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不動産を売却したときは復興特別所得税はいくらかかる?計算方法は?

不動産を売却したときは復興特別所得税はいくらかかる?計算方法は?

東日本大震災から8年が経過しましたが、復興はまだ道半ばです。

原発問題も含めると、その復興には時間もかかり莫大な費用も必要となります。

東日本大震災の復興のために必要な財源を確保する目的で作られて税金が復興特別所得税です。

こんな悩みをスッキリ解消!

  • そもそも復興特別所得税って何か知りたい
  • 不動産を売却したときも復興税が発生するのか知りたい
  • 復興特別所得税はいくらくらいかかるのか知りたい

結論からすると、不動産を売却して譲渡所得が発生した場合「復興特別所得税」が発生します。

税率は2.1%ですが、その計算方法は、少しだけ複雑となるため注意が必要です。

目次

そもそも復興特別所得税とは

復興特別所得税は認知度が低いため、不動産売却時の確定申告の申告書にも記載漏れが多いです。

給与所得者の場合、知らない間に天引きされているため、その存在すら知らない人もたくさんいます。

復興特別所得税は2011年12月に「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が公布されました。

「復興特別所得税」と「復興特別所得税」が創設されました。

実際に課税が始まったのが2013年からのため、タイムラグもあり、多くの人が知らない間に給与からの天引きが始まっていたと印象を受けています。

給与所得だけのサラリーマンは自動で天引きされているため、確定申告を行う必要はありません。 

課税対象は所得税を払っている全ての人

復興特別所得税の納税義務者は、所得税を納める義務のある個人が全て対象となります。

課税対象については、平成25年(2013年)から平成47年(2035年)までの各年の所得に対して課税。

個人の所得で復興特別所得税の課税対象となるのは下表のとおりです。

区分 基準所得総額
居住者 非永住者以外の居住者 全ての所得に対する所得税額
非永住者 国内源泉所得及び国外源泉所得のうち国内払のもの
又は国内に送金されたものに対する所得税額
非居住者 国内源泉所得に対する所得税額

表現として分かりにくいですが、普通に日本に住んでいる人は「非永住者以外の居住者」となります。

非永住者以外の居住者は、全ての所得に対する所得税額が復興特別所得税の課税対象となります。

不動産売却で復興特別所得税が掛かる条件

不動産売却した人全員が復興特別所得税が発生するわけではありません。

不動産を売却すると、確かにお金は入ってきますが、その売却額が課税対象ではないから。

不動産を売却したときの課税対象である譲渡所得は以下の計算式で表されます。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった経費)

取得費とは売却した不動産を購入したときの価格。つまり何年も前の購入価格です。

ただし、建物は減価償却後の価額となります。

譲渡費用とは不動産の売却に要した費用。例えば仲介手数料や測量費が該当します。

例えば、譲渡価額が3,000万円であっても、取得費が5,000万円の不動産であれば、譲渡所得はマイナスです。

譲渡所得がマイナスの場合、復興特別所得税は発生しません。

3,000万円特別控除があるので、実は譲渡所得がプラスになる人は少ない

さらに売却した不動産が居住用財産(マイホーム)の場合、3,000万円の特別控除を受けることができます。

その場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(掛かった経費) - 3,000万円

特例を適用すると、3,000万円以上の利益が出ている人でないと、譲渡所得は発生しないことになります。

3,000万円の特別控除が適用できれば、ほとんどの方の所得税は発生しなくなり、復興特別所得税も発生しない形となります。

3,000万円の特別控除については、下記記事で詳しく解説しています。

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以上、ここまで不動産売却時の譲渡所得について見てきました。

それでは次に掛かったとすると、どれぐらいの税率になるのか見ていきましょう。

復興特別所得税はいくらかかる?計算サンプル

最初に不動産を売却した場合の譲渡所得にかかる税率を紹介します。

不動産の種類 所有期間 所得税 住民税
全ての不動産 5年以下(短期譲渡所得) 30% 9%
5年超(長期譲渡所得) 15% 5%
居住用財産のみ 10年超 3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分 10% 4%
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円超の部分 15% 5%

給与所得などの所得税は累進課税のため所得が大きくなると税率も大きくなります。

一方で不動産を売却したときの所得税は、所有期間が長くなると税率も下がります。

売却した不動産が居住用財産の場合、所有期間が10年を超えている(長期譲渡所得)と、さらに税率が下がるという特例があります。

上表の所得税率は、譲渡所得に直接乗じられるという点がポイントです。

譲渡所得に所得税率を乗じて求められた税額を基準所得税額と言います。

  • 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
  • 基準所得税額 = 譲渡所得 × 所得税率

復興特別所得税率

復興特別所得税の税率は一律2.1%となります。

復興特別所得税は所有期間による変動はありません。

ただし、復興特別所得税の税率は、基準所得税額に乗じられるという点がポイントです。

譲渡所得に直接乗じられるものではないという点が所得税率の扱いと異なります。

つまり、復興特別所得税は、以下の2段階方式で求められます。

  • 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
  • 基準所得税額 = 譲渡所得 × 所得税率
  • 復興特別所得税 = (譲渡所得 × 所得税率) × 2.1% = 基準所得税額 × 2.1%
  • 所得税 = 基準所得税額 + 復興特別所得税

具体的な計算事例

復興特別所得税の求め方の最大のポイントは、一度「基準所得税額」を求めて、それに2.1%を乗じるという点。

下表の条件で具体的に復興特別所得税を計算してみます。

  • 譲渡価額(売却額):9,200万円
  • 取得費(購入額):1,800万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 所有期間:5年超え

上記の場合の計算式はこうなります。

  1. 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 = 9,200万円 - 1,800万円 ― 300万円 = 7,100万円
  2. 基準所得税額 = 譲渡所得 × 所得税率 = 7,100万円 × 15% = 1,065万円
  3. 復興特別所得税額 = 基準所得税額 × 2.1% = 1,065万円 × 2.1% = 223,650円
  4. 所得税合計額 = 10,650,000円 + 223,650円 = 10,873,650円 ≒ 10,873,600円
  5. 住民税 = 譲渡所得 × 住民税率 = 71,000千円 × 5% = 3,550千円
  6. 所得税および住民税合計 = 10,873,600円 + 3,550,000円 = 14,423,600円

短期譲渡所得の場合は、所得税率が30%、住民税率が9%となります。

税金の計算方法については下記記事でさらに詳しく解説しています。

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まとめ

不動産を売却したときに発生する復興税の具体的な計算方法について見てきました。

復興特別所得税額の計算は、基準所得税額を求めてから2.1%を乗じて求めることがポイント。

単純に所得税率に2.1%を加算してしまうと、計算が狂います。

基準所得税額と復興特別所得税額を2段階に分けて計算するようにしてください。

目次