不動産売却で未登記物件はどうするべき?売りにくい理由と売却方法

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売却しにくい不動産の1つに「未登記物件」があります。

これから不動産を売却するのであれば、やはり登記は完了すべきです。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 未登記の不動産売却がしにくいのはどうして?
  • 未登記の不動産が生じるのは、どのようなケースがあるの?
  • 未登記物件の不動産売却をするときは、どうすればいいの?

そこでこの記事では、「未登記の不動産売却」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、不動産売却の際に未登記物件はどうするべきか、ということや、未登記物件が売りにくい理由およびその対策について知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.未登記不動産が売却しにくい2つの理由

未登記不動産が売却しにくい理由は、以下の2点があります。

  1. 所有者が誰か分からない
  2. 抵当権を設定できない

理由1.所有者が誰か分からない

未登記物件は、外部からは所有者が誰か分からないため、購入しにくいです。

買主からしてみると、嘘の所有者と名乗る人物から騙されて不動産を購入する可能性があります。

登記簿謄本に記載されている所有者は、必ずしも真の所有者とは限りませんが、一定の信用力があることに間違いはありません。

所有者の分からない不動産は、不動産会社も仲介することを嫌がります。後から別の所有者が現れてしまった場合、買主から「なんでもっときちんと調べなかったのか?」と訴えられる可能性があるためです。

買主や不動産会社から敬遠されるため、未登記物件は売却しにくくなります。

理由2.抵当権を設定できない

未登記のままだと、買主が購入後、抵当権を設定することができません。

抵当権とは、住宅ローンを借りる際、銀行が不動産に対して設定する担保権のこと

後ほど解説しますが、抵当権は登記簿謄本の乙区と呼ばれるところに記載されます。

未登記物件は、登記簿謄本が存在しないため、そもそも抵当権の設定登記をすることができません。

住宅ローンを利用する予定のある人にとっては、未登記物件は購入しにくくなります。

以上、ここまで未登記不動産が売却しにくい理由について見てきました。

では、未登記の不動産とは、具体的にどのような物件なのでしょうか。

そこで次に、未登記不動産の例について解説いたします。

2.未登記不動産でよくある3つの事例

この章では未登記不動産の例をご紹介します。

事例1.庭に建てた小屋

未登記不動産の例として、庭に建てた小屋が良くあります。

物置のような動産ではなく、ログハウスのようにしっかり建てており、固定資産税も発生しているような建物です。

自分の庭に建てた小屋なので、所有権等を第三者に対して公示する必要がありません。

庭に建てた小屋は、完全な建物であるにもかかわらず、未登記となっているケースをために見かけます。

事例2.増築部分

未登記不動産の例として、増築部分があります。増築の場合、増築前の建物がしっかり登記されており、増築部分のみが登記されていないことがたまにあります。

このようなケースでは、固定資産税納税通知書に記載されている建物面積と、登記面積が異なっています。

増築で未登記の場合、容積率オーバー等の違反建築のケースであることが多いです。

容積率とは、行政が指定している敷地面積に対する延床面積の割合

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違反建築と疑われてしまうと、その時点で、売却が困難になります。

違反建築でなければ、増築部分もきちんと登記を行っておきましょう。

事例3.未登記不動産の相続

未登記不動産の相続してしまうと、そのまま未登記となってしまうことが多いです。

原因は親が未登記のままにしていたことによりますが、売却するのであればやはり登記し直さなければいけません。

相続によって未登記の不動産を引き継いだ場合は、早めに登記をしておくようにしてください。

以上、ここまで未登記不動産の例について見てきました。

では、登記をすれば未登記不動産を売却できるのでしょうか。

そこで次に、表示登記と保存登記について解説いたします。

3.不動産登記には「表示登記」「保存登記」の2つ

不動産登記とは、不動産の物理的な現況を記録するとともに、各不動産に関する権利の変動を全て記録し、公示する制度

登記簿謄本の内容は、大きく「表示の関する登記」と「権利に関する登記」の2種類に分けられます。

表示に関する登記

表示に関する登記とは、不動産の物理的な現況を示す登記

単に「表示登記」と呼ばれることもあります。

土地であれば

  • 不動産番号
  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積
  • 所有者

等を表示。

建物であれば

  • 不動産番号
  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
  • 建物の番号
  • 所有者

等について公示がされます。

表示の登記は、登記簿謄本の一番上にある表題部になされます。

登記簿謄本のサンプル

登記簿謄本のサンプル

※画像出典:法務省「不動産登記のABC」より

表示に関する登記は、原則として権利の変動を第三者に主張する効力は持たず、土地の分筆、建物の新築、変更、滅失などのときになされる登記です。

登記の申請者は所有者ですが、実際には土地家屋調査士がその代理人として申請手続きを行っています。

表示の登記には、所有者に登記の申請義務が課されています。

建物を新築したり、土地が新たに生じたりした場合等には、その原因が生じた日から1ヶ月以内に登記の申請をしなければなりません。

表示登記を行っていないと10万円以下の罰金が科させることもあります。

例えば、建物の表題部登記は、以下のようになっています。

建物の表題部登記

建物の表題部登記

権利に関する登記

権利に関する登記とは、権利の変動を公示するもので、登記記録の「権利部・甲区」または「権利部・乙区」になされます。

登記できる権利については、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権の9種類に限られています。

このうち、「甲区」には所有権に関する登記がなされます。

甲区を見れば、この土地または建物の所有権者はだれで、いつ、どのような原因で所有権を取得したかという経緯が分かるようになっています。

例えば、甲区は以下のような内容です。

権利部の甲区

権利部の甲区

それに対して「乙区」には所有権以外の権利(抵当権、賃借権、地上権、地役権、先取特権、質権等)に関する事項の記録がなされます。

乙区を見れば、いつ、誰から、どのような条件で金銭を借り、どのような担保物件が設定されたのかといったことが分かります。

例えば、乙区に抵当権が設定されている登記簿謄本は、以下のような記載がなされます。

権利部の乙区

権利部の乙区

権利に関する登記は、所有権の移転や地役権、抵当権の設定、変更・抹消などのときに行われるもので、不動産登記制度の中核をなすものです。

権利に関する登記は、登記権利者と登記義務者が共同してこれを行うのが原則ですが、実際には司法書士が双方の代理人として申請手続きを行っています。

ただし、権利の登記には申請義務はありません。第三者に対して対抗力を取得するかどうかは、もっぱら当事者の意思に任せられています。

対抗力とは、自己に権利があることなどを第三者に対して主張できる法律上の効力のことです。

保存登記

ここで、権利に関する登記の内、甲区に関しては「保存登記」と「移転登記」の2種類があります。

「保存登記」とは、今まで存在しなかった不動産に対して初めて行う登記のこと

新築の建物は初めて行う登記になるため、甲区の登記は保存登記に該当します。土地については、分筆した土地や埋立地のように新たにできた土地が保存登記の対象です。

分筆とは、土地を物理的に切って分けること

未登記物件であれば、登記がなされていない状態であるため、甲区の登記を行う場合には、保存登記を行います。

一方で、既に登記をされている不動産において、売買などで甲区の所有権者を書き換える登記は、「移転登記」に該当します。

未登記物件の売却では、まず保存登記がなされておらず、甲区が存在しません。

よって、移転登記ができない状況です。未登記物件を売却する場合には、まず、「表示の登記」と「保存登記」を行います。

そして、甲区に所有者名が記載された後、「移転登記」によって買主へ所有者を変更するのが流れです。

以上、ここまで表示登記と保存登記について見てきました。

では、未登記物件を売却するにはどうしたら良いのでしょうか。

そこで次に、売却までに登記を完了させておくことについて解説いたします。

4.未登記物件を売却するには登記を完了させておく

未登記物件を売却する場合には、売却までに登記を完了させておくことがポイントです。

表示登記に必要な11つの書類

未登記物件で最初に行うのは、表示登記です。表示登記には原則として以下の書類が必要となります。

  1. 建築確認申請書
  2. 建築確認済証
  3. 建築検査済証
  4. 引渡証明証又は建築確認完了検査済証
  5. 施工会社の代表者事項証明書
  6. 施工会社の印鑑証明証
  7. 登記申請者の印鑑証明書
  8. 登記申請者の住民票
  9. 案内図
  10. 建物図面・各階平面図
  11. 建物表題登記申請書

ただし、建築から年数が経過しており、書類がそろわないというケースもあります。その場合、土地家屋調査士に委任してしまった方が早いです。

土地家屋調査士に委任すると、土地家屋調査士から建設会社に対して必要資料が請求されるようになります。

土地家屋調査士費用としては、10万円前後~20万円前後が相場となります。

表示登記が終わったら保存登記を行う

表示登記が終わった後は、次は保存登記です。保存登記は義務ではありませんが、買主が抵当権を設定する可能性があるので、売却では保存登記までやっておく必要があります。

保存登記に必要な書類は以下の通りです。

  1. 住宅用家屋証明書(軽減税率を適用する場合)
  2. 登記申請者の住民票
  3. 所有権保存登記申請書

保存登記は、司法書士に依頼すると楽です。司法書士への所有権保存登記費用は、「2万円前後~3万円前後」が相場となります。

また、保存登記に関しては、別途登録免許税が生じます。

登録免許税は、固定資産税評価額に以下の税率が乗じられて求められます。

項目土地建物
所有権の保存登記(軽減税率なし)0.4%0.4%
所有権の保存登記(軽減税率あり)0.4%0.15%

ここで、軽減税率のある不動産とは、以下の住宅を指します。

新築住宅の場合

  • 自己の専用住宅で、床面積が50㎡以上であること。
  • マンションなどの区分所有のものについては自己の居住用部分の床面積が50㎡以上(登記面積)であること。

中古住宅の場合

  • 上記の新築住宅の要件を満たした上で、建築後住宅として使用された家屋で次のイ・ロのいずれかに該当すること
    • イ.建築されたから20年以内(耐火建築物※の場合は25年)の家屋であること
      ※耐火建築物とは、建物登記簿に記載された構造が、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、石造、れんが造の家屋をいいます。
    • ロ.築後年数にかかわらず新耐震基準に適合することが証明されたものであること、又は、既存住宅瑕疵担保保険に加入しているもの(加入後2年以内のものに限る。

ここで上記の住宅とは、以下の2つの基本要件が必要です。

【住宅の基本要件】

  1. 個人が平成32年3月31日までに新築または取得した、もっぱら自分が住むための家屋であること。
  2. 新築または取得後1年以内に登記を受けるものであること。

「もっぱら自分が住むための家屋」であるため、倉庫等は対象外となります。

5.まとめ

以上、ここまで、不動産売却の際に未登記物件はどうするべきか、ということや、未登記物件が売りにくい理由とその対策について見てきました。

未登記物件は、売却までに登記をしておくことが原則です。売却することを決めたら、まずは表示の登記から速やかに実行するようにしてください。

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