでは、コンピュータ化される前の閉鎖謄本は取れないです。残念ながら、閉鎖謄本まではスキャンされていません。
地歴調査などで閉鎖謄本を取得したい人は、従来通り法務局で取ることになります。
ただし、閉鎖謄本は郵送で取得することも可能。急ぎでなければ、閉鎖謄本だけ郵送で依頼すると、法務局に行かずに取得することができます。
郵送の場合、申請書に申請内容を記載し、印紙を貼って、返信用の封筒も封入しておけば大丈夫です。
注意点3.公的機関が資料として認めないことがある
登記情報提供サービスで取得した謄本は、公的機関によっては書類として認められないことがあります。
良くあるのが、会社の謄本を提出するようなケース。
会社の謄本は登記情報提供サービスでも取得可能ですが、なぜか登記情報提供サービスで取得した謄本は、正式書類として認められないケースがあります。
登記簿謄本の提出を求められる場合、登記情報提供サービスで取得した謄本でも代用可能かどうか事前に確認するようにしてください。
まとめ
登記情報提供サービスについて解説してきました。
登記情報提供サービスは、法務局に行く手間を省き、かつ、料金も安い大変便利なサービス。
謄本を継続的に取得する予定のある人は、ID登録して利用することをぜひオススメします。