限界マンションとは、老朽化や住人減少により、建物の維持管理が限界を超えてしまったマンションのこと
維持管理もままならず、建替え同意を得られないまま、壊すに壊せない状況が続いているマンションになります。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 限界マンションって、どのような状態のマンションなの?
- どうして限界マンションが発生するの?
- 限界マンションの対策はあるの?
そこでこの記事では、「限界マンション」にフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、限界マンションとは何か、どのくらいの築年数で限界マンションになるのか、対策はあるのか、について知ることができます。
限界マンションとは
限界マンションとは、建物の老朽化が相当に進み、住人も少なくなり、廃墟のような状態になっているマンションのこと
似たような言葉に「限界集落」という言葉がありますが、限界マンションは限界集落のマンション版ということになります。
いずれも集落やマンションに住む人が高齢化することで、集落やマンションそのものが維持できなくなる問題という点では共通しています。
ただし、限界集落というのは、集落という町村レベルの広いエリアで生じている現象。
対して、限界マンションは「ある特定のマンション」という局所的な狭いエリアに生じている現象です。
また、限界集落は過疎化の進む地方において発生しています。
それに対して限界マンションは都市部でも見られる現象です。
限界マンションの問題は都市部に多い
そもそもマンションは都市部に多い建物であることから、限界マンションの問題は都市部の問題であるといえます。
都市部には多くのマンションがありますので、限界マンションのすぐ隣に、正常なマンションが存在することも普通にあります。
限界集落だと、かなり広い範囲で人がいないということがありますが、限界マンションだとすぐ隣にたくさんの人が住んでいるということもあるのです。
限界マンションは、極めて局所的な問題であり、また改善できるポテンシャルの高い都市部に多い問題であることから、限界集落よりは「根が浅い」問題といえます。
限界集落については下記記事に詳しく記載しています。
以上、ここまで限界マンションとは、ということについて見てきました。
では、どのくらいの築年数で限界マンションになってしまうのでしょうか。
そこで次に、築年数はいつ頃からかということについて解説いたします。
築年数はいつ頃から「限界マンション」と呼ばれるのか
マンションは、築年数がいつ頃から限界マンションとなってしまうのか気になっている人も多いと思います。
結論からすると、築年数が何年以上だから限界マンションになりやすいという答えはありません。
以前、NHKのニュースで取り上げられた限界マンションは築37年でした。
ちなみに国土交通省によると、築30~50年のマンションは年々増えてくると予想されています。
※出典:国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」より
築37年と聞くと、「たった築37年で限界マンションになるの?」と感じる人や、「やっぱりその辺りか」と感じる人に分かれると思います。
一方で、都内には築50年を過ぎても高値で取引されているマンションがゴロゴロあります。
港区南青山にある「高樹町スカイマンション」というマンションは、今でも1億円以上の価格で取引されています。
高樹町スカイマンションは、1968年築なので、2024年11月時点で築50年を超えているということになります。
「でも、それって場所が良いからでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、その通り「場所が良いから」です。
限界マンションになるか否かは立地が重要
限界マンションになるか否かは、築年数よりも立地が重要です。
多くの人が住みたいと思える立地にあるマンションは、中古で売りに出されても、高く売れますし、住人も減りません。
そのようなマンションは管理費や修繕積立金もしっかりと取ることができるため、築50年を過ぎてもピンピンしています。
それに対して、立地の悪いマンションであれば、築30年代でもどんどん入居者が減っていきます。
空き室が増えれば、管理費や修繕積立金が少なくなり、加速度的に限界マンションへと近づきます。
そのため、限界マンションは築年数で決まるのではなく、立地で決まるということです。
立地の悪いマンションであれば、そのうち限界マンションになることが免れないこと。
一律に、日本の全てのマンションが限界マンションになるわけではないと、冷静に捉えることが重要です。
以上、ここまで築年数はいつ頃からかということについて見てきました。
では、なぜ限界マンションは発生するのでしょうか。
そこで次に、限界マンションが発生する原因について解説いたします。
限界マンションが発生する2つの原因
限界マンションが発生する原因には
- 維持管理費の不足
- 法律
の2つがあります。
原因1.維持管理費の不足
1つ目の原因は、住人の高齢化等による「維持管理費の不足」です。
マンションでは住人が管理費および修繕積立金を支払うことにより建物を維持管理していきます。
高齢者が多いマンションでは、管理費等を支払うことができない住人が増えます。
また、住人の死亡によって、相続人が誰か分からず管理費等を徴収できないケースもあります。
近年は土地の所有者が分からない所有者不明土地というのが話題となっていますが、マンションにも所有者が分からない所有者不明マンションというのが増えつつあります。
所有者不明マンションは、相続が発生した後に、登記変更がなされず、マンションの管理組合が所有者を追えなくなってしまうことが原因で発生します。
所有者不明マンションとなってしまうと、管理費等の徴収ができなくなるため、やはり限界マンションへと向かう原因になります。
古いマンションは、若いころにマンションを購入した人がそのまま住み着いていることが多いため、マンションと一緒に多くの住人が一斉に高齢化してしまうという問題もあります。
一斉に高齢化すると、管理費等を支払うことができない住人も一気に増えるため、管理費不足が深刻化してしまうのです。
所有者不明土地については、下記記事で詳しく解説しています。
原因2.建物の区分所有等の関する法律
2つ目の原因として「建物の区分所有等に関する法律」の存在があります。
マンションの建替えには区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要です。
建替えの際は、住人は一時的に引越す必要があり、引越代やその間の家賃を負担しなければなりません。
建替えは、経済力のある住人でないと賛成することができず、所得の少ない高齢者にとっては賛成しがたい問題です。
すると管理不行き届きであっても、取り壊すことがままならず、限界マンション化はズルズルと歯止めがかからなくなります。
以上、ここまで限界マンションが発生する原因について見てきました。
では、限界マンションにはどのような対策が有効なのでしょうか。
そこで次に、対策は街の魅力に応じて変えるということについて解説いたします。
限界マンションの対策は街の魅力に応じて変える
限界マンションの対策は、街の魅力に応じて個別具体的に変えていく必要があります。
都市部であれば取壊して再建築する
都市部のマンションであれば、やはり取り壊して再建築することが一番良い対策となります。
現在でも、首都圏や名古屋などでは人口の増えている地域があります。
人口が増加しているエリアであれば、建て替えることで新しいマンションに若い人たちが住み、マンションを復活させることができます。
再生できるポテンシャルの高いエリアであれば、なんとか頑張って建て替えすべきです。
ただし、建替えには相当に高いハードルがあります。
まず、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成を取る必要があります。
高齢者が多いマンションでは、この5分の4以上の賛成を得ることができません。
そのため、経済力のある不動産会社が一つ一つの部屋を買い取っていき、5分の4以上の賛成を得られるまで議決権を増やしていくことが必要となっていきます。
議決権とは、基本的には各区分所有者の専有部分の割合のこと
不動産会社が5分の4以上の部屋を買い取ることができれば、建て替えることができます。
建て替えが成功できるか否かは余剰容積があるか
次に、建て替えを成功できるかどうかは、余剰容積があるかどうかです。
元のマンションよりも大きなマンションを建てることができれば、そこで得られる利益を建築費等に充当することができます。
マンションの大きさは、その土地に指定されている容積率によって決まります。
容積率とは、延べ面積を敷地面積で割った値のこと
例えば、容積率が300%と指定されている土地で、250%したマンションを建てていない場合、50%の余剰容積があります。
このように余剰容積がある場合には、建て替え後に増えた部分の部屋を売ることができますので、利益を建築費に充当することができます。
余剰容積のあるマンションの場合、建築費を抑えることができるため、建て替えが成功する確率を上げることができるのです。
容積率については下記記事で詳しく解説しています。
地方であれば街づくりから考える
地方の場合は、苦労して建替えたとしても、建て替え後のマンションが全て売れない可能性もあります。
部屋が全て売れなければ、最初から猛スピードで限界マンションへと向かってしまいます。
そのため、人口減少が著しく、建て替え後に全ての部屋が売れないようなエリアでは、建て替えでは解決策にはなりません。
そのようなエリアでは、マンションそのものを見るのではなく、もっと広く街づくりから考える必要があります。
人口が減ってしまう要因は、そのエリアに働く場所がないからです。
雇用がなければ、給料を稼ぐ手段がないため、そこに住む理由が無くなってしまいます。
人口減少エリアの限界マンションは、建て替えだけでは何の問題解決にもなりません。
自治体レベルで、産業を発展させるような地方創生の街づくりから行っていくことが対策となります。
売却をして新しいマンションに住み替える
限界マンションの対策にはなっておりませんが、諦めるというのも肝心です。
限界マンションになってしまうと、立地が優れていない限りなかなか買主も見つかりません。
まずは、限界マンションになる前に売却活動を実施するのをオススメします。
今のマンションがいくらになるのか知りたい人は、「すまいValue」「SUUMO」「HOME4U」などの不動産一括査定を使うといいでしょう。
複数社の不動産会社から査定を受けられるため、そのマンションに強い不動産会社が見つかる可能性もあります。
不動産一括査定については下記記事で詳しく解説しています。
まとめ
以上、ここまで、限界マンションとは何か、どのくらいの築年数で限界マンションになるのか、対策はあるのか、について見てきました。
限界マンションは、立地の悪いマンションに生じうる問題です。
売却してもなかなか売れないマンションは危険信号がともっています。
限界マンションと化してしまったら、エリアに応じて個別に適した対策を考えることが重要となっていくでしょう。