強制執行とは?不動産執行の流れ7ステップと住み続ける方法

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強制執行とは、勝訴判決を得たり、相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれなかったり、建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に、判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続のこと

強制執行について知りたいと思っている人の中には、

  • 強制執行って怖い響きがあるけど、一体何のことなの?
  • 不動産執行の場合、何が行なわれるの?
  • 不動産執行されても今の家に住み続けたい。どうすればいいの?

等々のことを思っている人も多いと思います。

そこでこの記事では、「強制執行とは」ということにフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、強制執行とは何なのか、不動産執行の流れや、今の家に住み続ける方法について知ることができます。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定や開発用地の仕入れ担当を11年間に渡り従事。オフィスビル・賃貸マンション等の開発も行っていたことから、土地活用・不動産投資の分野に強い。

資格不動産鑑定士・中小企業鑑定士・宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン資格

1.強制執行とは

  • 強制執行とは、民事執行手続きの一つ
  • 民事執行手続とは、お金を貸した人(債権者)の申立てにより、裁判所がお金を返済しない人(債務者)の財産を差し押えてお金に換え(換価)、債権者に分配することで債権者に債権を回収させる手続

民事執行には「強制執行」「担保権の実行手続き」の2種類あり

民事執行には、「強制執行」と「担保権の実行手続き」の2種類があります。

  • 強制執行とは、判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続き
  • 担保権の実行手続きとは、債権者が債務者の財産について抵当権などの担保権を有しているときに、これを実行して当該財産から満足を得る手続き

「強制執行」と「担保権の実行手続き」の違いは、債務名義があるかどうかです。

債務名義とは、判決や和解調書、調停調書など、裁判所が作った執行力を付与された公の文書のこと

例えば、離婚して離婚調停を経て裁判所から得る書類に調停調書があります。

調停調書に基づき、相手方の不動産などを差し押さえて換価する手続きは、強制執行に当たります。

一方で、銀行が住宅ローン滞納者の不動産を売却する場合は、抵当権に基づいて競売を実行します。

抵当権に基づいて競売を行うときは、債務名義に基づいてはいないため、担保権の実行手続きに分類されます。

「強制執行」も「担保権の実行手続き」も、いずれも債権回収手続きであり、それぞれ「不動産執行手続き」と「債権執行手続き」の2つが存在します。

不動産執行手続きは主に競売

不動産執行手続きとは、主には競売です。

裁判所を通じて不動産を強制的に売却し、換価した現金を回収する手続きを競売と呼んでいます。

債権執行手続きとは、債権者が債務者の勤務する会社を第三債務者として給料や、債務者の預金のある銀行を第三債務者として銀行預金を差し押さえ、それを直接取り立てること等により債権の回収を図る手続き

競売については下記記事で詳しく解説しています。

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強制執行で差し押さえられるものには以下のようなものがあります。

強制執行で差し押さえられるもの

財産の種類内容
不動産土地、建物
準不動産自動車、建設機械、船舶、航空機
動産時計、宝石、有価証券、庭石・庭木
債権給料、預金口座、家賃請求権、敷金債権
その他著作権

債務者がサラリーマンの場合、会社に対して給料を請求できる債権があります。

また、銀行に対しては預金を引き出せる債権があります。

債務者がアパートを経営していれば、入居者から家賃をもらえる債権があります。

一方で、債務者が賃貸物件を借りている場合には、退去時に敷金を返還してもらえる債権もあります。

これらの債権も差押えることができますので、債権を差し押さえて「強制執行」または「担保権の実行手続き」を行う場合には、「債権執行手続き」を行うことになります。

以上、ここまで強制執行について見てきました。

では、不動産執行はどのような流れで行なわれるのでしょうか。

そこで次に、不動産執行の流れについて解説いたします。

2.不動産執行の流れ7ステップ

強制執行は、債権執行手続きも可能ですが、債権は他人から見ると、どれくらいの資産を持っているのか把握しにくい部分があります。

第三者であれば、給料をいくらもらっているのか、預金はどの銀行にいくらあるのかということは分かりません。

一方で、不動産は存在することが外部からでも分かりますし、金額もある程度推測することが可能です。

そのため、強制執行手続きでは、不動産執行が行われることが多いです。

そこでこの章では、強制執行手続きの中で、不動産執行の流れについて解説します。

不動産執行の流れ

  1. 申立て
  2. 開始決定・差押
  3. 売却の準備
  4. 売却実施
  5. 入札から所有権移転まで
  6. 不動産の引渡
  7. 配当

ステップ1.申立て

強制執行では、債務名義にもとづいて、競売の申立を行います。

申立ては、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に対して実行します。

ステップ2.開始決定・差押

申立てが適法にされていると認められると、裁判所は不動産執行を始める旨及び目的不動産を差し押さえる旨を宣言する開始決定を行います。

開始決定がされると、裁判所の書記官が管轄法務局に対して目的不動産の登記簿に「差押」の登記をするよう依頼し、物件が差し押さえられます。

債務者に対しては、「競売開始決定」の通知が届きます。

申立てから競売開始決定の通知までは、約1ヶ月程度です。

ステップ3.売却の準備

その後、債務者には「不動産の現状調査について」という通知が届き、執行官や評価人が不動産の調査を行います。

この調査は国家権力によって行われますので、とても強力です。

調査時点で債務者が夜逃げしていたとしても、プロの鍵屋を使って中に入り、不動産の実態調査が行われます。

不動産の調査は、裁判所の執行官や裁判所から任命された不動産鑑定士が行います。

これらの調査は、3点セットとなり、情報は競売に入札参加する人へ開示されます。

3点セットとは、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3つの書類のことを指します。

不動産調査で行われる3つ

  1. 物件明細書:そのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地又は建物だけを買い受けたときに建物のために底地を使用する権利が成立するかどうかなどが記載されている
  2. 現況調査報告書:土地の現況地目、建物の種類・構造など、不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者やその者が不動産を占有する権原を有しているかどうかなどが記載され、不動産の写真などが添付されている
  3. 評価書:競売物件の周辺の環境や評価額が記載され、不動産の図面などが添付されている

裁判所は、評価人の評価に基づいて売却基準価額を定めます。

売却基準価額は、不動産の売却の基準となるべき価額です。

競売では、売却基準価額の80%の価額である買受可能価額以上の金額でないと成立しないルールとなっています。

そのため、債権者は買受可能価額を見ると最低限の回収可能価額は分かることになります。

尚、競売の実際の落札価額は、概ね売却基準価額の1.5倍程度となることが通常です。

良い物件だと、売却基準価額の2倍程度になります。

近年の競売は、物件がクリーンな状態で購入できることが認知されているため、落札価格は以前よりもかなり上がっています。

落札価格は、ほぼ市場価格か、若干それを下回る水準であり、決して市場価格の7割でしか売れないということはありません。

過去の落札価格の状況については、裁判所が運営する不動産競売物件情報サイト「BIT」で確認できますので、参考にしながら強制執行するかどうかを判断するのが良いでしょう。

ステップ4.売却実施

売却基準価額が決まると、債務者に入札の通知が届き、売却が実施されます。

売却は、定められt機関何に入札する期間入札方式によって行われます。

ステップ5.入札から所有権移転まで

入札は、1週間の間で行われ、さらに1週間後に開札が行われます。

入札では、最高価格で金額を入れた人が落札することになります。

所有権移転などの登記の手続は裁判所が行います。

ただし、手続に要する登録免許税などの費用は買受人の負担です。

ステップ6.不動産の引渡

落札者が決まると引渡です。

引渡後に、住む権利を主張することができない人が占有している場合には、その人に明渡しを求めることができます。

占有者が求めに応じないときは、代金を納付してから6か月以内であれば、執行裁判所に申し立てると、明渡しを命じる引渡命令を出してもらうことができます。

この引渡命令があれば、執行官に対し強制的な明渡しの手続をとるように申し立てることもできます。

占有者は国家権力によって、確実に退去させることが可能です。

ステップ7.配当

競売の落札代金は、法律上優先する債権の順番で裁判所が債権者に配当していきます。

原則として、抵当権を有している債権者と債務名義しか有していない債権者では、抵当権を有している債権が優先します。

また、債務名義しか有していない債権者の間では、優先関係はなく平等に扱われます。

以上、ここまで不動産執行の流れについて見てきました。

では、不動産執行された家にそのまま住みたい場合はどうすれば良いのでしょうか。

そこで次に、引き続き住みたければリースバックを検討することについて解説いたします。

3.引き続き住みたければリースバックを検討

競売になってしまうと、不動産は第三者に落札されてしまうため、引き続き住み続けることはできません。

競売後住み続けるには、信頼できる第三者に落札してもらい、その人から家を借りるというのが選択肢になります。

不動産を売却後に借りることをリースバックと呼びます。

例えば、入札が決まったら、親などに競売に参加してもらうことを相談します。

親が競売で物件を落札してくれれば、その後、親から家を借りるというのがリースバックです。

競売は入札なので、親が確実に落札できるかどうか分かりません。

過去の落札価格をBITで研究し、ある程度予想を付けた上で入札に参加してもらうことが重要です。

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4.まとめ

以上、ここまで、強制執行とは何なのか、不動産執行の流れや、今の家に住み続ける方法について見てきました。

強制執行とは、債務名義を得た人が行う民事執行手続きです。

実行するには債務名義が必要ですので、まずは裁判所から何らかの公文書を得ることから始めるのが基本となります。

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