家やマンションの売却によって、新たな新居に引っ越すと住民票を異動することになります。
住民票は、場合によっては不動産売却に必要な書類になったり、売却後の確定申告に必要な書類にもなったりします。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 住民票っていつ移せばいいの?
- 不動産売却で住民票が必要になるケースってどういう時なの?
- 売却後の確定申告になんで住民票が必要になるの?
そこで今回の記事では不動産売却における「住民票」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたは不動産売却における住民票の取り扱いについて理解し、確定申告でお得な特例も活用できるようになります。
不動産を売却して引越しが決定!住民票を移すタイミングは?
まず最初に不動産を売却して新しいところに引っ越した場合に気になるのが「いつまでに」住民票を移せば良いのか、だと思います。
引越しから14日以内
不動産を売却して新居に引っ越すと、住民票を移す必要があります。
結論を先にお伝えすると、住民票は引っ越した日から14日以内に異動手続きを行う必要があります。
住民票を移すのは国民の原則「義務」であり、怠ると罰則としては5万円以下の過料があります。
ただし、以下のような場合では住民票異動は義務ではありません。
- 新住所に住むのが1年以内の場合
- 生活の拠点が異動しない場合
不動産を売却して引越をする場合は、ほとんどの方が生活の拠点が変わることになると思われますので、住民票の異動は必須になるでしょう。
異動しないといざという時に困る3つの理由
住民票の異動を怠ると、下記のような不便なことが起きます。
- 新住所での選挙権が行使できない
- 確定申告が旧住所を管轄する税務署になる
- 印鑑登録などの書類が旧住所になる
住民票異動には、旧住所の転出届が必要。
遠方へ引っ越す方は忘れずに市区町村役場から転出届をもらいましょう。
以上、ここまで住民票を移すタイミングについて見てきました。
それでは次に住民票が売却に必要となるかについて見ていきます。
不動産売却時に住民票が必要となる場合がある
結論からすると、不動産売却時に登記名義人の現住所が登記上の住所と異なる場合には住民票が必要となります。
別の言い方をすると、買い先行(先に新しい新居を決定すること)で買換えを行って、既に住民票を新住所に移してしまった方は、住民票が必要です。
また遠隔地の不動産を売却する場合でも、昔の住所で登記したままであれば住民票が必要です。
住民票は変更登記に必要な書類。
住所の異動が判明する書類であれば、別に住民票である必要はありません。
例えば住民票除票、戸籍の附票等が代用書類となります。
住民票や住民票除票、戸籍の附票等を用いても住所の異動の繋がりが判明できない場合は、新たに不在住・不在籍証明書等の取得が必要となります。
登記住所と現住所が同一の人は、売却時には住民票は不要となります。
ただし、確定申告で税金控除される特例を使う方は必要となるケースがあります。
後ほど詳しく説明します。
住民票以外で不動産売却での必要書類
住民票以外で、売却に必要な書類は以下になります。
これらの書類は、住民票の異動とは無関係に必要となります。
- 権利証または登記識別情報通知書
- 実印
- 印鑑証明書(3か月以内に発行のもの)
- 固定資産税・都市計画税納税通知書
- 管理費、修繕積立金の額の確認書等(マンションの場合)
- 固定資産税評価証明書
- 鍵(複製も含め全部)
- パンフレット(分譲時のもの、特に無ければ不要)
- 実測図(戸建の場合)
- 境界確認書(戸建の場合)
- 設計図書(戸建の場合)
- 建築確認通知書及び検査済証(戸建の場合)
- 協定書(建築協定書などがある場合)
- 管理規約(マンションの場合)
- 使用細則(マンションの場合)
- 抵当権抹消書類(銀行が用意するもの)
- 本人確認書類(運転免許証など、司法書士用)
不動産売却の必要書類については下記記事で詳しく説明しています。
以上、ここまで不動産売却で住民票が必要となるケースについて見てきました。
それでは次に住民票が必要となる買換えのケースを詳しく説明していきます。
不動産売却で住民票が必要な「買い先行」
不動産を買換える場合、
- 不動産を売ってから買うのを「売り先行」
- 不動産を買ってから売るのを「買い先行」
と言います。
買い先行で買換えを行うと、引越後14日以内に住民票を異動させる必要があります。
このタイミングで売却物件の登記上の住所と現住所が異なる状態が発生。
そのため買い先行では不動産売却で住民票が必要になってくるのです。
買い先行のメリット
住民票を考慮すると、買い先行は少し面倒な印象を受けます。
ただし、買い先行には新居をじっくり探せるというメリットがあります。
買換える不動産に中古不動産を購入する場合、気に入った不動産がタイミングよく出てくるとは限りません。
中古不動産の購入については、購入活動期間に余裕を持たせる必要があるため、買い先行の方が納得のいく買換えができるようになります。
買い先行のデメリット
買い先行では、売却額が確定していないため、デメリットとして資金計画が悪い方向に狂う可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、あらかじめ売却物件の査定を取っておくことが必要。
買い先行の場合は、保守的に資金計画を立てておくと安心です。
そのため複数の会社から査定を取り、最も低い査定額の90%程度の金額を予想売却額としておく保守的な計画を立てることがポイント。
査定については、買い先行で不動産を購入する前に行っておくのが良いでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するのは「不動産一括査定が大変便利」です。
不動産一括査定で机上査定をしてもらう
不動産一括査定を使えば、机上査定(簡易査定)が選択でき、メールで査定額がもらえます。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
申込みは無料で行なえますし、「机上査定(簡易査定):訪問せずに取引実績等のデータから予想した金額の提示」を選択できるようになっています。
机上査定ができるオススメサイト
また、とりあえず査定額が知りたい方は要望欄に「メールで査定額を希望」と記載しておきましょう。
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
不動産売却で買換えによる税金控除の特例を受ける場合は住民票が必要
居住用財産(マイホーム)の買換えを行う場合、譲渡益が出た場合と譲渡損失が出た場合で、それぞれ使える税金控除の特例があります。
不動産を売却した時は譲渡所得に対して税金が発生します。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額)-取得費(購入額)-譲渡費用(売却に掛かった経費)
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用
譲渡所得がプラスの場合は「譲渡益」、譲渡所得がマイナスの場合は「譲渡損」と言います。
譲渡益が出た場合
譲渡益が出た場合は、下記の3つの特例が使えます。
譲渡益 | 譲渡の種類 | 特例 |
---|---|---|
譲渡益が生じる場合 (所得税が発生) | 売却 | 3,000万円の特別控除 |
売却 | 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 | |
買換え | 特定の居住用財産の買換え特例 |
上表で示した「買換え」の時は住民票が必要になります。
譲渡損が出た場合
譲渡損失が出た場合は、下記2つの特例があります。
譲渡益 | 譲渡の種類 | 特例 |
---|---|---|
譲渡損が生じる場合 (所得税が戻ってくる) | 買換え | 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
売却 | 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
上表で示した「買換え」の時は住民票が必要になります。
居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の繰越控除は国税庁のページで解説されています。
確定申告に必要な書類
これらの特例を適用させるためには、「確定申告」が必要となります。
確定申告は、何も税金を納めるだけにするものではありません。
お得な特例を受けるためにも確定申告という作業が必要となります。
そこで上述の特例を適用させるために、以下の書類が必要となります。
必要書類 | 特定の居住用財産の買換え特例 | 居住用財産の買換えに係る 譲渡損失の損益通算お飛び繰越控除の特例 |
---|---|---|
住民票の除票 | 〇 | 〇 |
譲渡資産の登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
買換え資産の登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
新しい住民票 | 〇 | 〇 |
譲渡所得計算明細書 | 〇 | 〇 |
その他 | 買換え資産の耐震基準適合証明書 | 買換え資産の住宅借入金の残高証明書 |
これらの確定申告には、「住民票の除票」と「新しい住民票」の2つが必要となることがポイントです。
特例を受けるためにも住民票の届け出は忘れないようにしましょう。
確定申告の詳細については下記記事を参考にしてください。
まとめ
不動産売却と確定申告の必要書類で登場する住民票について解説してきました。
住民票は、現住所と登記住所が異なる人は売却時に必要です。
そうでない人でも、特例を受けるためには確定申告に必要な書類となります。
住民票は、しっかりと準備しておきましょう。