立ち退き料って何?発生する理由や金額の目安を徹底解説

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アパート経営で問題となるのが立ち退きです。

立ち退きは、建て替え時のみならず、悪質入居者が入ってしまった場合にも必要となるため、築浅のアパートオーナーにとっても必須の知識となります。

立ち退きには、「立ち退き料」が必要です。

立ち退き料について知りたいと思っている人の中には、

  • 立ち退き料って、そもそも何なの?
  • 立ち退き料って、払わないといけないものなの?
  • 古いアパートを取り壊す場合でも立ち退き料は必要なの?

等々のことを思っている人も多いと思います。

そこでこの記事では、「立ち退き料」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、立ち退き料とは何かということや、立ち退き料が発生する理由、金額の目安について知ることができます。

なお、立ち退きをさせてたい場合は、下記記事でさらに詳しく解説しています。

アパートの立ち退きってどうやるの?金額の目安や注意点を徹底解説

老朽化したアパートでは立ち退きの問題が発生します。 立ち退きを行うにあたっては、借地借家法の知識が必ず必要となります。 ...

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株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.立ち退き料とは

立ち退き料とは、賃貸人(貸主)から賃借人(借主)に対して一方的に契約解除を申し出る際に支払う金銭に

立ち退き料は、「普通借家契約」と呼ばれる賃貸借契約を締結している場合にのみ発生します。

賃貸借契約の中には普通借家契約と定期借家契約の2種類が存在します。

普通借家契約とは、従来からある賃貸借契約です。

一方で、定期借家契約とは平成12年より開始された比較的新しい賃貸借契約になります。

普通借家契約と定期借家契約の最大の違いは「更新」があるかどうか

普通借家契約と定期借家契約の最大の違いは「更新」があるかどうかです。

更新規定がある賃貸借契約は普通借家契約で、更新規定のない賃貸借契約は定期借家契約になります。

定期借家契約には、そもそも更新という概念がありません。

賃貸借の契約期間が終了すると、確定的にその契約は終了となります。

仮に、定期借家契約終了後に、再度、買主が継続して借りたいとなった場合、貸主と協議の上、「再契約」をすることになります。

再契約とは、全く新しい契約を結び直すということなので、更新とは異なります。

現況の賃貸借契約において、過去に1度でも更新をしていれば、それは普通借家契約です。

借地借家法は借主の権利を強く守るための法律ですが、権利が強く守れているのは普通借家契約の借主になります。

借地借家法が作られた背景

借地借家法は、戦時中、借主に安心して戦地に赴いてもらう必要があったため、借主の立場を強化されました。

戦地に行った後、戻ってきたら住む家が無くなってしまったら困りますので、ちょっとのことではオーナーから退去させることができないようにガチガチに借主の権利を守ったという経緯があります。

通常、アパートのような住居系の賃貸借では、普通借家契約が用いられることが一般的です。

普通借家契約でも、賃貸借の契約期間が定められています。

契約書の中にも、半年以上前から貸主から解除の申出を行えば、解除できると書かれている契約も多いと思います。

普通借家契約でも、契約書通り、半年以上前に解除の申出を行って借主が合意してくれれば、そのまま解除することは可能です。

借主が合意した場合の解除は合意解除と呼ばれます。

合意解除の場合には、立ち退き料は不要となります。

立ち退き料が必要となってくる理由

一方で、貸主から解除を求めたにもかかわらず、借主が合意しない場合もあります。

このようなケースでは、借主の主張が守られます。

借主が借り続けたいということになり、きちんと賃料を払い続ければ、貸主が解除したいと思っていても、契約は更新されます。

貸主の意思に関わらず、自動で更新されてしまうことを「法定更新」と呼びます。

つまり、貸主からすると、解除したいと思っても、借主がNOと言えばそのまま居座られることになります。

これを阻止するためには、貸主側に借主を退去させうるだけの合理的理由(正当事由)と立ち退き料が必要となってくるのです。

借主が正当事由と立ち退き料に納得すれば、合意解除することができます。

以上、ここまで立ち退き料とは、ということについて見てきました。

では、立ち退き料はどのような根拠で発生するのでしょうか。

そこで次に、立ち退き料発生の法的根拠について解説いたします。

2.立ち退き料発生の法的根拠

立ち退きで立ち退き料が必要なことは、法律で定められています。

貸主側に借主を退去させうるだけの合理的理由のことを「正当事由」と呼びます。

正当事由は、借地借家法第28条において以下のように定められています。

借地借家法第28条

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

※出典:WIKIBOOKS「借地借家法第28条」より

少し長い条文ですが、まず、賃貸人からの解除の申出は「正当の事由(正当事由)」が認められる場合でなければすることができないと書かれています。

法律の中では、正当事由の判断要素として、以下の4つの条件を掲げています。

解除申し出の正当事由

  1. 建物の使用を必要とする事情
  2. 建物の賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物の利用状況及び建物の現況
  4. 財産上の給付

アパートの老朽化であれば、「(3)建物の利用状況及び建物の現況」が正当事由に該当します。

ただし、ちょっと古いくらいでは正当事由として認められません。

正当事由として認められるには、建物が耐用年数を過ぎており、腐朽、破損が甚だしく、早晩朽廃を免れない場合に限られるとされます。

さらに、法律の中では「財産上の給付をする旨の申出をした場合」という規定があります。

これがいわゆる立ち退き料に相当します。

法律では、まず「正当事由」が必要であり、さらに「立ち退き料」を支払えば解除を認めるという二重の縛りを設けていることになります。

「立ち退き料」は、商習慣で支払っているものではなく、法律で支払うべきものと明記されていることがポイントです。

そのため、借主からすると、法律に基づいて当然に貸主に対して立ち退き料を請求して良いことになります。

立ち退き料の規定はかなり強烈

冷静に考えてみると、この立ち退き料の規定はかなり強烈です。

例えば、AさんがBさんに自分の車を貸した場合を考えます。

AさんがBさんに「車を返してください」と頼んだとき、BさんがAさんに対して「返して欲しいならお金ください」と言っているようなものになります。

アパートなどは、本来、賃貸人の所有物ですから、返して欲しければ、タダで返すのが普通です。

車を貸し人から「返して欲しいなら、金よこせ!」と言われたら、普通は貸した人は怒ります。

しかしながら、借地借家法では、「返して欲しいなら、金よこせ!」と言える権利を借主に認めていることになります。

どう考えてもおかしいのですが、法律で決まっているので、おかしくないことになっています。

立ち退き料は、貸主が支払わなければならない不思議なお金ですが、法律でしっかり明記されているということを知っておきましょう。

以上、ここまで立ち退き料発生の法的根拠について見てきました。

では、正当事由と立ち退き料にはどのような関係があるのでしょうか。

そこで次に、正当事由と立ち退き料の関係について解説いたします。

3.正当事由と立ち退き料の関係

立ち退きのポイントは、正当事由だけがあっても退去させることができないという点です。

正当事由に、立ち退き料を加えることで、はじめで借主を退去させることができます。

正当事由と立ち退き料は、「補完関係」にあると言われています。

正当事由が理由として弱ければ、立ち退き料を上乗せすることによって正当事由を強固なものとします。

例えば、築40年を過ぎたアパートを建て替えたいので立ち退きをしたいというケースがあります。

築40年超のアパートは、耐用年数は過ぎていますが、「腐朽、破損が甚だしく、早晩朽廃を免れない状態」かというと、そうでもないアパートも多いです。

すると、単に築40年超のアパートを建て替えたいから退去させるということは、正当事由としては弱くなります。

その正当事由を補完するためには、立ち退き料が必要ということになります。

築40年超のアパートが、築30年となると、もっと正当事由は弱くなります。

正当事由が弱ければ、立ち退き料は築40年超のときよりも上がります。

以上、ここまで正当事由と立ち退き料の関係について見てきました。

では、アパートの場合、立ち退き料はどのくらい支払えば良いのでしょうか。

そこで次に、アパートの立ち退き料の目安について解説いたします。

4.アパートの立ち退き料の目安

アパートの立ち退き料の目安は、一般的には50~100万円程度です。

立ち退き料がいくらかというのは、決まりはありません。

一応、借家権価格というものがありますが、正直、あまり根拠のない世界です。

一般的に、店舗の立ち退き料は、営業補償を含むため、相当、高額になります。

コンビニなどの立ち退き料は1億円を超すようなことも多いです。

店舗の立ち退き料が高いのは、立ち退き料の中に営業補償が含まれるからです。

店舗は、場所が変わってしまうだけで売上が大きく落ちる可能性があり、そこを補償するという考えから立ち退き料が非常に高額となります。

一方で、住居の場合、場所を変えることで極端にダメージを受けるということはありません。

今のアパートから、3つ先のアパートに引っ越したとしても、生活環境が大きく異なるということはないはずです。

そのため、営業補償のようなものは発生せず、オーナーとして補償すべきものは、引越代程度ということになります。

話し合いが上手くいかなければ、引越代に多少の色を付けてあげます。

よって、アパートであれば立ち退き料はせいぜい50~100万円といったところでしょう。

5.まとめ

以上、ここまで、立ち退き料とは何かということや、立ち退き料が発生する理由、金額の目安について見てきました。

立ち退きには、立ち退き料が必要となることが法律に明記されています。

借主とは十分に話し合って立ち退き料を妥結するようにしてください。

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