アパート経営で必要経費として認められる19の経費区分

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個人の不動産事業で認められる経費の範囲は狭いです。

税金ばかり発生してしまうため、経費として認められるものをしっかりと把握しておく必要があります。

アパート経営をしている人の中には、

  • アパート経営で認められる経費を詳しく知りたい
  • 経費計上をして節税をしたい
  • 修繕費はどこまで費用になるのか知りたい

等々のことを思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では個人が行うアパート経営で認められる「経費」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことであなたはアパート経営で認められる経費を知り、節税対策をすることができます。

1.不動産所得の定義をおさらい

個人の所得には

  1. 給与所得
  2. 不動産所得
  3. 譲渡所得
  4. 事業所得
  5. 山林所得
  6. 退職所得
  7. 利子所得
  8. 配当所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

と言った10種類があります。

このうち、アパートやワンルーム投資などの不動産賃貸業で得られる所得は「不動産所得」です。

これらの所得は、確定申告時に計算されます。

所得ごとに認められる経費は決まっているというのが特徴です。

不動産所得は、以下の計算式で計算されます。

不動産所得 = 賃料収入 - 必要経費

上式の中で、必要経費が大きくなるほど、不動産所得が小さくなるため「節税」になります。

以上、ここまで不動産所得について見てきました。

では必要経費にはどのような項目があるのでしょうか。

そこで次に不動産所得の経費になる19の経費区分についてご紹介します。

2.不動産所得の経費になる19の経費区分

以下に、不動産所得で経費になる19の項目を示します。

No.費目内容
1固定資産税および都市計画税固定資産税は土地と建物に対して発生します。税率は課税標準額に対して1.4%です。 都市計画税は市街化区域内の土地と建物に対して課税されます。税率は0.3%が標準です。 納税額はそのまま経費になります。
2建物の損害保険料建物に火災や地震等の損害保険をかけている場合は、その保険料が経費になります。
3修繕費建物や設備の修理代金の他、入居者入替時のクロスやフローリングの貼替費用も経費となります。
4管理委託料管理会社へ支払う管理料の実額が経費となります。管理委託料は家賃収入に対し、5%程度が一般的です。 親族で管理会社を設立した場合、適正な管理料として認められるのは8%程度です。
5水道光熱費廊下の電気代や植栽の散水等、共用部に発生する水道光熱費も経費になります。
6仲介手数料空室が発生した際、不動産会社へ空室を埋めるための仲介手数料が発生します。仲介手数料が発生した場合には、それも経費となります。
7広告宣伝費空室を埋めるために、不動産会社へ広告宣伝費を支払った場合、それも不動産賃貸業の経費として認められます。
8青色事業専従者給与10室以上の事業的規模で青色申告をした場合、青色申告者と生計を一緒にする扶養親族以外の親族へ給与や賞与を支払った場合は、それは経費となります。
9給料賃金従業員を雇っている場合は、その給与は経費になります。
10通信費通信費は不動産賃貸業の事業の用に供した電話代や切手代等が経費として認められます。管理会社の連絡でかけた電話は経費になりますが、家族や友人にかけた電話などは経費にはなりません。
11接待交際費管理会社との打合せに使用した飲食費は経費となります。
12新聞図書費不動産事業に関連した業界新聞や書籍の購入等は経費になります。
13交通費アパートとの往復や管理会社との打合せに使用した電車代、ガソリン代は経費になります。
14消耗品費不動産賃貸業に関連する文具代や備品を購入した場合は経費になります。子供のノート代は経費にはなりません。
15地代・家賃借地や転貸等で不動産事業をやっている場合は、その地代や家賃が経費となります。
16解体費・立退料老朽アパートの解体や立退料は経費となります。
17ローン保証料借入でローンの保証会社を利用している場合には、その保証料は経費です。
18借入金利子借入金の利子については経費に計上でします。元本返済部分に関しては経費とはなりません。
19減価償却費減価償却費は実際に毎年支払いがある経費ではありませんが、経費計上されます。

上表のうち、「通信費」「接待交際費」「新聞図書費」「交通費」「消耗品費」の5つの経費については、不動産賃貸業に関連するものに限るという点がポイントです。

この5つの経費については、生活費と混同しやすい部分ですので、税務署のチェックが厳しいです。

通信費等は、不動産賃貸業に関連する経費であることを、しっかり証明できるようにしておく必要があります。

特に、資産家の方は、後々税務調査が入りやすいため、誤解を生むような不用意な経費計上は避けることをオススメします。

借入金は利子部分のみ経費になる

また、借入金については、利子部分は経費になりますが、元本返済部分は経費になりません。

お金を借りたときに売上にならなかったのと同様に、返しても費用とはならないということです。

青色事業専従者給与は、事業的規模等の一定の要件を満たし、事業に専従していれば認められます。

事業的規模とは、アパートの場合は10室以上、一戸建ての戸建賃貸の場合は5棟以上となります。

ただし、事業的規模となると、別途事業税が発生します。

以上、ここまで不動産所得の経費になる19の経費区分について見てきました。

経費計上の中で登場する減価償却費については、今一つ分からない方も多いと思います。

そこで次に減価償却費について解説します。

3.経費の中でも複雑な「減価償却費」

減価償却とは、建物の取得原価を、法定耐用年数内の各会計期間において機械的に費用として配分するための会計処理

木造アパートの耐用年数は22年です。

例えば、木造アパートの建物価格が2,200万円だとすると、この金額を初年度に一気に費用とするのではなく、22年かけて費用化します。

2,200万円を22年間かけて均等に分けるため、年間100万円(=2,200万円÷22年)が費用として計上されます。これが減価償却費です。

減価償却費は、償却率というものをかけて簡易的に求めることができます。

耐用年数が22年の償却率は0.046(=1÷22≒0.0454545…)です。

建物価格が2,200万円とすると、減価償却費は2,200万円×0.046=101.2万円(≒100万円)ということになります。

毎年、減価償却費を計上することで、建物簿価は、1年目は2,200万円、2年目は2,100万円、3年目は2,000万円のように、100万円ずつ減り、最終的に建物簿価は1円となります。

減価償却費は、初年度に支払った建物価格を徐々に費用化していく会計処理です。

これにより、1年目は大赤字にはならなくなります。

減価償却費は毎年、実際には支払われないお金ですが、初年度に建築費として支出はしています。

ただ、毎年費用となるため、不動産所得を減らす役割、つまり税金を減らす役割をしてくれます。

減価償却費は土地には適応されない

尚、減価償却費が計上できるのは、建物の取得価格だけであり、土地には減価償却費が発生しません。

会計上、建物は経過年数によって価値が減ると考えますが、土地は経過年数が過ぎても価値は落ちない資産であると考えられているためです。

そのため、土地の簿価は減らず、建物の簿価のみが毎年減っていきます。

以上、ここまで減価償却費について見てきました。

経費計上の中で悩ましいものの中に修繕費があります。

そこで次に修繕費について解説します。

4.修繕費の費用計上の目安

修繕費は、原則として一括で費用として計上されますが、大規模修繕費のような大きな修繕に関しては、それが一度資産に計上され、後から減価償却する

このように、一度資産として計上される支出を「資本的支出」と呼んでいます。

新築時の建物などは、まさに資本的支出です。

また、例えば増築などをした場合、それは修繕費ではなく、増築部分が建物資産となるため、一度に経費として処理されるのではなく、減価償却費の対象となります。

大きな支出でも、一括で費用とすれば、その期の節税対策となります。

一方で、費用として落とせないと、実際は支出したにもかかわらず、経費として認められないため、税金が減らない形となります。

一括で費用として落とせる6つの判断ルール

支出が費用となるか、資本的支出となるかは、以下のルールに従います。

以下に一括で費用として落とせるものを示します。

【一括で費用として落とせるもの】

  1. 建物の毀損部分の取り換え修理
  2. 畳の張替え
  3. 外壁の塗り替え
  4. 沈下等による地盤改良
  5. 金額が20万円未満のたてものや設備の改良・交換
  6. おおむね3年以内の周期で行う修理

以上、ここまで修繕費の費用計上の目安について見てきました。

不動産賃貸業は、初年度は特に費用が発生します。

そこで次に建築初年度の必要経費について解説します。

5.アパート経費の建築初年度の必要経費の目安

アパート経営では、建築をした初年度は、様々な経費が発生します。

そのうち、建築初年度に発生し、経費として計上できるものは以下の通りです。

【初年度で経費計上できるもの】

  1. 土地と建物の不動産取得税
  2. 土地と建物の登録免許税
  3. 印紙税
  4. 旧アパートの取壊し費用
  5. 旧アパートの立退き費用

元々、更地を持っている人で、土地活用でアパートを建てたとしても、建物の不動産取得税と登録免許税は、比較的大きな支出となります。

そのため、初年度は、入居が芳しくないと、不動産所得が赤字となるようなケースがあります。

不動産所得が赤字となった場合、その赤字を確定申告で給与所得等の他の所得にぶつけることができます。

例えば、1,000万円の給与所得にマイナスである▲100万円の不動産所得を合算することで、その年の個人所得を900万円とすることができます。

このような手続きを損益通算と呼びます。

損益通算によって所得が900万円となると、1,000万円を前提に会社が天引きしていた所得税が払い過ぎであるため、還付金として戻ってくることになります。

初年度は損益通算を使うと上手く節税できることもあります。

尚、損益通算は、初年度に限らず、常に使えます。

経費が多過ぎて赤字となった場合には、損益通算を上手く利用して節税に役立ててください。

6.まとめ

以上、アパート経営で不動産所得を計算する際の必要経費を徹底解説してきました。

個人で不動産賃貸業を行うには、何が経費になるのかをきちんと把握した上で行うようにしましょう。

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