超高齢化社会となり、親の土地を子供が売らざるを得ない状況になっている人も増えています。
認知症の親を老人ホームに入所させるために、子供が親の土地を売却して資金を捻出するようなことがあります。
また親の土地を売って自分のマイホーム資金の頭金としたい人もいると思います。
そのような人は、売却で得たお金を子供に移す手段が必要となります。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 親の土地を売るにはどのようにしたら良いのだろう
- 親の土地を売るとお金は誰に入るのだろう
- 親の土地を売ってマイホームの頭金とするにはどうしたら良いのだろう
そこで今回の記事では、「親の土地を売る」ことにフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたは親の土地を売る方法や資金の移動の仕方について分かるようになります。
本記事のポイントまとめ
- 親の土地を勝手に売ることはできない
- 親の土地を売るには「代理人」「成年後見人」という2つの方法あり
- 売れない土地を売るためには不動産一括査定の利用を検討する
※詳細は「まずは信頼できる不動産会社を見つけることが大事」に解説
親の土地であっても子供は勝手に売れない
子供が40~50代で会社の要職につき、親が70~80代でリタイア生活を送っていると、子供の方が判断力は優れているような時期があります。
そのような時期であれば、親の土地を子供が売った方が、まともに高く売れる場合があります。
親が認知症であれば、判断は尚更子供に委ねた方が良くなります。
しかしながら、親子であっても、子供が親の土地を勝手に売ることはできません。
子供が頑張って高く売ったとしても、お金は親の元に入ります。
では、具体的に親の土地を売るにはどのようにしたら良いのでしょうか。
そこで最初に代理人として売る方法についてご紹介します。
親の土地を売るには「代理人」「成年後見人」という2つの方法あり
冒頭でも説明したとおり、親の土地であっても勝手に売却することはできません。
先に結論を言うと、売却するには下記2つの方法があります。
- 代理人として売却する
- 成年後見人として売却する
では1つずつ見ていきましょう。
方法1.代理人として売却する
親子に限らず、本人が他人に代理権を与えれば、代理人は本人になり変わって不動産を売却することができます。
これを任意代理と言います。
任意代理は、例えば海外に住んでいる姉が妹に代理を頼んで姉の不動産を売却するようなケースで行われます。
委任状を作れば代理の売却は不可能ではありません。
ただし、代理とは、本人に成り代わって判断できる人であり、使者(メッセンジャー)ではありません。
判断の中には、具体的に買主から「あと100万円値引して欲しい」と言われた場合、本人に確認を取ることなく代理人が100万円の値引を了承する判断等があります。
「あと100万円値引して欲しい」と言われた際、「ちょっと本人に確認しないと分かりません」と答えるのは、使者です。
代理は判断まで出来てしまうため、代理権を他人に与えることは、非常に危険な行為です。
親が子供に代理権を与える場合には、委任状で代理人に与える権利を制限することがポイントになります。
任意代理を用いるケースとしては、親の判断力がしっかりとしており、売買契約にどうしても立ち会えないようなケースに限られます。
親子であっても価格等の判断事項は子供に与えず、手続きだけの代理権を与えることがポイントです。
方法2.成年後見人として売却する
親が認知症の場合、制限行為能力者の対象となります。
制限行為能力者とは、単独でできる法律行為が制限されている人のこと。制限行為能力者が単独で行った法律行為について、一定の条件を満たせば取り消すことができる。
制限行為能力者は、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4タイプに分かれており、幼児や重度に精神上の障がいのある方や重度の認知症患者等の人たちが該当します。
親が認知症であれば、子供が成年後見人として売却するという方法があり、家庭裁判所から正式な選任を受けた者が法定代理人となります。
成年被後見人となるには、家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立を行い、成年後見人として家庭裁判所から選任を受ける必要があります。
申立後、家庭裁判所の許可が下りることで、売却ができるようになります。
単に認知症の親から委任状を受けただけでは、代理をすることができないということです。
申立には売買契約書の写しを添付することになりますので、売買契約の諸条件は全て詰めてから申立を行うことになります。
家庭裁判所の許可の審判が確定した後において、許可決定内容と異なる契約を締結したり、内容を変更したりすることができません。
成年被後見人の不動産を裁判所の許可を得ないで行った場合は、その契約は無効となります。
認知症の親の不動産を売却することに関しては、下記に詳しく紹介しています。
田舎の売れない土地の3つの理由と対処法
親の土地が、田舎にあるため、なかなか売れないことがあります。
田舎の土地が売れない原因は、主に以下の3つです。
- そもそも需要がない
- 値段が高過ぎる
- 不動産会社にやる気がない
それぞれ対策を見ていきましょう。
原因1.需要がないことへの対策
田舎の場合、そもそも需要が無いという可能性があります。
周辺は高齢者ばかりで、土地なんか誰も購入しないというようなパターンです。
このような土地の場合、可能性は低いですが、まずは買取業者に買ってもらえないか打診することをオススメします。
プロの不動産会社なら、ひょっとしたら買い取ってくれる可能性もゼロではないため、やってみる価値はあります。
田舎の土地は買取業者でも売却が難しいため、買取業者の中でも「底地買取」を行っているような特殊な買取業者であれば、可能性が上がります。
底地とは借地権が設定されている土地のこと
市場性が著しく低いため、買取のジャンルとしてはかなり特殊。
このようなキワモノを扱っているような買取業者であれば、買い取ってもらえる可能性はあるかもしれません。
また、どうしても手放したいということであれば、個人に寄付をするということも考えられます。
お金は一切入ってきませんが、固定資産税等の支払いからは解放されます。
110万円以下の土地であれば、贈与を行っても、贈与税は発生しません。
贈与の仕組みを上手く利用するため、売却の相手方は個人を選ぶようにして下さい。
原因2.売出価格の対策
2つめのポイントとしては売出価格です。
需要は売出価格とも連動しています。
ある程度、人口がいる田舎であれば、売れない原因は価格が高過ぎると考えられます。
査定の結果、もし土地の坪単価が坪1万円以上しているような土地であれば、不動産取引市場がきちんと機能しているエリアと考えられます。
このようなエリアでは、ちゃんと売れる値段で価格を付ければ売却できる可能性があります。
坪1万円以上でも売れない場合、査定した不動産会社の価格が高過ぎると考えられます。
値段を大胆に下げて、売却することを試みましょう。
原因3.不動産会社へのやる気対策
3つ目のポイントとしては、不動産会社にやる気がないということが考えられます。
不動産会社が受領できる仲介手数料は、取引額に応じて以下のように決まっています。
取引額※1(売買金額) | 仲介手数料の上限額(税抜きの速算式) |
---|---|
200万円以下 | 5%(18万円※2) |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円(18万円※2) |
400万円超 | 3%+6万円 |
※1.取引額は、物件の本体価格をいい、消費税を含まない価格を指します。
※2.空き家などの現地調査が必要な取引の場合(2018年より施行 出典:国土交通省より)
田舎の土地の場合、取引額が400万円以下となることが多く、手数料が最大でも18万円しかもらえないということになります。
例えば200万円の土地の場合、仲介手数料は10万円にしかなりません。
この金額だと、一生懸命売却活動をするほど、不動産会社は赤字となってしまいます。
そのため、このような定額の不動産売買に関しては、手数料が安過ぎて、不動産会社のやる気が出ないということが課題でした。
そこで、平成30年1月1日以降は、価格が400万円以下の物件に関しては、不動産会社が仲介手数料に加え「現地調査等の費用の相当額」も受領することができるようになりました。
ただし、「仲介手数料+現地調査等の費用の相当額」の合計額は税抜18万円を超えないものとされています。
今後は200万円のような物件でも、不動産会社は18万円+消費税を受領することができます。
よって、18万円の手数料を支払うことで、今後は不動産会社のやる気が向上する可能性はあります。
不動産会社のやる気を向上させるためにも、今後の田舎の土地の売却費用は、最大18万円かかると考えた方が良いでしょう。
まずは信頼できる不動産会社を見つけることが大事
不動産売却で大事なことは、「信頼できる不動産会社を探せるか」。
不動産会社によって、得意としている不動産も異なりますし、この地域は得意・不得意などあります。
中には売却金額に数百万、数千万の差が出ることも。
ただ、あなただけの力でそのような不動産会社に出会えることは難しいと思います。
不動産会社を1社1社回って話を聞いていても、逆に迷うことになり時間ばかりが過ぎてしまいます。
そこで筆者がオススメしているのが「不動産一括査定サービス(サイト)」です。
不動産一括査定とはインターネット上であなたが売りたいと思っている不動産情報・個人情報を入力すると、複数の不動産会社が自動的に見つかり一度に査定依頼できるサービス
複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことができ、だいたいの相場観を掴むことができます。一括査定の流れとしては下記の通り。
不動産一括査定を使えば、ネットからカンタンに複数社に査定依頼ができるのです。
不動産一括査定のオススメは「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」
不動産一括査定サイトは似たようなサイトが多くかなり乱立しています。
その中でも信頼性や実績から下記4つをオススメしています。
上記を見ると超大手だけに依頼ができる「すまいValue」だけで良いように思えます。
ただし、不動産売却を成功させるなら大手だけではダメ。不動産会社には得意・不得意があるためです。
だから下記のように複数の不動産一括査定サイトを併用して大手・中堅・中小にも依頼できるようにするのが成功の秘訣です。
売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能
紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。
また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額を送付してください」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。
どの不動産一括査定が「机上査定」「メール要望」が可能かの早見表は下記の通りです。
不動産一括査定サイト名 | 机上査定が対応 | メール要望 |
---|---|---|
すまいValue | ○ | ○ |
SUUMO | ○ | ○ |
HOME4U | ○ | ○ |
イエウール | × | × |
SRE不動産(※旧ソニー不動産) | × | ○ |
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
まずはどこか1-2社の査定依頼でOKという方は、下記の大手2社がオススメです。
評判がいい不動産仲介会社のおすすめランキングについては下記記事をご確認ください。
さてここまでは、売却する方法について解説してきました。
では、スムーズに売却した金額を上手に使うにはどうしたらいいでしょうか。
売却金を子供に移すオススメ有効策は「住宅取得等資金」の非課税制度を使う
親の土地を売ったとしても、お金は親の手元に入ります。
今後、親自身が使うお金であれば良いですが、子供の住宅の頭金等にするためであれば、親の金を子供に移す必要があります。
通常、親のお金を子供にダダであげてしまうと、贈与税がかかります。
贈与には暦年贈与制度と言うものがあり、1年間で110万円までであれば贈与税を非課税にすることが可能。
ただし、子供がマイホームを購入するための住宅取得等資金に関しては、700万円までの非課税贈与枠が認められています。
親から子供へ資金を移動させるには、この「贈与税の住宅取得等資金の非課税制度」を利用するのが最も良いです。
本来は令和2年で終わる予定でしたが、2021年12月10日発表された税制改正大綱により、令和5年12月31日まで、住宅取得資金贈与が延長されています。
住宅取得等資金とは、次のいずれかに掲げる新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を言います。
- 住宅の新築等に先行してその敷地のように供された土地等の取得
- 住宅用家屋の新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得
- 中古住宅用家屋の取得
- 住宅用家屋の増改築等
非課税限度額は、下表の通りとなります。
贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。
※出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
細かい要件などについては、国税庁のHPをご確認ください。
親の土地を売り、マイホームの頭金を子供へ移す場合には、贈与税の住宅取得等資金の非課税制度を利用するのをオススメします。
前述した「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの不動産一括査定サイトを使って、まずは親の土地を高く売りましょう。
不動産一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。
親の不動産を相続することになった場合
親が亡くなって実家の戸建てや土地、マンションなどの不動産を相続したら、その後どのように手続きを進めたら良いのでしょうか?
親の不動産を相続したら、下記のステップで手続きを進める必要があります。
不動産相続したらやるべき5ステップ
- ステップ1.遺言書の有無を確認
- ステップ2.相続人の調査
- ステップ3.相続財産調査
- ステップ4.遺産分割協議
- ステップ5.遺産分割協議書の作成
まとめ
親の土地を売る方法とお金を子供に移す方法について見てきました。
親の土地を売るには、代理人として売るか成年後見人として売る方法があります。
お金の移転に関しては、贈与税の住宅取得等資金の非課税制度を利用するのが良いです。
また田舎の売れない土地は、買取業者の活用や価格の見直しを行い、工夫しながら売却するようにしましょう。