親から相続で引き継いだ古いアパート!アパート経営を成功させるには

親から相続で引き継いだアパート経営でやるべきことと注意点

家族のために良かれと思って残したアパートが、相続の時点では負の遺産となっていることは多いです。

築古で難易度の高くなってしまったアパートを、どうやって経営していけばいいのか悩む相続人は結構います。

ある資産家の相続人は、「私は資産を増やすことはなかったが、親が残した資産を整理するのに大変苦労した」と言っていました。

人からは羨ましがられる資産家ですが、相続人には人知れず他人には言えない悩みがあるようです。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • この負の遺産にどう対応して良いかわからない
  • 空室ばかりでとても苦労している
  • 借入金の返済が残っており不安だ

そこで今回の記事では「親から相続で引き継いだアパート経営」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことで、親から引き継いだアパート経営のポイントを理解し、対処方法を知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。

資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業鑑定士

1.親の時代と違うアパート経営

築古のアパートは難しい

相続で引き継ぐアパートは、ほとんどの場合、築古アパートです。

アパート経営の良い時期は、最初の10年、長くても20年といったところです。

築20年以上のアパートの所有者になることは、相続ではなくても普通に苦労します。

アパートは、築年数が古くなると、空室が増え、賃料も下がり、修繕費も多く発生します。

①空室と②賃料下落③修繕費発生の三重苦がのしかかるのが築古のアパート経営です。

近年は、平均寿命が高くなっていますので、相続自体も高齢化しています。

100歳の親が無くなり、70歳の息子がアパートを相続するようなケースも珍しくありません。

相続が高齢化すると、引き継ぐアパートも老朽化しています。

アパート経営の素人が、いきなり三重苦をかかえるアパートを引き継ぐわけですから、難しいのは当たり前と言えます。

相続税の改正もあり、近年はさらに厳しい環境

また、近年は相続税法の改正により新築アパートも増え、30年前の状況に比べると、明らかにアパートの経営環境は厳しくなっています。

アパートがあまりにも供給過剰になっていることから、2016年12月には、金融庁と日銀がアパートローンの監視強化まで乗り出した次第です。

さらに建築費も高騰していることから、たとえ新築であったとしても、今のアパートオーナーは相当のリスクを抱えてアパート経営を行っています。

今やアパート経営は地主が余生でのんびり行うものではなくなりつつあります。

現在ではアパートが供給過剰であることに加え、相続したアパート自身が老朽化していることから、親が行っていたアパート経営の手法では立ち行かなくなってきているのが実態です。

相続人は、30年前の親の時代とはアパートの経営環境がガラッと変わっていることを、強く意識する必要があります。

敗戦処理に苦労する相続人

相続したアパートの経営状況が思わしくない場合は、何らかの手立てを早めに打つ必要があります。

冒頭に「親が残した資産を整理するのに大変苦労した」と語った相続人の言葉を紹介しましたが、資産を引き継いだ相続人は「敗戦処理」に苦労する方が多いです。

親は賃料収入で良い思いをしたかもしれませんが、子供は敗戦処理に回るケースが後を絶ちません。

親としては、資産を残すために相続対策をしたはずですが、結局、相続で引き継いだ後、負の資産として物件を売却してしまうということも良くあります。

その際、相続物件は境界が未確定なことも多く、相続人が隣地との境界画定に苦労し、やっとの思いで売却しているような場合もあります。

実は難しい敗戦処理

実は、相続物件の敗戦処理は簡単ではありません。

複数の資産を持っている方は、収益性の低い物件から順次、売却していくような対応も必要になります。

尚、相続物件で境界が未確定の物件を売る場合については、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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以上、ここまで親の時代と違うアパート経営について見てきました。

それでは次章より具体的な改善方法について見ていきます。

まずは一括借上げの見直しです。

一括借上げではない場合は、読み飛ばして次々章にお進みください。

2.一括借上げの見直しをはかる

一括借上げを解約する

アパート経営の収益性を落としている原因の一つに一括借上げがあります。

一括借上げは満室時の85%程度の賃料で借りているため、一括借上げを外すだけでも収益性がアップします。

一括借上げは、家賃の減額もあるため、相続で引き継いだ時点では、既に何度か減額を受けている可能性もあります。

そのため、相続時点では一括借上げによって相当収益性が低くなっている場合もあります。

一括借上げは、管理会社によっては修繕対応とセットにしているハウスメーカーもあります。

そのため、一括借上げを解約しようとすると、「それでは、今後一切修繕は対応しません」と半分脅してくるような管理会社もいます。

ただ、スポットで修繕してくれるような会社はいくらでもありますので、そこはひるまずに解約交渉に臨んでください。

また、一括借上げは、契約形態としては普通賃貸借契約と呼ばれる形式になっていることが多いです。

普通賃貸借契約とは、更新規定のある契約で、借り手側の権利が強く守られていることが特徴です。

解約できない場合の対応方法

一括借上げを解約しようとしても、相手が抵抗して簡単には解約できない場合があります。

一括借上げの解約を申し出した際、相手が抵抗するような場合は、借上げ会社にしっかり利益が出ているという証拠です。

借上げ会社側からすると、利益が確保できている美味しい物件の場合、簡単には解約したくないという思惑が働きます。

このような物件の場合、一括借上げ会社に対し、「賃上げ交渉」を行います。

具体的には借上げの料率の引き上げです。

例えば、現在の借上げ料率が満室の85%であれば、88%まで上げるというような交渉です。

借上げ料率に関しては、法的な決まりはありません。

何%にするかは、借主と貸主の力関係で決まります。都内の物件では、借上げ料率が95%のような物件も存在します。

交渉ですので最初は思い切った値上げを打診してください。

賃上げ交渉で相手が嫌がるようであれば、一括借上げを外れてもらうことになります。

借上げ会社を外すつもりで「賃上げ交渉」を行うことがポイントです。

一括借上げを外した際の注意点

一括借上げを外すと、入居者と直接賃貸を行うことになります。

賃貸人が変わるだけですので、賃借人(入居者)に通知が必要ですが同意は不要です。

入居者が一括借上げ会社に支払っていた賃料をそのまま引き継ぐことができます。

ただし、入居者が一括借上げ会社に預けていた敷金についても、返還義務を引き継ぐことになりますので注意が必要です。

一括借上げの場合、入居者からは直接敷金を預かっていないため、仮に入居者が退去して敷金の返還を求められた場合、その返還原資がありません。

入居者と直接賃貸になっても、敷金を預かりなおすことはありません。

そのため、一括借上げ会社を解約する場合は、一括借上げ業者と建物オーナーとの間の敷金と、一括借上げ会社と入居者との間の敷金とで清算を行うことを忘れないようにしてください。

一括借上げ会社を解約した場合、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」という形で3者の新たな覚書を締結しておきます。

賃貸人の変更は、通知のみで足りますが、入居者が敷金返還の権利を確保しておくためにも、入居者側も同意をした方が無難です。

そのため、以下の書式は、通知書と同意書を兼ねたものになっています。

以下に、サンプルを例示しますので、ご参照ください。

平成29年〇月〇日

賃貸人の地位承継通知書及び同意書

借主 □□ □□ 様

旧賃貸人 東京都○○区○○

○○ ○○ 印

所有者兼新賃貸人 東京都○○区○○

△△ △△ 印

拝啓  時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、貴社に賃借いただいております「××」(以下、「本物件」といいます。)につきまして、平成29年〇月〇日付で△△ △△が本物件の新賃貸人となりました。

従いまして、□□ □□様と○○ ○○との間で締結した賃貸借契約に基づく賃貸人の地位について平成29年〇月〇日をもって、○○ ○○から△△ △△が承継いたしましたのでご通知いたします。つきましては、下記事項につき、ご通知申し上げますので、お忙しいところ大変恐縮ですが、内容をご確認のうえ、末尾記載の「同意書」をご提出くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

1.□□ □□様と○○ ○○との間に取り交わされている賃貸借契約は、現状のまま新賃貸人に有効に引継がれます。

2.賃借人に返還を要する敷金については、新賃貸人に免責的に承継されますので、これらの返還義務は新賃貸人が負うことになります。(将来、本賃貸借契約が終了した場合には、△△ △△が本賃貸借契約の条項に基づき同契約上の賃貸人として保証金を預り証と引き換えに貴社に返還させていただくことになります。)

3.平成29年〇月1日よりご請求させていただきます平成29年◇月分賃料等及び、それ以降の賃料等については、新賃貸人指定の口座宛にお振込下さい。

新振込先 

      銀行名:××銀行

     支店名:○○店

     預金種目:普通

     口座:0000000

     受取人:△△ △△

以上

同 意 書

平成29年〇月〇日

旧賃貸人         ○○ ○○ 様

所有者および新賃貸人   △△ △△ 様

上記の各事項につき確認し、賃貸人の地位が○○ ○○から△△ △△に承継される事に同意致します。

賃借人 □□ □□ 印

以 上

以上、ここまで一括借上げの見直しについて見てきました。

では既にサブリースは外している場合はどうすべきでしょうか。

そこで次に管理会社の切替について見ていきます。

3.管理会社の切替を検討する

相続で管理会社の切替は良く行われる

相続をきっかけにアパートの管理会社を変える人はとても多いです。

また逆に言えば相続は管理会社を切替える良いきっかけとも言えます。

典型的な例としては、親の代で古くから付き合っていた地元の不動産会社の管理を取りやめ、子供が力のある大手の不動産会社へ管理を切替えるというようなパターンです。

管理会社も付き合いが長くなると、だんだんと馴れ合いの関係となり、手を抜く不動産会社も少なくありません。

空室が発生しても、気にも留めず、ちっとも埋めようとしない管理会社もあります。

相続で息子の代になると、管理会社とは元々の人間関係がないため、動きの悪い管理会社とは継続して管理を委託する理由がなくなります。

そのため、相続をきっかけに大手の不動産会社に管理を切替える人は多くいます。

アパートの管理料は、通常、賃料の5%が一般的です。

大型物件になれば3%という物件も存在します。

管理会社を切替えるときは、同時に管理料の料率も下げる努力が必要です。

普通の規模のアパートでも4%で管理を受託する不動産会社は多いです。

例えば、現在の料率が5%であれば、切替後は4%にすることを目標にしましょう。

また、古い管理委託契約書では、管理の料率を「(賃料+共益費)×5%」としている物件もあります。

管理料は共益費を除いた「賃料×5%」としている会社も多いです。

管理料の算出方式には決まりがありません。

細かい部分ですが、共益費を外した形で管理料を算出する方式に切り替えることでも、費用の圧縮を図れます。

管理料の算出方式も見直すことが必要です。

管理会社切替時の注意点

尚、相続したてのときは、管理会社を切替えればアパート経営が改善するものと安易に考えがちです。

このような淡い期待は、とても危険です。

確かに、アパート経営が上手く行かない理由には、「管理会社が悪い」というのも1つにはありますが、

空室が多い理由は管理会社だけが悪いわけではないことが多いです。

そもそも管理会社には、入居者を埋めれば仲介手数料が入りますし、管理料も増えます。

管理会社には「自分たちも空室を埋めた方が得」というインセンティブがあります。

それにも関わらず、「埋めない」もしくは「埋まらない」というのは、他にも原因があることが考えられます。

苦労して管理会社を変えたにも関わらず、結局、何も変わらなかったということは良くあります。

また大手の管理会社に切り替えたことで、逆に料率が上がってしまったというような例もあります。

そのため、まずはなぜ埋まらないのかという部分について現状分析をすることの方が重要です。

現状分析をした上で、「明らかに管理会社が手抜きをしている」ということであれば、管理会社を切替えるようにしてください。

試しに、今の管理会社に空室対策の相談をしてみることをオススメします。

その際、今の管理会社がやる気のないトンチンカンな答えしか返ってこないようであれば、切替えるのも一つの手です。

空室対策を熱心に提案してくるようであれば、その不動産会社を管理会社として継続することも選択肢に一つです。

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以上、ここまで管理会社の切替について見てきました。

相続で引き継いだアパートは、場合によっては売却した方が良い場合があります。

そこで次に売却検討について見ていきます。

4.相続したアパートは売却検討もする

親から築古アパートを引き継ぐと、親の時代よりもアパートの減価償却費が減っている、もしくは無くなっていることがあります。

減価償却とは、建物などの有形固定資産の取得原価を、使用できる各会計期間に、あらかじめ定められた一定の計画に基づいて、計画的・規則的に配分するとともに、同額だけ資産の価額を減少させていく手続き

減価償却費は、実際には支出を伴わない費用です。

ただ、会計上は費用であるため、節税効果をもたらします。

築古アパートは、減価償却費が減っているため、節税効果が小さく、税金を多く支払わなければならない状態になっています。

つまり、税引き後の利益が親の時代よりも減っています

さらに、借入金の返済がある場合は、税引き後の利益から返済を行うため、返済を含めたキャッシュフローは親の時代よりも厳しくなっていることが通常です。

空室が多い場合、借入金の返済を考慮したキャッシュフローが赤字になっていることもあります。

キャッシュフローがマイナスになっているアパートは、保有期間が長くなるほど苦しくなります。

このような物件は、相続税の節税の役目は十分に果たしたと考えられるため、相続後はお役御免とした方が健全です。

キャッシュフローがマイナスのアパートについては、買換え等により収益性の高い物件へと買換えることも検討していく必要があります。

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5.まとめ

親から相続で引き継いだアパート経営をどう対応するかについて解説してきました。

相続では親が経営していたときよりも難しくなったアパートを引き継ぎます。

難しいことを背負わされていますので、一つ一つ勉強しながら対応するようにしていってください。

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