あなたが店舗や住宅を借りよう、あるいは貸そうとする場合、重要視する条件は様々だと思います。
その際、普通借家と定期借家の物件を上手に選ぶことで、よりよい賃借が可能になることをご存知でしょうか。
とくに、店舗の賃借をしている場合はなじみのある「定期借家」ですが、住宅の賃借の場合はあまり馴染みのない人も多いことでしょう。
こんな悩みをスッキリ解消!
- そもそも普通借家や定期借家って何?注意すべきところは?
- 普通借家と定期借家の違いは?
- どういう物件を普通借家にすればよいのか?あるいは定期借家にすべき物件は?
そこでこの記事では、「定期借家と普通借家の違いや使い方」についてフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことであなたは、普通借家と定期借家の違いと使い方について知ることができます。
普通借家と定期借家の違い
土地・建物を賃借する際、「普通」と「定期」という二通りの契約方法があります。
土地の場合は「普通借地」「定期借地」、建物の場合は「普通借家」「定期借家」と言います。
この記事では建物の賃借について扱います。
普通借家とは
普通借家は、私たちが一般的に住宅を賃借する際に想定する方法
一定の年数の後に「更新」があり、借主はそこで契約を更新して使用を続けることも、契約を終了して退去することもできます。
もちろん、借主は特約があれば更新前に中途解約することも可能です。
- 普通借家契約は借主の権利が強く守られていることが特徴
- 貸主から賃貸契約中に退去を求める場合は「立ち退き料」の支払いが必要
貸主は、正当な理由なく立ち退きを強要することはできません。
余談ですが、借主の権利が強く守られている借地借家法は日本独特の法律です。
戦時中、借家暮らしをしていた人に、立ち退かされる不安を持たずに戦地に行ってもらうようにするため、旧借地法・旧借家法が改訂されました。
その権利の関係を現在まで引き継いでいるのが普通借家になります。
以上、ここまで普通借家について見てきました。
それでは、定期借家とはどのようなものなのでしょうか。
そこで次に定期借家について見ていきましょう。
定期借家とは
定期借家は、一般的に店舗などとのテナント契約の際に使われます。
契約年数が決まっており、契約期間満了に達したら退去しなければなりません。
つまり、退去の時期があらかじめ定められており、「更新」がないことが特徴です。
契約が終了してもテナントとして建物・店舗を使用したい場合は、「再契約」を結ぶことになりますが、貸主が再契約を拒めば契約は終了となります。
なぜ店舗向けに定期借家が一般化しているかというと、その理由は後に見ていくように「立ち退き料」の有無にあります。
高額な立ち退き料が発生する店舗の場合、退去の時期が定められている定期借家契約の適用が望ましいのです。
このように、使用できる期間が限られているなど、定期借家は借主にとっては不利な契約となります。
住居の場合、定期借家となると家賃は、普通借家の家賃の50~60%となります。
一方で、店舗の場合、定期借家を望む建物オーナーが多いため、店舗側が定期借家だから借りないという選択はできなくなってきています。
そのため、店舗向けの賃貸物件では、定期借家契約の家賃は普通借家に比べて下がらないことが多いです。
以上、定期借家についても確認しました。
普通借家と定期借家の違いはどこにあるのでしょうか。
次は、両者の違いを明らかにします。
両者の違いは更新の有無
今まで見てきたように、更新があるのが「普通借家」、更新がないのが「定期借家」です。
契約時に、希望する物件が普通借家か定期借家かを見分けるには、「更新」規定の有無に注目してください。
更新規定とは、以下のような条文です。
「甲又は乙が、賃貸借期間満了の6か月前までに、相手方に対し更新しない旨の通知をしないときは、本件契約は同一条件でさらに2年間更新されるものとし、その後の期間満了についても同様とする。」
定期借家契約には、このような更新規定はありません。
あるとすれば、以下のような再契約の規定です。
「甲及び乙は、協議の上、本契約の期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約をすることができる。」
再契約規定は任意であるため、存在しない契約書もあります。
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以上、両者の違いが「更新の有無」にあることが分かりました。
「更新の有無」はあなたにどのような影響があるのでしょうか。
オーナーの問題は「立ち退き料の発生」
賃貸物件に建て替え等、何らかの事情によってテナントあるいは入居者に立ち退いてもらわなければならないことがあります。
その際、普通借家であれば、貸主は入居者に立ち退き料を払わなければなりません。
一般的な住居であれば引っ越し費用程度で済みます。
一方で、店舗に立ち退きを要求すれば、営業補償を含むため億単位での立ち退き料を支払う必要も出てきます。
これでは貸主は、将来の建て替えや修繕に備えることすらできません。
立ち退き料については下記記事で詳しく解説しています。
以上、立ち退き料について見てきました。
日本においては借主の権利が強く保障されているので、貸主にとっては頭の痛い問題です。
ではどのような物件が定期借家に向いているのでしょうか。
定期借家にすべき3つの物件条件
普通借家と定期借家を使い分けて契約することで、高額な立ち退き料や思いもよらぬトラブルを防ぐことができます。
定期借家にすべき物件は、下記3つの条件の時です。
- 店舗向け賃貸
- 期間限定の賃貸
- リノベーションを考えている物件
それぞれ見ていきましょう。
店舗向け賃貸の場合
例えば建物の老朽化、建て替え、移転の際など、貸主の都合でテナントに退去を求めることがあります。
これまで見てきたように、テナントと普通借家契約結んでいると高額の立ち退き料を支払わなければなりません。
そうした事態を防ぐためにも、店舗向けに貸し出す場合は定期借家契約が適っています。
期間限定の賃貸の場合
例えば滞在年数の決められた海外赴任などで、その間使用しない自宅を貸し出したい、といったものです。
住宅の場合は普通借家契約が一般的ですが、だからといってこの場合にも普通借家契約を適用してしまうと、自分が自宅に戻る際に借主が退去しないといったことや、立ち退き料が発生してしまうといったトラブルが起きかねません。
そのため、期間限定の賃貸住宅を考えている場合には定期借家契約が良いでしょう。
住宅で定期借家契約にすると家賃が相場の半額近くに安くなりますので、借主が見つかりやすくなる可能性があります。
それゆえ、物件の条件や入居期間のニーズが合えば、有効な手法といえるでしょう。
不在の間の自宅を、少しでも活用したい人にオススメです。
リノベーションを考えている物件の場合
さらに、住居用物件であっても近い将来、リノベーションを行って価値を上げたいと考えている貸主にも、定期借家契約がオススメです。
内装設備や基礎部分の修繕をおこない、より安全に使いやすくするリノベーションで付加価値を高めることができます。
しかし最近では、リノベーションされた築古の住宅が、いわゆる「昭和」の雰囲気を味わいたいという人や外国人に人気が高まっているので、さらなる付加価値がつき、需要を見込める可能性があります。
いざリノベーション工事や内装を実施するとなると、借家人には退去してもらう必要があります。
普通借家契約の住宅の場合、こうした理由で退去を求めることは難しく、借主が複数いる場合はさらに交渉だけで難航してしまいます。
しかし、新たな入居者との契約を定期借家契約とすれば、こうした退去にかんするトラブルが起きません。
新しい入居者とは定期借家契約で締結することをオススメします。
尚、住居の賃貸借契約では、平成12年3月1日以降に契約された賃貸借契約であれば、普通借家から定期借家契約に切り替えても良いというルールがあります。
既存の入居者を定期借家契約に切り替える場合には、当初の契約締結日に注意が必要です。
定期借家を締結する際の注意点
定期借家として物件を契約締結する際は、書面で契約書を出さねばなりません。
さらに、「更新がなく、賃貸期間が満了することにより入居期間が終了する」ことを、書面にて説明する必要があります。
この説明を怠ってしまうと、当該物件は「普通借家」契約となってしまいます。
ちなみに、普通借家契約は口頭での契約が可能です。
また、賃貸期間が終了する際も、1年前から6ヶ月前までの間に、貸主は借主に契約が終了する旨の通知をする必要があります。
貸主・借主ともに契約期間を忘れがちになるので注意しましょう。
契約終了の通知は口頭でも可能ですが、「言った、言わない」のような思わぬトラブルを避けるため、こちらも書面で通知した方が良いでしょう。
なお、貸主と借主が合意すれば、契約終了後の再契約は可能です。
以上、定期借家にすべき物件と注意点を見てきました。
期限を設定することで、立ち退き料の発生といった問題もクリアできます。
次に、普通借家にすべき物件を見ていきましょう。
普通借家にすべき物件は住宅として貸し出す場合
定期借家と比べると普通借家は貸主の立場が強いので、定期借家契約を結びたいと考える貸主もいるかもしれません。
しかし、借主の立場に立てば、定期借家契約の住宅は借主の権利が弱いため、借りにくい物件となります。
普通借家として賃貸市場に出す方が、借主が見つかりやすく、貸主にとっては相場の家賃で貸し出すことができ、空室のリスクが回避できるでしょう。
まとめ
定期借家と普通借家の違いとついて見てきました。
賃借しようとする物件の性質により、定期借家も普通借家のどちらを選択するかで円滑に賃借がおこなえるか変わってきます。
両者の特徴を理解し、借主・貸主ともに自分に合った賃借契約を選択しましょう。