もし、定期借地権のマンションを売ろうと考えているのであれば、早く売った方が良いです。
定期借地権付きマンションを売る場合は、1日でも早く売らないと資産価値はどんどん落ちていきます。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 定期借地権って、そもそも何なの?
- 定期借地権だと、マンション売却は不利になるの?
- 定期借地権のマンションを売るとしたら、どうしたらいいの?
そこでこの記事では、「定期借地権のマンション売却」にフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、定期借地権のマンション売却は早くやった方が良い理由について知ることができます。
定期借地権とは
最初に、改めて定期借地権とは何かについて解説します。
借地とは、土地を借りる権利のこと
借地の権利には「普通借地」と「定期借地」の2種類があります。
「普通借地」と「定期借地」の違いは、借主が借地期間満了時に借地契約を更新できるかどうか。
普通借地は更新ができ、定期借地は更新できない契約となります。
更新できれば、引き続き土地を借りることができるため、半永久的に土地を利用できます。
普通借地の場合、借地借家法により借主の権利が強く守られているため、借主側から更新の申し出をすると、ほぼ間違いなく借地契約は更新することができます。
一方で、定期借地権は、更新という制度がなく、解約期間満了時、必ず土地を返さなければなりません。
しかも、土地を返す場合の返還形態は、「更地」です。
マンションのような建物が建っている場合、マンションを取り壊した状態で更地にして返還することとなります。
定期借地権は、借地借家法によって地主の権利が守られています。
普通借地権は、極端に借主の権利が強いため、地主は一度土地を貸してしまうと二度と戻ってこないという特徴があります。
二度と戻ってこないような借地であれば、地主としては安心して貸すことができません。
普通借地権は、地主の権利があまりにも弱く、バランスを欠いていたことから、平成4年に定期借地制度という制度が導入されました。
定期借地制度とは
契約期間の満了により、更新されることなく土地の賃貸借関係が終了する契約制度。平成3年(1991)の借地借家法改正により、平成4年(1992)に導入された。定期借地権制度。→定期借家制度
[補説]通常の借地契約とは異なり、法定更新の適用がないため、契約期間終了後、土地は貸し主に確実に返還される。一方、借り主は、購入する場合より低い費用負担で土地を利用できる。定期借地権には、一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3種類があり、一般定期借地権と建物譲渡特約付借地権は書面による契約の締結が必要。※出典:コトバンクより
定期借地制度が導入されたことにより、地主からすると安心して土地を貸すことができるようになり、定期借地なら借地を応諾する地主が増えました。
定期借地権付きマンションも、定期借地制度が導入された以降のマンションであるため、比較的新しい形のマンションということができます。
定期借地権マンションと一般的なマンションの違い
定期借地権マンションと一般的なマンションの違いを表にまとめました。
比較項目 | 定期借地権マンション | 一般的なマンション |
---|---|---|
成約価格 | 一般的なマンションの7割程度 | 定期借地権マンションより高い |
利用期間の制限(契約期間) | 期間あり(50年以上) | 期間なし |
契約期間満了時の処理 | 建物を取り壊し、更地にして返す | – |
固定資産税・都市計画税 | なし | あり |
地代 | あり | なし |
住宅ローン | 付きにくい | 付きやすい |
一般的なマンションの7割程度の価格で購入できるのが、定期借地権マンションの特徴になります。
定期借地権の種類や存続期間については次の章で詳しく解説します。
マンションの一般定期借地権とは
定期借地権とは、「一般借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。
3種類の比較をすると、下表のようになります。
比較項目 | 一般借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | 事業用定期借地権 | |
---|---|---|---|---|
存続期間 | 50年以上 | 30年以上 | 10年以上30年未満 | 30年以上50年未満 |
利用目的 | 限定なし | 限定なし | 事業用建物 (居住用は不可) | |
契約書式 | 公正証書等の書面により契約 | 書面化は不要 | 必ず公正証書で契約する | |
借地関係の終了 | 期間満了により終了 | 建物譲渡の時点で終了 | 期間満了により終了 | |
契約更新、終了時の建物とその利用関係等 | 以下の特約が可能 ①更新しない ②建物再築に伴う相続期間の延長をしない ③建物買取請求権を行使しない |
①建物所有権は、譲渡により土地所有者に移転 ②借地権者が使用していれば借家関係に移行 |
①更新不可 ②建物再築に伴う存続期間の延長不可 ③建物買取請求は不可 |
以下の特約が可能 ①更新しない ②建物再築に伴う相続期間の延長をしない ③建物買取請求権を行使しない |
3種類の定期借地権の違いは、主には定期借地権の存続期間と利用目的がポイント。
まず、事業用定期借地権は、名前に「事業用」と付いているくらいなので、「居住用」であるマンションには利用できません。
事業用定期借地権は存続期間も最長でも50年未満となっています。
また、建物譲渡特約付借地権という定期借地権も存在します。
建物譲渡特約付借地権は、借地の契約期間の満了時に地主が借地人の建物を買い取って借地が終わるという意味不明の契約です。
地主は30年以上も使った古い建物を購入しなければならず、建物譲渡特約付借地権は地主にメリットがありません。
そのため、建物譲渡特約付借地権はほとんど使われていないのが実態です。
そこで、マンションで定期借地を使う場合は、残りの一般定期借地権が使われることになります。
一般定期借地権は、用途の縛りがないため、居住用のマンションでも利用可能です。
また、存続期間が50年以上であることがポイントとなります。
定期借地権のマンションは、一般定期借地権が利用されていることが多いため、借地の存続期間は50年以上としている物件がほとんどになります。
以上、ここまでマンションの一般定期借地権について見てきました。
では、定期借地のマンションの価値はどのように決まるのでしょうか。
マンションの価値は借地の利用期間の制限(契約期間)で決まる
定期借地権付きマンションの価値は、借地の利用期間の制限(契約期間)で決まります。
定期借地権は、最終的に借地期間満了後、マンションを取り壊して更地にして地主に返すことになります。
借地期間が50年だとしたら、50年目に確実に取り壊しを行います。
普通のマンションの価格は土地価格と建物価格の合計で構成されています。
一般的に、普通のマンションであれば築50年目でも価格はゼロにはなりません。
仮に築50年目で建物価格がゼロになっていたとしても、土地価格がゼロにはならないため、普通のマンションの場合、どんなに古くなったとしても価格がゼロになることはないのです。
一方で、定期借地権付きマンションの場合、借地期間満了時、理論上、マンション価格がゼロになることがあり得ます。
まだ国内の定期借地権付きマンションで、借地期間が満了したマンションの存在しないため、本当にゼロになるかどうかは分かりませんが、理論的にはゼロになることが予想されます。
定期借地権付きマンションでは、借地期間満了時は、建物は壊さなければいけなくなります。
壊す予定の建物には経済価値はありません。
また、土地については借りる権利もなくなることから、土地に対する利用権が存在しないため、土地にも経済価値が発生しないです。
そのため、定期借地権付きマンションは、理屈の上では新築当初が価格は一番高く、その後ずっと下がり続け、最後はゼロ円ということになります。
定期借地権付きのマンション価値は借地の残存期間に比例して高くなる
つまり、定期借地権付きマンションの価値は、借地の残存期間は長ければ長いほど高くなり、短ければ短いほど低くなるということです。
普通のマンションであれば、景気の上向いたときに土地価格が上昇するため、土地価格の上昇パワーにより中古マンション価格が上がるときがあります。
しかしながら、土地価格のない定期借地権付きマンションは、価格は下がる一方であり、価格が上がることは考えにくいです。
定期借地権付きマンションは価格が下がり続けるため、高く売るのであれば、一日でも早く売った方が良いです。
以上、ここまでマンションの価値は借地の残存期間で決まることについて見てきました。
では、なぜ定期借地権マンションは売りにくいのでしょうか。
定期借地権マンションが売却しにくい3つの理由
定期借地権マンションが売却しにくい理由は、主に以下の3点です。
- 住める期間が限定されている
- 地代が高い
- 住宅ローンが組みにくい
理由1.住める期間が限定されている
定期借地権は、借地の存続期間が決まっている以上、築年数が古いほど、購入者が住める期間が短くなります。
例えば、借地期間が50年のマンションの場合、1年目で売るのと、49年目で売るのでは条件が全く異なります。
49年目で売ったら、誰も購入する人が現れない可能性があります。
購入者もせっかく買うのであれば、長い期間住める物件を購入するのが普通です。
定期借地権付きマンションは、住める期間が限られているため、売却しにくくなっているのです。
理由2.地代が高い
もう一つ、定期借地権マンションが売却しにくい理由として、地代が高いという点があります。
定期借地権付きマンションは、土地の固定資産税を支払う代わりに、借地料として地代を支払います。
地代は固定資産税よりも高いため、買主は通常のマンションよりもランニングコストが高くなってしまいます。
また地代以外にも、期間満了で建物を解体するときの解体費用を月々徴収するための解体準備金を支払うケースもあります。
住める期間が短く、ランニングコストも高いため、定期借地権付きマンションは売却しにくいのです。
理由3.住宅ローンが組みにくい
不動産を購入するときには、住宅ローンを組むのが一般的です。
しかし、購入予定のマンションが定期借地権付きだと住宅ローンの審査が厳しくなりやすいです。
大きな理由として、担保価値の低下が挙げられます。
金融機関による住宅ローン審査は、以下の項目によって融資の可否を判断します。
- 借入者の年収や自己資金、会社規模
- 借入者の信用情報
- 不動産の担保価値
上記のうち「不動産の担保価値」という項目において、定期借地権マンションは価値が低いと判断されてしまいます。
通常、住宅ローンを組むときには土地と建物の両方を担保に入れます。
しかし借地権の場合、土地所有者は地主なので、地主の承諾がなければ抵当権を設定できませんので、基本的に銀行が抵当権を設定できるのは建物のみになります。
このような理由から借地権の住宅ローン審査は厳しくなりやすいです。
以上、ここまで定期借地権マンションが売却しにくい理由について見てきました。
では、売却したい場合はどうすれば良いのでしょうか。
定期借地権のマンションを売却するならとにかく早く売ること
定期借地権のマンションを売却するならとにかく早く売ることです。
定期借地権付きマンションは、元々、所有権のマンションと比べると資産価値の低いマンションであるため、購入者の多くは途中での売却を想定していません。
しかしながら、途中で売却するのであれば、その価値は借地権の残存期間によって決まるため、売却するなら1日でも早く売るべきです。
売却を先送りにするほど、売りにくくなっていくため、売るのであれば、とにかく早めに売るようにして下さい。
売却に関しては、価格を非常に低く設定する必要があります。
低くなる理由は、通常のマンションと比べて土地の所有権がなく、かつ、購入後のランニングコストも高いためです。
周辺の所有権のマンション相場と比べると、価格は低くしないと売れません。
定期借地権付きマンションは、まずは売れる値段で価格設定することが重要となります。
定期借地権付きマンションを売るには、価格設定が非常に重要となりますので、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な価格を設定してから売却するようにしましょう。
複数社の査定は不動産一括査定が大変便利です。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
一括査定サイトのオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
上記を見ると超大手だけに依頼ができる「すまいValue」だけで良いように思えます。
ただし、不動産売却を成功させるなら大手だけではダメ。不動産会社には得意・不得意があるためです。
だから下記のように複数の不動産一括査定サイトを併用して大手・中堅・中小にも依頼できるようにするのが成功の秘訣です。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
もしなかなか売却できない場合には、買取も有効な売却手段。
買取とは、転売を目的とした不動産会社の仕入です。
価格はかなり安くなりますが、売却しにくい難しい物件でも売却できるというメリットがあります。
買取については、以下の記事にまとめてありますので、ぜひご参照ください。
まとめ
定期借地権のマンション売却は早くやった方が良い理由について見てきました。
定期借地権付きマンションは、年数が経つほど売りにくくなります。
売却すると決めたら、1日でも早く売るようにしましょう。