特定事業用資産の買換え特例(9号買換え)を図解を用いてカンタンに解説

投稿日:2017年4月30日 更新日:

親から相続した田舎の土地、固定資産税かかかるばかりでメリットがありません。

なんとか有効活用したいものの、借りる人も誰もおらず困っているのが実情ではないでしょうか。

収益性の低い不動産を持っている方は、

ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
なんとか有効活用したいが打つ手がない
ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
単純に売却してしまうのももったいない
ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
良い不動産に買い替えることはできないだろうか

等々の悩みを抱えている方も多いことでしょう。

このような悩みの解決策の一つに、買換えがあります。

収益性の低い不動産から収益性の高い不動産へ買換えるのです。

国税庁のHPにも「特定事業用資産の買換え特例」説明がありますが、細かくポイントがわかりにくいため、なかなか理解がしずらいと思います。

そこで今回の記事では、資産の買換えで使える「特定事業用資産の買換え特例」にフォーカスしてお伝えいたします。

フクロウ先生
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あなたは買換え特例の概要を理解し、自分の不動産で適用できるかどうかの判断ができるぞ

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1.特定事業用資産の買換え特例の概要

1-1.事業用資産どうしの買換えで適用される

特定事業用資産の買換え特例とは、個人が事業用の土地や建物を譲渡して、原則として、譲渡した年またはその前年もしくは翌年に事業用資産を取得し、取得の日から1年以内に事業の用に供した場合または供する見込みである場合に課税の繰り延べが受けられる特例です。

特定事業用資産の買換え特例は、適用できる買換え資産の組合せが決まっています。

この組合せは10種類ありますが、中でも長期間保有の土地建物等から特定資産への買換え(通称、9号買換え)は適用範囲が広く、良く活用されている特例です。

そこで、ここからは9号買換えに話を絞り、紹介していきます。

9号買換えにおける買換えの資産の組合せは以下の通りとなります。

1-2.9号買換えの組合せ

譲渡資産 買換え資産
所有期間が10年を超える土地、建物 国内にある面積300㎡以上の土地等で、特定施設(事務所、事業所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、住宅等(福利厚生施設は除く))の敷地の用に供されているもの、および建物

譲渡資産は「所有期間が10年を超える土地、建物」の事業用不動産ですので、駐車場でも良いです。

この特例では、例えば収益性の低い地方の駐車場の土地を、都心部のアパートやマンションへの買換えることでも適用できます。

以上、ここまで特定事業用資産の買換え特例の概要について見てきました。

それではこの特例を適用すると、どうなるのか特例による税金の計算について見ていきましょう。

2.特例による税金の計算

2-1.譲渡所得の基本

この特例を適用すると、譲渡した資産の一部だけに課税が生じるというメリットが得られます。

通常、不動産を譲渡した場合、課税譲渡所得は以下のようになります。

通常の課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

本来、特例がなければ下図の縦線部分がすべて課税対象となります。

譲渡資産の譲渡価額

譲渡資産の譲渡価額

2-2.特例を使った場合の課税譲渡所得

課税譲渡所得の計算方法は、譲渡資産の譲渡価額と買換え資産の取得価格の大小によってその計算方法が異なります。

課税割合については、後ほど詳しく紹介します。

譲渡した資産の譲渡価額が買換え資産の取得価格以下である場合(上図の場合)

イ:課税される収入金額 = 譲渡した資産の譲渡価額 × 課税割合

ロ:課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = (譲渡した資産の取得費+譲渡費用) × 課税割合

ハ:課税譲渡所得 = 課税される収入金額 - 課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = イ - ロ

以下のようにも表現できます。

課税譲渡所得 = (譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用) × 課税割合

図で表すと、以下の縦線部分が課税対象となっています。

この特例を使うと、譲渡益に課税割合を乗じられるため、課税対象が譲渡所得の一部だけとなり、節税となるのです。

譲渡した資産の譲渡価額が買換え資産の取得価格を超える場合

イ:課税される収入金額 = (譲渡した資産の譲渡価額 - 買換え資産の取得価格) + 買換え資産の取得価額×課税割合

ロ:課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = (譲渡した資産の取得費+譲渡費用)×イの収入金額÷譲渡した資産の譲渡価額

ハ:課税譲渡所得 = 課税される収入金額 - 課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = イ - ロ

式だと分かりにくいですが、図で表すと以下の縦線部分が課税対象となります。

以上、ここまで特例による税金の計算について見てきました。

それでは次に課税割合について説明します。

3.課税割合はどうなるのか

特定事業用資産の買換え特例の重要なポイントとして、課税割合があります。

課税割合は、上述で説明した譲渡益の課税対象(縦線部分)の範囲を決める率となります。

この課税割合は、どこからどこの不動産へ買換えるかによって率が以下のように変わります。

譲渡と買換え資産の場所 課税割合
①地方(東京23区及び首都圏近郊整備地帯等を除いた地域)から東京23区への買換え 30%
②地方(東京23区及び首都圏近郊整備地帯等を除いた地域)から首都圏近郊整備地帯等(東京23区を除く首都圏既成市街地、首都圏金庫整備地域、近畿圏既成都市区域、名古屋市の一部)への買換え 25%
③上記①及び②以外の買換え 20%

例えば、地方の駐車場を東京23区内のワンルームマンションへ買換えるようなことは、多くの人が行いたい買換えです。

そのため、課税割合は30%と高くなっています。

一方で、地方から地方への買換えは、あまり収益改善にはつながらないため、行う人は少ない買換えとなります。

そのため③の「上記①及び②以外の買換え」に該当し、課税割合は20%と低くなります。

課税割合が小さければ小さいほど、下図に示す縦線部分の面積が小さくなります。

地方から都心部への買換えは課税割合が高く、都市部に富が集中し過ぎないよう抑制される仕組みとなっているのです。 

以上、ここまで課税割合について見てきました。

それでは次に特例を使った具体的計算例を見ていきましょう。

4.特定事業用資産の買換え特例の具体的な計算サンプル

4-1.課税譲渡所得の計算

具体例として、昭和47年に購入した事業用資産を平成28年に売却(所有期間10年以上)した例を考えます。

例としては、「譲渡した資産の譲渡価額が買換え資産の取得価格を超える場合」のパターンとします。

その他の要件は、下表が前提です。 

項目 金額等
売却した事業用資産の所在地 東京都足立区
売却した事業用資産の取得費 10,000千円
売却した事業用資産の譲渡費用 4,000千円
事業用資産の売却額 80,000千円
買換えで購入した事業用資産の所在地 東京都港区
買換えで購入した事業用資産の取得価額 50,000千円

この例では、「東京都足立区」から「東京都港区」への買換えなので、課税割合は20%となります。 

イ:課税される収入金額 = (譲渡した資産の譲渡価額 - 買換え資産の取得価格) + 買換え資産の取得価額×課税割合 = (80,000千円―50,000千円)+5,000千円×20% = 40,000千円

ロ:課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = (譲渡した資産の取得費+譲渡費用)×イの収入金額÷譲渡した資産の譲渡価額 = (10,000千円+4,000千円)×(40,000千円÷80,000千円) = 7,000千円

ハ:課税譲渡所得 = 課税される収入金額 - 課税される収入金額に対応する取得費と譲渡費用 = イ - ロ = 40,000千円 ― 7,000千円 = 33,000千円

4-2.税額の計算

本特例を適用する場合、所有期間は10年以上が要件であり、長期譲渡所得となるため、税率は以下のようになります。 

税金 税率
所得税率 15%
復興特別所得税率 2.1%
住民税率 5%

所得税 = 33,000千円 × 15% = 4,950千円

復興特別所得税 = 4,950千円 × 2.1% = 103,950円

住民税 = 33,000千円 × 5% = 1,650千円

【まとめ】所得税 + 復興特別所得税 + 住民税 ≒ 6,703,900円

5.まとめ

以上、特定事業用資産の買換え特例(9号買換え)について徹底解説してみました。

この特例は地方の収益性の低い駐車場等の買換えにはピッタリの特例です。

詳しくは下記記事をご参照ください。

固定資産税を払ったらほとんど収入が残らない?収益性が低い駐車場の対策方法

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