空中族と言われる人たちが増えています。
空中族とは、タワーマンションの高層階の転売を繰り返し、売却益を得ている投資家
サラリーマン投資家の間でも空中族として成功している投資家が登場し始めており、その手法に注目が集まっています。
空中族は賃料収入ではなく短期に転売を行って儲けています。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 自分でも上手くやれるのだろうか
- 短期間で売買を繰り返して、本当に得するのだろうか
- 税金を考えても短期間での売買の方が得なのだろうか
そこで今回の記事では、「5年」以内にマンションを売却するについてフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことであなたは短期売買のメリットとデメリットを理解することができます。
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【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
1.2021年最新の中古マンション価格
東京カンテイは、主要都市別中古マンションの年別価格推移を発表しています。

首都圏マンションの平均価格と土地価格の推移
※出典:東京カンテイ「東京23区70㎡中古マンション単価」より
中古マンションの価格は赤色の線です。
この調査によると、東京23区の2012年の中古マンションの36万/㎡が2018年には52万円となっています。
なんと7年の間に約1.4倍にもなっています。
この数値のすごいところは、あくまでも平均値だということです。
都内のタワーマンションであれば、1億円を超す億ションがゴロゴロあります。
1億円の億ションがこの7年で1.4倍になれば、4,000万円の転売益が発生する計算になります。
今、マンションは東京オリンピックもあることから、間違いなくバブルの時期を迎えています。
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指標を見ると一目瞭然!マンションを売却するなら東京オリンピック前の今がチャンス
オリンピックに向けて景気は順調に推移しています。 不動産価格の上昇は続き、今は間違いなく売り時だと言えます。 こんな悩み ...
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以上、ここまで最近の中古マンション市場について見てきました。
それでは次に気になる売却した場合の税金についてご紹介いたします。
2.所有期間が5年を超えているかで所得税率が異なる
マンションの転売で成功したとしても、残念ながら丸儲けできるわけではありません。
個人投資家が不動産を売却して譲渡益が発生すると、所得税が課税されます。
課税譲渡所得の計算は以下の計算式で表されます。
課税譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった費用)
取得費はマンションの購入価額ですが、建物は減価償却後のものとなります。
また取得費には購入の際の仲介手数料の他、購入時の売買契約書に貼付した印紙税、登録免許税、司法書士手数料、不動産取得税等も含まれます。
譲渡費用とは、売却時に要した仲介手数料や、売却時の売買契約書に貼付した印紙税等が含まれます。
数年前に購入した物件であれば、これらの契約書や領収書等が全て残っていると思われますので、費用計上できる部分も多いはずです。
短期での売却は、証拠書類がきちんと整っているケースが多いという点ではメリットがあります。
所有期間による税率の違い
ところが、短期間で売却する場合、デメリットもあります。
所有期間は5年を境として短期譲渡所得と長期譲渡所得に分類され、税率も異なります。
所得税と住民税の税率は以下のようになります。
名称 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
所有期間の定義は下記の通り。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の堺
その他、短期と長期に関わりなく、別途、復興特別所得税が2.1%加わります。
短期譲渡所得の計算例
まず短期譲渡所得の例について見ていきます。
ここでは、1億円の億ションを1年間保有して1.1億円で売却した例を考えます。
項目 | 価格 | 備考 |
---|---|---|
譲渡価格 | 110,000千円 | 売却価格 |
取得費 | 102,460千円 | 購入額:100,000千円 |
減価償却費:▲540千円 (建物価格40,000千円として1年分) | ||
購入時仲介手数料:3,000千円 | ||
譲渡費用 | 3,300千円 | 仲介手数料 |
課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 110,000千円 - 102,460千円 - 3,300千円 = 4,240千円
所得税等
ここで、所得税及び住民税は以下のように計算されます。
- 譲渡所得に係る所得税:4,240千円 × 30% = 1,272千円
- 復興特別所得税:1,272千円 × 2.1% = 26.712千円
- 所得税合計(①+②):1,272千円 + 26.712千円 ≒ 1,298.7千円
- 譲渡所得に係る住民税:4,240千円 × 9% = 381.6千円
- 所得税等(③+④):1,298.7千円 + 381.6千円 = 1,680.3千円
よって、税引後の利益は2,559.7千円(=4,240千円-1,680.3千円)となります。
1,000万円の転売益が出たような気がしましたが、実際の手残りは250万円程度となるのです。
長期譲渡所得の具体例
それでは次に長期譲渡所得の例について見ていきます。
今回1.1億円で売却できたマンションは、6年前は0.9億円(約▲22%)で購入できたと仮定します。
項目 | 価格 | 備考 |
---|---|---|
譲渡価格 | 110,000千円 | 売却価格 |
取得費 | 89,460千円 | 購入額:90,000千円 |
減価償却費:▲3,240千円 (建物価格40,000千円として6年分) | ||
購入時仲介手数料:2,700千円 | ||
譲渡費用 | 3,300千円 | 仲介手数料 |
課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 110,000千円 - 89,460千円 - 3,300千円 = 17,240千円
所得税等
ここで、所得税及び住民税は以下のように計算されます。
- 譲渡所得に係る所得税:17,240千円 × 15% = 2,586千円
- 復興特別所得税:2,586千円 × 2.1% = 54.306千円
- 所得税合計(①+②):2,586千円 + 54.306千円 ≒ 2,640.3千円
- 譲渡所得に係る住民税:17,240千円 × 5% = 862千円
- 所得税等(③+④):2,640.3千円 + 862千円 = 3,502.3千円
よって、税引後の利益は13,737.7千円(=17,240千円-3,502.3千円)となります。
6年間保有すると、やっと手残りの転売益が1,000万円を超えてきます。
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短期譲渡所得と長期譲渡所得の差
今回1.1億円で売却できた億ションを、1年前と6年前に購入した場合で比較すると以下のような結果になります。
購入額 | 税引後利益 | |
---|---|---|
1年前 | 100,000千円 | 2,559.7千円 |
6年前 | 90,000千円 | 13,737.7千円 |
数字からすると、5年以内に売却するよりは、5年超の保有期間を経て売却した方が、圧倒的に手残りは大きくなります。
ただし、この数字はあくまでも近年の上昇率を加味したことで生じた差額です。
今はたまたま6年前よりもマンション価格が20%も上昇しているため、このような結果になりました。
今後、6年後にマンション価格がこの上昇率を維持するとは限りません。
特に2020年のオリンピックを境に、マンション価格は急落する可能性もあります。
実際、過去10年間の東京のマンションの値動きを見ても、2009年と2012年と2回も値動きに底が見られました。5年以内に下落が訪れる可能性は十分に考えられるわけです。
今後の急落リスクを考えれば、1年間の短期譲渡所得であっても、売却益を出して売りぬいた方が得になります。
数年先の状況が不透明な不動産市況の中では、短期で確実に売りぬく戦略も必要と言えるでしょう。
また、住居用財産の売却は3,000万円を控除される特例があります。
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短期譲渡所得と長期譲渡所得のについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
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3.マンションを高く売るなら信頼できる不動産会社に相談する

不動産売却で大事なことは、「信頼できる不動産会社を探せるか」。
不動産会社によって、得意としている不動産も異なりますし、この地域は得意・不得意などあります。
中には売却金額に数百万、数千万の差が出ることも。
ただ、あなただけの力でそのような不動産会社に出会えることは難しいと思います。
不動産会社を1社1社回って話を聞いていても、逆に迷うことになり時間ばかりが過ぎてしまいます。
そこで筆者がオススメしているのが「不動産一括査定サービス(サイト)」です。
一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス

一括査定サービスの仕組み
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。

一括査定の流れ

不動産一括査定のオススメは 「すまいValue」「HOME4U」
不動産一括査定は筆者が知っているだけでも30はあります。
その中でも
- 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
」
- 【1都3県・大阪・兵庫・京都・奈良】売主専門の数少ない不動産会社「 SRE不動産(※旧ソニー不動産)
」
- NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
」
- 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール
」
の4つを特にオススメしています。
筆者も不動産一括査定(「 すまいValue 」「 HOME4U
」「 イエウール
」)を利用しました。
下記は「 すまいValue 」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所ハウスネット」より、査定結果をもらった写真。
とても分厚い査定書を見ながら、3社ともに丁寧に説明をしていただきました。

不動産査定書を3社より入手
下記表が「不動産売買の仲介件数が多い不動産会社」が「どこの不動産一括査定に参加しているのか」を調査した結果です。


不動産一括査定×不動産会社のマッチング表


不動産売買は超大手に偏っている
「三井不動産リアリティネットワーク」「住友不動産販売」「東急リバブル」が超大手と言われる不動産会社です。
超大手不動産会社3社で不動産仲介の約30%のシェアを持っています。つまり、不動産売買した人の中で3人に1人は、「三井不動産リアリティネットワーク」「住友不動産販売」「東急リバブル」のどこかに仲介を依頼していることになります。
それだけ日本の不動産売買は、超大手不動産会社に偏っているということ。
超大手不動産会社は販売活動に強く、豊富な買主を持っており、売りやすいとも言えます。
そしてこの3社に唯一依頼できるのが「 すまいValue 」です。なので「すまいValue」は外せません。
超大手不動産会社だけではなく大手・中堅・地域密着の会社とも比較する
ただ、超大手だけで満足してはダメ。不動産業界は特殊な縄張りなどもあり、A地域はX不動産が強い、B地域はY不動産が強いということが存在します。
また、超大手になるほど両手仲介の比率が高まります。
両手仲介とは、1社の不動産会社が売主と買主の両方の仲介を行うこと。買主と売主から手数料をもらえるため、利益相反の関係になる。アメリカは両手仲介は禁止されています。
売却を成功するためにも超大手不動産会社と併せて大手・中堅や地域密着の不動産会社も比較することをオススメします。
その場合は下記のような使い分けがいいでしょう。
不動産一括査定の賢い使い方
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額提示を希望」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。


一括査定 | 机上査定 | 備考欄 |
---|---|---|
すまいValue | 〇 | 〇 |
HOME4U | 〇 | 〇 |
イエウール | 〇 | |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | 〇 | 〇 |
一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
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不動産一括査定サイトは怪しくない?評判とデメリットを紹介
不動産一括査定サイトのオススメを先に見たい人はコチラ マンションや一戸建て、土地などの「不動産を売りたい」と考え始めたと ...
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4.まとめ
5年以内にマンションを売却することが得なのかどうかを徹底解説してきました。
短期売買戦略は、将来が見通せない今のマンション市場の中で、確実に利益を取っていく新たな戦略なのかもしれません。