昨今は不動産市場が高騰しており、古くなった木造アパートを売却する絶好のチャンスです。
ただ、木造アパートは売り方を間違えると全く値段が伸びません。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 木造アパートの良い売却方法を知りたい
- 木造アパートをこのままの状態で売却すべきか迷っている
- 相当に古い木造アパートはどのように売却すればいいのか知りたい
結論からすると、木造アパートは築年数や空室状況によって取るべき売却戦略を変えていく必要があります。
そこで今回の記事では、木造アパートの「売却」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたは木造アパートの適切な売却方法を知ることができます。
木造アパートの2つの売却戦略
木造アパートは耐用年数も短いことから、収益物件としての寿命が短いという特徴があります。
収益物件としての「旬の時期」が過ぎてしまうと、値段がほとんどつかないこともあります。
収益物件として売れなくなると、収益物件として売るのではなく、取り壊して更地化して売却した方が価値は出ます。
そのため、木造アパートを売却する場合は、
- 収益物件として売却するのか
- 更地として売却するのか
の戦略を立てる必要があります。
木造アパートも築20年以内であれば、収益物件としての機能を十分に果たします。
この場合は、収益物件として収益を最大化した状態で売却することが、最も売却価格が上がります。
一方で、木造アパートでも築30年を超すと、空室が目立ち、どんなリフォームを施してもなかなか入居者が決まらないような状況になります。
このような状態になってしまえば、収益物件としてではなく、更地にして売却した方が価値は上がります。
築20~30年の間の木造アパートでは、判断はその物件の状態によって分かれます。
入居率を60%以上にしてから売却する
入居率が60%以上あるような物件であれば、入居者を埋めてから売却することで価値が上がります。
それに対し、入居率が20%以下であれば、その20%の入居者は退去させてしまい、更地にしてから売却を行います。
木造アパートを売却するには、
- 空室を埋めてから売却する方法
- 入居者を退去させてから売却する方法
の2つの戦略があります。
まだまだ収益物件として使えそうであれば、空室を埋めてから売却する戦略を採用します。
一方で、もう収益物件として使命を終えているような物件であれば、残りの入居者を完全に退去させてから売却する戦略を採用します。
それでは次章より、それぞれの戦略について具体的に見ていきましょう。
空室を埋めてから売却を考える
早期に埋める方法
最初に、「空室を埋めてから売却する方法」について解説します。
この方法は、収益物件として売却する方法ですので、ターゲットとなる買主は個人投資家になります。
個人投資家が最も気にするのは、その物件の収益性です。
満室稼働になっていれば、物件に対する評価は上がります。
投資家が許容できる空室率は、一般的に5%程度です。
20%以上も空室があるような物件であれば、その物件に対し懐疑的な見方となるため、厳しい価格条件を突きつけられることになります。
そのため、収益物件として高く売却するには、現在の空室を早期に埋めて満室の状態にすることが重要なポイントになります。
空室を埋めるには広告を強化してもらう
早期に空室を埋める場合は、不動産会社へ支払うAD(広告宣伝費)を上乗せする方法があります。
ADとは、仲介手数料以外に入居者を決めてくれた不動産会社へ支払う費用
別名、業者インセンティブ(動機付け)とも呼ばれています。
賃貸仲介の場合、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料は、賃料の1ヶ月分が上限額となります。
例えば、家賃が7万円のような物件では、不動産会社が手にする仲介手数料は7万円です。
ところが、不動産会社がSUUMOやアットホームに物件広告を載せる場合、広告掲載料が発生しています。
さらに物件案内や広告作成等の人件費を考慮すると、アパートの賃貸仲介では、ほとんど利益を上げることはできません。
そこで登場するのが業者インセンティブと呼ばれるADです。
例えば、どうしても早く入居者を決めたい場合は、ADを賃料の4ヶ月分支払うようなことも行います。
「この物件を決めてくれたら、AD4ヶ月分支払いますよ」と不動産会社に言っておけば、不動産会社もやる気(動機付け)を出してくれます。
優先的に高いADの物件を入居希望者に紹介してくれるので、早く空室を埋めることができます。
ADをうまく活用して早期満室を図るようにしましょう。
対応しておきたい修繕
収益物件として売却するということは、購入者が引き続き収益物件として持ち続けるということを意味します。
すると、収益性の他に買主と指摘になる部分は、今後の修繕予定です。
自分が購入した後に、どれほどの修繕が発生するのかが気になります。
木造アパートであれば、給湯器が大きな修繕項目になります。
給湯器は築10年を過ぎても、壊れなければそのまま使えます。
ただし、放っておけば近い将来壊れることは確実です。
例えば、築15年を過ぎた木造アパートで、給湯器を1つも交換していないような物件の場合、買主としては今後すぐに修繕費が発生することを警戒します。
築15年を過ぎた物件であれば、「給湯器の交換」や「外壁塗装」は既にやってあるという状態にしておくと、高く売却しやすくなります。
売却する際は、修繕履歴をきちんと提出できるようにしておくことが望ましいです。
修繕履歴をきちんと残しておき、管理の行き届いた良い物件であることをアピールしましょう。
以上、ここまで埋めてから売る方法について見てきました。
それでは次に逆パターンである退去させてから売る方法について見ていきます。
退去させてから売る
立退きの基礎知識
この方法では、取り壊して更地として売却する方法。
ターゲットとなる買主は自宅の戸建用地として土地を購入する人か、新築のアパートを建築するために土地を購入する個人投資家になります。
更地にすることでターゲットの幅が広がり、土地価格が上昇します。
また自宅の戸建用地として購入する人は、気に入ればその土地を高く購入してくれる人たち。
そのため自宅の戸建用地として購入する人は、土地を高く購入してくれる可能性があります。
そのため、入居率が2割程度しかないような物件であれば、全ての入居者を立退かせてから売却した方が高くなります。
入居者の立退きをする場合、必要な知識があります。入居者を立退かせるには、建物所有者に正当事由が必要になります。
正当事由とは、賃貸人がどうしてもその建物を必要とする強い理由
「物件を売却したい」とか「建物を取り壊したい」というような理由は正当事由にはなりません。
よって、売却のために立退かせることは、正当事由が存在しないため、立ち退きはあくまでも「お願い」事項になります。
仮に、入居者が立退きに反対し、どうしても退去したくないという話になれば、立ち退かせることは出来ません。
裁判になって争いになるとオーナー側が負ける可能性があります。
よって裁判になるような事態を避けるため、立退料を別途支払うことで、なんとか納得してもらうことになります。
住宅の場合、立退料としては引越代程度が目安です。
一戸あたり、概ね50万円程度はかかるものと覚悟しておきましょう。
立退きの手順
立退きについては、貸主である賃貸人が自ら入居者へ申し出る必要があります。
立退きのような法律行為は、弁護士以外の第三者が代理で行うことはできません。
そのため、管理会社に立退きを代理で依頼することはできないことになります。
わざわざ弁護士に頼んでしまうと、もっと費用がかかってしまうため、立退きはオーナーから直接申し出ることが通常です。
立退きの話になると、知恵のついている入居者は立退料を要求してきます。
ここであまり揉めないよう、ある程度の立退料は払うことは提示してください。
ただし、立退料のことは他の入居者に知られたくないことなので、あくまでもその入居者限りの話であることを約束して話を勧めることが重要です。
入居者によっては立退料を支払わなくても立退きができる可能性があるからです。
立退きの申し出と同時に、不動産会社にも協力してもらい、近隣に募集中の代替物件も提示してあげることが親切です。
他の物件へのあっせんは、不動産会社の商売になることですので、積極的に協力してもらうようにしましょう。
入居者もすぐに退去はできません。
全入居者を完全に退去させるためにも、退去のスケジュールは半年から1年程度見込んで計画的に行うことになります。
立退きについては、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。
完全に立退きが完了したら、木造アパートは取り壊して更地で売却することになります。
木造の場合、取壊し費用は、坪4~5万円といったところです。
延床面積が80坪のアパートであれば、320万円~400万円が取壊し費用です。
木造アパートを高く売るなら信頼できる不動産会社を探す
投資などの収益物件の売却は、不動産会社に査定してもらうところからスタートします。
収益物件の主な買主は投資家です。投資家は、通常、収益物件をメインで扱うよう不動産会社で物件を探しています。
逆に言うと、売却の際も、そのような多くの投資家を抱えている不動産会社に頼むのが効率的です。
気をつけなければいけないのは、査定額はあくまで、不動産会社がいくらで売れそうなのかを判断した価格です。
不動産会社ごとに、実績や算出方法が異なるので、不動産会社によって査定額がバラバラになってしまうことが一般的です。
収益物件は、賃料収入など収益性も加味しながら査定をするため、なおさら不動産会社の力量で査定額にバラつきが出てきます。
なので、査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することがとても大切です。
しかし、複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのはとても大変です。
そんな時に不動産一括査定サイトの活用を強くオススメします。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
売却することは決まっておらず、現在の市場価格を確認してみたいという方でも活用出来るので、定期的にチェックしてみるのも良いでしょう。
便利な不動産一括査定サイトですが、筆者が知っているだけでも30はあります。
多くのサイトが乱立し、どのサイトを使えば良いか素人には分かりづらくなってしまっています。
実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つを組み合わせて利用することをオススメします。
- 県庁所在地などの人口が多い市区町村:「すまいValue」「HOME’S」「RE-Guide(リガイド)」を併用する
- 田舎などの人口が少ない市区町村:「HOME’S」「RE-Guide(リガイド)」を併用する
上記オススメサイトの査定依頼フォームでは、「物件の状態」と「賃料」を問う項目があります。(※下記、すまいValueのフォーム画面)
人に貸している収益物件の場合は「賃貸中」にチェックの上、現在の賃料を入力しておきましょう。
収益物件の査定は賃料が大きく関わってきますので、入力しておいた方が正確な査定結果を得ることができます。
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1社の査定依頼でOKという方は、「三井のリハウス」がオススメです。
三井のリハウスは仲介取扱件数 第1位であり、多くの買主情報を持っており、投資家もたくさん抱えています。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
まとめ
木造アパートを高く売却する方法を解説について見てきました。
木造アパートは高く売るために、満室化や退去など、手を加える必要があります。
自分の物件の状況を見て、取るべき戦略を変えて高く売却するようにしましょう。