不動産は持っているだけでも税金がかかります。
土地を保有しているときに係る税金は固定資産税及び都市計画税です。
こんな悩みをスッキリ解消!
- そもそも、土地にかかる税金には、どのようなものがあるの?
- 自分の土地の税金がいくらになるのか、だいたいの額を知りたい
- 空き家を壊すと、どのくらい税金が増えるの?
そこでこの記事では、「土地にかかる税金」にフォーカスしてお伝えします。
この記事を読むことであなたは、土地を持っているとかかる税金の種類や、その目安の計算方法について知ることができます。
土地にかかる税金1つ目:固定資産税
固定資産税とは、土地や建物を所有している人に対して課される市区町村税
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日における所有者です。
1年の間に売買などで所有者が変わったとしても、納税義務があるのはあくまでも1月1日時点の所有者となります。
固定資産税の納税は、4月、7月、12月、2月の計4回に分けて納税します。
納期前に毎年、市区町村から納税通知書が送られてきます。
共有名義の場合、納税通知書は代表者に送られてきます。
代表者は市区町村によって以下のような基準で決められます。
- 物件所在地にいる方
- 市内に居住している方
- 持分が多い方
- 世帯主
- 登記簿に記載されている順位
納税通知書は代表者のみに送られてきますが、納付義務があるのは、あくまでも共有者全員です。
50%ずつ共有しているのであれば、代表者が全額を支払った場合には、他の共有者が代表者に対して50%を支払い、応分負担すべきものとなります。
ただし、実際に納税するのは代表者のみで構いません。
固定資産税の計算式
固定資産税額は、以下の式で決まります。
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率
課税標準額とは、固定資産税評価額に一定率を乗じて求めたものになります。
固定資産税の税率は、1.4%です。
以上、ここまで固定資産税について見てきました。
土地には「都市計画税」もかかります。
土地にかかる税金2つ目:都市計画税
都市計画税とは、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地および家屋に課税される税金
都市計画法とは、計画的に街づくりを行うための法律になります。
都市計画法では全国を「都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域外」に分けており、このうち、人が一定以上居住するエリアが都市計画区域です。
さらに、都市計画区域は「市街化区域」と「市街化調整区域」という区域区分の定められている地域と、区域区分が定められていない「非線引都市計画区域」に分けられます。
市街化区域は、人口が多い区域のことであり、市街化区域内にある土地では固定資産税の他、都市計画税という税金が課せられることになっています。
都市計画税も、固定資産税と同様に毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
都市計画税の計算式
都市計画税は、以下の式で決まります。
都市計画税額 = 課税標準額 × 税率
都市計画税の標準となる税率は0.3%です。
都市計画税の税率は、市区町村によって異なる場合があります。
共有物件の扱いについては、都市計画税も固定資産税と同じです。
納税通知書は代表者に届きますが、納付義務者はあくまでも1月1日時点の共有者全員であるため、共有者全員に納税義務があります。
以上、ここまで都市計画税について見てきました。
では、固定資産税と都市計画税の目安はどの程度なのでしょうか。
固定資産税と都市計画税の目安
土地の固定資産税と都市計画税については、相続税路線価からある程度の目安を知ることができます。
固定資産税および都市計画税の課税標準額は、固定資産税評価額から求められます。
固定資産税評価額は、地価公示、相続税路線価と連動しています。
地価公示とは、都市計画法に定める都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれる区域における標準地について、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、国が公示する価格
標準地は全国で約26,000ポイント存在し、毎年1月1日時点の価格を公表しています。
地価公示は、時価に近い水準の価格を公表しています。
実際には時価よりも1~2割程度安いですが、一応、時価という建前です。
相続税路線価とは、土地の相続税評価額を計算するたに国が定めた土地単価であり、対象地の前面道路に単価が記載されているものをいいます。
路線価は、道路(路線)に振られている相続税評価額を求めるための土地単価です。
相続税路線価は、地価公示の80%の水準で評価されています。
一方で、固定資産税評価額は地価公示の70%の水準で評価されます。
相続税路線価は自分の土地の前に評価額が振られているため、容易に知ることができます。
固定資産税の価格の目安計算式
そこで、相続税路線価を知ると、以下の算式で固定資産税評価額の概ねの水準を知ることが可能です。
固定資産税評価額 = 相続税路線価 ÷ 0.8 × 0.7 × 面積
まず、相続税路線価を0.8で割ることで地価公示水準の価格が算出されます。
それに0.7を乗じることで固定資産税評価額の価格を求めることができます。
固定資産税の課税標準額は、非住宅用地と呼ばれる住宅地以外の宅地の場合には、固定資産税評価額に0.7を乗じたものになります。
非住宅用地の課税標準額
非住宅用地の課税標準額 = 固定資産税評価額 × 0.7
よって、相続税路線価を用いると、固定資産税および都市計画税は以下のように計算されます。
税率は、固定資産税が1.4%、都市改革税が0.3%として、合計1.7%を乗じます。
非住宅用地の固定資産税および都市計画税額
固定資産税および都市計画税額 = 課税標準額 × 税率 = 固定資産税評価額 × 0.7 × 1.7% = 相続税路線価 ÷ 0.8 × 0.7 × 面積 × 0.7 × 1.7%
固定資産税評価額については、3年に1度評価替えが行われます。
地価公示と相続税路線価は毎年評価替えが行われますが、固定資産税評価額については3年に1度しか評価が変わらないというのが特徴です。
また、固定資産税評価額は、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地の地目別に行われます。
このうち、田や畑などの農地や山林の固定資産税評価額の単価は宅地の100分の1未満となっていることが多いです。
土地の固定資産税は、課税標準が30万円に満たない場合には、課税されないこととなっています。
農地や山林は、固定資産税評価額が30万円未満となっているケースが多く、固定資産税が課税されていないことも多いです。
これを固定資産税の免税点と呼びます。
農地や山林を持っているにもかかわらず、固定資産税が課税されていないのは、免税点となっている可能性があります。
固定資産税評価額については下記記事でさらに詳しく解説しています。
以上、ここまで固定資産税と都市計画税の目安について見てきました。
固定資産税と都市計画税は、住宅用地においては軽減されます。
住宅用地の特例が使えるときの固定資産税の計算式
土地の上に戸建やマンション、アパート等の住宅が建っていると、その土地は住宅用地の特例を受けることができます。
住宅用地の特例は、面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2種類があります。
区分とそれぞれの課税標準額は以下のようになります。
区分 | 要件 | 課税標準額 |
---|---|---|
小規模住宅用地 | 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 | 固定資産税の6分の1 |
一般住宅用地 | 住宅用地で住宅1戸につき200㎡を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 | 固定資産税の3分の1 |
非住宅用地では課税標準額が固定資産税の70%でした。
それが住宅用地になると、200㎡までの部分であれば、課税標準額が固定資産税の6分の1となります。
ここで、住宅が建っている300㎡の土地で、土地の固定資産税評価額が2,700万円の土地の固定資産税を計算してみます。
300㎡の土地だと、200㎡までの部分が小規模住宅用地、200㎡を超える部分が一般住宅用地になります。
従って、固定資産税は以下の通りです。
固定資産税評価額 = 課税標準額 × 税率 = 2,700万円×(200㎡÷300㎡×1/6+100㎡÷300㎡×1/3)×1.4% = (300万円+300万円) × 1.4% = 600万円 × 1.4% = 8.4万円
以上、ここまで住宅用地の軽減について見てきました。
住宅用地の場合、空き家を壊すか壊さないかで税金額が変わります。
空き家を壊しても6倍にはならない
よく、空き家を壊すと固定資産税が6倍になるという人がいますが、空き家を壊しても固定資産税は6倍にはなりません。
小規模住宅用地の6分の1の特例だけが独り歩きして、空き家を取り壊すと6分の1が亡くなるから6倍になると勘違いしている人が多いですが、その解釈は間違いです。
まず、空き家を壊すとその土地は住宅用地から非住宅用地に変わります
非住宅用地の課税標準は固定資産税の70%でした。
そのため、一旦、6倍になった後、0.7が乗じられるため、4.2倍(=6倍×0.7)になるということです。
ただし、4.2倍となるのは、全部の土地が200㎡未満の小規模住宅用地であるケースです。
そこで、次に300㎡で固定資産税評価額が1,800万円という広めの土地で考えてみます。
まず、この広めの土地が非住宅用地だった場合の固定資産税を計算します。
- 課税標準額 = 非住宅用地の課税標準額 = 1,800万円×70% = 1,260万円
- 固定資産税 = 課税標準額 × 1.4% = 1,260万円 × 1.4% = 17.64万円
300㎡が全て非住宅用地であれば、固定資産税は17.64万円ということです。
次に、300㎡に上に戸建て住宅が1戸建っているケースを考えます。
300㎡ですので、200㎡までの部分が小規模住宅用地、200㎡を超える部分が一般住宅用地になります。
- 課税標準額 = 小規模住宅用地の課税標準額 + 一般住宅用地の課税標準額 = 1,800万円×(200㎡÷300㎡)×1/6 + 1,800万円×(100㎡÷300㎡)×1/3 = 1,200万円×1/6 + 600万円×1/3 = 200万円 + 200万円 = 400万円
- 固定資産税 = 課税標準額 × 1.4% = 400万円 × 1.4% = 5.6万円
300㎡が住宅用地の場合は、固定資産税は5.6万円ということです。
この戸建を取り壊すと、300㎡が全て非住宅用地となりますので、固定資産税は5.6万円から17.64万円となり、このケースでは3.15倍に上がります。
つまり、空き家を壊しても固定資産税は6倍には上がりません。
元々の土地の面積にも取りますが、結論としては空き家を壊すと固定資産税は3~4倍程度上がることになります。
小規模住宅用地と一般住宅用地が混在していれば3倍強、小規模住宅用地だけであれば4.2倍ということです。
空き家を取壊して固定資産税が6倍になるというのは間違いということになります。
まとめ
土地を持っているとかかる税金の種類や、その目安の計算方法について見てきました。
空き家を壊すと税金が6倍になる、ということはありません。
固定資産税の正しい知識を身に付け、空き家を取り壊すかどうかの判断にも生かしましょう。