木造アパートを建て替える!意外と知らない立退きの注意点

投稿日:2017年8月4日 更新日:

不動産賃貸業を行う上で、最も重要な法律知識は借地借家法です。

ところが、この借地借家法、宅建の試験範囲にもほとんど問題登場してこないため、不動産会社の人間であっても良く分かっていない人たちが多いのも事実です。

借地借家法は、主に賃料交渉や立退きという局面で重要になります。

契約書に書かれていても、そもそも借地借家法上、無効な契約になっている場合もあります。

木造アパートで入居者を立退かせて建替えしたい、もしくは売却したいと言った人の中には、

  • 立退きを申し出たら入居者から反対されて困っている!
  • 立ち退き料は払わなければいけないものなのだろうか?
  • 契約で6か月前に申し出れば解約できると思っていたが、出来ないのだろうか?

等々のことを思っている方も多いことでしょう。

結論からすると、立退きには「正当事由」が必要です。

場合によっては正当事由を補完するためにオーナーが入居者に立退料を払わなければならないこともあります。

そこで今回の記事では、「立退き」にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことで、あなたが立退きについて理解することができるようになります。

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1.借地借家法の規定

1-1.立退きは「借地借家法」の第28条が重要

築古のアパートは、建替えや、更地化にして売却したり等、価値を高めるために手を加えていく必要があります。

そこには、「立退き」という作業過程が含まれます。

少し専門的になりますが、借地借家法において立退きに関する需要な規定部分をご紹介します。

第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

1.建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

借地借家法では、この条文があるために、立退きが難しくなっています。

少し内容をかみ砕いて説明すると、ます第一に、賃貸人からの解約、つまり立退きを申し出る場合、正当な理由かないと、「することができない」と記載されています。

この正当な事由のことを「正当事由」と呼んでいます。

次に正当事由は何でも良いわけではありません。

自分で使う必要があると言うのが第一ですが、単純に売りたいとか、建替えたいといった理由は正当事由には該当しません。

例えば、建替え等の場合は、「建物に耐震上問題があるため、建替えたい」というのは正当事由として認められます。

ところが、この正当事由があるだけで、立退きが認められるわけではありません。

正当事由として弱い理由だと、「建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする」必要があります。

つまりこれが立退料です。

1-2.立退料が加わって正当事由が完成される

立退料は正当事由を補完するためのものになります。

まずは、立退いてもらうためのきちんとした理由があり、さらに立退料を支払うことで立退きができるというのが原則です。

良くある勘違いとして、以下のようなものがあります。

  • 正当事由があれば立退料なしでも立退きができる
  • 立退料を払えば、どんな理由でも立退きができる

例えば、耐震上問題があるから建替えたいという理由は、きちんとした理由ですが、どうしても絶対に建替えたい、何としてでも建替えなければならないと言われると、そうとも言い切れません。

そのため、このような弱い理由をきちんとした正当事由するには、立退料を払うことで、補完、つまり正当事由を完成させる必要があります。

法律で言っていることは、「耐震上問題があるし、さらにお金も払うから、出ていってもらって良いでしょ?」という投げかけなら認めている

建替えや更地化において、立退きをするには、原則、立退料は必要であると言うことを理解しておきましょう。

以上、ここまで借地借家法の規定について見てきました。

それでは次に普通借家契約と定期借家契約について見ていきます。

2.普通借家契約と定期借家契約の違い

借地借家法の28条が適用される前提として、その賃貸借契約が普通借家契約になっていることがあります。

賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約の2種類が存在します。

この見分け方は、賃貸借契約書の中に「更新規定」があるかどうかです。

定期借家契約には更新という概念はありません。

最近は、店舗の賃貸借契約は定期借家契約が増えてきましたが、住宅ではほとんどが普通借家契約です。

この普通借家契約では、借りている賃借人の立場が強く守られているという点がポイントになります。

過去に一度でも更新をしていれば、それは普通借家契約です。

普通借家契約においては、立退料が必要になります。

尚、普通借家契約では、契約書上、賃貸人からの6ヶ月前に解約の申入れができるとされていても、それだけでは立退きはできません。

契約書に書かれてあっても、いざ裁判になるとこの条文は効力がないということを理解しておきましょう。

以上、ここまで普通借家契約と定期借家契約について見てきました。

それでは次に非弁行為について見ていきます。

3.立退きで重要な知識:非弁行為

立退きを行う上で、もう一つ重要な知識があります。

それは非弁行為です。

非弁行為とは、弁護士以外の人が報酬を得て紛争性の高い法律事務をしてはいけないということを規定した弁護士法の規定

紛争性の高い法律事務には、立退きが含まれます。

つまり、弁護士以外の人に立退きを代理で頼むことはできません。

立退きは、賃貸人である本人がやるか、弁護士がやるかしかできないということです。

例えば、良くあるのがアパートを管理している不動産会社に、立退きを代理で依頼する人がいます。

これはNGです。管理者は本人ではありません。

ただし、アパートを不動産会社にマスターリースしている場合は別です。

賃貸人(転貸人)である不動産会社が転借人である入居者を立退かせるのは、賃貸人本人が行っている行為になるため、非弁行為にはなりません。

非弁行為について、きちんと理解している管理会社は、立退きを依頼すると、「できません」と断ってきます。

「何でだ!」と思うかもしれませんが、受けてしまうと弁護士法に違反するため、管理会社の判断が正しいのです。

また立退きを弁護士に依頼しようとすると、高額の費用が発生するため、ほとんどの人が弁護士には依頼しません。

そのため、立退きについては、賃貸人であるオーナーが自ら行わなければならない業務なのです。

以上、ここまで非弁行為について見てきました。

それでは次に立退きの申出について見ていきましょう。

4.立退きの申出方法

4-1.オーナーが行うことのメリット

立退きは、非弁行為になるため、オーナー本人がする必要がありますが、それ以外にもオーナーがやることでメリットがあります。

立退きは、いきなり顔の知らない第三者が行うと、揉める原因になります。

それは弁護士であっても同じです。

顔を知っているオーナーさんからの申出であれば、「まぁ、しょうがないか」となる場合が多くみられるためです。

実際、アパートの立退きはオーナーさんが自ら行うことで、ほとんどの場合、丸く収まるケースが多いです。

立退料は払わなければならないと説明しましたが、話し合いで上手くまとまる分には払う必要はありません。

立退料をゼロで抑えるには、入居者と良い関係が続いていることが何よりも重要です。

立退料は、入居者にごねられたときに始めて発生します。

そのため、入居者とはなるべく揉めないようにすることが重要です。

4-2.必ず書面を用意する

立退きにあたっては、念のため、立退きを依頼する書面も持参します。

書面には、退去をお願いする理由と、退去時期を明記してください。

一方的にこちらの意見を伝えるだけでなく、先方の言い分も良く聞くようにしましょう。

先方も引越をするには時間が必要です。

立退き期限は、半年以上先を目安に設定します。

以上、ここまで立退きの申出について見てきました。

それでは次に立退料の目安について見て聞きましょう。

5.立退料の目安

5-1.立退料の算出

住宅の場合、立退料は以下のような目安があります。

立退料=(移転先の賃料-現在の賃料)×1~1.5年分

例えば、入居者が移転する先の賃料が9万円/月、現在の賃料が6万円/月だとします。

この場合、差額は3万円です。差額の1~1.5年分であるため、36万円~54万円が目安です。

ただ、立退料には法律的な決まりがありません。あくまでも話合で金額が決まります

また立退く人が必ずしも今の物件よりも高い賃料のところに引っ越すとは限らないため、差額賃料の何倍という考えも実態には合いません。

引越代程度を負担してあげると考えれば、住宅の立退料としては50万円程度が妥当な水準と考えらえます。

尚、店舗の場合は、上述の立退料に加え、営業補償が加わります。

営業補償は、場合によっては億単位にもなる可能性があります。

店舗の立退きをする場合には、事前に弁護士にも相談して、慎重にものごとを進める必要があります。

5-2.裁判は極力避ける

また立退きの裁判はなるべく避けた方が無難です。

裁判所は基本的に弱い立場である借家人(入居者)を守る判決をする傾向にあります。

立退料も、入居者側の主張に傾く傾向にあります。

裁判は時間がかかるばかりでなく、オーナーにとっても不利な判決になるため、良いことは一つもありません。

なるべく話し合いで決着をつけるようにしましょう。

6.まとめ

以上、木造アパートを建て替える際に知っておきたい立退きの知識について見てきました。

立退きはオーナーにとってかなり大きな労力を要します。

時間をかけて、粘り強く話し合いで解決することが何よりも重要になります。

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