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所有者不明土地の問題点と特別措置法や国会で検討されている対策について解説

記事内に商品プロモーションを含みます。
所有者不明土地

国内では地方を中心に「所有者不明土地」が急増しています。全国の所有者不明土地の総面積は、既に九州を超える面積となっており、所有者が誰か不動産登記簿等の所有者台帳を調べてもわからない、判明しても連絡が取れない等の問題が起きています。

所有者不明土地は、今後も増加することが予想されており、2019年6月には「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(以下、「特別措置法」と略)も施行されました。

では、所有者不明土地とは一体どのような土地なのでしょうか。そこで今回の記事では「所有者不明土地」について解説致します。ぜひ最後までご覧ください。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • 所有者不明土地の問題点が分からない
  • 特別措置法の内容について知りたい
  • 国会で審議中の他対策について知りたい
目次

所有者不明土地とは

所有者不明土地とは「不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明せず、または判明しても所有者に連絡が付かない土地」のこと

一般の人が所有者不明土地の話を聞くと、「そもそも登記簿で所有者がわからない土地なんてあるの?」と思う方も多いのですが、登記簿で所有者が分からない土地は結構あります。

その理由は、登記簿に記載されている所有権等の権利に関する登記は法律上、申請する義務がないからです。

登記は、権利を取得した人が自分の権利を守るために行うのが原則ですから、自分で所有権を公示したいという意思がなければしなくてもいいことになります。

相続時の所有者移転登記の未登記が大きな要因

所有者が変わっても登記の内容を変更しない典型例は、相続です。

相続で所有権が移転しても、相続人に権利に関する登記の申請義務はありません。よって、相続では所有権が変わっても、登記簿の記載内容を変更しない人も多いのです。

所有者不明土地の中には、登記の内容が明治時代のままのような土地も存在します。

相続がやっかいなのは、相続では放っておくと所有権が相続人の共有状態となり、3代くらい経つと共有者の人数が膨れ上がっていくという点です。

記載内容が明治時代のまま放置された物件では、共有者が100名を超えるような物件もあります。そもそも共有者同士で連絡が付かず、数年かけて調査しても共有者の一部しか判明しないような土地もあるのです。また共有者の所在が分からなくなるケースも多いです。

所有者不明土地の実態

所有者不明土地の 実態把握の状況について

※出典:国土交通省:所有者不明土地の実態把握の状況について

上記の画像は平成28年に実施された、地籍調査における土地の所有者、その他の利害関係人、代理人に関する調査を実施した際のデータです。添付している画像内で②・③が所有者不明土地に該当します。

※DIDは人口集中地区を指します

遺地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆(土地登記簿上の一個の土地)ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査。

所有者不明土地の実態から分かること

  • 所有者不明土地の半数以上(66.7%)が相続の際の所有権移転の未登記が要因
  • 宅地でも17.4%の所有者不明土地がある

次の章では、所有者不明土地による問題を紹介します。

所有者不明土地によって起きる5つの問題

所有者不明土地による問題には、以下のようなものがあります。

所有者不明によって起きる5つの問題

  1. 道路等の用地買収が困難になる
  2. 不法投棄か保管かの判別がつかない
  3. 隣地との境界確認が取れない
  4. 隣地からのがけ崩れ、越境等の是正ができない
  5. 隣地を経由したライフラインの埋設ができない

①道路等の用地買収が困難になる

所有者不明土地の問題によって国道や県道等を作る際、公共機関が道路等の用地買収が困難になるという点があります。

共有物件の売却には、共有者全員の同意が必要です。所有者不明土地は、相続で多人数の共有物件となっていることが多いため、共有者全員にたどり着けず用地買収ができない問題が生じています。

相続で未登記のままとなっている土地は、山林などの資産価値の低い土地に多いです。

一方で、高速道路等の新たな道路の新設は山林を切り開いて行うことが多く、道路の用地買収では所有者不明土地の問題にぶつかることが多いのです。

②不法投棄か保管かの判別がつかない

所有者不明土地に家電等が放置されている場合、それが不法投棄なのか保管なのかの判別がつかないという問題もあります。

仮に保管ということであれば、行政側としてもそれらの家電を勝手に処分できないことになります。

不法投棄なのか保管なのか分からない状態でゴミが山積みされれば、悪臭等で近隣住民に悪影響を及ぼすことにもあるのです。

③隣地との境界確認が取れない

隣地に所有者不明土地がある場合、自分の土地へも様々な問題を引き起こします。例えば、隣地との境界が未確定の場合、所有者不明の隣地と境界確定を行うことができません。境界確定が売却の条件となっていることはよくあるので、自分の土地が売却できなくなるケースが発生する可能性もあります。

④隣地からのがけ崩れ、越境等の是正ができない

所有者不明の隣地からがけ崩れの影響があるような場合には、所有者に対してがけ崩れ防止の是正を要求することができません。樹木が繁茂し、枝が自分の土地に伸び放題になっても、勝手に枝を切除できず越境の問題を解消できないという問題も生じます。

⑤隣地を経由したライフラインの埋設ができない

上下水道管やガス管等のライフラインを所有者不明の隣地に経由したいこともあります。しかし所有者が分からず、同意を得ようがないため、ライフラインを経由できなくなります。これは戸建ての建て替えをする際に問題になりやすいです。

このように、所有者不明土地には、用地買収やゴミ処理の問題等の社会的な問題の他、相隣関係のような身近な問題も存在します。遠く離れた山の中で起きている問題だけでなく、隣地が所有者不明土地なら都市部でも相隣関係の問題が生じるのです。

所有者不明土地は今後も増えていくことが予想されていますので、身近な問題になる可能性があることは知っておきましょう。

特別措置法でできること

所有者不明土地の解決に向けた第一弾として、2019年6月に特別措置法(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)が施行されました。

特別措置法とは、簡単にいうと所有者不明土地の不明者の同意を得なくても、公共的な事業であれば知事の裁定を受けて10年間その土地を利用できるという法律です。

公共的な事業とは、地域福利増進事業と呼ばれます。

地域福利増進事業は、具体的には道路、公民館、図書館、病院、公園、広場、緑地、運動場、被災者居住用住宅等のこと。

地域福利増進事業の事業主体は、地方公共団体の他、民間企業やNPO、町内会等も認められています。利用の期間はとりあえず10年間ですが、延長申請することもできます。

ただし、利用期間中に所有者が現れた場合、期間満了までの間に原状回復をして土地を所有者に返還することが必要です。

一旦道路を作っても、所有者が現れてしまえば、原状回復しなければならないことになります。そのため、特別措置法では利用できる所有者不明土地に厳しい制限を設けています。

対象となる土地は、相当な努力が払われたと認められる探索が行われてもなお、その所有者の全部または一部を確知することができない土地であり、かつ、現に建物が存在しない土地に限定されています。

全ての所有者不明土地が特別措置法の対象となるものではなく、地域福利増進事業はかなり限られているという点がポイントです。

その他の対策

特別措置法は、所有者不明土地の問題を全て解消できるとは言い難い法律です。国会も、特別措置法だけ作って終わりというスタンスは取っておらず、2020年においても新たな法案提出を目指しています。

そこで、この章では現在国会で審議中の他の対策案の方向性について紹介します。

相続登記の義務化

国会では、相続登記の義務化が検討されています。所有者不明土地が発生する原因の一つに、相続後、所有権移転登記しないまま長い間放置されていることがあります。

2~3代に渡り、相続が繰り返されると、芋づる式に相続人が増え多人数の共有物件となります。

このような状況を避けるために、相続が発生したら所有権移転登記を義務とすることが審議中です。審議の内容としては、登録免許税の軽減措置や義務違反者に対する過料等があります。

また、現行制度では登記申請時に戸籍謄本類の収集の負担が重いため、手続きの簡素化についても検討されています。

遺産分割の期間制限

相続登記の義務化とともに、遺産分割の期間制限も検討中です。相続では、何もしないと財産が相続人の共有状態で引き継がれます。

相続人同士で話合い、誰がどの資産を引き継ぐのかを決めるのが遺産分割協議です。現行制度では、遺産分割協議は義務ではなく、また、期限の制限もありません。

遺産分割に期間制限がないことから、山林などの資産性のない不動産は分割されずに放置されることが多いです。

そこで遺産分割の期限を設けることで、土地を単独所有させるように促すことが検討されています。

遺産分割の期限としては、死亡後10年とする案が検討中です。

遺産分割によって所有者が1人になれば、所有者を探索しやすくなり、所有者不明土地の問題が激減することが予想されます。

遺産分割の期間制限は、所有者不明土地の問題を解決する鍵を握るため、今後の審議に注目したいところです。

尚、土地所有権放棄の是非についても議論がなされています。

相続で不要な土地だけ放棄できることも、所有者不明土地の問題を解決する方法の一つです。

ただし、所有権の放棄は、放棄された後の管理者に負担がかかることになりますし、管理のために税金が投入されることも公平性に欠けるため実現が難しいものと予想されています。

土地管理の在り方

既に多人数共有物件となっている土地の管理の在り方についても議論がなされています。

共有物件は、全体を売却するには共有者全員の同意が必要であるため、所有者不明土地で他の共有者が見つからない場合は、売却や収容が困難になっています。

そこで、例えば所在不明共有者に対して公告した上で、確答をしない共有者以外の共有者全員の同意を得て,変更又は処分をすることができるようにする案も検討されています。

共有物の管理は民法に規定されている部分ですが、この改正が実現すれば道路を作るための土地収用等の問題はかなり解決できるものと期待できます。

相隣関係

相隣関係の問題に関しても、見直しが議論されています。

相隣関係(そうりんかんけい)とは、隣りあった土地の間の法律的関係のこと

相隣関係は、都市部でもたまたま隣地が所有者不明土地になってしまった場合には起こりうる問題です。

例えば、所有者不明の隣地でがけ崩れが発生しそうな場合、近接の土地所有者でも管理不全状態を解消できるようにする案等が検討されています。また、所有者不明の隣地から越境してきた枝についても、なんらかの形で切除できるような方策も考えられています。

まとめ

所有者不明土地は、道路の用地買収等の社会的問題や、相隣関係のような身近な問題まで様々な問題を引き起こす要因となっています。

所有者不明土地の解消に向けて特別措置法が施行されました。ただし、特別措置法だけでは問題解決に向けて十分ではありません。

他の方策についても現在審議中ですので、今後も新しい制度が次々と登場してくる予定です。所有者不明土地の解消に向けては、今後の法整備に注目しておくと良いでしょう。

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