憧れの不動産投資を始めようとすると、最初に違和感を覚えるのが利回りの低さです。
儲かると思って勉強し始めたアパート経営ですが、途中で利回りの低さに気付き、止める人も多くいます。
こんな悩みをスッキリ解消!
- アパート経営ってこんなに儲からないものなの?
- 地方のボロアパートの方が利回りは高いのはなぜ?
- アパート経営の利回りってどれくらいが適正なの?
アパート経営を始める前には、利回りの考え方をしっかりと身につけておくことが必要です。
そこで今回の記事では、「アパート経営の利回り」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたはアパート経営の正しい利回りの考え方について、身につけることができます。
アパート経営における利回りの考え方
利回りとは、簡単に言うと「投資に対するリターン」のこと
リターンの得る方法には、
- キャピタルゲイン
- インカムゲイン
の2種類がありますが、不動産投資でいう利回りとは、通常、インカムゲインの利回りを指します。
- インカムゲインとは不動産の「保有時」に賃料収入によって安定的・継続的に得られる収入のこと
- キャピタルゲインとは不動産の「売却時」に売却益によって得られる不安定で一時的に得られる収入のこと
例えば、インカムゲインの利回りが5%だとすると、1億円を投資した場合、毎年500万円の収益を得るということを意味しています。
投資回収期間を考えると、インカムゲインの利回りが5%の物件は、投資回収には20年間かかることになります。
- 1億円÷500万円=20年
このように、利回りはそのアパートの「収益性」や「投資回収期間」を表した数字となります。
利回りが高ければ高いほど、収益性が高く、投資回収期間も短いということになります。
そのため、利回りが高い物件ほど、良い物件のような気がします。
利回りはリスクも表す
一方で、利回り等の数字を一切関係なく、不動産の立地の良し悪しだけを考えます。
立地の良し悪しとは、例えば交通利便性や駅距離、商業繁華性、周辺人口等が良し悪しを決定づける要素となります。
具体的に、東京駅の駅前の一等地と、地方のへき地のような場所の2つを考えてみます。
この2つの立地を比べた場合、「どちらが良い立地か?」と聞かれたら、ほとんどの方が東京駅の駅前の一等地の方が良い立地と答えます。
アパートは不動産なので、物件の良し悪しを決定づけるのに、立地が大きなポイントを占めます。
そこで、東京駅の駅前の一等地のアパートと、地方のへき地のアパートを比べた場合、「どちらが良いアパートか?」と聞かれたら、好立地の東京駅の駅前の一等地のアパートに軍配が上がります。
東京駅の駅前の一等地のアパートであれば、便利な場所なので、恐らく住みたい人はたくさん居るはずです。
空室リスクも低いアパートと言えます。
そのため、利回りとかの数字は一切関係なく不動産だけを見ると、東京駅の駅前の一等地のアパートの方が良い物件ということになります。
ところが・・・です。
東京駅の駅前であれば、土地代が非常に高いため、仮にアパートの投資を行った場合、ものすごく利回りが低くなります。
地方のへき地なら土地代が非常に安いため、利回りは良くなるでしょう。
そのため、利回りだけを見れば、今度は、地方のへき地のアパートの方が良くなります。
このように立地だけの良し悪しに、利回りという数字を付け加えると、良し悪しの見え方が逆転してしまうという点がポイント。
この場合、利回りは何を表しているかというと、「リスク」になります。
地方のへき地のアパートであれば、アパートの賃貸需要がとても低いため、入居者を埋めるのにとても苦労します。
賃料収入が全く発生せず、竣工したらずっと赤字ということにもなりかねません。
このような立地のアパートであれば、空室リスクがとても高く、危険な投資と言えます。
リスクとリターンを考えてアパート経営を考える
つまり利回りとは、「収益性」を表している一方で、「リスク」も表現していることになります。
収益性が高ければ、その分リスクが高く、収益性が低ければ、その分リスクが低いということになります。
まさにハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンを数字で表したものが「利回り」になります。
投資家としては、収益性を高めたいですが、リスクは取りたくありません。
またリスクは低くしたいですが、収益性が低いのも嫌です。
そのため、収益性が高過ぎず・低すぎず、またリスクが高過ぎず・低すぎずという拮抗状態の結果、おのずと適正利回りが決まっていきます。
適正利回りとは、こういう物件なら「何%くらい」という期待値のようなものです。
収益性とリスクが高過ぎず、低過ぎないと投資家が思う妥協点のような利回りです。
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以上、ここまで利回りについて見てきました。
それでは次に不動産投資に重要な不動産投資家調査について見ていきます。
不動産投資家調査を見てみる
不動産投資の利回りに関しては、一般財団法人日本不動産研究所が半年に一度、投資家の期待利回りのアンケート調査結果を公表しています。
この調査ではアパートの利回りは公表されていませんが、賃貸住宅やオフィスビル、商業施設、倉庫、ホテル等の投資家の期待利回りが掲載されています。
ちなみに、アパートに近いファミリー向け賃貸住宅の利回りは以下のようになっています。
地区 | 期待利回り |
---|---|
札幌 | 6.0% |
仙台 | 6.0% |
さいたま | 5.6% |
東京 城南地区(目黒区、世田谷区) | 4.3% |
東京 城東地区(墨田区、江東区) | 4.6% |
千葉 | 5.7% |
横浜 | 5.3% |
名古屋 | 5.5% |
京都 | 5.6% |
大阪 | 5.3% |
神戸 | 5.7% |
広島 | 6.2% |
福岡 | 5.5% |
ここで同調査のファミリー向け賃貸住宅とは以下のような物件と定義されています。
- 交通アクセス:最寄駅から徒歩10分以内
- 築年数:5年未満
- 平均専用面積:50~80㎡
- 総戸数:50戸程度
リスクが低いと期待利回りも低い
上表を見ると、同じファミリータイプの賃貸住宅でも、エリアによって期待利回りが異なること分かります。
利回りをよく見ると、立地が良いエリアほど数値が低いことが分かると思います。
東京の城南地区の利回りが4.3%で最も低く、広島が6.2%で最も高くなっています。
これは、広島よりも東京の城南地区の方がリスクは低いと投資家が判断しているということになります。
上表のファミリー向け賃貸住宅は、戸数が50戸程度の物件をイメージして投資家にアンケートが行われています。
総戸数50戸の物件となると、少し大型物件です。
この規模になると、建物の躯体の構造も鉄筋コンクリート造であることが想定されます。
想定建物は、木造アパートに比べると、前提が建物の陳腐化リスクはそれほど大きくない物件であると考えらえます。
そのため、木造アパートの利回りとしては、さらに+0.1~0.2%程度、上乗せしたような数字が適正利回りと言えます。
例えば、城南地区のアパートの利回りであれば、4.4~4.5%が投資家の求める利回りとしては適正であると考えられます。
不動産投資家調査、高過ぎず、低過ぎない利回りとはどれくらいなのか、他の投資家はどの程度の水準で利回りを考えているのか等の参考になります。
不動産投資を行う前に、一度参考にしてみましょう。
以上、ここまで不動産投資家調査について見てきました。それでは次にNOIについて見ていきます。
知っておくべきNOI
アパート経営における利回りとして把握しなければならない利回りは、NOI利回りになります。
投資家利回りで公表されている利回りは、このNOI利回りになります。
NOIとはNet Operating Incomeの略。Netとは、実質的な、Operatingは運用、Incomeは定期的に入る収入という意味
要は、「実質の運用収入」とう略になります。
NOIは「実質の運用収入」なので、総収益から消費用を控除した実質の収入になります。
そのため、NOIは以下の式で表されます。
NOI =総収入-総費用
総収入と総費用のそれぞれの内訳には以下のものになります。
項目 | 内訳 |
---|---|
総収入 | 賃料収入 |
駐車場収入 | |
総費用 | 土地固定資産税 |
土地都市計画税 | |
建物固定資産税 | |
建物都市計画税 | |
BMコスト | |
水道光熱費 | |
維持修繕費 | |
PMフィー | |
建物保険料 | |
入居者募集費用 | |
原状回復費用 |
NOIは年額で把握されます。
年間の総収入から年間の総費用を引いたものがNOIになります。
適正なNOI利回りとは
先ほどの不動産投資家調査を見ると、投資家の期待利回りは、4~6%の間に集中していることが分かります。
これは、他のオフィスビルや商業施設、倉庫、ホテル等の利回りも同様です。
昔から、日本の不動産のNOI利回りは、おおむね5%程度が1つの目安です。
つまり、3,000万円の投資に対して、5%である150万円を年間で稼げるような不動産が全国的に見て標準的な利回りをもった不動産投資になります。
NOIは「実質の運用収入」ですので、総費用の中に減価償却費を含みません。
減価償却費は、会計上の費用ですが、実質的な支出を伴わない計算上の経費になります。
実質的な支出を伴わない減価償却費まで控除してしまうと、NOIになりません。
そのため、NOIと確定申告を行う際の利益は異なるという点に注意が必要です。
以上、ここまでNOIについて見てきました。
それでは次に表面利回りの注意点について見ていきましょう。
表面利回りの注意点
個人投資家がアパート投資を始めようとすると、最初に目にするのが、「表面利回り」と呼ばれる利回りです。
別名、「粗利回り」という呼び方もされることがあります。
上記でNOIの説明をしましたが、物件のチラシを見てみると、NOI利回りが表示されていることは、滅多にありません。
物件のチラシや広告等に書かれている利回りは、ほとんどが表面利回りのため、注意が必要です。
表面利回りとは、年間の収入総額を物件価格で割った利回りになります。
総収入から総費用を引いておらず、収入だけの数値を単純に物件価格で割ったものになります。
そのため、NOI利回りよりは、利回りとしての数値が高いです。
不動産の広告にNOI利回りではなく、表面利回りしか書かれていないのには、以下のような3つの理由があります。
- 利回りが高く見えて見栄えが良いから
- 広告作成時点で実際の経費が分からないから
- NOI利回りを載せなければいけない等の広告の規制が特にないから
表面利回りは、満室想定で掲載されていることもあります。
実際には何室か空室が発生しているにもかかわらず、「満室時利回り10%」などと書かれている物件も見かけます。
表面利回りだけだと、その物件が実際にどの程度のNOIが得られるのか分かりません。
蓋を開けてみたら、修繕費などの費用がとてもかかり、NOIが非常に悪い物件の可能性もあります。
表面利回りだけでは、そのアパートの本当の収益力がどの程度あるのか分からないため、購入にあたっては、NOI利回りを知る必要があるのです。
表面利回りからNOI利回りを推測する方法
ただし、表面利回りからNOI利回りを簡単に想定する方法はあります。
NOIを計算する際の総費用は、総収益に対して15~25%が標準的です。
高くても30%程度というのが一般的です。
例えば、経費率を30%とした場合、NOIは総収入に対して70%とになります。
表面利回りは総収入を物件価格で割った数字なので、表面利回りに70%を乗じた数字が簡易のNOI利回りと推定することができます。
NOI利回り=表面利回り×70%
例えば、チラシに「利回り7%」と書かれていたら、NOI利回りが4.9%(=7%×70%)となります。
この場合、NOI利回りが約5%なので、まぁまぁ適正な価格の物件であると判断できます。
一方で、「利回り5%」と書かれていたら、NOI利回りが3.5%(=5%×70%)になってしまいます。
これはかなり低い利回りです。
城南地区のファミリータイプの賃貸住宅でも利回りが4.3%であったことを考慮すると、価格が高過ぎる物件であると判断できます。
チラシを見た際の最初の判断としては、このように表面利回りから簡易的にNOI利回りを求めて物件価格が高いのか安いのかを判断します。
その上で、価格が適正かもしれないと判断をした場合は、必ず不動産会社にNOI利回りを確認するようにしてください。
「NOI利回りはどれくらいですか?」とストレートに聞けば、NOIという言葉を出してきたため、「おっ、こいつやるな、詳しいな」と思ってもらえます。
素人っぽいから騙して売却してやろうとは思わなくなるため、一石二鳥です。
物件購入の判断を決めるには、最終的にはNOI利回りです。
決して表面利回りだけで物件購入の判断をしないようにしましょう。
以上、ここまで表面利回りの注意点について見てきました。
それでは次にキャッシュフロー利回りについて見ていきます。
キャッシュフロー利回り
NOI利回りは、物件の良し悪しを決めるに過ぎません。
実際の自分のアパート経営の利回りを決めるのは、キャッシュフロー利回りになります。
初めて不動産投資をされる方は、このキャッシュフロー利回りが恐ろしく低いことに驚きます。
「こんなんだったら、普通に働いた方が早い」と判断する方も多いです。
NOIに登場してこなかったお金として、①税金と②借入金返済額があります。
投資家の手元に残るキャッシュフローは、NOIから税金と借入金返済額を控除した後の残額となります。
キャッシュフローは、以下の式で表されます。
キャッシュフロー=NOI-税金-借入金返済額
キャッシュフローのうち、「NOI-税金」の部分までは同じアパートを購入すれば誰がアパート経営をしても同じです。
人によって差が出てくる部分は借入金返済額になります。
極端な話、借入金なしの全て自己資金で投資すれば、キャッシュフローは以下のようになります。
キャッシュフロー=NOI-税金
このパターンは、キャッシュフローとしては最も高い数字になります。
ところが、借入金割合を50%、60%、70%と増やしていくほど、借入金返済額の部分が増加するため、キャッシュフローは悪くなります。
借入金割合は、投資家によって異なります。
同じ物件でも自己資金100%で購入する人もいれば、借入金70%で購入する人もいます。
キャッシュフローに対する利回りは、借入金割合が大きいほど、悪くなります。
一般的に、不動産投資では借入金と自己資金の割合は7:3が標準的とされています。
NOI利回りとキャッシュフロー利回り
NOI利回りが5%程度の物件を、70%の借入金割合で投資を行うと、投資額に対するキャッシュフロー利回りはだいたい2~3%程度になります。
最近では、物件価格が高騰しているため、NOI利回りが3%台の物件も珍しくありません。
3%台の物件は、自己資本比率100%の投資で行う分には問題ありませんが、借入比率が高いと、キャッシュフロー利回りが相当悪くなります。
NOI利回りが3%台の物件を購入すると、キャッシュフロー利回りが0~1%程度になる可能性もあります。
このような投資は、空室が発生すると、すぐにキャッシュフローがマイナスとなるため、逆にとても危険です。
キャッシュフロー利回りが0~1%程度になるのを知ると、利回りが低過ぎて何のために投資をするのかとアパート投資を諦める人もたくさんいます。
それは賢明な判断です。
上述で、利回りはリスクを表すと説明しましたが、低過ぎる利回りの物件を購入してしまうと、逆に借入金返済リスクが高まってしまうという悪循環が発生します。
不動産投資は、「ハイリスクハイリターン、ローリスクローリターン」が基本ですが、低過ぎる利回りの物件を購入すると、「ハイリスクローリターン」という最悪の事態に陥りかねません。
アパート経営では、NOI利回りが低ければ安全という訳ではなく、やはりある程度の利回りが確保されている必要があります。
そのある程度の利回りというのは、やはりNOI利回りで4~6%が必要となります。
以上、ここまでキャッシュフロー利回りについて見てきました。
それでは次に物件購入で考慮すべき利回りについて見ていきましょう。
物件購入で考慮すべき利回り
このように、アパート投資を開始するにあたっては、まず適正な「利回り感」を持つことが重要です。
適正な利回り感とはNOI利回りで4~6%程度。
NOIの経費率を30%と仮定すれば、表面利回りに換算すると、5.7~8.6%の物件が対象となります。
中古アパート物件のチラシを見たときに、表面利回りが5.7%を下回っているようであれば、その物件は高過ぎるという判断をしてください。
逆に、8.6%以上の高利回りの物件は、何か大きなリスクがあるかもしれないので、購入を慎重に判断するようにしてください。
新築アパートの場合
これはアパートを新築で建てるときも同様です。
本来、新築アパートも土地と建物価格に対しての利回りで計算すべきですが、元々土地を持っている場合、土地代が不明のため利回りの判断ができないという部分があります。
そのため、新築アパートの場合は、割り切って建物投資だけに対する利回りで判断するのが現実的です。
地主の方は、相続対策で建物価格を100%フルローンで組む方が多いです。
その場合、建物価格の借入金返済を考慮すれば、建物投資に対する表面利回りを6%程度は確保したいものです。
6%満たないようなアパート投資だと、銀行とハウスメーカーのために行うような投資になってしまうため、オススメできません。
そのようなアパート投資は建築費が高過ぎる、もしくは、家賃が低過ぎる可能性があります。
建物投資に対する表面利回りが6%満たないようなアパート投資は、とりあえず見送るか、土地を買換えて別の場所でアパート経営を行うのが賢明でしょう。
土地の買換えについては、下記に詳しく解説しています。
まとめ
アパート経営と利回りの考え方にについて基礎的なことから解説してきました。
アパート経営を始めるにあたっては、最初に適正な「利回り感」を持っておくことが必要です。
不動産投資の適正利回りは、NOI利回りで4~6%程度と覚えておきましょう。