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不動産の査定方法と知っておくべき注意点【査定書サンプル付き】

不動産の査定方法と知っておくべき注意点【査定書サンプル付き】

家やマンション、土地などの売却を検討し始めた時に大事になるポイントに「査定」があります。

ただ、この査定にもいろいろな方法があるのをご存知でしょうか?

不動産の査定方法は、まず大きく2つに分かれます。

  1. 不動産の査定方法:「机上査定」「訪問査定」
  2. 不動産会社が算出する査定方法:「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」

今回は、この2つの不動産査定方法について説明。

また、査定する上での注意点や準備しておくものも合わせて解説します。

本記事のポイントまとめ

  • 机上査定で複数社に査定依頼 ⇒ 3社前後に絞って訪問査定を依頼するのが鉄則
  • 不動産の訪問査定時に準備しておくべき書類は、登記簿謄本(登記事項証明書)、公図、建物の詳細書類、登記済権利証または登記識別情報、測量図
  • 初めて不動産査定するなら、複数の不動産会社の査定額を比べるのがオススメ
    ※詳細は「2.不動産会社による査定額は異なる」に解説しています
目次

不動産査定とは?どんな査定方法がある?

まず不動産の売却を検討したら、不動産会社に査定をしてもらわないことには始まりません。

不動産会社にとっての査定は、営業活動の一環であり、無料で行ってくれます。

不動産売却の査定方法にも2種類ある

不動産会社が行う査定には、机上査定と訪問査定の2つがあります。

  • 机上査定:不動産業者があなたの家を見ずに価格を算出する簡易的な査定
  • 訪問査定:実際に所有不動産の状況を見に来てもらい、家であれば部屋や接道状況などから価格を算出するもので、机上価格よりさらに精密な査定

机上査定

机上査定では物件の情報をもとに「過去の売却取引事例」「周辺の売り出されていた事例」「市場の動向」などにより査定する方法。

机上査定のメリット・デメリット

  • メリット:時間が掛からないこと。しつこい営業を受けないこと。メール等で査定額が入手できること。
  • デメリット:訪問査定に比べると、大雑把な査定金額になるということ。

確実だとは言えませんが、机上査定をするとメールで査定額がもらえることが多いです。

筆者は実際に東急リバブルに机上査定をしてもらいメールで査定書を入手しました。

東急リバブルからのメール

訪問査定

訪問査定とは、いわゆる実査定。

具体的には下記の内容を確認します。

  • 駅からの距離や周辺環境から言える立地条件
  • 接道状況
  • 日当たり
  • インフラの状況(ガス・水道・電気の引き込み状況)
  • 間取り(住居の査定の時)
  • 建物の傷み具合(住居の査定の時)
  • エアコンや太陽光など住宅設備(住居の査定の時)

このようなことを詳細に確認するもので、訪問査定にかかる時間は、現地調査のほかに役所調査が必要になるため数日を要します。

ここで、あなたの売却意志や机上査定で調べた内容を踏まえて詳細にヒアリングし、成約できる可能性が高い価格を出していきます。

訪問査定のメリット・デメリット

  • メリット:査定金額の精度が高いこと
  • デメリット:しつこい営業にあう場合があること

机上査定と訪問査定の選び方

机上査定と訪問査定の選び方

  • 机上査定:まずはどれぐらいで売れそうなのか相場観が知りたい人
  • 訪問査定:売却することは決定している人

この2つの査定額の精度は言うまでもなく、訪問査定の方が精度が高いです。

不動産には、全く同じ物件はありません。築年数も違えば構造も違います。

また敷地も大小だけでなく、コンビニや学校が近くにあるかなど様々な条件が関わっています。

納得のいく値段で売却をしたいと思っているのなら「訪問査定までしてくれる不動産業者」にするべきしょう。

また、最終的に売却依頼をしたいと思える不動産会社を絞り込むために、最低でも3社は訪問査定を受けておきましょう。

売却意志が固まっていない人には、自宅に訪問しての査定にするため、少し断るのが大変になります。

価格によっては売却を検討する人は、机上査定をまずは選びましょう。

不動産会社が算出する査定方法は3つ

不動産会社が実際に価格を算出する査定方法には、下記3つがあります。(宅建業法上下記の算出方法が推奨されています。)

  1. 取引事例比較法:査定をしようとしている不動産と同じような環境(周辺エリア)で実際に取引された事例をベースに査定金額を算出する方法
  2. 原価法:売却しようとしている不動産を再度建築した場合の価格を算出し、築年数により低下を加味して価格を算出する方法
  3. 収益還元法:売却しようとしている不動産を運用(賃貸投資など)した場合に、どれぐらい未来に収益を出してくれるのかというのを予想して、不動産価値をプラスして算出する方法

取引事例比較法

取引事例比較法のイメージ

土地やマンションに使われる査定方法

取引事例比較法では、査定をしようとしている不動産と同じような環境(周辺エリア)で実際に取引された事例をベースに査定金額を算出する方法。

不動産の査定金額を算出するうえでよく使われるのが「取引事例比較法」です。

住んでいる環境の変化や市場全体の動向により変わる可能性もあることから、通常は取引事例を参考に調整(時点調整)を行います。

実際に筆者がマンションを売却するために「すまいValue」という一括査定サイト経由で三菱地所の住まいリレーより価格を出してもらいました。

取引事例比較法の算出

その他、三井のリハウスや東急リバブルともに、やはり今回の「取引事例法」により算出されていました。

三井のリハウスの取引事例

また、東急リバブルに一戸建てを査定してもらった時の「土地」に使われていました。

東急リバブルの土地の査定書

原価法

原価法のイメージ

一戸建ての「建物」に使われる査定方法

原価法は、国土交通省にも明記されています。

原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができる ときはこの手法を適用することができる。

※出典:国土交通省の不動産鑑定評価基準のP23より

少し難しいので簡単にかみ砕くと「売却しようとしている不動産を再度建築した場合の価格を算出します。その後、年数により低下する為、その分を価格より差し引いて不動産価格を算出する方法」です。

「不動産価格=新しく建築した場合の価格-経年劣化によるマイナス価格」です。

原価法の算出価格は「対象不動産 = 再調達原価 ー 原価修正」です。

東急リバブルに一戸建てを査定してもらった時の「建物」に使われていました。

東急リバブルの建物の査定書
東急リバブルの建物の査定書

収益還元法

投資用(収益)不動産に使われる査定方法

収益原価法も国土交通省に記載がありま。

収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この 手法による試算価格を収益価格という。)。 収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を 求める場合に特に有効である。

※出典:国土交通省の不動産鑑定評価基準のP27より

ザックリ言うと「売却しようとしている不動産を運用した場合に、どれぐらい未来に収益を出してくれるのかというのを予想。現在の不動産価値をプラスして算出する査定方法」です。

収益還元法はさらに2種類あります。

  • 直接還元法
  • DCF法

直接還元法は、1年間における利益を還元利回りで割り収益価格を求めます。

不動産を直接還元法の計算式は下記の通りです。

(直接還元法)求める不動産の収益価格 = 1年間の利益 ÷ 還元利回り

DCF法は、対象となる不動産の保有期間に得られる利益と期間終了時の売却により得られるであろう収益価格を、現在の価格にプラスして算出する方法です。

直接還元法よりもさらに精度が高いですが、その分計算がとても複雑です。

不動産会社による査定額は異なる

実際にはこれまで説明した査定方法に加え、専門的な検討項目を加えて査定していきます。

さらには、不動産会社によって、得意・不得意もありますし、買主を多く抱えているなどで高く売れるというのもあります。

なので、査定をするなら「複数の不動産会社の査定額を比べる」。

これが不動産査定の王道です。

査定額を比較するのが大切

複数社の査定額を比べることで、適正価格が見えてくるのです。

例えば、不動産会社によっては、契約を取りたいがために、高めの査定額を提示してくる会社もあります。

ただし、高めの査定額では、売れるものも一向に売れません。

このような不動産会社も複数社の査定を取っていれば見抜くことができるのです。

査定額が高すぎる不動産会社は危険

なので、査定を取るときは必ず複数社から査定を取るようにしてください。

複数社の査定を一括査定が便利

今は不動産査定をするときによく利用されているサービスがあります。

それが不動産一括査定と呼ばれるサービス。

不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス

不動産一括査定の仕組み

複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。

不動産一括査定の流れ

不動産一括査定を使うと、最大6社から査定額の提示を受けられます。

一括査定サイトのオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」

不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。

その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。

  • 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「すまいValue
  • 賃貸サイトで有名で大手から地域密着の不動産会社を探せる「SUUMO
  • NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「HOME4U
  • 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「イエウール

筆者は何度も不動産一括査定を利用しています。

下記は「すまいValue」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所の住まいリレー」より、査定結果をもらった写真です。

不動産査定書を3社より入手

下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。

少し細かいので、流し読みする程度で大丈夫です。

2023年の不動産仲介会社における仲介件数と不動産一括査定サイトの提携表

これを見ると、上位4社がずば抜けているのが分かると思います。

正確にはセンチュリー21はフランチャイズ経営なので、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」の3強ということです。

不動産売買は超大手に偏っている

「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」が超大手と言われる不動産会社です。

超大手不動産会社3社で不動産仲介の約30%のシェアを持っています。つまり、不動産売買した人の中で3人に1人は、「三井のリハウス」「住友不動産販売」「東急リバブル」のどこかに仲介を依頼していることになります。

それだけ日本の不動産売買は、超大手不動産会社に偏っているということ。

超大手不動産会社は販売活動に強く、豊富な買主を持っており、売りやすいとも言えます。

そしてこの3社に唯一依頼できるのが「すまいValue」です。なので「すまいValue」は外せません。

超大手不動産会社だけではなく大手・中堅・地域密着の会社とも比較する

ただ、超大手だけで満足してはダメ。不動産業界は特殊な縄張りなどもあり、A地域はX不動産が強い、B地域はY不動産が強いということが存在します。

不動産仲介会社によって得意不得意がある

また、超大手になるほど両手仲介の比率が高まります。

両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと。買主と売主から手数料をもらえるため、利益相反の関係になる。アメリカは両手仲介は禁止されています。

売却を成功するためにも超大手不動産会社と併せて大手・中堅や地域密着の不動産会社も比較することをオススメします。

その場合は下記のような使い分けがいいでしょう。

不動産一括査定の賢い使い方

売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能

紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。

また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。

メールで査定額を送付してください

どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。

不動産一括査定サイト名 机上査定が対応 メール要望
すまいValue
SUUMO
HOME4U
イエウール × ×
SRE不動産(※旧ソニー不動産) ×

不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。

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まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。

評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。

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不動産の訪問査定に準備しておく書類

実際に訪問査定を受けるとなった場合に準備しておく書類があります。

登記簿謄本(登記事項証明書)

登記簿謄本のサンプル

登記簿謄本は、あなたの所有物件が誰に権利があるのか示された書類。

これは不動産会社が用意する場合があるので、不動産会社の指示を待ちましょう。

この書面は法務局で入手することが可能。

登記簿謄本については下記記事をご確認ください。

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公図

公図

法務局で入手する地図のこと。

住宅地図等で代用する場合もあるので、この書面を用意すべきかも不動産会社の指示を待ちましょう。

建物の詳細書類

設計図書と呼ばれています。

購入時に施工会社や不動産会社から渡されているので探してみましょう。

登記済権利証または登記識別情報

法務局から交付され、物件の所有者が持っているもの。

査定時には不要とされる場合もありますが念の為、載せておきます。

測量図

売却時には必要となることが多いため、可能であれば査定の段階でも用意をしておきましょう。

マンション一室の物件などにはこの書面がない時があります。

不動産の訪問査定時に説明すべき2つのこと

最後に訪問査定時に説明すべき事柄について説明します。

物件の全体像

机上査定・訪問査定に限らず、次の情報がやり取りの中で確認されます。

訪問査定では、下記の情報はその書類で分かりますが、あなた自身も理解しておくと営業の話がより詳しく理解できるようになります。

  • 住所
  • 氏名
  • 連絡先
  • 種類(土地、戸建、マンション、賃貸アパート)
  • 築年数
  • 間取り
  • 建物面積と敷地面積
  • 現況(居住中、貸し出し中、空き家)

リフォーム内容や不具合

少しでも高く売却したい方は多くいますが、物件の状態を正しく不動産会社に伝えてください。

そうしないと、適正な査定額が得られないどころか、後々トラブルになりかねません。

意図的に隠して行われた取引は、契約破棄や損害賠償の対象になります。

まとめ

不動産査定の方法は大きく分けて2つに分かれます。

  1. 不動産の査定方法:「机上査定」「訪問査定」
  2. 不動産会社が算出する査定方法:「取引事例比較法」「原価法」「収益原価法」

そして不動産査定は、売却の上でかなり大事なポイント。

成功するか否かが掛かっているといっても過言ではありません。

必ず査定を受ける際は、「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの一括査定を使って、複数社に査定してもらいましょう。

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